M&Aや再編対象となる産業用機器・部品メーカーの分析 2021.02.25
産業用機器業界で、現状投資ファンドが保有していて、今後のエグジットの動きによってM&Aや業界再編が予想される会社についてロングリストを作成しています。
なお、本記事の作成日以降にM&Aによって下記会社が買収されている可能性もありますことを予めご了承下さい。
表の見方 対象会社の概略で掲載している情報は以下の通りです。もっと詳しい情報をご希望される場合は、お問い合わせのページからご連絡下さい。
対象会社 製品サービス 本社所在地 買収年 保有ファンド名
会社概略 今後エグジットが予想される産業用機器業界の会社 空調機器 1901年に設立されたHart & Cooleyは、通気口やディフーザーといった空調機器部品メーカーです。2020年にHIGキャピタルがジョンソンコントロールズより買収しました。 精密機器 Interplexはシンガポールを拠点とし、バスバー、バッテリー相互接続システム、リードフレームといった精密部品製造会社です。航空機や自動車メーカーに供給しています。ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアが買収しました。 Muonは、オランダに本拠をおく電鋳技術(electroforming technology)に強みを持つ化学エッチングおよびレーザー材料加工を用いた高精度な部品製造する会社です。医療向けの超精密針、マイクロサイズのミスト発生器等も製造することができます。ギルド・バイアウト・パートナーズが2018年に出資をしております。Muonは2021年にガラスおよびセラミック部品メーカーのLouwersHaniqueを買収しました。 印刷関連機器 manroland Goss(マンローランド・ゴス)は、2018年にドイツに本拠を置き投資会社のPossehl Group(ポーサル・グループ)が保有するmanrolandと米国に本拠を置きAIPが保有するGossが経営統合して誕生した会社です。雑誌、新聞、カタログ、パッケージ、ダイレクトメール等に、自動化された生産性の高い輪転機システムとフィニッシングシステムを提供しています。アメリカン・インダストリアル・パートナーズが買収しました。 産業用ファスナー Optimas OE Solutions(オプティマス・オーイー・ソリューションズ)は、2015年にケーブル・ワイヤー大手のAnixter Internationalから380百万ドルで買収をした北米に本拠を置く留め具・締め金具(ファスナー)メーカーです。ボルト、ねじ、ナット、ワッシャー(washer)に加え、個人用保護具、継手(Fittings)、締め金(Clamps)、ホース・チューブ等の各種部品も製造・販売しています。アメリカン・インダストリアル・パートナーズが買収しました。 銅線 IWGは、米国に本拠を置く裸銅線(bare copper wire)および銅線製品メーカーです。アトラスホールディングスが買収しました。 ポンプ・バルブ CEME GROUP(CEMEグループ)は、1974年に設立されたイタリアに本拠を置く電磁ポンプ・弁メーカーです。圧力スイッチや液体フローメーター等の製造販売も手掛けています。Investindustrial(インベストインダストリアル)が2018年に投資を実行し、投資時点の売上高は160百万ユーロです。 Sundyne(サンダイン)は石油・ガス・化学工場で使われる高速回転の遠心式ポンプメーカーです。2020年に買収しました。 Talis(タリス)はドイツに本拠をおく水制御用の継手やバルブメーカーです。Triton Partnersが買収しました。 Celeros(セレロス)はミッションクリティカルなポンプ、バルブ、フィルターの製造会社です。2020年にSPX Flowから買収をしました。 計測機器 Process Sensing Technologies(プロセスセンシングテクノロジーズ)は、英国に本拠をおく精密測定機器メーカーです。酸素や微量水位測定用のセンサー技術に強みを持ちます。例えば、天然ガスの配送では、ガス品質を保つため同社の露点管理分析機器(moisture and hydrocarbon dew-point analysers)が使用されています。 Safety Technology Holdingsは安全性検査機器の開発製造会社です。2018年に買収しました。 鋼材加工 Elceeは、オランダに本拠を置く産業用の各種部品加工メーカーです。鋼、ステンレス鋼、砲金などの鋳造、鍛造、溶接等を通じてカスタマイズした製品を供給しています。ギルド・バイアウト・パートナーズが2018年に出資しました。 BFホールディングスは、北米に本拠を置く、構造用鋼製造会社であるBanker Steel(バンカースチール)とスチール橋製造会社であるベリタススチールが統合して誕生しました。アトラスホールディングスが保有しています。 米国の大手鉄鋼製造業者です。高速道路の高架道路やインターチェンジにある鈑桁橋から、アーチ、跳開橋、斜張橋、リフトといった橋向けの鉄鋼製品を製造しています。アトラスホールディングスが買収しました。 精密レーザー切断サービスを中心とした板金加工を行います。2020年に買収しました。 エレベーター ThyssenKrupp Elevator(ティッセンクルップエレベーター)は、ティッセンクルップから分社化したエレベーターメーカーです。アドベントインターナショナルがシンベンとRAG-Stiftungと共同で、2020 年に買収しました。推定企業価値は 1兆8000 億ドルです。 食品飲料関連機器 1958年に設立されたイタリアに本拠を置く飲料充填機器メーカーです。飲料メーカーが主要顧客で、飲料充填のための自動ラインの構築にも対応できます。 パンの予備発酵用のミキサー機器に強みがあります。2017年に買収しました。 建設用機器 Brownlineは、1998年に設立されたインフラ・通信向け水平方向への掘削をする(指向性ボーリング)ための高精密なドリルの製造会社です。メンタ・キャピタルが買収しました。 CQMS Razer(CQMSレーザー)は、豪州の本拠を置く鉱山オペレーターの生産効率向上のための各種装置やソフトウェアを提供する会社です。露天掘り(Surface mining)の効率化、ホイールローダーの運転効率化等に特化したサービスを展開しています。直近の売上高は約1億ドルです。アメリカン・インダストリアル・パートナーズが2018年に投資ファンドのQuadrant Private Equityから150百万豪ドルで買収しました。 Molycop(モリ・コープ)は米国に本拠を置くgrinding media(粉砕媒体)メーカーです。北米、南米、豪州でサービスを提供しています。2010年に豪州の鉱山会社であるOneSteel Limited(その後Arriumへと社名変更)が、アングロ・アメリカンより買収しましたが、Arrium社が経営破たんしたため、アメリカン・インダストリアル・パートナーズが2017年に12.3億ドルで買収しました。鉄鉱石、銅、金等の粉砕工程で使用する鉱工業用粉砕媒ボール(SAG grinding balls)、ミルライナーボルト(mill liner bolts)、粉砕用棒鋼(grinding rod)、フロス浮選用化学薬品(Flotation Chemicals)のほか、豪州ではComsteelブランドで150 種を超える車輪のほか、鉄道車軸、輪軸を製造しています。カナダの電炉事業(AltaSteel)は日本の共栄製鋼に2020年4月売却を行っています。 Tega Industriesは鉱物鉱石の粉砕やサイジングに使用される耐摩耗性ミルライナーを製造販売しています。2011年にTAアソシエイツが投資しました。 断熱材 Broadway Systems and Technology(ブロードウェイ・システムズ&テクノロジーズ)は、家庭用電化製品、自動車、医療向けの保護パッケージング、断熱材製品の大手サプライヤーです。プラチナムエクイティが2016年にシンガポールの上場会社であるブロードウェイインダストリアルグループ社から買収しました。 メカニカルシール AESSEAL(エーイーエスシール)は、メカニカルシールを製造するイギリスの企業です。メカニカルシールとは各種のポンプやその他の回転機械の動力を伝える軸部分(シャフト)に設置されるパッキン部品の一種で、液体やガスなどが機械の外に漏れるのを防ぐための製品です。3iが買収しました。 防衛関連機器 Photonis(フォトニス)は、フランスに本拠をおく防衛、および商業用途向けのイメージインテンシファイア(映像信号増幅装置)製造会社です。特に軍事向け暗視ゴーグル用に強みがあります。フランス、オランダ、アメリカ、メキシコで生産しています。アーディアンが買収しました。2021年にHLD Europeがアーディアンより買収をしました。 排熱機器 Howden(ハウデン)は、1854 年にスコットランドで創業された坑内通気や排水処理機器を製造しています。産業用のファン、熱交換器、コンプレッサー、送風機、蒸気タービンを提供しています。KPSキャピタルパートナーズが2019年に溶接・切断事業と医療機器事業大手であるColfax Corporation(コルファックス・コーポレーション)から18億ドルで買収しました。 Kelvion(ケルビオン)は、ドイツに本拠を置くplate heat exchangers(プレート式熱交換器)、shell & tube heat exchangers(とう(套)管式熱交換器)、冷却塔、冷却器等の製造会社です。電力、石油・ガス、化学、食品・飲料等幅広い業種に対応しています。Triton Partnersが2015年に食品加 工業界向けの設備を提供するGEA Groupより買収しました。 Triton Partnersがフランスの大手重電メーカーであるアルストムの熱交換器事業を2014年に買収し、Arvos(アルヴォス)へと社名変更しました。アルヴォスの事業部門であるシュミッチェ・シャック(SCHMIDTSCHE SCHACK)は、高温排熱回収装置( レキュペレーター)をシャックレキュペレータとして展開しています。別部門であるユングストローム(LJUNGSTRÖM)は、空気予熱器(air preheaters)、ガスヒーター(gas-gas heaters)を発電所、化学プラント、紙パルププラント等に展開をしています。
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