乳製品業界の世界市場シェアの分析

乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト・バター)業界の世界市場シェア、市場規模、再編について分析をしています。ダノン、ラクタリス、フォンテラ、伊利といった大手乳製品メーカーの概要や動向も掲載しています。

乳製品業界の世界市場シェア(2020年)

乳製品メーカー各社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の乳製品業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はラクタリスの3.42%、2位はデイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカの2.75% 3位はダノンの2.36%となります。

2020年乳製品業界シェア

  • 1位 ラクタリス 3.42%
  • 2位 デイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ 2.75%
  • 3位 ダノン 2.36%
  • 4位 フォンテラ 2.33%
  • 5位 伊利集団 2.24%
  • 6位 フリーズランドカンピナ 2.05%
  • 7位 アーラフーズ 1.96%
  • 8位 ネスレ 1.86%
  • 9位 サプート 1.81%
  • 10位 メンニュウ乳業 1.75%
  • 11位 アグロプール 1.18%
  • 12位 DMK 1.07%
  • 13位 ソディアール 1.02%
  • 14位 クラフトハインツ 0.78%
  • 15位 明治 0.78%
  • 16位 シュレイバー・フーズ 0.77%

乳製品メーカーの市場シェア(2020年)
乳製品メーカーの市場シェア(2020年)

2020年もフランスのラクタリスが世界1位となりました。2位はフランスのダノンを抜いて、2020年に経営破たんした同業のディーン・フーズを傘下におさめた米国の全国乳業販売協同組合であるデイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカとなりました。3位はダノンです。アクティビストからプレッシャーもあり2020年後半より戦略レビューを開始しています。4位はニュージーランドのフォンテラです。5位は中国の乳製品最大手である伊利集団となります。6位はオランダの農協系グループであるフリーズランドカンピナです。上位15社でも市場シェアは約30%弱です。乳製品という性質(痛みが早い、ヨーグルト等型崩れする)から、地域ごとに強い乳製品メーカーが存在感を示しているという構図が見て取れます。ESGを推進する流れから、より環境負荷の低いとされる牛乳に代わるプラントベースの乳製品(代替乳製品)の市場も成長しており、スタートアップが数多く参入し、今後の業界構造も大きく変わる可能性があります。

1位 Lactalis(ラクタリス)
2位 Danone(ダノン)
3位 Dairy Farmers of America(デイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ)
4位 Nestlé(ネスレ)
5位 Fonterra(フォンテラ )
6位 FrieslandCampina(フリーズランドカンピナ)
7位 Arla Foods(アーラフーズ)
8位 Yili(伊利集団)
9位 Saputo(サプート)
10位 メンニュウ乳業(Mengjiu Dairy)
11位 Dean Foods(ディーンフーズ)
12位 DMK
13位 Sodiaal(ソディアール)
14位 Agropur(アグロプール)
15位 Schreiber Foods(シュレイバー・フーズ)
16位 明治ホールディングス

市場規模

当サイトでは、下記の各種市場推計データをもとに、2020年の乳製品業界の市場規模を6500億ドルとして市場シェア算出しております。

調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、2020年の同業界の市場規模は、6758億ドルです。2021年に向けて6.9%での成長を見込みます。調査会社のアイマークによれば、2019年の同業界の市場規模は7189億ドルです。調査会社のメティキュラスマーケットリサーチによれば、2019年から年平均5.2%の成長率で2025年までに乳製品業界の市場規模は6458億ドルになると予測されており、逆算すると2019年の市場規模は4768億ドルとなります。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模成長率見込み
2020年6500億ドル6.9%
2019年6000億ドルn/a
乳製品業界の推定市場規模の推移©ディールラボ

なお、乳製品には、牛乳をはじめとして、チーズ、バター、クリームやヨーグルトが含まれます。雪印メグミルクによれば、2017年の世界の乳製品消費量は約8億トンとなっています。アジア・オセアニアが最大規模で、欧州・北米と続きます。2003年は約6億トンでしたので、年率平均約2%の成長を遂げていると言えます。

再編の歴史

  • 2007年 ダノンによるオランダの乳製品会社のRoyal Numicoの買収
  • 2011年 ラクタリスによるイタリア乳業メーカーParmalat社の買収
  • 2013年 中国蒙牛乳業(China Mengniu Dairy)による中国の粉ミルクメーカー雅士利国際(Yashili)の買収
  • 2013年 カナダのサプートによる豪ワーナンプールの買収
  • 2013年 ラクタリスによるインドの乳業メーカーTirumala Milk社の買収
  • 2014年 ダノンによるモロッコの乳製品メーカー大手のCentrale Laitière(レチーエル)の買収
  • 2014年 ダノンによる中国蒙牛乳業(China Mengniu Dairy)への出資
  • 2014年 カナダの協同組合AgropurによるDaviscoの買収
  • 2015年 ラクタリスによるトルコの乳製品大手のAK Gidaの買収
  • 2015年 ダノンによる粉ミルクメーカー中国の粉ミルクメーカー雅士利国際(Yashili)への25%出資
  • 2015年 フリーズランドカンピナによるベルギーの チーズメーカーのFabrelac社の買収
  • 2016年 ダノンによるエジプトのチーズメーカーのHalayeb社の買収
  • 2017年 ダノンによる大豆飲料大手であるホワイトウェーブの買収
  • 2017年 ラクタリスによるStonyfield Farmの買収
  • 2019年 雅士利国際による豪Bellamy’s Australiaの買収
  • 2019年 ラクタリスによるNuova Castelliの買収
  • 2020年 明治による中国の牧場運営会社オーストアジア社の25%株式をインドネシア等で食肉・水産事業を手がけるジャプファ社から買収
  • 2020年 クラフト・ハインツがチーズ事業(売上高18億ドル)の一部をラクタリスに売却

直近のM&Aの企業価値に対する売上高の倍率を見てみると、概ね1~3倍のレンジとなります。ダノンによるホワイトウェーブ買収は、伝統的な乳製品大手が、代替乳製品分野へ参入した事例を言え、中国に関連するM&Aを除けば、売上高に対して約3倍のマルチプルと高いバリュエーションとなりました。

乳製品業界の企業価値売上高倍率の推移
乳製品業界の企業価値売上高倍率の推移©ディールラボ

さらに業界を詳しく理解するためのお薦め書籍と業界団体

乳製品を使わないヴィーガンチーズ VEGAN CHEESE
新版 牛乳・乳製品の知識
日本酪農乳業協会
一般社団法人全国農協乳業協会

世界の主要な乳製品メーカー

Nestlé(ネスレ)

ネスレは、1866年に薬剤師のアンリ・ネスレ氏によって設立されたスイスに本拠を置く世界最大級の総合食品・飲料メーカーです。食品ではパスタのブイトーニやコンソメのマギー等、飲料ではネスカフェやミロ、乳製品、菓子類ではKitKatやCrunch等のチョコレートのブランドにて世界展開しています。2018年以降、アクティビストファンドであるサードポイントからの要請で、事業ポートフォリオの再構築を急いでいます。2019年には、投資ファンドのEQTパートナーズ、アブダビ投資庁およびPSPインベストメントに、同社のスキンヘルスケア事業を売却しました。スキンヘルスケア事業は、Proactive(プロアクティブ)やCetaphil(セタフィル)などのにきび防止用の洗顔料、保湿剤などのスキンケア用品などを展開しています。2021年にはKKRから栄養補助食品大手ザ・バウンティフル・カンパニーの主要ブランドであるネイチャーズバウンティ、ソルガー、オステオバイフレックスを買収しました。さらに詳しく

Danone(ダノン)

ダノンはフランスを代表する大手乳製品メーカーです。1919年にスペインのヨーグルトの会社として誕生し、1972年にフランスの食品会社であるBSNと経営統合することでダノンが誕生しました。ダノンブランドのヨーグルトは特に有名です。エビアンやボルビックといったミネラルウォーター事業も手掛けています。
さらに詳しく

Lactalis(ラクタリス)

フランスの大手乳製品メーカーです。プレジデントやガルバーニといったチーズブランドを世界的に展開しています。 Besnier(ベニエー)一族が支配するファミリーカンパニーです。同社は、75千人の従業員を85カ国で展開し、製造拠点は約230を43カ国に有しております。牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター、クリーム、乳成分をバランスよく売り上げているのが特徴です。2020年にクラフト・ハインツからチーズ事業の一部を買収しました。

Dairy Farmers of America(デイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ)

米国の酪農組合です。牛乳の生産量では世界最大級です。2020年に経営破たんしたディーン・フーズのスポンサーとなりました。

Dean Foods(ディーン・フーズ)
米国に本拠を置く乳業大手です。ディーン・フーズは米国大手の食品・飲料メーカーです。牛乳、アイスクリーム、発酵乳製品などの製品を「TrueMoo」、「Alta Dena」「バークレイ・ファームズ」、「ランド・オ・レイクス」といったブランドで展開しています。2020年に経営破たんし、デイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカがスポンサーとなりました。

FrieslandCampina(フリーズランドカンピナ)

2008年にCampina(カンピナ)とFriesland Foods(フリーランズ)が統合して誕生したオランダ最大手の乳製品メーカーです。酪農協同組合系の流れを継ぎます。フリスティ、フリソ、ショコメル、ダッチレディといった有力な乳製品ブランドを擁しています。

Fonterra(フォンテラ)

ニュージーランドに本拠を置く酪農協同組合系の乳業メーカーです。生乳生産量はトップクラスです。放牧主体のニュージーランドと異なり、中国では畜舎管理が求められるため不振が続いていた中国乳業事業では、2020年に河北省と山西省の7箇所の農場の売却を発表しました。

Arla Foods(アーラフーズ)

デンマークに本拠を置く乳製品メーカーです。スウェーデンのアーラとデンマークのMDフーズが合併して誕生しました。牛乳、乳飲料、チーズ、バター、マーガリン、脱脂粉乳等の製品に強みを持ちます。

Saputo(サプート)

カナダに本拠を置く乳業大手です。「サプート」「アームストロング」「デイリーランド」等のブランドを展開しています。

蒙牛乳業(メンニュウ乳業(Mengniu Dairy))

中国の大手乳業メーカーです。牛乳に強みを持ちます。同社は、牛根生氏によって設立され、メラミン事件を経て、2009年にコフコが資本参加、2012年にデンマークのアーラフーズとフランスダノンと資本提携しています。コフコが筆頭株主です。

コフコ

コフコ(COFCO)は1949年に設立された中国政府傘下の国有の食糧・穀物商社です。各種穀物や食糧の集荷、備蓄、運搬、輸出入、加工等を手掛け、最近では、食品・飲料分野でも成長を志向しています。2009年の売上高は1782億元でしたが、中国の成長に伴い、2020年には4711億元へと急成長を遂げています。総資産は5606億元です。続きを読む

DMK

ドイツ最大手の酪農協系乳業メーカーです。DMKはDeutsches Milchkontorの略です。2011年に酪農協系であるノルト・ミルヒ社とフマーナ社とが合併して誕生しました。

Yili(伊利集団、Inner Mongolia Yili Industrial Group Co. Ltd)

Yili(伊利集団、Inner Mongolia Yili Industrial Group Co. Ltd)は、内蒙古(内モンゴル)に本拠をおきます。アイスクリーム、アイスキャンデー、粉ミルク、粉ミルクティー、ヨーグルト、チーズ等、乳製品を幅広く製造しています。中国内の市場シェアは各製品ともにトップクラスです。主要株主は、香港中央結算、呼和浩特投資が挙げられます。民間企業です。
牛乳の分野では中国同業の蒙牛乳業と競っています。アイスクリームでは中国最大規模です。伊利ブランドで粉ミルクも展開しています。2018年にタイの中堅アイスクリームメーカーで、「クレモ」ブランドのアイスを展開するチョムタナ(Chomthana)を約91億円で買収しました。中国のアイスクリーム市場は同社試算では6000ー7000億円と横ばいが続く中、海外での展開に力を入れています。

Yili社の商品別国内市場シェア推移

Yili社の商品別国内市場シェア推移
出所:同社

Youran Dairy 優然牧業(ユーラン乳業)
2015年にYiliから分社化した酪農業を営む会社です。生乳生産会社では中国最大です。2021年に上場しました。

Sodiaal(ソディアール)

フランスに本拠を置く酪農組合です。ヨープレイ(Yoplait)やアントルモン(Entremont)などのブランドを展開しています。チーズの分野では世界4位で乳業大手でもあるSavencia Fromage & Dairy(サヴァンシア フロマージュ&デイリー)と提携しています。

Schreiber Foods(シュレイバー・フーズ)

米国に本拠を置く乳業メーカーです。チーズに強みを持ちます。従業員持ち株会制度を導入し、株主は従業員という形態をとっています。

Müller(ミューラー)

ドイツに本拠を置く乳製品メーカーです。ミューラー家によって運営されています。

Agropur(アグロプール)

カナダに本拠を置く共同組合です。カナダでは最大手です。

Kraft Heinz(クラフトハインツ)

Kraft Heinz(クラフトハインツ)は、旧クラフトフーズの北米事業を引き継いだ会社です。北米に特化しています。クラフトチーズ、冷凍食品や飲料等を展開しています。2015年にバフェット氏率いるパークシャー・ハサウェイや投資ファンド傘下のトマトケチャップ等で有名な食品メーカーHeinz(ハインツ)と経営統合しクラフトハインツ誕生しました。パスタソースはClassicoを軸に展開しています。事業構成としては、調味料・ソース事業、チーズ・乳製品事業、常温保存食事業、肉・魚食品、冷蔵・冷凍食品に分かれます。2021年にナッツ事業をHormel Foodsへ売却しました。さらに詳しく

日本の乳業メーカー

国内では明治ホールディングスや森永乳業が大手乳業メーカーとして挙げられます。

参照したデータの詳細情報について


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