電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)業界の世界市場シェアの分析

電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)業界の世界市場シェアと市場規模の情報について分析をしています。BYD、テスラ、北京汽車、ゾタイといった電気自動車の大手プレイヤーの動向も掲載しています。

電気自動車業界の世界市場シェア(2019年)

EVセールスブログに記載の電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の電気自動車業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はテスラ、2位はBYD、3位は北京汽車となります。

1位  テスラ 16.6%
2位  BYD 10.4%
3位  北京汽車 7.3%
4位  上海汽車 6.2%
5位  BMW 5.8%
6位  VW 3.8%
7位  日産 3.6%
8位  ジーリー 3.4%
9位  ヒュンダイ 3.3%
10位  トヨタ 2.5%

EVやPHVのメーカー別世界市場シェアは、トヨタやフォルクスワーゲンが常連の内燃エンジンが主体の伝統的な自動車業界のランキングとは、様変わりしています。世界1位は、米国のイーロン・マスク氏率いるテスラです。テスラは、高級セダンのモデルS、SUVのモデルX、そして大衆車向けのモデル3のラインナップを揃え、本格的な世界展開に着手しています。世界2位は、中国のBYDです。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが投資したことでも有名です。中国国内市場の展開に強みがあります。今後、海外展開ができるかが、課題です。
世界3位は、中国を代表する自動車メーカーの北京汽車(ベイジンオート)です。パナソニックとEVの基幹部品の合弁会社を作り、今後の規模拡大を狙います。世界4位はこちらも中国勢の上海汽車となります。世界5位は、ドイツのBMWとなっています。BMWのi3が売れ筋のEVとなっています。世界6位は、ドイツのフォルクスワーゲンとなっています。ディーゼル車の問題を受けて、EVシフトを図っています。世界7位は、日産となっています。日本でも発売されているリーフが牽引しています。世界8位は、中国のジーリー、9位はヒュンダイ、10位はトヨタです。

市場規模

調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年の電気自動車の市場規模は1623億ドルです。2027年にかけて年平均22.6%での成長を見込みます。調査レポートのグローバルEVアウトルック2020によると、2019年の電気自動車の販売台数は210万台です。世界的な流れとして、EVやPHV以外の車種への規制が強まりつつあり、電気自動車市場は急拡大しています。

電気自動車(EV)の主要部品

通常の自動車の部品が3万以上あるのに対して、電気自動車は1万5千~2万ほどしかないと言われています。電気自動車での重要なパーツには、電気を蓄える装置であるバッテリー、機電一体電動パワートレインである電気を使用して車輪を回転させる装置であるモーターや電気を変換するインバーターとコンバーター等のコントローラー(制御装置)となります。一方で、ガソリン車で重要であった燃料噴射装置、エアクリーナー、オイルフィルター等のエンジン部品、スターターモーター、オルタネーター等の電装部品、フロントアクスル、リアアクスル、プロペラシャフト等の駆動系部品、トランスミッション、クラッチ等は必要がなくなると言われています。
自動車のボディも、ガソリン車に比べ、エンジン等の部分での高温耐性が必要なくなってきます。よって、ハイテン、アルミ等に加え、樹脂、チタン、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、マグネシウム等の新素材を使うことで、軽量化が見込まれます。
重量比較でみると、鉄に比べて、同等の性能を持つ、アルミニウムは40%軽く、マグネシウムはアルミニウムに比べて更に15%軽く、CFRP 積層板はアルミニウムに比べ20%軽く、一方向CFRPはアルミニウムに比べ60%軽くなっている(鉄との比較では、鉄の約25%の重量)。

産業廃棄物を出さない電気自動車

オランダのアイントホーフェン工科大学で、土に埋めるとほとんどの部品が分解される電気自動車が開発されました。プラスチックは、さとうきびのポリ乳酸と麻の繊維から作られた生物解性プラスチックです。強度や安全性を保ちつつ、現在の軽自動車の半分の重さの350kgと軽量化にも成功しています。
「生分解とは酵素を触媒とした分解で、自然環境中では微生物を介在して行われます。つまり、酵素の働きと微生物の働きがともに作用することによって、もとの化合物がほかの物質に変化します。生分解性プラスチックはこうした生分解が可能とされるもので、一般的に「使用するときには従来のプラスチック同様の性状と機能を維持しつつ、使用後は自然界の微生物などの働きによって生分解され、最終的には水と二酸化炭素に変換されるプラスチック」と定義づけられています。」出典:環境展望台

生物解性プラスチックには、微生物系、天然物系、化学合成系に分類され、包装等の分野での活用が期待されます。

セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバーは、木の繊維を細かくしたものです。非常に微細な繊維で、細さは髪の毛の1万分の1以下と言われています。
「セルロースナノファイバーは木材から得られる木材繊維(パルプ)を1ミクロンの数百分の一以下のナノオーダーにまで高度にナノ化(微細化)した世界最先端のバイオマス素材です。セルロースナノファイバーは植物繊維由来であることから、生産・廃棄に関する環境負荷が小さく、軽量であることが特徴で、弾性率は高強度繊維で知られるアラミド繊維並みに高く、温度変化に伴う伸縮はガラス並みに良好、酸素などのガスバリア性が高いなど、優れた特性を発現します。(引用:日本製紙ホームページ)」

重さは、鉄の5分の1程度で、強度は5倍以上となる。バンパーやボンネット等の外装での活用が期待されています。

世界の主要な電気自動車メーカーの一覧

BYD(比亜迪)
王伝福氏が1995年に設立した、中国を代表するリチウムイオン電池や電気自動車メーカーです。電気自動車は、SUVのTang、PHVのQin、セダン型のEVであるe6、e5等のブランドを展開しています。車載用リチウムイオン電池業界でも世界大手です。バークシャー・ハサウェイ傘下のMidAmerican Energyが大株主となっています。

Tesla(テスラモーターズ)
イーロン・マスク氏が率いる電気自動車大手メーカーです。リチウムイオンバッテリーは日本のパナソニックと合弁工場を運営していました。工場は、かつてのトヨタとGMの合弁工場であったNUMMIで行っています。時価総額でトヨタを抜くなど、電気自動車の市場拡大に伴い、今後の成長が期待されています。

シャンハイ・オート(上海汽車、SAIC、Shanghai Automotive Industry Corporation)
中国の国有自動車メーカーです。名前の通り上海に本拠を置きます。1958年セダン「鳳凰」を販売しました。主にVWとGMとのジョイントベンチャーを通じて技術を蓄積しています。JVを通じての売上を除いても、国内最大の販売台数を誇ります。Wuling、Baojun、Roewe等のブランドで展開しています。

BAIC(北京汽車)
中国国営の自動車メーカーです。E-Series、EU260等のブランドで電気自動車を展開しています。ガソリンエンジン車の分野ではGMと合弁工場を運営し、中国ビッグ5に次ぐ準大手クラスです。

衆泰汽車(Zotye、ゾタイ)
2005年に設立された中国の中堅自動車メーカーです。Cloud EVやE200等の電気自動車を展開しています。大手自動車メーカーのデザインに酷似する車を販売することでも有名です。

ジーリー(Geely、吉利汽車)
李書福(リー・スーフー)氏率いる中国の民間自動車メーカー大手です。元々は冷蔵庫メーカーとして創業し、2010年にスウェーデンの商用車メーカーのボルボを買収しました。2017年には、マレーシアの国有メーカーであるプロトンの株式49%を取得しています。2018年にはダイムラーの筆頭株主となりました。

中国の電気自動車メーカー
電気自動車のトップ20位には、この他に、奇瑞汽車(チェリー、Chery)、知豆(Zhidou)、江淮汽車(JAC)、江鈴汽車(JMC)がランクインしています。

業界の統計など
全国乗用車市場信息連席会(CPCA)

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