エレベーター業界の市場シェアの分析

エレベーター業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析をしています。米国のオーチス、スイスのシンドラー、フィンランドのコネ、ドイツのTKエレベーター(旧ティッセンクルップ)が世界4強です。中国のエレベーター新設も一巡し、今後は保守・メンテナンスでの収益が重要になるストックビジネスへとビジネスモデルが変化してきています。またビル全体のシステムを構築する上でもエレベーターは重要なハードウェアですので、日立製作所や三菱電機はビルシステム事業として、他事業とのシナジーを追及しているのが特徴です。

【市場シェア】

エレベーター各社の2021年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する市場規模を分母に、2021年のエレベーター業界の市場シェアを計算すると、1位はオーチス、2位はシンドラー、3位はコネです。

エレベーター業界の世界シェア(2021年)

順位 会社名 市場シェア
1位 オーチス 14.30%
2位 シンドラー 12.29%
3位 コネ 11.95%
4位 ティッセンクルップ 9.10%
5位 日立製作所 7.21%
6位 三菱電機 4.62%
7位 フジテック 1.64%
8位 現代エレベーター 1.26%
エレベーター業界の世界シェア(2021年)

エレベーター業界の市場シェア(2021年)
エレベーター業界の市場シェア(2021年)

ユナイテッド・テクノロジーズ社から分社化後もオーチスが引き続き1位となっています。2位はスイスのシンドラーです。3位は、フィンランドのコネです。上位3位の差は1%未満といつ順位が入れ替わってもおかしくありません。4位は、ティッセンクルップ傘下から投資ファンド傘下となるティッセンクルップです。再建途上のティッセンクルップの事業部門であり、上位3社からは若干引き離されてしまいました。世界5位は永大機電工業を買収して三菱電機を抜いた日立、世界6位は三菱電機、世界7位はフジテックの2%、世界8位は現代エレベーターです。

【市場規模】

当サイトでは、各種調査会社の情報を参考にし、2021年のエレベーター業界の市場規模を993億ドルと推定しています。
調査会社のグローバルマーケットインサイツによると、2021年の同業界の市場規模は993億ドルです。2028年にかけて年平均3%超の成長を見込みます。

調査会社のグローバルマーケットインサイツによると、2020年の同業界の市場規模は823億ドルです。2027年にかけて2.5%での成長を見込みます。
調査会社のプレセデンスリサーチによると2019年の同市場規模は717億ドルです。2027年にかけて年平均6.3%での成長を見込みます。
調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると2018年の同市場規模は701億ドルです。2026年にかけて6.4%での成長を見込みます。
オーチス社の2019年11月付プレゼンテーションによれば、2018年のエレベーター業界の世界市場規模は、金額ベースで750億ドルと推計されています。

世界の稼働エレベーターは16百万台、年間約1百台が新規需要程度です。またフジテックの2020年12月付プレゼンテーションによると、発表時点での世界の年間エレベーター新設台数は100万台と推計しています。台数ベースでは中国が60%の新規需要を担っています。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模 成長率見込み
2021年 993億ドル 3%
2020年 823億ドル 2.5%
2019年 750億ドル 6.3%
2018年 750億ドル 6.4%
エレベーター業界の推定市場規模の推移 ©ディールラボ

エレベーター業界の推定市場規模の推移
エレベーター業界の推定市場規模の推移

【売上高ランキング】

2021年度10-12月*四半期売上高をベースとした半導体装置メーカーのランキングでは、1位シンドラー、2位オーチス、3位コネとなっています。2020年と比較するとシンドラーが躍進です。ファンド傘下に入ったTKエレベーター(旧ティッセンクルップ)に日立製作所が肉薄しています。TKエレベーターを軸に業界再編が予想されます。⇒参照したデータの詳細情報

エレベーターメーカーの売上高ランキング(四半期ベース)
エレベーターメーカーの売上高ランキング(四半期ベース)
*2021年7-9月の売上高

【M&Aの動向】

エレベーター業界はグローバルでメンテナンス事業を行う必要があり、大手エレベーター会社が地域毎の有力エレベーター会社を買収する流れが続いています。

主要M&A

1976年 オーチス・エレベーターが米ユナイテッド・テクノロジーズに買収される
1997年 オーチス・エレベーターによる英Evans Liftsの買収
1999年 ティッセンクルップによる米Dover Elevator Companyの買収
2003年 オーチス・エレベーターによるAmtech Elevator Servicesの買収
2006年 シンドラーによるSuzhou Schindler Elevatorの買収
2008年 シンドラーによるカタールのAl Doha Elevators & Escalatorsの買収
2009年 シンドラーによるサウジアラビアのSaudi Elevator の買収
2010年 シンドラーとティッセンクルップによるフランスのConstructions Industrielles de la Mediterranee SA (CNIM)の共同買収
2011年 コネによる 米Long Elevator & Machineの買収
2013年 シンドラーによるカナダのSkyline Elevatorの買収
2013年 コネによるアイルランドのEnnis Liftsの買収
2015年 コネによる米Barist Elevatorの買収
2018年 日立による永大機電工業の買収
2020年 ティッセンクルップがエレベーター事業を投資ファンドに売却

エレベーターの構造

エレベーターには、電動モーターを利用するロープ式のエレベーターと電動ポンプで油圧をコントロールする油圧式の2つの方式があります。現在の主流はロープ式エレベーターです。ロープ式にはおもりを利用するトラクション式とドラム利用するドラム式の2つの方式があります。


さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

エレベーター革命
イラストでわかる建築電気・エレベータの技術
自動ドア業界の世界市場シェアの分析
オートメーション業界の世界市場シェアと市場規模の分析
フジテック対アセット・バリュー・インベスターズのリアルタイムケーススタディ
ティッセンクルップのエレベーター事業の概要とアドベント連合の戦略オプション
M&Aの対象となる産業用機器・部品メーカーの分析

【会社の概要】

Otis(オーチス)

米国に本拠を置くエレベーター世界最大手の一角です。オーチスのブランド力は圧倒的です。エッフェル塔、自由の女神、日本では霞が関ビルに設置され、歴史ある建物はオーチスのエレベーターといっても過言ではありません。元々は、米航空宇宙防衛大手メーカーであるUnited Technologies(ユナイテッド・テクノロジーズ、現レイセオン・テクノロジーズ、Raytheon Technologies)が1973年にオーチス・エレベーターを買収し、同社の事業部門でしたが、2020年に同社から分社化する形で誕生しました。設置実績のあるエレベーター・エスカレーターは200万台超です。

Schindler(シンドラー)

1874年に、ロバート・シンドラーによって設立されたスイスに本拠を置くエレベーター専業メーカーです。エスカレーターも世界首位級です。上場会社ではありますが、シンドラーファミリー(Schindler and Bonnard families)が過半数の議決権を所有しています。

Kone(コネ)

1910年に設立されたアンティ・ヘルリン(Antti Herlin)氏率いるフィンランドのエレベーター大手です。エスカレーターにも強みを持ちます。上場会社でもありますが、アンティ・ヘルリン氏が議決権の過半を有しています。世界初の機械室なしエレベーターを開発したことでも有名です。クレーンやフォークリフト事業を分社化しています。東芝エレベーターへ出資をしています。

Thyssenkrupp(ティッセンクルップ)

ティッセンクルップ(ThyssenKrupp)は、1811年創業のクルップと1867年創業のティッセンが、1999年に経営統合をして誕生したドイツ最大級の重工業メーカーです。鉄鋼、エレベーター、自動車部品、造船(軍需向け)がメイン事業です。2010年代以降構造改革を行い、タタ製鉄との欧州製鉄事業の経営統合が破たん後、2019年にティッセンクルップは、主に自動車部品、エレベーター、プラントサービスを提供するtkインダストリアルズと鉄鋼販売、クランクシャフト等の産業材、潜水艦、鉄鋼を手掛けるtkマテリアルズに分社化する旨発表しましたが、実現せず、2019年に稼ぎ頭であるエレベーター事業をアドベント・インターナショナルに売却しました。さらに詳しく

日立製作所

日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をし、選択と集中を進めています。さらに詳しく永大機電工業(Yungtay Engineering、ユンタイ・エンジニアリング)について
1966年に設立された台湾に本拠をおくエレベーターメーカーです。設立当初より日立と提携関係にあります。エスカレーター、建設機械、および駐車装置の製造・販売を手掛けています。2018年に日立が公開買付を行い子会社化しました。

三菱電機

1921年に設立された日本を代表する総合電機メーカーです。重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器のセグメントで事業を展開しています。エレベーターは重電システムのビルシステム事業で展開しています。産業用ロボットは産業メカトロニクスで、霧ヶ峰ブランドで有名な空調やエアコンは家庭電器セグメントに含まれます。空調分野は特にM&Aに積極的で、業務用空調分野では2015年にDe’Longhi(デロンギ)のイタリアの子会社のDeLclima(デルクリマ)社を買収して、欧州市場にて業績拡大を目指しています。北米では2018年にインガソールランドによるダクトレス空調機販売の合弁会社を設立しました。さらに詳しく

東芝

東芝は、日本を代表する重電メーカーです。重電5社(日立、三菱電機、富士電機、明電舎)の一角です。芝浦製作所と東京電気が経営統合して、東京芝浦電気(現東芝)が1939年に誕生しました。経団連会長を輩出する等日本を代表するメーカーの1社でもあります。2016年のウェスティンハウスの減損問題発覚以降は、事業の再編を行い、ビジネスモデルを大きく転換しています。インフラサービス、インフラシステム、デバイスプロダクトが事業の柱となっています。さらに詳しく

現代エレベーター

現代グループでエレベーター事業を手掛けています。2000年代に現代自動車や現代重工といった現代グループが分社化されていく中で、同社がかつての中核会社である現代の主要事業会社となっています。シンドラーが出資をしています。

フジテック

1948年に設立された滋賀県に本拠を置くエレベーター・エスカレーター専業大手です。上場していますが、創業者の内山ファミリーが大株主かつ経営を担っています。

瀋陽遠大企業集団(Shenyang Yuanda Group、シェンヤン・ユアンダ・グループ)

康宝華董事長が率いる中国の民間企業です。カーテンウォールやエレベーター等が主力事業です。カーテンウォールの分野では、ペルマストリーザと業界の首位を争っています。エレベーターの分野では年間の製造能力は3万台、売上規模は150億円程度と推計されています(2019年時点)。新宿にある東京モード学園の「コクーンタワー」の外壁を手掛けたことでも有名です。

参照したデータの詳細情報について


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