エレベーター業界の世界市場シェアの分析

エレベーター業界の世界市場シェア、市場規模や再編の情報について分析をしています。米国のオーチス、スイスのシンドラー、フィンランドのコネ、ドイツのティッセンクルップが世界4強です。中国のエレベーター新設も一巡し、今後は保守・メンテナンスでの収益が重要になるストックビジネスへとビジネスモデルが変化してきています。またビル全体のシステムを構築する上でもエレベーターは重要なハードウェアですので、日立製作所や三菱電機はビルシステム事業として、他事業とのシナジーを追及しているのが特徴です。

エレベーター業界の世界市場シェア(2020年)

エレベーター各社の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母に、2020年のエレベーター業界の市場シェアを計算すると、1位はオーチスの15.6%、2位はコネの14.4%、3位はシンドラーの14.2%です。

  • 1位 オーチス 15.6%
  • 2位 コネ 14.4%
  • 3位 シンドラー 14.2%
  • 4位 ティッセンクルップ 9.5%
  • 5位 日立製作所 6.3%
  • 6位 三菱電機 6.1%
  • 7位 フジテック 2.1%
  • 8位 現代エレベーター 1.7%
  • 9位 ジョンソンエレベーター 0.2%

ユナイテッド・テクノロジーズ社から分社化後もオーチスが引き続き1位となっています。2位は、フィンランドのコネです。3位はスイスのシンドラーです。上位3位の差は1%未満といつ順位が入れ替わってもおかしくありません。4位は、ティッセンクルップ傘下から投資ファンド傘下となるティッセンクルップです。再建途上のティッセンクルップの事業部門であり、上位3社からは若干引き離されてしまいました。世界5位は永大機電工業を買収して三菱電機を抜いた日立、世界6位は三菱電機、世界7位はフジテックの2%、世界8位は現代エレベーターです。

  • 1位 オーチス
  • 2位 シンドラー
  • 3位 コネ
  • 4位 ティッセンクルップ
  • 5位 日立製作所

市場規模

当サイトでは、各種調査会社の情報を参考にし、2020年のエレベーター業界の市場規模を823億ドルと推定しています。
調査会社のグローバルマーケットインサイツによると2020年の同業界の市場規模は823億ドルです。2027年にかけて2.5%での成長を見込みます。調査会社のプレセデンスリサーチによると2019年の同市場規模は717億ドルです。2027年にかけて年平均6.3%での成長を見込みます。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると2018年の同市場規模は701億ドルです。2026年にかけて6.4%での成長を見込みます。オーチス社の2019年11月付プレゼンテーションによれば、2018年のエレベーター業界の世界市場規模は、金額ベースで750億ドルと推計されています。世界の稼働エレベーターは16百万台、年間約1百台が新規需要程度です。またフジテックの2020年12月付プレゼンテーションによると、発表時点での世界の年間エレベーター新設台数は100万台と推計しています。台数ベースでは中国が60%の新規需要を担っています。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模成長率見込み
2020年823億ドル2.5%
2019年750億ドル6.3%
2018年750億ドル6.4%
エレベーター業界の推定市場規模の推移©ディールラボ

エレベーター業界の主要M&A 

エレベーター業界はグローバルでメンテナンス事業を行う必要があり、大手エレベーター会社が地域毎の有力エレベーター会社を買収する流れが続いています。

主要M&A

1976年 オーチス・エレベーターが米ユナイテッド・テクノロジーズに買収される
1997年 オーチス・エレベーターによる英Evans Liftsの買収
1999年 ティッセンクルップによる米Dover Elevator Companyの買収
2003年 オーチス・エレベーターによるAmtech Elevator Servicesの買収
2006年 シンドラーによるSuzhou Schindler Elevatorの買収
2008年 シンドラーによるカタールのAl Doha Elevators & Escalatorsの買収
2009年 シンドラーによるサウジアラビアのSaudi Elevator の買収
2010年 シンドラーとティッセンクルップによるフランスのConstructions Industrielles de la Mediterranee SA (CNIM)の共同買収
2011年 コネによる 米Long Elevator & Machineの買収
2013年 シンドラーによるカナダのSkyline Elevatorの買収
2013年 コネによるアイルランドのEnnis Liftsの買収
2015年 コネによる米Barist Elevatorの買収
2018年 日立による永大機電工業の買収
2020年 ティッセンクルップがエレベーター事業を投資ファンドに売却

エレベーターの構造

エレベーターには、電動モーターを利用するロープ式のエレベーターと電動ポンプで油圧をコントロールする油圧式の2つの方式があります。現在の主流はロープ式エレベーターです。ロープ式にはおもりを利用するトラクション式とドラム利用するドラム式の2つの方式があります。

エレベーター大手企業

Otis(オーチス)

米国に本拠を置くエレベーター世界最大手の一角です。オーチスのブランド力は圧倒的です。エッフェル塔、自由の女神、日本では霞が関ビルに設置され、歴史ある建物はオーチスのエレベーターといっても過言ではありません。元々は、米航空宇宙防衛大手メーカーであるUnited Technologies(ユナイテッド・テクノロジーズ、現レイセオン・テクノロジーズ、Raytheon Technologies)が1973年にオーチス・エレベーターを買収し、同社の事業部門でしたが、2020年に同社から分社化する形で誕生しました。設置実績のあるエレベーター・エスカレーターは200万台超です。

Schindler(シンドラー)

1874年に、ロバート・シンドラーによって設立されたスイスに本拠を置くエレベーター専業メーカーです。エスカレーターも世界首位級です。上場会社ではありますが、シンドラーファミリー(Schindler and Bonnard families)が過半数の議決権を所有しています。

Kone(コネ)

1910年に設立されたアンティ・ヘルリン(Antti Herlin)氏率いるフィンランドのエレベーター大手です。エスカレーターにも強みを持ちます。上場会社でもありますが、アンティ・ヘルリン氏が議決権の過半を有しています。世界初の機械室なしエレベーターを開発したことでも有名です。クレーンやフォークリフト事業を分社化しています。東芝エレベーターへ出資をしています。

Thyssenkrupp(ティッセンクルップ)

ティッセンクルップ(ThyssenKrupp)は、1811年創業のクルップと1867年創業のティッセンが、1999年に経営統合をして誕生したドイツ最大級の重工業メーカーです。鉄鋼、エレベーター、自動車部品、造船(軍需向け)がメイン事業です。2010年代以降構造改革を行い、タタ製鉄との欧州製鉄事業の経営統合が破たん後、2019年にティッセンクルップは、主に自動車部品、エレベーター、プラントサービスを提供するtkインダストリアルズと鉄鋼販売、クランクシャフト等の産業材、潜水艦、鉄鋼を手掛けるtkマテリアルズに分社化する旨発表しましたが、実現せず、2019年に稼ぎ頭であるエレベーター事業をアドベント・インターナショナルに売却しました。さらに詳しく

 

日立製作所

日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をする選択と集中を進めています。さらに詳しく

日立ABB
2020年から事業を開始した日立とABBのパワーグリッド機器の合弁会社です。日立がABBから当該事業の持分80%を買収することで誕生しました。直流送電 (HVDC)技術、変圧器や特別高圧製品等に強みを持ちます。

鉄道事業
日立の鉄道システム事業部が鉄道事業を手掛けています。従来は国内向けの車両生産がメインでしたが、近年海外売上の拡大を模索しています。2015年にAnsaldo Brenda(アンサルドブレーダ、現Hitachi Rail S.p.A.) とアンサルドSTS(現Hitachi Rail STS S.p.A.)の買収を発表し、欧州・米州・アジアで鉄道車両と信号のターンキーソリューションプロバイダーとして中国北車+南車陣営、欧米ビッグ3への追い上げを図っています。

日立建機
日本を代表する大手建機メーカーです。日立製作所の上場関連会社でもあります。2016年に豪州の鉱山機器向け消耗品に強みを持つブラッドケンを買収しました。

エレベーター事業
日立の子会社である1956年に設立された日立ビルシステムが昇降機の製造・販売・保守を担っています。同社は、空調やビルのセキュリティ管理も行っています。2018年に台湾のエレベーター大手である永大機電工業を買収しました。

永大機電工業(Yungtay Engineering、ユンタイ・エンジニアリング)について
1966年に設立された台湾に本拠をおくエレベーターメーカーです。設立当初より日立と提携関係にあります。エスカレーター、建設機械、および駐車装置の製造・販売を手掛けています。2018年に日立が公開買付を行い子会社化しました。

三菱電機

1921年に設立された日本を代表する総合電機メーカーです。重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器のセグメントで事業を展開しています。エレベーターは重電システムのビルシステム事業で展開しています。産業用ロボットは産業メカトロニクスで、霧ヶ峰ブランドで有名な空調やエアコンは家庭電器セグメントに含まれます。空調分野は特にM&Aに積極的で、業務用空調分野では2015年にDe’Longhi(デロンギ)のイタリアの子会社のDeLclima(デルクリマ)社を買収して、欧州市場にて業績拡大を目指しています。北米では2018年にインガソールランドによるダクトレス空調機販売の合弁会社を設立しました。さらに詳しく

東芝

フィンランドのコネとの合弁会社でエレベーター事業を行います。台湾101、上海環球金融、スカイツリー、あべのハルカス等への納入実績があります。国内、中国、インドが主戦場です。

現代エレベーター

現代グループでエレベーター事業を手掛けています。2000年代に現代自動車や現代重工といった現代グループが分社化されていく中で、同社がかつての中核会社である現代の主要事業会社となっています。シンドラーが出資をしています。

フジテック

1948年に設立された滋賀県に本拠を置くエレベーター・エスカレーター専業大手です。上場していますが、創業者の内山ファミリーが大株主かつ経営を担っています。

瀋陽遠大企業集団(Shenyang Yuanda Group、シェンヤン・ユアンダ・グループ)

康宝華董事長が率いる中国の民間企業です。カーテンウォールやエレベーター等が主力事業です。カーテンウォールの分野では、ペルマストリーザと業界の首位を争っています。エレベーターの分野では年間の製造能力は3万台、売上規模は150億円程度と推計されています(2019年時点)。新宿にある東京モード学園の「コクーンタワー」の外壁を手掛けたことでも有名です。

参照したデータの詳細情報について


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