投資会社のJABホールディングスの事業ポートフォリオの分析

ファミリーオフィース系投資会社であるJABホールディングス(JAB Holdings)の世界シェア(世界市場シェア)、投資ポートフォリオ、会社買収の情報です。

会社概要

JABホールディングスはルクセンブルクに本拠を置く投資ファンドです。JABはJoh.A.Benckiserの略となっています。ドイツ・オーストリアの資産家ファミリーであるライマン家(Reimann Family)によって所有されています。ライマン家は現在のレキットベンキーザーが1999年に経営統合をする前のベンキーザー社の創業家一族です。2020年現在約186億ユーロの株主資本を有しております。

レキットベンキーザについて

1999年に英レキット&コールマン社とオランダのベンキーザー社が経営統合して誕生した英国に本拠を置く日用品・トイレタリー用品大手です。レキット&コールマン社とベンキーザー社はともに1800年後半に創業された老舗メーカーです。石鹸のミューズ、食器洗い機専用洗剤のフィニッシュ等のブランドを有します。コンドームではDurexブランドで世界展開しています。2017年にベビーフード大手のミード・ジョンソンの買収をしました。さらに詳しく

投資ポートフォリオ

コーヒー

コーヒー業界の世界シェアでは、Jacobs Douwe Egberts Group (JDE、ヤコブ・ダウ・エグバーツ)、D.E Master Blenders、Mondelez International(モンデリーズ・インターナショナル)のコーヒー事業とPeet’s Coffee(ピーツ・コーヒー)が経営統合して誕生したJDE Peet(JDEピート)とドクター・ペッパー・スナップル・グループと1杯分コーヒー抽出機の「キューリグ」、1杯分「Kカップ」コーヒーで有名なKeurig Green Mountain(キューリグ・グリーンマウンテン)が経営統合をして誕生したキューリグ・ドクター・ペッパーを成長のドライバーとして、ネスレに次ぐ世界2位となっています。

やや複雑な再編の経緯を辿っているので、JABのコーヒーポートフォリオの強化について時系列でまとめると以下の通りとなります。

2012年 Peet’s Coffee & Teaの買収
2013年 D.E Master Blendersの買収
2015年 Mondelez Internationalのコーヒー事業とD.E Master Blendersが経営統合をしJacobs Douwe Egberts (JDE)が誕生
2020年 Peet’s CoffeeとJDEが経営統合をしJDE Peetが誕生
2020年 JDE Peetが株式公開

コーヒーチェーン業界では、業界大手のPanera Bread(パネラブレッド)やカリブ・コーヒー、エスプレッソハウス等の買収を行っています。JDEと経営統合をしたピーツ・コーヒーもコーヒーチェーンを展開しています。下記はJABのグループストラクチャーとなります。

JABグループストラクチャー

JABグループストラクチャー
出所:同社

高級ブランド

高級ブランドの業界では、靴に強いジミーチュー、ベルスタッフ(BELSTAFF)を保有していました。ジミーチューは13億5000万ドル(約1470億円)でマイケル・コース ホールディングス(MICHAEL KORS HOLDINGS)へ売却されました。現状は、皮製品の強いバリー(BALLY)を保有しています。

飲料

飲料業界では、2018年にドクター・ペッパー・スナップル・グループをキューリグ・グリーン・マウンテンと経営統合することを発表。キューリグ・ドクター・ペッパーとして、業界大手のコカ・コーラやペプシコを追い上げています。

日用品業界、マウスウォッシュ業界、ベビーフード業界の上位企業であるレキットベンキーザーの大株主でしたが、2019年に株式を売却しております。

また、同じく大株主であるコティを通じて化粧品業界も高いプレゼンスがあります。

その他の分野では、ドーナツチェーン大手のクリスピー・クリーム・ドーナツや北米で展開するペットホテルのCompassion-First(コンパッションファースト)を買収しています。

その他の事業再編・買収

2015年 キューリグ・グリーンマウンテンを買収
2016年 クリスピー・クリーム・ドーナツを買収
2017年 パネラブレッドを買収
2017年 ジミーチューの売却
2018年 ドクター・ペッパー・スナップル・グループとキューリグ・グリーン・マウンテンが経営統合し、キューリグ・ドクター・ペッパーが誕生
JABホールディングスの出資先が掲載されているページの一覧
市場シェア

飲料・ミネラルウォーター業界の世界市場シェア分析

清涼飲料・ドリンク・ミネラルウォーター業界の世界シェア、市場規模や業界再編について分析をしています。コカコーラ、ペプシ、ダノン、ネスレ、キューリグ・ドクター・ペッパー、アヘ、ナショナルベバレッジ、農夫山泉といった世界大手飲料メーカーの動向も掲載しています。
市場シェア

コーヒー業界の世界市場シェアの分析

コーヒー会社・コーヒー業界の世界市場シェアとランキングと市場規模の情報を分析しています。ネスレ、JDEピーツ、チボー、JMスマッカー、キューリグドクターペッパー等の世界の主要コーヒー会社一覧も掲載しています。
戦略レビュー

ユニリーバ紅茶事業エカテラの戦略レビューから売却までのケーススタディ

ユニリーバが2020年1月に発表した紅茶事業の戦略レビューの背景や内容を分析し、2021年11月にCVCに売却されるまでのケーススタディを作成しました。
再編候補

M&Aの対象となる病院やクリニックの分析

病院業界で、今後M&Aの対象となる病院やクリニックについて概要や動向をまとめています。特に、眼科、不妊治療、メンタルヘルス、心臓手術、歯科、動物病院、ヘルステックといった分野で、投資ファンドによるM&Aの動きが予想されます。
再編候補

外食業界でM&Aや再編対象となる会社の分析

今後M&Aや再編対象となる可能性が高い外食チェーンについて会社概要や動向をまとめています。カフェ、ファストフードといった分野でM&Aの動きが予想されます。
再編候補

食品業界のM&A・再編候補の分析

食品業界で今後M&Aや再編の候補となる会社を掲載しています。食品業界の中でも特に、食品成分、製パン、冷凍食品、菓子、オーガニック、サプリメント、植物肉といった分野で投資ファンドによるM&Aの動きが予想されます。