自動車部品業界の世界市場シェアの分析

自動車部品メーカーの世界市場シェアや市場規模について分析をしています。デンソー 、ボッシュ、コンチネンタル、マグナ・インターナショナル、ZF 、ファウレシアといった 世界の主要な自動車部品メーカーの一覧も掲載しています。

市場シェア

「自動車部品事業会社の世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の自動車部品業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はBOSCH(ボッシュ) の7.12%、2位はContinental(コンチネンタル)の6.73%、3位はデンソーの6.66%となります。

1位 BOSCH(ボッシュ) 7.12%
2位 Continental(コンチネンタル) 6.73%
3位 デンソー 6.66%
4位 ZF 5.53%
5位 Magna International(マグナ・インターナショナル) 5.48%
6位 アイシン 4.89%
7位 Hyundai Mobis(現代モービス) 4.39%
8位 Valeo(ヴァレオ) 2.91%
9位 Lear Corp(リア・コーポレーション) 2.75%
10位 Faurecia(ファウレシア) 2.69%
11位 矢崎 2.51%
12位 Adient(アディエント) 2.30%
13位 パナソニック 2.18%
14位 住友電工 2.17%
15位 Mahle(マーレ) 1.82%
16位 Yanfeng(延鋒汽車内飾系統) 1.22%
17位 Thyssenkrupp(ティッセンクルップ) 1.04%

1位はドイツのボッシュ社となっています。ドイツを代表する産業機器メーカーで、自動車部品の分野ではエンジンから電子機器まで幅広く製造しています。ドイツの自動車大手であるダイムラーやVWとは資本関係を持たず、独立系の部品会社であることが特徴です。2位はドイツのコンチネンタルとなります。タイヤ事業に加えブレーキ制御やカーエレクトロニクスといった自動車システムにも強みを有しています。3位はデンソーです。ボッシュやコンチネンタルとは異なり、トヨタとの関係性を非常に強く持っています。トヨタ自動車との擦り合わせ型の部品開発を得意とします。4位はドイツのZFです。トランスミッションやシャシーなどのパワートレイン強く、米国のTRWの買収によりグローバル展開を加速しています。5位はカナダの自動車部品大手です。米国の自動車メーカーとの関係が強く、自動車シート等に強みを持ちます。

市場規模

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、自動車部品製造業界の2019年の世界市場規模について、製造とアフターマーケットの合算である7200億ドルとして市場シェアを計算しております。参考したデータは以下の通りです。調査会社のパーシステンスマーケットリサーチによれば、2019年の同業界の市場規模は3750億ドルです。調査会社のグランドビューリアサーチによれば、2019年の同業界のアフターマーケット市場規模は3784億ドルです。年率4%で2027年までに成長すると予測されています。⇒参照したデータの詳細情報

再編

自動車業界はすそ野が広い産業であり、自動車大手からの独立、技術革新のための規模を追求した経営統合などが盛んに行われています。

2007年 Continentalによる独Siemens VDOの買収

2008年 Schaefflerによる独Continentalの買収

2010年 投資ファンドが英Tomkins買収

2011年 ニュージーランドの投資ファンドがHoneywellの自動車部品事業を買収

2011年 仏Valeoが日本のファイルズを買収

2011年 日清紡が独TMD Frictionを買収

2012年 米Delphiが仏FCIを買収

2012年 カナダのMagnaが独Ixeticを買収

2013年 米Gentex CorporationがジョンソンコントロールのHomelink事業を買収

2014年 ContinentalがVeyance Technologiesを買収

2014年 投資ファンドが英TomkinsよりGates Corporationを買収

2014年 ZFとTRWが経営統合

2014年 ハンコックタイヤと投資ファンドがVisteonのClimate Control事業を買収

2014年 Learによる自動車向けレザーのEagle Ottawの買収

2015年 独Mahle(マール)がデルファイのThermal systemを買収

自動車部品の種類

自動車部品の種類は非常に多岐に亘ります。大きくはパワーユニットと呼ばれる動力発生装置(エンジン)、エンジンの動力を伝える伝動装置(パワートレインもしくはドライブトレイン、トランスミッション、クラッチやドライブシャフト)、自動車の骨格や走行装置(ボディー・シャシ、サスペンション、ステアリング、ブレーキ)、その他支援装置(スピードメーター等の計器類(インパネ)、カーオーディオ・カーナビ・自動車電話等のインフォテイメント、バッテリー、ワイヤーハーネス等の電装部品、排気ガス処理システム、冷暖房空調部品、ステアリング、自動車照明、、タイヤ、シート、ドア、バンパー等)に分類されます。
なおパワートレインとは。エンジンの回転エネルギーを駆動輪に伝達するための装置のことです。クラッチ、シャフト、トランスミッション等があります。

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世界の主要自動車部品メーカーの動向

Continental(コンチネンタル)

Continental(コンチネンタル)は、1871年に創業されたドイツのハノーヴァーに本拠を置くタイヤ・ブレーキ等の自動車部品メーカーです。シーメンスやモトローラより自動車制御関連の事業も積極的に買収しています。2008年にドイツのベアリング大手のシェフラ―を傘下にもつシェフラー家が支配株主となりました。大きくタイヤ事業と自動車部品事業に分かれます。タイヤ事業の世界シェアではミシュラン、ブリジストン、グッドイヤーのトップ3に次ぐ規模を誇っています。自動車部品メーカーにおける規模でも、ボッシュやデンソー等に匹敵する世界最大級の自動車部品メーカーです。自動車部品の中でも、ブレーキ、パワートレイン、シャーシ、インパネ、カーオーディオ、ディスプレイといった分野の世界シェアでは上位に位置しています。

シェフラ―家とシェフラ―/コンチネンタルの関係

シェフラ―グループの組織図

シェフラ―グループの組織図

主要M&A
1998年 ITTのブレーキ及びシャーシ事業の買収
2001年 ダイムラークライスラーの電装品事業を手掛けるTemicの買収
2004年 ドイツのゴム・プラスチックメーカーのフェニックスの買収
2006年 モトローラの自動車制御関連の事業の買収
2007年 シーメンスのVDO事業の買収
2008年 シェフラーによるコンチネンタルへの買収提案

BOSCH(ボッシュ)

1886年にロバート・ボッシュ氏によってシュトゥットガルトに設立された精密機械と電気技術作業場を起源とするドイツを代表する総合電機メーカーです。産業用機器や車載用機器が主力事業ですが、電動工具事業も伝統的に強みを持ちます。他に住宅向けの家電やエネルギー関連機器等を手掛けています。ボッシュ一族が支配する非上場会社です。独VW社と関係が深いとされます。

ボッシュの事業構成は大きく自動車事業、消費財事業、産業機器事業、ソフトウェア事業に分けることができます。

自動車事業
エンジン(ガソリン・ディーゼル)、シャシー、ブレーキ、パワーステアリング等のトランスミッション、車載ディスプレイ、センサー・電子機器、メーター等計測器、カーナビ・カーオーディオ機器等を幅広く展開しています。ドイツ自動車メーカーと親密です。自動車部品業界では世界シェアも上位に位置します。
消費財事業
家電事業では、もともとはシーメンスとの合弁会社であった子会社のBSHを通じて大型家電から小型家電までを手掛けています。家電業界でも世界シェア上位に位置し、個別では食洗機、掃除機に強みを持ちます。
電動工具業界ではスタンレー・ブラック・アンド・デッカーと並ぶ強豪の一角です。
産業機器事業
空気圧機器業界では世界シェア上位に位置します。
株主構成
ボッシュは持株比率と議決権が異なる株主構造となっており、所有と経営が分離されています。ボッシュ家が設立した公益財団であるRobert Bosch Stiftung GmbH(ロバート・ボッシュ財団)が持株比率では92%を保有していますが、議決権は保有していません。議決権は、ロバート・ボッシュ工業信託合資会社とボッシュ家が株式を保有しています。
ボッシュの事業再編・買収
1992年 電気丸鋸大手のイタリアのSkil(スキル)を買収
1993年 ロータリーツール大手のDremel買収
2007年 イタリアの電動工具アクセサリ大手のFreud 社を買収
2008年 ソフトウェア会社のInnovationsを買収
2010年 製薬大手のエーザイより検査機メーカーのエーザイマシナリーを買収
2012年 車両診断機大手のSPX Service Solutionsを買収
2014年 ステアリングシステム(電動式と油圧式)大手のZF Lenksystemeを買収
2015年 米SEEOを買収
2015年 シーメンスより家電の合弁会社のBSH株式取得
2016年 ITK Engineeringを買収
2016年 シェブロンへのSkilの売却

デンソー

日本最大手の自動車部品メーカーです。トヨタ自動車が大株主であり、日本的な擦り合わせアプローチによって共同で自動車部品を開発するといった深い関係性があります。自動車用電装品やエンジン部品等に強みを持ちます。

Magna International(マグナ・インターナショナル)

1957年に創業のカナダに本拠を置く自動車部品メーカーです。自動車シートや自動車用電装品に強みを持ちます。自動車製造受託の子会社も保有しています。2016年に変速機大手のドイツのゲトラグを買収しました。

ZF

ZF(ZFフリードリヒスハーフェン)は、1915年にフリードリッヒスハーフェン伯爵よって設立された飛行船用のトランスミッションを製造会社(ツァーンラート・ファブリーク、Zahnradfabrik=歯車工場)を起源とするドイツに本拠を置く自動車部品メーカーです。ツァーンラート・ファブリークの頭文字であるZFが現在の社名となっています。飛行船で有名なZeppelin財団(ツェッペリン財団)が支配株主の非公開会社でもあります。トランスミッション、シートベルトといった予防安全技術、サスペンションやシャシー等のパワートレイン関連分野に強みを持ちます。2014年に米国の自動車部品メーカー大手でパワートレインやブレーキに強いTRWを買収しました。2019年に米国のワブコホールディングスを買収し、ブレーキなどの衝突安全技術分野の強化も果たしました。

2014年ドイツの大手自動車部品メーカーのZFフリードリヒスハーフェン社が米国の大手自動車部品会社TRW社を買収
TRW社は自動車のエアバッグ等のセーフティ分野に強みを持つ独立系自動車部品会社
ZF社はシャシーや変速機が主力製品
買収金額は約117億ドル。終値に対して1.7%のプレミアム
ZFは本件買収によって、北米地域における事業強化と、特にセーフティ分野の補完をすることができた
TRW社を買収することで、規模では自動車部品業界のトップ3に入る
TRW社の直近の業績は堅調。2013年の売上、営業利益はそれぞれ174億ドル、12億ドルであった

Johnson Controls(ジョンソン・コントロールズ)

米国に本社を置く自動車部品、ビル管理や電力システム関連企業です。自動車用のバッテリー等の分野に強みを持ちます。

Faurecia(ファウレシア)

フランスに本拠を置く自動車部品メーカーです。PSA Peugeot Citroën(PSAプジョー・シトロエン)傘下にあります。空調、音響機器、安全運航システムや自動車シート等に強みを持ちます。2018年に日立より日産自動車やマツダ、三菱自動車など向けのOEM(相手先ブランドによる生産)のカーナビ大手であるクラリオン買収しました。

Hyundai Mobis(現代モービス)

韓国に本拠を置く現代自動車の系列部品メーカーです。ボディ・内装・エアバック等幅広い分野を手掛けています。

Valeo(ヴァレオ)

1923年に設立されたフランスに本拠を置く大手自動車用部品メーカーです。パワートレイン、空調・電装等の分野で強みを持ちます。日本の市光工業と照明・ランプ分野で資本提携しています。2019年にLED照明のCreeとの自動車照明分野での合弁会社を設立しました。

パナソニック

パナソニックは日本を代表する電機メーカーです。過去松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス、オート、インダストリアル、通信ソリューションで事業部制をひいております。

家電:東芝やシャープ等他の日本電機大手が苦戦するなかで家電分野でグローバル展開を目指しています。低コスト戦略のアジア勢、プレミアム戦略の欧米勢と競合しています。掃除機は国内トップクラスのシェアを誇り、今後成長が見込まれるロボット掃除機分野へも参入しています。電気シェーバーはラムダッシュブランドで展開しています。
車載電池:テスラとの米ネバダ州でのギガファクトリー、日本、中国の大連工場(遼寧省)での3極の生産体制を構築しています。テスラ以外にもトヨタと協業し、全方位戦略で中国勢を迎えうっております。装置産業化した事業におけるパワーゲームを制することができるか、に注目が集まります。
小型用リチウムイオン電池:ノートPC、スマホ向けの電池事業にも強みを持ちます。
エアコン空調:1957年からエアコン事業を展開しております。日本国内では最大手クラスです。エオリアブランドで展開をしています。
自動車部品:音響機器(カーオーディオ)やカーナビゲーション等の電子機器の分野に強みを持ちます。次世代コックピットやコネクティッドと言われている自動車のCASE対応では総合力を発揮できる立場におります。
乾電池:1931年から乾電池の生産をしています。ナショナルハイトップブランドで一世を風靡し、現在はEvoltaで世界展開しています。

住友電工

住友電工は、日本の大手非鉄金属メーカーです。電線のみならずワイヤーハーネスや光ファイバーの分野でも世界大手です。2001年日立電線(日立金属)と電力用ケーブルのジェイ・パワーシステムズを設立し、その後2014年に住友電気工業が完全子会社化しています。光ケーブルは同社の横浜製作所が主力工場です。

アイシン精機

日本に本拠を置く自動車部品メーカーです。トヨタが主要株主です。自動変速機の分野に強みを持ちます。

ティッセンクルップ

ティッセンクルップ(ThyssenKrupp)は、1811年創業のクルップと1867年創業のティッセンが、1999年に経営統合をして誕生したドイツ最大級の重工業メーカーです。鉄鋼、エレベーター、自動車部品、造船(軍需向け)がメイン事業です。2010年代以降構造改革を行い、タタ製鉄との欧州製鉄事業の経営統合が破たん後、2019年にティッセンクルップは、主に自動車部品、エレベーター、プラントサービスを提供するtkインダストリアルズと鉄鋼販売、クランクシャフト等の産業材、潜水艦、鉄鋼を手掛けるtkマテリアルズに分社化する旨発表しましたが、実現せず、2019年に稼ぎ頭であるエレベーター事業をアドベント・インターナショナルに売却しました。

幻に終わった会社分割案
[tkインダストリアルズの概要]

幻となったtkインダストリアルズ

幻となったtkインダストリアルズ

[tkマテリアルズの概要]

幻となったtkマテリアルズ

幻となったtkマテリアルズ
出所:同社AR

鉄鋼事業(スティール・ヨーロッパ):かつては鉄鋼業界の名門として粗鋼生産量も上位にいましたが、近年は北米の鉄鋼事業はアルセロールミタル・新日鉄連合に売却したり、2017年にブラジルの高炉事業アトランティコ製鉄(CSA)を南米大手のテルニウムに売却するなど鉄鋼事業を縮小しております。欧州では、英コーラスの流れを汲むインドのタタ製鉄との経営統合を目指しましたが、規制当局より承認がおりず、断念しております。高炉事業の縮小を図っています。2020年に英鉄鋼大手リバティ・スチール・グループから買収の提案を受けています。世界の粗鋼生産量では上位との差は大きいですが、欧州における平鋼生産量では、下図の通り1位アルセロールミタル、2位ティッセンクルップ・タタ、3位イタリアのイルバ、4位オーストリアのフェストアルピーネ、5位はドイツのザルツギッター、6位はSSAB(スェーデンスチール)と上位に入っています。
2020年にイギリスのリバティ・スチール・グループがティッセンクルップの欧州事業の買収を提案しました。

TK鉄鋼生産量

TK鉄鋼生産量
出所:同社

Liberty Steel Group(リバティ・スチール・グループ)
英国に本拠を置く製鉄メーカーです。サンジーブ・グプタ氏率いるコングロマリットであるGFGアライアンス傘下の企業となります。

エレベーター事業(エレベーター・テクノロジー):オーチス、コネ、シンドラーと並ぶエレベーター会社の四天王の一角でしたが、2020年にアドベント、シンベン、独RAG財団のコンソーシアムへ172億ユーロで売却しました。

自動車部品事業(コンポーネンツ・テクノロジー):自動車部品業界でも存在感を発揮しています。子会社のビルシュタインが手掛けています。パワートレイン、シャシー、クランクシャフトの分野に強みがあります。ステアリングの分野では、ボッシュ、ZF/TRW、NSKと、サスペンションでは、ZF/TRW、Tenneco、Mubea、NHKスプリング、ベンテラーと、クランクシャフトでは、Bharat Forge、CIE Galfor等と競合しています。主要な商品構成は以下の通り。

自動車部品事業概略

自動車部品事業概略
出所:同社AR

造船(インダストリアル・ソリューション):クルップ社は歴史的に兵器の製造に携わっており、ティッセンクルップ社も潜水艦等の分野を手掛けています。

マテリアル・サービス:顧客のサプライチェーンの効率化サービスといった倉庫マネジメントサービスを提供しています。

クルップ一族の財団であるアルフリート・クルップ・フォン・ボーレン・ウント・ハルバッハ財団が約21%超の株式を保有し、アクティビストファンドのCevian Capitalも株式を保有しています。

ティッセンクルップ株主構成

ティッセンクルップ株主構成

1999年 エレベーター大手の米Dover Elevator Companyの買収
2011年 ステンレス鋼のイノクサム(Inoxum)をフィンランドのオウトフンプ(Outokumpu)へ売却
2014年 アラバマ州の米鋼板工場をアルセロールミタルと新日鉄住金に15億5千万ドルで売却
2015年 ニッケル合金のVDMグループを投資会社のリンゼイ・ゴールドバーグ(Lindsay Goldberg Vogel)へ売却
2017年 ブラジルの高炉事業アトランティコ製鉄をテルニウムに15億ユーロで売却
2017年 欧州鉄鋼事業をタタ製鉄と統合
2018年 会社分割(インダストリアルズとマテリアルズ)を発表
2020年 エレベーター事業をアドベントインターナショナル等の企業連合へ売却

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