自動車部品業界の世界市場シェアの分析

自動車部品メーカーの世界市場シェアや市場規模について分析をしています。デンソー 、ボッシュ、コンチネンタル、マグナ・インターナショナル、ZF 、フォルシアといった 世界の主要な自動車部品メーカーの一覧も掲載しています。

【市場シェア】

自動車部品事業会社の2021年度の売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2021年の自動車部品業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はBOSCH(ボッシュ)、2位はデンソー、3位はZFとなります。⇒参照したデータの詳細情報

自動車部品業界の世界市場シェア(2021)

順位会社名市場シェア
1位ボッシュ6.56%
2位デンソー6.15%
3位ZF5.05%
4位コンチネンタル4.88%
5位アイシン4.24%
6位現代モービス4.18%
7位マグナ・インターナショナル3.86%
8位ヴァレオ2.51%
9位リア・コーポレーション2.47%
10位テネコ2.31%
11位延鋒汽車内飾系統2.04%
12位ファウレシア2.00%
13位住友電工1.96%
14位ボルグワーナー1.90%
15位矢崎総業1.79%
16位日立アステモ1.78%
17位アディエント1.76%
18位トヨタ紡織1.59%
19位マーレ1.58%
20位マレリ1.54%
21位パナソニック1.49%
22位プラスチックオムニウム1.16%
23位ジェイテクト1.08%
24位豊田合成0.93%
25位小糸製作所0.85%
26位三菱電機0.79%
27位LGエレクトロニクス0.77%
28位ティッセンクルップ0.65%
2021年自動車部品業界の世界市場シェアランキング ©ディールラボ
自動車部品業界の市場シェア(2021年)
自動車部品業界の市場シェア(2021年)

1位はドイツのボッシュ社となっています。ドイツを代表する産業機器メーカーで、自動車部品の分野ではエンジンから電子機器まで幅広く製造しています。ドイツの自動車大手であるダイムラーやVWとは資本関係を持たず、独立系の部品会社であることが特徴です。

2位はデンソーです。ボッシュやコンチネンタルとは異なり、トヨタとの関係性を非常に強く持っています。トヨタ自動車との擦り合わせ型の部品開発を得意とします。

3位はドイツのZFです。トランスミッションやシャシーなどのパワートレイン強く、米国のTRWの買収によりグローバル展開を加速しています。

4位はドイツのコンチネンタルとなります。タイヤ事業に加えブレーキ制御やカーエレクトロニクスといった自動車システムにも強みを有しています。

6位は現代モービスです。現代自動車のTier1サプライヤーとして強みを持ちます。

7位はカナダの自動車部品大手のマグナです。米国の自動車メーカーとの関係が強く、自動車シート等に強みを持ちます。

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、自動車部品製造業界の2021年の世界市場規模について、製造とアフターマーケットの合算である7800億ドルとしております。参考にしたデータは以下の通りです。

調査会社エクスパートマーケットリサーチによると、2020年の同業界の市場規模は3800億ドルです。2027年にかけて、年平均3%で成長し、同年には4530億ドルに拡大することが見込まれます。

調査会社のパーシステンスマーケットリサーチによれば、2019年の同業界の市場規模は3750億ドルです。

調査会社のグランドビューリアサーチによれば、2021年、2020年の自動車アフターマーケット市場規模は、4085億ドル、3910億ドルです。年率3.4%で2030年までに成長すると予測されています。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模前年成長率
2021年7800億ドル4%
2020年7500億ドル4.1%
2019年7200億ドルn/a
自動車部品業界の推定市場規模推移 
©ディールラボ

【M&Aの概要】

自動車業界はすそ野が広い産業であり、自動車大手からの独立、技術革新のための規模を追求した経営統合やM&Aなどが盛んに行われています。直近の買収マルチプル(売上高倍率)は概ね1倍弱となっています。

自動車部品業界の主要M&A

2007年 Continentalによる独Siemens VDOの買収
2008年 Schaefflerによる独Continentalの買収
2010年 投資ファンドが英Tomkins買収
2011年 ニュージーランドの投資ファンドがHoneywellの自動車部品事業を買収
2011年 仏Valeoが日本のファイルズを買収
2011年 日清紡が独TMD Frictionを買収
2012年 米Delphiが仏FCIを買収
2012年 カナダのMagnaが独Ixeticを買収
2013年 米Gentex CorporationがジョンソンコントロールのHomelink事業を買収
2014年 ContinentalがVeyance Technologiesを買収
2014年 投資ファンドが英TomkinsよりGates Corporationを買収
2014年 ZFとTRWが経営統合
2014年 ハンコックタイヤと投資ファンドがVisteonのClimate Control事業を買収
2014年 Learによる自動車向けレザーのEagle Ottawの買収
2015年 独Mahle(マール)がデルファイのThermal systemを買収
2016年 ジョンソンコントロールズが自動車シートのアディエントを分社化
2016年 サムソン電子が音響大手のハーマンを買収
2016年 KKRがカルソニックカンセイを買収
2017年 デルファイテクノロジーズが分社化
2018年 テネコがFederal Mogulを買収
2018年 LGエレクトロニクスがオーストリアの照明大手ZKWを買収
2018年 KKR(カルソニックカンセイ)がマニエッティ・マレリを買収
2018年 オートリブがVeoneerの分社化
2018年 ハネウェルからGarrett Motionが分社化
2018年 旭化成が自動車内装ファブリック大手のSage Automotive Interiorsを買収
2019年 フォルシアによるクラリオン買収
2020年 BorgWarnerがデルファイテクノロジーズを買収
2020年 海信集団(ハイセンス)が車向け空調部品大手サンデンを買収
2022年 フォルシアがドイツの照明大手ヘラーを買収
2022年 マレリが簡易再生(民事再生)手続きへ移行

自動車部品業界の買収マルチプル(売上高倍率)
自動車部品業界の買収マルチプル(売上高倍率)

【自動車部品の種類】

自動車部品の種類は非常に多岐に亘ります。大きくはパワーユニットと呼ばれる動力発生装置(エンジン)、エンジンの動力を伝える伝動装置(パワートレインもしくはドライブトレイン、トランスミッション、クラッチやドライブシャフト)、自動車の骨格や走行装置(ボディー・シャシ、サスペンション、ステアリング、ブレーキ)、その他支援装置(スピードメーター等の計器類(インパネ)、カーオーディオ・カーナビ・自動車電話等のインフォテイメント、バッテリー、ワイヤーハーネス等の電装部品、排気ガス処理システム、冷暖房空調部品、ステアリング、自動車照明、タイヤ、シート、ドア、バンパー等)に分類されます。
なおパワートレインとはエンジンの回転エネルギーを駆動輪に伝達するための装置のことです。クラッチ、シャフト、トランスミッション等があります。

【会社の概要】

Continental(コンチネンタル)

Continental(コンチネンタル)は、1871年に創業されたドイツのハノーヴァーに本拠を置くタイヤ・ブレーキ等の自動車部品メーカーです。シーメンスやモトローラより自動車制御関連の事業も積極的に買収しています。2008年にドイツのベアリング大手のシェフラ―を傘下にもつシェフラー家が支配株主となりました。大きくタイヤ事業と自動車部品事業に分かれます。タイヤ事業の世界シェアではミシュラン、ブリジストン、グッドイヤーのトップ3に次ぐ規模を誇っています。自動車部品メーカーにおける規模でも、ボッシュやデンソー等に匹敵する世界最大級の自動車部品メーカーです。自動車部品の中でも、ブレーキ、パワートレイン、シャーシ、インパネ、カーオーディオ、ディスプレイといった分野の世界シェアでは上位に位置しています。さらに詳しく

BOSCH(ボッシュ)

1886年にロバート・ボッシュ氏によってシュトゥットガルトに設立された精密機械と電気技術作業場を起源とするドイツを代表する総合電機メーカーです。産業用機器や車載用機器が主力事業ですが、電動工具事業も伝統的に強みを持ちます。他に住宅向けの家電やエネルギー関連機器等を手掛けています。ボッシュ一族が支配する非上場会社です。独VW社と関係が深いとされます。さらに詳しく

デンソー

日本最大手の自動車部品メーカーです。トヨタ自動車が大株主であり、日本的な擦り合わせアプローチによって共同で自動車部品を開発するといった深い関係性があります。自動車用電装品やエンジン部品等に強みを持ちます。

トヨタ自動車について

トヨタ自動車は、1937年に豊田喜一郎氏などによって設立された日本を代表する自動車メーカーです。かつては世界首位を米GMと競い、現在はVW(フォルクスワーゲン)やルノー・日産・三菱自動車連合と首位を競っています。2016年にダイハツ工業を完全子会社化し小型車の開発を強化しています。商用車では日野トラックとの連携を深めています。CASEや燃料電池といった今後の自動車業界の技術革新に備え、マツダやスズキとも業務提携を行い、緩やかな連合体制を構築しています。トヨタ車体の親会社でSUBARUは持分法適用会社です。さらに詳しく

Magna International(マグナ・インターナショナル)

1957年に創業のカナダに本拠を置く自動車部品メーカーです。ボディ外装や構造、自動車シート、パワートレイン、自動車用電装品に強みを持ちます。自動車(完成車)製造受託の子会社も保有しています。2016年に変速機大手のドイツのゲトラグを買収しました。2021年に自動運転技術に強いスウェーデンのヴェオニアの買収を発表しました(その後断念)さらに詳しく

ZF

ZF(ZFフリードリヒスハーフェン)は、1915年にフリードリッヒスハーフェン伯爵よって設立された飛行船用のトランスミッションを製造会社(ツァーンラート・ファブリーク、Zahnradfabrik=歯車工場)を起源とするドイツに本拠を置く自動車部品メーカーです。ツァーンラート・ファブリークの頭文字であるZFが現在の社名となっています。フリードリヒスハーフェン市が管理する飛行船で有名なZeppelin財団(ツェッペリン財団)が93.8%、レムフェルデ市のユルゲン&イルムガルト・ウルデルップ博士財団が6.2%の株式を保有する非公開会社でもあります。
トランスミッション、シートベルトといった予防安全技術、サスペンションやシャシー等のパワートレイン関連分野に強みを持ちます。2014年に米国の自動車部品メーカー大手でパワートレインやブレーキに強いTRWを買収しました。2019年に米国のワブコホールディングスを買収し、ブレーキなどの衝突安全技術分野の強化も果たしました。

ZFによるTRW買収ハイライト

2014年ドイツの大手自動車部品メーカーのZFフリードリヒスハーフェン社が米国の大手自動車部品会社TRW社を買収
TRW社は自動車のエアバッグ等のセーフティ分野に強みを持つ独立系自動車部品会社
ZF社はシャシーや変速機が主力製品
買収金額は約117億ドル。終値に対して1.7%のプレミアム
ZFは本件買収によって、北米地域における事業強化と、特にセーフティ分野の補完をすることができた
TRW社を買収することで、規模では自動車部品業界のトップ3に入る
TRW社の直近の業績は堅調。2013年の売上、営業利益はそれぞれ174億ドル、12億ドルであった


Johnson Controls(ジョンソン・コントロールズ)

米国に本社を置く自動車部品、ビル管理や電力システム関連企業です。自動車用のシートやバッテリー等の分野に強みを持っていましたが、分社化や売却をしております。自動車用シート会社はAdient(アディエント)、蓄電池事業はクラリオスとなっています。

Faurecia(フォルシア)

1997年に設立されたフランスに本拠を置く自動車部品メーカーです。ステランティス(元PSAプジョー・シトロエン)のグループ会社です。空調、音響機器、安全運航システムや自動車シート等に強みを持ちます。2018年に日立より日産自動車やマツダ、三菱自動車など向けのOEM(相手先ブランドによる生産)のカーナビ大手であるクラリオンを買収しました。さらに詳しく

Hyundai Mobis(現代モービス)

1977年に設立された韓国に本拠を置く現代自動車の系列部品メーカーです。シャシーモジュール、コックピットモジュール、フロントエンドモジュール、サイドレーダー、ステアリングホイール、マウントディスプレイ、ボディ、内装、エアバック等幅広い分野を手掛けています。主に現代自動車および起亜自動車に販売をしています。

Valeo(ヴァレオ)

1923年に設立されたフランスに本拠を置く大手自動車用部品メーカーです。パワートレイン、空調・電装等の分野で強みを持ちます。日本の市光工業と照明・ランプ分野で資本提携しています。2019年にLED照明のCreeとの自動車照明分野での合弁会社を設立しました。

パナソニック

パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となりました。さらに詳しく

住友電工

住友電工は、1897年に設立された前身の住友伸銅場を引き継ぐ日本の大手電線、ケーブル及び自動車部品メーカーです。創業より電力用ケーブルや通信用ケーブルを手掛けています。ワイヤーハーネスや光ファイバーの分野でも世界大手です。2001年日立電線(日立金属)と電力用ケーブルのジェイ・パワーシステムズを設立し、その後2014年に住友電気工業が完全子会社化しています。光ケーブルは同社の横浜製作所が主力工場です。さらに詳しく

アイシン精機

日本に本拠を置く自動車部品メーカーです。トヨタが主要株主です。自動変速機の分野に強みを持ちます。

ティッセンクルップ

ティッセンクルップ(ThyssenKrupp)は、1811年創業のクルップと1867年創業のティッセンが、1999年に経営統合をして誕生したドイツ最大級の重工業メーカーです。鉄鋼、エレベーター、自動車部品、造船(軍需向け)がメイン事業です。2010年代以降構造改革を行い、タタ製鉄との欧州製鉄事業の経営統合が破たん後、2019年にティッセンクルップは、主に自動車部品、エレベーター、プラントサービスを提供するtkインダストリアルズと鉄鋼販売、クランクシャフト等の産業材、潜水艦、鉄鋼を手掛けるtkマテリアルズに分社化する旨発表しましたが、実現せず、2019年に稼ぎ頭であるエレベーター事業をアドベント・インターナショナルに売却しました。さらに詳しく

BorgWaner(ボルグワーナー)

1928年に設立された米国に本社を置く自動車部品メーカーです。オートマチックトランスミッション等の変速機の先駆者です。1899年に誕生したKühnle, Kopp & Kausch(KKK)を源流とするターボチャージャーにも強みがあり、BMW、ダイムラー、フィアットクライスラー、フォード、GM、VW、ボルボ等のメーカーへ供給しています。2020年にデルファイオートモーティブからパワートレイン関連事業が分社化したデルファイ・テクノロジーズを買収しました。ターボチャージャー、エミッションシステム、サーマルシステム、ガソリン点火技術、アクチュエーター、ガソリンおよびディーゼルエンジン用燃料噴射装置の開発・製造を行っています。

Tenneco(テネコ)

1940年に設立された米国に本拠を置く排気システム(クリーンエア)とピストン等のパワートレインに強みを持つ自動車部品メーカーです。自動車や船舶・鉄道向けにパワートレイン、ブレーキ部品、エンジン部品、ワイパーを供給していたフェデラルモーグル(Federal-Mogul)を買収しました。同社はピストンの分野では日本の帝国ピストンと提携しています。

Manga International(マグナ)

1957年に創業のカナダに本拠を置く自動車部品メーカーです。ボディ外装や構造、自動車シート、パワートレイン、自動車用電装品に強みを持ちます。自動車(完成車)製造受託の子会社も保有しています。2016年に変速機大手のドイツのゲトラグを買収しました。2021年に自動運転技術に強いスウェーデンのヴェオニアの買収を発表しました(その後断念)さらに詳しく

【外部リンク】より詳細な業界分析レポートをご希望の方は下記リンクもご参照ください。

市場調査レポート: 自動車部品および付属品の世界市場 (gii.co.jp)

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

自動車部品業界の売上高ランキング

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