自動車業界の世界市場シェアと販売台数ランキングの分析
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自動車業界の世界市場シェアと販売台数ランキングの分析

自動車業界の販売台数ランキング、世界市場シェアと市場規模の情報について分析をしています。自動車メーカー世界大手のトヨタ、ルノー・日産・三菱自動車、ステランティス、GM、VW、BMW、現代、フィアット等の世界大手の自動車メーカーの概要や動向も掲載しています。

自動車メーカーの販売数ランキング(連結ベース)

自動車メーカー各社の2021年度の販売台数(連結ベース)ランキングは、1位がフォルクワーゲン、2位がトヨタ自動車、3位がゼネラルモーターズとなります。

自動車メーカーの販売数ランキング(連結ベース、2021年度)

順位会社名販売台数(千台)
1位フォルクワーゲン8,576
2位トヨタ8,230
3位ゼネラルモーターズ6,291
4位ステランティス5,927
5位フォードモーター3,942
6位ヒュンダイモーター3,912
7位スズキ2,707
8位ルノー2,696
9位BMW2,521
10位本田技研工業2,424
11位メルセデスベンツグループ2,330
12位日産自動車2,294
自動車メーカーの販売数ランキング(連結ベース、2021年度)
©ディールラボ
自動車メーカーの販売台数ランキング(2021年)
自動車メーカーの販売台数ランキング(2021年)

なお、自動車メーカー各社の開示資料の販売台数には、「グループ会社ベース」の販売台数と「連結ベース」の販売台数があります。前者は、連結対象でない会社(例えば、持分法適用の会社)も含めた販売台数で、後者は連結対象となる子会社のみを含めた販売台数となります。本ページでは、「連結ベース」の販売台数のランキングを記載しております。

仮に、グループ会社ベースのランキングを分析すると1位はトヨタグループ、2位フォルクスワーゲン、3位ゼネラルモーターズ、4位ステランティス、5位ルノー・日産・三菱連合となります。

自動車メーカーの世界市場シェア(販売台数ベース)

自動車メーカー各社の2021年度の販売台数(連結ベース)を分子に、また後述する市場規模を分母にして、自動車業界の2021年の販売台数ベースの市場シェアを簡易に試算しますと、1位はフォルクワーゲンの11.7%、2位はトヨタの9.7%、3位はゼネラルモーターズの8.7%となります。

2021年の自動車メーカーの世界シェア(販売台数ベース)

順位会社名市場シェア
1位フォルクワーゲン10.71%
2位トヨタ10.27%
3位ゼネラルモーターズ7.85%
4位ステランティス7.40%
5位フォードモーター4.92%
6位ヒュンダイモーター4.88%
7位スズキ3.38%
8位ルノー3.37%
9位BMW3.15%
10位本田技研工業3.03%
11位メルセデスベンツグループ2.91%
12位日産自動車2.86%
2021年の自動車メーカーの世界シェア(販売台数ベース)
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自動車メーカーの市場シェア(販売台数ベース、2021年)
自動車メーカーの市場シェア(販売台数ベース、2021年)

世界1位は2019年に続きフォルクスワーゲンです。乗用車部門は排ガス不正問題も乗り越え、EVシフトを鮮明にしています。トラック・バス事業はトレイトンとして分社化しました。世界2位は日本の誇るトヨタ自動車です。スズキ等とも緩やかな連携を開始し、トヨタグループの拡充を図ります。ガソリン自動車の枠を超えた、燃料電池自動車、電気自動車、自動運転、スマートカー等が重視されるであろう次世代自動車を全方位で開発しています。世界3位は、米国の誇るジェネラルモーター(GM)です。チャプター11の影響も癒えつつあり、世界最大級の市場である北米と中国では存在感を示しています。第4位は、フィアットクライスラーとPSAが経営統合をして誕生したストランティスです。イタリア、フランス、米国の自動車メーカーの融合がスムーズにいくかが注目されます。第5位はフォードモーター、第6位は韓国のヒュンダイ自動車となります。低価格かつ高性能というアプローチが奏功しています。
第8位はルノーです。ルノー・日産グループでみれば第5位となります。EVで先行し、更なる上位入りを狙います。今後は、電気自動車やプラグインハイブリッド車といった分野での市場の伸びが予想され同連合にとっては追い風が吹きます。

自動車メーカーの世界市場シェア(売上高ベース)

自動車メーカー各社の2021年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する市場規模を分母にして、自動車業界の2021年の売上高ベースの市場シェアを簡易に試算しますと、1位はトヨタ、2位はフォルクワーゲン、3位はメルセデスベンツとなります。

2021年度の自動車メーカーの世界シェア(売上高ベース)

順位順位順位
1位トヨタ10.11%
2位フォルクワーゲン8.50%
3位メルセデスベンツグループ7.03%
4位ステランティス6.37%
5位BMW5.37%
6位フォードモーター5.05%
7位ゼネラルモーターズ4.21%
8位本田技研工業3.93%
9位ヒュンダイモーター3.65%
10位日産自動車3.45%
参考ルノー1.93%
参考スズキ0.29%
2021年度の自動車メーカーの世界シェア(売上高ベース)
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自動車メーカーの市場シェア(売上高ベース、2021年)
自動車メーカーの市場シェア(売上高ベース、2021年)

売上高ベースの自動車メーカーの世界シェアランキングは、販売台数ベースのものとは異なることが興味深いです。特にトヨタ自動車がVWを抜いてかなりの差で1位となっています。また販売台数だと11位いのメルセデスベンツ(旧ダイムラー)が、売上ベースだと3位になっています。メルセデスベンツの販売単価の高さが伺えます。

自動車業界の時価総額トップ10

自動車業界時価総額シェア(2022/11/13時点)

自動車会社の時価総額上位10社の合計は14,279億ドルで、上場自動車会社の時価総額の73.91%を占めます。
時価総額首位のテスラは、上位10社の時価総額シェアで49.91%、上場自動車会社の36.89%を占めます。

自動車業界時価総額シェア(2022年11月13日時点)

自動車業界時価総額シェア(2022年11月13日時点)

自動車メーカーの時価総額ランキング(2022年11月13日時点)

自動車メーカーの時価総額ランキング(2022年11月13日時点)

市場規模

当サイトでは、自動車業界の2021年の市場規模(販売台数ベースと金額ベース)を80.1百万台と2.7兆ドルとしております。参照にした統計や調査データは以下の通りです。

業界団体である国際自動車工業会が2011年からの自動車(乗用車、商用車、バス)の生産台数を集計しています。2021年度は80.1百万台の生産台数となります。

自動車生産台数の推移(2011-2021)
自動車生産台数の推移(2011-2021)

また、2017年から2021年の乗用車と商用車の生産台数推移(百万台以下は切り捨て)は以下の通りとなります。

乗用車
2017年 7千万台
2018年 68百万台
2019年 64百万台
2020年 55百万台
2021年 57百万台

商用車
2017年 24百万台
2018年 26百万台
2019年 27百万台
2020年 22百万台
2021年 23百万台

調査会社スタティスタによると、自動車製造業界(完成車)の2021年の市場規模は2.7兆ドルです。
調査会社のアイビーアイエスによれば、自動車産業の2020年の市場規模は2.7兆ドルとなります。2021年にかけて年平均9.7%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

自動車業界再編の歴史

2010年代までは販売台数の規模を追う経営統合がメインでした。内燃エンジンの見直しやCASEといったモビリティ全体での変革が迫られる中で更なる再編が見込まれます。

  • 1969年 フィアットによるランチアの買収
  • 1974年 プジョーによるシトロエンの吸収合併
  • 1986年 フィアットによるアルファロメオの買収
  • 1991年 VWがチェコのシュコダを買収
  • 1993年 フィアットによるマセラティの買収
  • 1996年 VWがスペインのセアトを買収
  • 1998年 トヨタとダイハツ工業との資本提携
  • 1998年 ダイムラーベンツによるクライスラーの買収。ダイムラー・クライスラーの設立
  • 1999年 日産とルノーが資本提携
  • 2000年 ルノーによる韓国の三星自動車の買収
  • 2001年 トヨタと日野自動車との資本提携
  • 2003年 三菱自動車から三菱ふそうトラック・バスが分社化
  • 2005年 ダイムラー・クライスラーが三菱ふどうトラック・バスを連結子会社化
  • 2006年 ボルボによる日産ディーゼルの買収
  • 2007年 ダイムラークライスラーによるクライスラーのサーベラスへの売却
  • 2012年 VWによるポルシェの完全子会社化
  • 2014年 フィアットによるクライスラーの完全子会社化。フィアット・クライスラーの設立
  • 2016年 日産による三菱自動車の持分法
  • 2017年 トヨタによるマツダへの出資
  • 2017年 プジョーシトロエンによるオペルの買収
  • 2021年 PSAとFCAが経営統合しストランティスが誕生
  • 2021年 ダイムラートラックが分社化上場
  • 2022年 ダイムラーがメルセデスベンツへと社名変更
  • 2022年 ポルシェが分社化上場

世界の主要な自動車メーカーの動向

TOYOTA(トヨタ自動車)

トヨタ自動車は、1937年に豊田喜一郎氏などによって設立された日本を代表する自動車メーカーです。かつては世界首位を米GMと競い、現在はVW(フォルクスワーゲン)やルノー・日産・三菱自動車連合と首位を競っています。2016年にダイハツ工業を完全子会社化し小型車の開発を強化しています。商用車では日野トラックとの連携を深めています。CASEや燃料電池といった今後の自動車業界の技術革新に備え、マツダやスズキとも業務提携を行い、緩やかな連合体制を構築しています。トヨタ車体の親会社でSUBARUは持分法適用会社です。さらに詳しく

GM(ゼネラルモーターズ)

ゼネラルモーターズは、1908年にウィリアム・C・デュラント氏によって設立された米国を代表する自動車メーカーです。2008年にトヨタに抜かれるまで、77年間自動車販売台数で世界1位を維持していました。2009年に経営破たん(チャプター11)後は、国有化の上、2010年に再上場を果たしました。2017年にドイツのオペルをプジョーシトロエンに売却しました。主要ブランドは、キャデラック、シボレー、ビュイック、GMCです。カーギャルことメアリー・バーラ氏が率い、2035年までに新車を電気自動車等のゼロ・エミッション車へ切り替える予定です。さらに詳しく

VW(フォルクスワーゲン)

1937年に設立されたドイツを代表する自動車メーカーです。第二次世界大戦後にビートルで成長を遂げ、ゴルフシリーズの成功で世界大手となりました。高級自動車である、Bentley、ランボルギーニ、ポルシェ、ブガッティやAudi(アウディ)を傘下に擁しています。2015年の排ガス不正ソフトウェア問題が課題となりましたが、現在ではEV化へ舵を切っています。トラック・バス事業は2018年にTraton(トレイトン)として分社化しました。フォルクスワーゲングループブランドの新車・中古車を調達できることが強みを活かした自動車リース事業も展開しています。さらに詳しく

HYUNDAI(現代)

1967年に鄭周永氏によって設立された韓国を代表する自動車メーカーです。韓国国内では圧倒的なシェアを保ちます。日本車よりも安価だが、同等の品質といった差別化戦略でグローバルでの地位も固めています。

ステランティス(Stellantis)

フランスのPSAとイタリアのフィアット・クライスラー・オートモービルズが2021年経営統合をして誕生した自動車メーカーです。高級車のマセラティ、アルファロメオ、SUVのジープ、フィアット、ランチア、クライスラー、ダッジ、プジョー、シトロエン、オペル、ボクソールといったブランドを有しています。

フィアット・クライスラー・オートモーティブ
1899年にジョバンニ・アニェッリ(Giovanni Agnelli)氏によって設立されたフィアットと1925年に設立されたクライスラーが経営統合して誕生したイタリアを代表する自動車メーカーです。

PSA(プジョー・シトロエン)
仏大手自動車メーカーです。2017年に米GMから年間生産台数約130万台のドイツのオペルを買収しました。

Ford(フォード)

1903年にヘンリー・フォード氏によって設立された米国を代表する自動車メーカーです。T型フォードで自動車の大量生産の時代を切り開きました。トップ3から脱落して久しいがブランド力等は圧倒的です。

SUZUKI(スズキ)

スズキは、1909年に鈴木式織機として設立された自動車、二輪車および船外機メーカーです、特に、軽自動車、小型車やオートバイに強みを有しております。海外ではインドの4輪市場では圧倒的な存在感を示しています。さらに詳しく

RENAULT(ルノー)

1898年にルイ・ルノー氏によって設立された仏大手自動車メーカーです。日産の筆頭株主です。2016年に三菱自動車も傘下に入れ、ルノー・日産・三菱自動車・アフトヴァース(AVTOVAZ)連合を形成しました。2017年は1060万台と世界首位のVWに肉薄するものの、連合の事実上のCEOでもあったカルロス・ゴーン氏が日本の検察に逮捕されました。ルーマニアのダチア(Dacia)も有しています。

NISSAN(日産)

1933年に設立された国内大手自動車メーカーです。1999年にフランスの大手自動車メーカーのルノーから資金支援を受けました。現在もルノーが43.7%の株式を保有する筆頭株主です。日産もルノーの株式を15%保有しており、株式の持合が続いています。

三菱自動車

1970年に三菱重工から分社化して誕生した日本の大手自動車メーカーです。三菱重工時代はクライスラーとの提携が続き、2000年にダイムラークライスラー(当時、現ダイムラー)と資本提携を行いました。三菱ふそうトラックをダイムラーにしました。2008年にはダイムラーとの提携を解消し、フランスのPSAと提携をしました。2016年に日産が筆頭株主となり、現在はルノー日産グループの一員となっています。

BMW

1916年に航空機エンジンメーカーとして設立されたBMWは、現在はドイツの高級自動車メーカーです。BMW、MINI、ロールスロイス、オートバイのBMWのモトラッドブランドで世界展開しています。ロールスロイスは1998年、MINIは1994年にBMWの傘下に入りました。モトラッドは1923年から展開している大型バイクメーカーです。自動車リースも手掛け、Alphabet(アルファベット)で展開しています。電気自動車(EV)でも上位に位置します。さらに詳しく

ダイムラー

ドイツに本拠を置く大手自動車メーカーです。乗用車と自動車リースが事業の柱となっています。乗用車ではメルセデスベンツで高級車セグメントにフォーカスした世界展開をしています。1998年にクライスラーと合併したが、2007年にクライスラーを売却しました。インドではバーラト・ベンツ (BharatBenz) ブランドを展開しています。2021年にメルセデスベンツとダイムラートラックが分社化され、社名をメルセデスベンツグループへと変更しました。自動車リースはAthlonで展開しています。

分社化された、ダイムラートラックは、三菱ふそうトラック・バスを傘下に保有しています。バス分野はメルセデスベンツとゼトラ(Setra )ブランドで展開しています。売上の約66%が欧州となっています。さらに詳しく

HONDA(ホンダ)

1948年に本田宗一郎氏によって設立された日本の誇る自動車・オートバイメーカーです。乗用車では世界大手、オートバイでは世界最大手です。船外機、芝刈り機などのガーデニング機器、高級エアクラフト機であるホンダジェット、販売金融、人型のロボット開発(ASIMO)といった事業も手掛けています。さらに詳しく

テスラ

Tesla(テスラ)は、イーロン・マスク氏が率いる電気自動車大手メーカーです。リチウムイオンバッテリーは日本のパナソニックと合弁工場を運営しています。工場は、かつてのトヨタとGMの合弁工場であったNUMMIなどで行っています。時価総額でトヨタを抜くなど、電気自動車の市場拡大に伴い、今後の成長が期待されています。さらに詳しく

中国のOEM

中国の主要自動車メーカーには、長安汽車、広州汽車、上海汽車、吉利、長城、BYD等が挙げられます。
BYDについて

BYD(比亜迪)は、王伝福(Wang Chuanfu)氏によって1995年に設立された中国の電気自動車・車載電池メーカーです。スマホや産業機器向けのリチウムイオン電池の製造に加え、車載向けの電池と電気自動車製造の一貫生産体制が強みです。電気自動車は、SUVのTang、PHVのQin、セダン型のEVであるe6、e5等のブランドを展開しています。王氏は電池王とも称されています。電気自動車を含む新エネ車(EV自動車)でも世界最大規模を誇ります。ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイ傘下のMidAmerican Energyが大株主となっています。2020年には刀片電池と言われる長距離走行が可能な車載電池を開発しました。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

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