三菱電機の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

三菱電機は日本の総合電機メーカーです。1921年創業で、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器などの製造・販売を行なっています。大手総合電機メーカーとして、売上高は日立に次ぐ2位です。家電、インフラ設備、人工衛星など12の事業分野があります。

2024年は、JAXAと共同開発した月面探査機が月面へ着陸し、宇宙開発における日本の地位を向上させたことで、国際的に注目を浴びています。

業績推移(年次)


2019年度
2019年の売上高は4,462,509百万円であり、営業利益は259,661百万円、営業利益率は5.82%でした。前年に比べて売上高は1.27%、営業利益は10.61%の減少となりました。

2020年度
2020年には、売上高が4,191,433百万円に減少し、営業利益も230,195百万円、営業利益率は5.49%となりました。前年比で売上高は6.07%、営業利益は11.35%の減少を記録しました。

2021年度
2021年は、売上高が4,476,758百万円に増加し、営業利益は252,051百万円、営業利益率は5.63%となりました。前年に比べて売上高は6.81%増加し、営業利益も9.49%増加しました。

2022年度
2022年には、売上高が5,003,694百万円に増加し、営業利益は262,352百万円、営業利益率は5.24%となりました。前年比で売上高は11.77%増加し、営業利益も4.09%増加しました。

2023年度
2023年には、売上高が5,257,914百万円に達し、営業利益は328,525百万円、営業利益率は6.25%となりました。前年に比べて売上高は5.08%増加し、営業利益も25.22%の大幅な増加を記録しました。
2023年度は、売上・営業利益ともに過去最高を更新しました。FAシステムでの市況変動影響はありますが、自動車機器が大きく改善したのが要因です。売上高・営業利益ともに過去最高を更新しています。価格転嫁効果の刈り取りなど、業績確保に向けた諸施策を確実に実行し、全てのサブセグメントが営業黒字化しました。

三菱電機の業績推移

三菱電機の業績推移

業績推移(四半期)


2022年第4四半期(1-3月)
2023年3月期の売上高は1,438,457百万円であり、営業利益は99,127百万円、営業利益率は6.89%でした。前年同四半期に比べて売上高は11.04%増加し、営業利益は60.24%の大幅な増加となりました。前年同四半期の売上高は1,295,495百万円、営業利益は61,862百万円でした。

2023年第1四半期(4-6月)
2023年6月期には、売上高が1,220,300百万円、営業利益も61,005百万円、営業利益率は5.00%となりました。前年同四半期に比べて売上高は14.29%増加し、営業利益は79.61%の大幅な増加を記録しました。前年同四半期の売上高は1,067,723百万円、営業利益は33,965百万円でした。すべてのセグメントでの大幅な増加と為替要因です。インフラ部門や、インダストリー・モビリティ部門での減益はありましたが、ライフ部門やビジネス・プラットフォーム部門、セミコンダクター・デバイス部門での増益で営業利益率が向上しています。

2023年第2四半期(7-9月)
2023年9月期は、売上高が1,318,171百万円に増加し、営業利益は74,834百万円、営業利益率は5.68%となりました。前年同四半期に比べて売上高は3.64%増加し、営業利益は60.80%増加しました。前年同四半期の売上高は1,271,844百万円、営業利益は46,538百万円でした。増収増益の要因は複数あります。ライフ部門のビルシステム部門の増加、空調・家電機器の需要増加が顕著です。また、インダストリー・モビリティ部門の自動車関連用品の増加、インフラ部門の社会システム事業、電力システム事業の国内外の電力流通事業や発電事業の増加、パワー半導体の堅調な需要によるところが大きいです。

2023年第3四半期(10-12月)
2023年12月期には、売上高が1,243,935百万円、営業利益は86,494百万円、営業利益率は6.95%となりました。前年同四半期に比べて売上高は1.49%増加し、営業利益は4.56%の増加を記録しました。前年同四半期の売上高は1,225,670百万円、営業利益は82,722百万円でした。売上高増加の要因は複数あります。ライフ部門でのビルシステムの国内外の増加、空調・家電事業での空調機器の需要増、FAシステム事業では自動車関連部品や電動化関連製品の増加、インフラ部門では国内外の交通事業や公共事業で増加、電力システム事業は国内外の電力流通事業や海外の発電事業で増加、防衛・宇宙システム事業は大口案件で増加しました。営業利益も、セミコンダクター・デバイス部門での減少はあるもののそれ以外の事業は増加しています。

2023年第4四半期(1-3月)
2024年3月期は、売上高が1,475,508百万円に達し、営業利益は192,686百万円、営業利益率は13.06%となりました。前年同四半期に比べて売上高は2.58%増加し、営業利益は94.38%の大幅な増加を記録しました。前年同四半期の売上高は1,438,457百万円、営業利益は99,127百万円でした。

三菱電機の四半期業績推移

三菱電機の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移


2023年度の希薄化後EPS(1株当たり利益)は135.74円であり、1株当たりの配当は50円となりました。配当性向は36.84%でした。前年に比べて、EPSは34.00%増加し、配当は25.00%の増加を記録しました。

三菱電機のEPS・1株配当・配当性向の推移

三菱電機のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2024年3月
売上高は53,000,000百万円、営業利益は4,000,000百万円、営業利益率は7.5%を見込んでおります。親会社株主に帰属する当期純利益は、31,500,00百万円が見込まれています。

売上構成

セグメントは、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネスプラットフォーム、セミコンダクターデバイスに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

2023年度の三菱電機売上構成

2023年度の三菱電機売上構成

セグメント別の事業内容

インフラ
電力システム、宇宙(人工衛星)、防衛関連を中心とした事業。
商品は、鉄道車両用電機品、無線通信機器、有線通信機器、ネットワーク社会システム事業、カメラ・システム、大型映像表示装置、タービン発電機、水車発インフラ電カシステム事業、電機、原子力機器、電動機、変圧器、パワーエレクトロニクス機防衛・宇宙器、遮断器、ガス絶縁開閉装置、開閉制御装置、監視制御・保護システム、事業システム、電力流通システム、衛星通信装置、人工衛星、レーダー装置、アンテナ、誘導飛しょう体、射撃管制装置、放送機器、などがあります。

インダストリー・モビリティ
FAシステムと自動車機器事業で構成されています。商品は、プログラマブルコントローラー、インバーター、サーボ、表示器、電動機、ホイスト、電磁開閉器、ノーヒューズ遮断器、漏電インダストリー・FAシステム事業、遮断器、配電用圧と、電力量計、無停電電源装置、産業用送風モビリティ自動車機器事業機、数値制御装置、放電加工機、レーザー加工機、産業用ロボックラッチ、•自動車用電装品、電動化関連製品、ADAS関連機器カーエレクトロニクス・カーメカトロニクス機器、カーマルチメディア機器、などがあります。

ライフ
空調・家電事業とビルシステム事業。商品はエレベーター エスカレーター、ビルセキュリティーシステム、 ビル管理システム、ルームエアコン、パッケージエアコン、 ビルシステム事業、 ラー 空調・家電事業 システム、換気扇、電気温水器、IHクッキングヒーター、球、照明霧具、液晶テレビ、冷蔵庫、扇風機、除湿機、空気清浄機、掃除機、ジャー炊飯器、電子レンジ、などがあります。

ビジネスプラットフォーム
他のセグメントにサービスを提供する部門です。社外向けの情報サービスシステム事業部門と、社内向けの業務システム、情報インフラの開発、運用保守、サイバー攻撃への対応を行う部門で構成されています。商品やサービスは、ネットワークセキュリティーシステム、情報システム関連機器及び プラットフォーム サービス事業及びシステムインテグレーション、その他 セミコンダクター・ 電子デバイス事業 パワーモジュール、高周波素子、光素子、液晶表示装置などがあります。

セミコンダクターデバイス
半導体を主に製造・販売しています。事業環境は、産業向けパワー半導体の堅調な需要が継続しました。商品はパワーモジュール、高周波素子、光素子、液晶表示装置、その他 デバイス、などがあります。

三菱電機のビジネスユニット毎の売上構成の推定

セグメントよりももう一段詳細なビジネスユニット別の売上構成を推定しています。

三菱電機の製品別推定売上構成(2021年度)

三菱電機の製品別推定売上構成(2021年度)

ビルシステムは主にエレベーターです。同社は1931年からエレベーターの部品製造に参入しており、日本国内では最大手です。愛知県の稲沢製作所がエレベーターのマザー工場です。中国、インドにも製造拠点を設け、メンテナンス体制とともに世界展開を進めています。

M&A情報

三菱電機は積極的な海外投資を行っております。また、三菱重工との会社分割やベトナムでのFA機器の合弁会社設立など、事業再編を進めていることが伺えます。

2015年 イタリア業務用空調のデルクリマ社を子会社化
2016年 三菱電機子会社ダイヤモンドテレコムを兼松に譲渡
2018年 米国のIngersoll Rand(インガソールランド)と空調機販売合弁会社設立
2019年 システム監視とプロセス制御に強い米ICONICSを買収
2020年 スウェーデンで空調冷熱機器代理店を行っているAQS PRODUKTER ABの全株式取得、子会社化
2021年 三菱電機と米国子会社、DERMSなどソフトウエアの開発等を行うSmarter Grid Solutions Limitedの全株式取得、子会社化へ
2022年 スウェーデンの昇降機事業会社Motum社を買収
2023年 英ICONICS UK社の全株式を取得、完全子会社化
2023年 ノルウェーの昇降機代理店、UNIHEIS社を買収
2023年 スウェーデンのScibreak社を買収
2023年 三菱重工との会社分割により発電機分野を事業統合
2024年 株式会社北弘電社の完全子会社化
2024年 セノイーホールディングスが三菱電機ロジスティクスを買収
2024年 ベトナムでFA機器の合弁会社三菱電機FPオートメーションベトナム設立 

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