エレベーター業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析をしています。オーチス、シンドラー、コネ、日立製作所といった世界の主要なエレベーターメーカーの概要や動向も記載しております。エレベーター業界は近年、行先予測システムや再生可能エネルギーなどの技術や様々なメンテナンスソリューションを駆使し、日々進化しています。今後は船舶、ダム、ロケット発射機などで働く人々の移動手段としてもエレベーターは活用されると推測されています。
【エレベーターとは】
エレベーター業界は、建物や施設に設置するエレベーター・エスカレーターの開発・製造から、据付、保守・修理、リニューアルまでを手掛ける業界です。エレベーターには、電動モーターを利用するロープ式と、電動ポンプで油圧をコントロールする油圧式があり、現在はロープ式が主流となっています。ロープ式には、おもりを利用してかごを昇降させるトラクション式と、ドラムにロープを巻き取るドラム式があります。業界では、新築の建物にエレベーターを設置する新設に加え、設置後の保守・修理や、老朽化した機器を更新するリニューアルが重要な事業となっています。特に保守・修理は、エレベーターの安全な運行を維持するため継続的に必要となることから、安定した収益源となっています。そのため、大手メーカーは新設工事だけでなく、保守・リニューアルまで一貫して手掛けることで、長期的な顧客基盤の確保を図っています。
【エレベーター業界の世界市場シェア】
エレベーター業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年のエレベーター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はオーチス、2位はシンドラー、3位はコネとなります。
※エレベーター業界の市場シェア(2025年)
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| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Otis Worldwide Corporation | オーチス | 17.51% |
| 2位 | Schindler | シンドラー | 16.82% |
| 3位 | Kone Corporation | コネ | 15.95% |
| 4位 | TK Elevator | TKエレベーター | 13.05% |
| 5位 | Hitachi Ltd | 日立製作所* | 6.75% |
| 6位 | Mitsubishi Electric Corporation | 三菱電機* | 5.40% |
| 7位 | Hyundai Elevator Co Ltd | ヒュンダイエレベーター* | 2.02% |
| 8位 | Fujitec Co. Ltd | フジテック* | 1.87% |
* エスカレーター事業等も含むため、推定値
エレベーター業界は、欧米・日本の大手企業を中心に寡占度の高い市場となっています。上位3社(オーチス、シンドラー、コネ)で市場シェアの48.1%を占め、TKエレベーター、日立製作所、三菱電機を加えた上位6社で75%強に達しています。これは、エレベーターが安全性や信頼性に加え、設置後の保守・修理網が競争力を左右するため、長年の実績やブランド力を持つ大手が優位に立ちやすいという背景があります。
また、各社はM&Aによって地域の保守会社を取り込み、保守・リニューアルなどのストック型事業を拡大しているため、さらなる寡占化につながっています。
一方、康力電梯(CANNY)、上海機電、広日電梯、杭州西奥など中国系メーカーの台頭も目立ちます。中国は世界最大の新設市場であり、中国メーカーの存在感は強まってきています。ただし、中国企業はエレベーター事業の売上高を国際企業と同一基準で比較できる公式データの取得が難しいため、本ランキングには含めていません。
【エレベーター業界の世界市場規模】
当データベースでは、2025年のエレベーター業界の市場規模を824億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社グランドビューリサーチによると、2025年の同業界の市場規模は824億ドルです。2026年から2033年にかけて年平均6.80%で成長し、規模は1369億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2025 | 824億ドル | – |
| 2026 | 863億ドル | 4.73% |
| 2033 | 1369億ドル | 6.80% |

【M&Aの動向】
エレベーター業界では、近年M&Aが活発化し、業界再編が進んでいます。大手各社は、北米・欧州・アジアなどで地域の独立系企業や保守会社を相次いで買収し、保守・リニューアルなどストック型事業の拡大を図っています。また、ティッセンクルップのエレベーター事業売却・TK Elevatorとしての独立や、KONEによるTK Elevator買収提案など、大型案件も進展しており、大手を中心とした寡占化が一段と進む可能性も考えられます。
1997年 オーチスが英国のエレベーター・エスカレーター会社Evans Liftsを買収
1999年 ティッセンが米国のエレベーター事業会社Dover Elevatorを買収
2003年 オーチスが米国のエレベーター保守会社Amtech Elevator Servicesを買収
2006~2009年 シンドラーが中国のエレベーター合弁会社Suzhou Schindler Elevatorの中国側持分を取得し、完全子会社化
2008年 シンドラーがカタールのエレベーター・エスカレーター会社Al Doha Elevators & Escalatorsの49%持分を買収
2010年 シンドラーがサウジアラビアのエレベーター会社Saudi Elevatorの残り80%を取得し、完全子会社化
2011年 コネが米国のエレベーター・保守会社Long Elevator & Machineを買収
2013年 シンドラーがカナダのエレベーター保守会社Skyline Elevatorを買収
2013年 コネがアイルランドのエレベーター・エスカレーター会社Ennis Liftsを買収
2015年 コネが米国のエレベーター保守会社Barist Elevatorの保守・修理・近代化事業を買収
2019~2022年 日立が台湾のエレベーター大手Yungtay Engineering(永大機電工業)を段階的に買収し、完全子会社化
2020年 ティッセンクルップがエレベーター事業をを投資ファンドAdvent International・Cinvenなどのコンソーシアムに売却し、独立会社化(2021年に社名をTKエレベーターに変更)
2021年 シンドラーが米国のエレベーター会社Colorado Elevator Solutionsを買収
2022年 シンドラーがカナダのエレベーター・エスカレーター会社Ascension Elevating Devicesを買収
2023年 フジテックがカナダのエレベーター保守・リニューアル会社Stampede Elevatorを買収
2023年 三菱電機がノルウェーのエレベーター販売・施工会社UNIHEISを買収
2023年 三菱電機がスウェーデンのエレベーター・自動ドア会社Motumを買収
2024年 コネがオーストラリアのエレベーター・エスカレーター会社Orbitz Elevatorsのサービス事業およびニュージーランド事業を買収
2024年 オーチスが台湾のエレベーター・エスカレーター会社Jardine Schindler Lifts Limitedを買収
2024年 コネが米国のエレベーター保守会社Capitol Elevatorを買収
2024年 三菱電機がノルウェーのエレベーター会社ALT Heisを買収
2025年 オーチスが米国のエレベーター保守会社Urban Elevatorの8拠点を買収
2025年 三菱電機がアイルランドの昇降機事業会社Ascension Lifts社を買収
2025年 シンドラーが中国のエレベーター合弁会社Volkslift Schindler Elevatorの追加41%持分を取得
2025年 オーチスが韓国のエレベーター会社Schindler Elevator Koreaを買収
2026年 三菱電機がアイルランドのエレベーター会社Infinity Liftsを買収
2026年 コネがTKエレベーターの買収を発表
【会社の概要】
Otis Worldwide Corporation(オーチス)
米国に本拠を置くエレベーター世界最大手の一角です。オーチスのブランド力は圧倒的です。エッフェル塔、自由の女神、日本では霞が関ビルに設置され、歴史ある建物はオーチスのエレベーターといっても過言ではありません。元々は、米航空宇宙防衛大手メーカーであるUnited Technologies(ユナイテッド・テクノロジーズ、現レイセオン・テクノロジーズ、Raytheon Technologies)が1973年にオーチス・エレベーターを買収し、同社の事業部門でしたが、2020年に同社から分社化する形で誕生しました。設置実績のあるエレベーター・エスカレーターは200万台超です。さらに詳しく
Schindler(シンドラー)
1874年に、ロバート・シンドラーによって設立されたスイスに本拠を置くエレベーター専業メーカーです。エスカレーターも世界首位級です。上場会社ではありますが、シンドラーファミリー(Schindler and Bonnard families)が過半数の議決権を所有しています。さらに詳しく
Kone Corporation(コネ)
1910年に設立されたアンティ・ヘルリン(Antti Herlin)氏率いるフィンランドのエレベーター大手です。エスカレーターにも強みを持ちます。上場会社でもありますが、アンティ・ヘルリン氏が議決権の過半数を有しています。世界初の機械室なしエレベーターを開発したことでも有名です。クレーンやフォークリフト事業を分社化しています。東芝エレベーターへ出資をしています。さらに詳しく
TK Elevator(TKエレベーター)
TKエレベーターは、ドイツを本拠とする世界有数のエレベーター・エスカレーターメーカーです。前身はドイツの鉄鋼・産業大手ティッセンクルップのエレベーター事業で、2020年に投資会社Advent InternationalとCinvenなどの投資家連合に売却され、ティッセンクルップから独立しました。2021年にTKエレベーターへと社名・ブランドを変更しています。エレベーター、エスカレーター、動く歩道などの開発・製造に加え、据付、保守、修理、リニューアルまで幅広く展開しており、100カ国以上で事業を展開しています。2024/25年度の売上高は92億ユーロ、従業員数は約5万人で、特に保守・リニューアル事業の拡大を進めています。さらに詳しく
Hitachi Ltd (株式会社日立製作所)
日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をし、選択と集中を進めています。さらに詳しく
Mitsubishi Electric Corporation (三菱電機株式会社)
1921年に設立された日本を代表する総合電機メーカーです。重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器のセグメントで事業を展開しています。エレベーターは重電システムのビルシステム事業で展開しています。産業用ロボットは産業メカトロニクスで、霧ヶ峰ブランドで有名な空調やエアコンは家庭電器セグメントに含まれます。空調分野は特にM&Aに積極的で、業務用空調分野では2015年にDe’Longhi(デロンギ)のイタリアの子会社のDeLclima(デルクリマ)社を買収して、欧州市場にて業績拡大を目指しています。北米では2018年にインガソールランドによるダクトレス空調機販売の合弁会社を設立しました。さらに詳しく
Hyundai Elevator Co Ltd (ヒュンダイ エレベーター)
現代グループでエレベーター事業を手掛けています。2000年代に現代自動車や現代重工といった現代グループが分社化されていく中で、同社がかつての中核会社である現代の主要事業会社となっています。シンドラーが出資をしています。さらに詳しく
Fujitec Co. Ltd (フジテック株式会社)
1948年に設立された滋賀県に本拠を置くエレベーター・エスカレーター専業大手です。創業者の内山ファミリーが大株主かつ経営を担っていますが、スウェーデンの投資ファンドであるEQTの傘下に入り、2026年上場を廃止しました。さらに詳しく
