ネスレは、1866年に薬剤師のアンリ・ネスレ氏によって設立されたスイスに本拠を置く世界最大級の総合食品・飲料メーカーです。食品ではパスタのブイトーニやコンソメのマギー等、飲料ではネスカフェやミロ、乳製品、菓子類ではKitKatやCrunch等のチョコレートのブランドにて世界展開しています。2018年以降、アクティビストファンドであるサードポイントからの要請で、事業ポートフォリオの再構築を急いでいます。2019年には、投資ファンドのEQTパートナーズ、アブダビ投資庁およびPSPインベストメントに、同社のスキンヘルスケア事業を売却しました。スキンヘルスケア事業は、Proactive(プロアクティブ)やCetaphil(セタフィル)などのにきび防止用の洗顔料、保湿剤などのスキンケア用品などを展開しています。
2018年度
売上高は前年度比2%増の914.3億スイスフランになりました。営業利益は155.2億スイスフランになりました。営業利益率は17%で前年と大きく変わりません。
2019年度
売上高は前年度比1%増の925.6億スイスフランになりました。営業利益は162.6億スイスフランになりました。営業利益率は17.6%で前年とほぼ同じ値です。
2020年度
売上高は前年度比8.9%減の843.4億円になりました。売上減の主な要因は外国為替の変動であり、これにより売上が7.9%減少しました。営業利益は149億スイスフランになりました。営業利益率は17.7%で、前年と大きく変わりません。
2021年度
売上高は前年度比3%増の870.8億スイスフランになりました。世界のほとんどの地域で増収を記録しました。営業利益は151.1億スイスフランになりました。営業利益率は17.4%で前年の17.7%と比較すると大きな変化はありませんでした。
2022年度
売上高は前年度比8%増の944.2億スイスフランになりました。前年比売上8%増の理由は、原材料の高騰を受け価格を引き上げた為です。営業利益は161億スイスフランになりました。営業利益率は17.1%で前年と大きく変化はありませんでした。
2021年前半期(01ー06月)
売上高は417.5億スイスフランになりました。営業利益は72.5億スイスフラン、営業利益率は17.4%になりました。
2021年後半期(07ー12月)
売上高は453.3億スイスフランになりました。営業利益は78.6億スイスフラン、営業利益率は17.4%になりました。
2022年前半期(01ー06月)
売上高は455.8億スイスフランになりました。営業利益は76.8億スイスフラン、営業利益率は16.9%になりました。
2022年後半期(07ー12月)
売上高は488.4億スイスフランになりました。営業利益は84.2億スイスフラン、営業利益率は17.2%になりました。
2023年前半期(01ー06月)
売上高は462.9億スイスフランになりました。営業利益は79億スイスフラン、営業利益率は17.1%になりました。
希薄化後EPSは前年度比43.5%減の3.42スイスフランになりました。1株当たりの配当は前年度比5.3%増の2.95スイスフランになりました。配当性向は86%になりました。
2023年07月
売上の自律成長率は7~8%を予定します。営業利益率は17.0%~17.5%を予定します。
セグメントは、粉末飲料および液体飲料、ミネラルウォーター、乳製品およびアイスクリーム、栄養補助食品、調理済み料理・冷凍食品、菓子・チョコレート、ペットフード事業に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
ネスレの各商品は、それぞれのカテゴリーで世界シェアが高いことも特徴です。
インスタントコーヒー分野ではネスカフェ、カプセル式コーヒーメーカー(ネスプレッソ)、Dolce Gusto、コーヒー専用カプセル、Nesquick、ミロ、ブライト等のコーヒー用クリーム等を総合的に展開しています。コーヒー業界の世界シェアはJABホールディングスやチボーを寄せ付けない断トツの一位です。2017年にはプレミアムコーヒー製造やカフェ運営を手掛け、サードウエーブ(第3の波)と称されるコーヒーブルーボトルを、2018年には72億ドルでスターバックスのコーヒーを店舗以外で売る権利を買収しました。コーヒー粉末のネスカフェ、エスプレッソ機器のネスプレッソに続く成長分野での投資を積極化しています。ネスプレッソ事業は、ネスプレッソ機のみで使えるコーヒーカプセルを定期販売するという、コピー機のビジネスモデルに近い形で展開しています。その他飲料分野では、麦芽飲料のミロシリーズを展開しています。
ミネラルウォーターの分野ではサンペレグリノ、ペリエ、Poland Spring等を展開しています。フランスのダノンとの世界シェアの首位争いをしています。
乳製品をCarnation、Nido、Coffee mateなどのブランドで展開しています。
栄養補助食品を扱っています。2021年にKKRから栄養補助食品大手ザ・バウンティフル・カンパニーの主要ブランドであるネイチャーズバウンティ、ソルガー、オステオバイフレックスを買収しました。
Maggi(マギー、各種調味料)とThomy's(マヨネーズ、マスタード、サラダドレッシングなど)ブランドで展開しています。調味料の分野ではユニリーバ、クラフトハインツ等と競合しています。スープの分野ではユニリーバやキャンベルスープ等と競合しています。
パスタ分野においてはブイトーニ(Buitoni)のブランドで世界展開していました。スペインのエブロ・フーズやバリラ・グループ等のパスタメーカーとパスタ業界の世界シェア上位を争っていましたが、2020年にBrynwood Partnersに売却をしています。
KitKatやCrunch等のチョコレートの分野で世界展開しています。ライバルのペプシコやモンデリーズと菓子・チョコレート業界の世界シェア上位を争っています。
ペットフードではピュリナワンやFriskies(フリスキー)といった著名ブランドを有しています。ペットフード業界の世界シェアでは米マーズとともに世界首位級です。
1960年 イギリス調理用食品のクロス&ブラックウェルを買収
1985年 米国の乳製品大手カーネーション・カンパニーを買収
1988年 イタリアのパスタ大手のブイトーニ・ペルジーナグループを買収
1988年 イギリスの菓子大手ロントリーを買収 1992年 フランスの飲料大手ペリエを買収
1992年 フランスの飲料大手ペリエを買収
1993年 イタリアの冷凍食品のフィニタルジェルを買収
1994年 米国のペットフード会社のアルポを買収
1998年 英国ペットフード会社のSpillers Petfoods(スピラーズ)を買収
2000年 米国栄養バーのPowerbarの買収
2001年 米国アイスクリーム関連のIce Cream Partnersの買収
2001年 米国のペットフード会社のラルストン・ピュリナを買収
2002年 米国冷凍食品のChef America(シェフ アメリカ)の買収
2003年 香港のミネラルウォーターのPower Waterを買収
2004年 フィンランドのバリオから乳製品・アイスクリーム関連事業を買収
2005年 フランスの機能性食品のプロティカを買収
2005年 ドイツの冷凍食品のワグナーを買収
2005年 オーストラリアの機能性飲料のムサシを買収
2006年 米国アイスクリーム関連のDreyer's Grand(ドライヤーズ・グランド)を買収 2006年 米国栄養剤メーカーのJenny Craigを買収
2006年 スイスの医療用栄養剤事業をノバルティスから買収
2007年 米国のベビーフード会社のGerber Products(ガーバー・プロダクツ)を買収 2008年 韓国の飲料会社のプルムウォンウォーターを買収
2009年 米国の紅茶大手のスウィートリーフティーを買収
2010年 米国の冷凍ピザ事業をクラフトフーズから買収
2011年 中国のスナック・キャンディ会社のHsu Fu Chi Internationalを買収
2012年 ファイザーから米国の栄養食事業を買収
2016年 イスラエルの栄養食会社のOsem Investmentへ出資
2017年 プレミアコーヒー大手のブルーボトルを買収
2018年 72億ドルでスターバックスのコーヒーを店舗以外で売る権利を取得
2020年 調理済みの食事宅配の米フレッシュリーを9億5000万ドルで買収
2020年 北米アイスクリーム事業をフロネリへ売却
2020年 北米パスタ事業をBrynwood Partnersへ売却
2021年 KKRから栄養補助食品大手ザ・バウンティフル・カンパニーの主要ブランドであるネイチャーズバウンティ、ソルガー、オステオバイフレックスを買収
2022年 植物由来の栄養食品に強い米国のオルゲインを買収