自動ドア(Automatic Door)とは、人や物品の接近、あるいは特定の信号をセンサーや機械的スイッチが検知し、人の手を介さずに電気モーターや油圧・空気圧システムを用いて自動的に開閉する制御ドアシステムの総称です。
その主な役割は、単なる利便性の向上にとどまりません。不特定多数が往来する商業施設やオフィスビルでは「通行の円滑化(モビリティ向上)」、病院やクリーンルームでは「非接触による衛生管理・感染症対策」、空港や公共交通機関では「バリアフリーの実現(アクセシビリティ)」、そして空間を密閉することによる「建物内の空調効率向上(省エネ・環境負荷低減)」など、現代建築のインフラとして多面的な目的で導入されています。
世界市場には多くの専門メーカーが存在し、グローバル規模で高いシェアを持つスウェーデンのASSA ABLOYやスイスのdormakabaをはじめ、日本国内においては高い技術力を持つナブテスコや、Horton(米)を傘下に持つ三和ホールディングスなどが主要なプレイヤーとして業界を牽引しています。
なお、Stanley Access Technologies(Allegion)やGEZEなど、自動ドア会社における自動ドア部門の数値抽出ができない場合は、本ランキングの対象外としております。
【自動ドアの構造と現代の技術動向】
自動ドアのシステムは、大きく分けて
「検知部(センサー)」
「制御部(コントローラー)」
「駆動部(モーター・エンジン)」の3つで構成されています。
進化した検知・駆動技術従来の赤外線センサーや超音波センサーに加え、近年では通過する人の動線を予測して無駄な開閉を減らす「インテリジェント・画像認識センサー」や、磁力を利用して静音性と耐久性を飛躍的に高めた「リニアモーター駆動(磁気浮上式)」の採用が進んでいます。
IoT・AIとの融合とスマートビルディング化近年の最重要トレンドは、ビル全体の管理システム(BMS)やセキュリティシステムとの連動です。自動ドアに通信機能(IoT)を持たせることで、以下のような高度な運用が可能になっています。
アクセス制御(セキュリティ): 顔認証システム、スマートフォン(モバイル資格情報)、電子ロックと連動し、許可された人物のみを通行させるゲートとしての役割。
AIを活用した予兆管理(遠隔保守): ドアの開閉速度や負荷の細かな変化をAIが分析し、故障する前に部品交換を促す「予測メンテナンス」の実現。
このように、現代の自動ドアは単なる「開閉する建具」から、建物のセキュリティとエネルギーマネジメントを最適化する「データの入り口(インテリジェント・エントランス)」へと進化を遂げています。
【自動ドア業界の市場シェア+ランキング】
自動ドア業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の自動ドア業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアッサ・アブロイ、2位はドルマカバグループ、3位はナブテスコとなります。自動ドア会社における自動ドア部門の数値抽出ができない場合は、本ランキングの対象外としております。
.png)
*推定値
| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | ASSA ABLOY Entrance Systems | アッサ・アブロイ | 17.56% |
| 2位 | dormakaba Group | ドルマカバ グループ | 12.24% |
| 3位 | Nabtesco Corporation | ナブテスコ | 2.75% |
| 4位 | Sanwa Holdings Corporation | 三和ホールディングス | 1.62% |
| 5位 | Boon Edam* | ブーンイダム* | 1.36% |
*推定値
自動ドア業界2025年における1位は、スウェーデンに本拠を置く世界最大級の錠前・ドアメーカー大手のアッサ・アブロイです。
積極的なM&Aで首位を強固にし、2025年も米InVue社買収などデジタル融合を加速、AI遠隔保守市場を牽引しました。
2位は、スイスのドルマカバグループです。
旧DORMAとKabaの統合によるシナジーを背景に、世界的な防犯・スマートビル化の波を捉えた「AI顔認証・電子ロック連動型ゲート」が欧州を中心に大ヒットし巨大なシェアを維持しています。
3位は、日本のナブテスコです。
国内での建物用ドア及びプラットホームドア需要が堅調に推移しました。
建物用ドアおよびプラットホームドア(ホームドア)の需要が堅調です。都市再開発や駅のバリアフリー化が継続的な需要を生んでいます。
4位は、日本の三和ホールディングスです。
米国での徹底した価格改定と、現地地方拠点の連続的な買収(M&Aインクリメント)が奏功し、傘下の北米Horton事業がグローバル規模を躍進させました。
5位はオランダのブーンイダムです。
生成AIの急速な普及に伴う世界的な「データセンター」の建設ラッシュを背景に、機密エリアへの不正進入を防ぐ独自の「共連れ(1回のアカウント認証で2人が同時に通り抜けること )防止センサー」を搭載した高セキュリティ回転ドアやスピードゲートが好調を維持しています。
【自動ドア業界の世界市場規模】
当データベースでは、2025年の自動ドア業界の市場規模を252.5億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社マーケットリサーチフューチャーによると、2025年の同業界の市場規模は252.5億ドルです。2026年から2035年にかけて年平均6.55%で成長し、規模は269.4億ドルから476.3億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 成長率見込み |
| 2025 | 252.5億ドル | – |
| 2026 | 269.4億ドル | – |
| 2035 | 476.3億ドル | 6.55% |

【M&Aの動向】
2016年 DORMAとKabaの経営統合(dormakabaの誕生)
2020年 ASSA ABLOY、agta recordを買収
2021年 StanleyはMTD Holdings Incを子会社化
2022年 Allegion、Stanley Access Technologiesを買収
2022年 三和ホールディングス、AUBを買収
2023年 三和ホールディングス、Door Control社およびDoor Concepts社を買収
2023年 Rite-Hite Holding Corporation、Alpha Door SystemsとKing Materials Handlingを買収
2025年 ASSA ABLOYが米国でInVueを買収
2025年 Gilgen Door Systems が Access Entry Pty Ltd の過半数の株式を取得
2025年 三和ホールディングス、Pasco Doorsの全株式取得
2025年 三和ホールディングス、Your Automatic Door Companyの全株式取得
【会社の概要】
Assa Abloy AB(アッサアブロイ)
スウェーデン・ストックホルムに本拠を置く、アクセスソリューション(錠前・セキュリティ・自動ドア)の世界最大手グループです。1994年にスウェーデンのASSA社(Securitas ABから分社化)と、フィンランドのAbloy社(ディスクタンブラー錠の発明者が創業)が統合して誕生しました。
自動ドア分野は「ASSA ABLOY Entrance Systems」として展開しているほか、「Yale」や「HID」など世界的なセキュリティブランドを傘下に保有しています。さらに詳しく
dormakaba Group(ドルマカバ グループ)
スイス・リュームラングにグローバル本社を置く、スマートなアクセス制御およびセキュリティの世界的リーディングカンパニーです。2015年にドイツのドア制御名門「DORMA社(1908年創業)」と、スイスのセキュリティ・鍵大手「Kaba社(1862年創業)」が対等合併して現在の体制となりました。
自動ドアシステムからスマートロック、メカニカルキー、ホテル向け客室管理、可動式間仕切り(Movable Walls)にいたるまで、エントランスの安全性と利便性をワンストップで提供しています。
ナブテスコ株式会社(Nabtesco)
日本(東京)に本社を置く精密機器および自動ドアの国内最大手メーカーです。旧鈴木商店の流れを汲む「ナブコ」と「帝人製機」が2003年に純粋持株会社を設立、2004年に現在の体制となりました。
歩行者用自動ドア事業は「NABCO(ナブコ)」ブランドで国内シェアトップを誇るほか、2011年にはスイスのKaba社より自動ドア事業(現:Gilgen Door Systems(ギルゲン・ドア・システムズ))を買収し、欧州・アジアに強力な基盤を持っています。自動ドア以外にも、産業用ロボット関節の「精密減速機」で世界首位のシェアを有し、鉄道車両用ブレーキ装置や航空機用アクチュエーター等でも高い技術力を誇ります。さらに詳しく
三和ホールディングス株式会社(Sanwa Holdings)
日本(東京)に本社を置く、シャッター、ドア、エントランス製品を展開するグローバル総合建材メーカーです。1956年に兵庫県尼崎市で「株式会社三和シヤッター製作所」として創業しました。日本国内では三和シヤッター工業がシャッターやスチールドアの圧倒的シェアを保有しています。
自動ドア関連事業においては、米国の自動スライドドアのパイオニアである名門 Horton Automatics(ホートン)を傘下に持つ「Overhead Door Corporation(ODC、米国)」、および欧州大手の「Novoferm(ドイツ)」を完全子会社として保有し、日米欧の主要3極でグローバルに「歩行者アクセス(自動ドア・フロント)事業」を展開しています。
Royal Boon Edam(ロイヤル・ブーン・イダム)
オランダのエダムにグローバル本社を置く、回転ドア(リボルビングドア)および高セキュリティ型スピードゲートの世界最大手企業です。1878年にオランダの木工・建具工房として創業し、150年以上の歴史を誇る老舗です。その技術力、国家的な重要性、高いモラルが評価され、オランダ王室から非常に名誉ある「Royal(ロイヤル)」の称号を授与されています。
世界中の国際空港、超高層オフィスビル、データセンターなどで高い信頼性を誇る回転ドアや、AI・ステレオカメラを用いた共連れ防止(テイルゲーティング検知)エントランスを強みとしています。
