産業用ロボット業界

産業用ロボット業界の世界シェア、市場規模と再編について分析をしています。ファナック、安川、ABB、クーカ、川崎重工業、三菱電機、ストーブリ、コマウ等産業用ロボット大手の得意分野や概略も掲載しています。

世界シェア

2018年度「産業用ロボットメーカーの世界売上高ランキングトップ9の分析」に記載されている、産業用ロボット大手メーカーの売上高を分子に、市場規模を分母として、産業用ロボット各社の世界市場シェアを計算すると、1位はスイスのABBの22%、2位はファナックの21%、3位は安川電機の13%となります。

産業用ロボット市場シェア

1位    ABB    22.4%

2位    ファナック    20.6%

3位    安川電機    13.3%

4位    クーカ    12.1%

5位    川崎重工業    6.4%

6位    ストーブリ    3.9%

7位    コマウ    3.9%

8位    エプソン    0.6%

9位    Siasun    0.3%

2018年度の産業用ロボット業界の世界市場シェアは、1位がスイスの重電メーカー大手であるABB社、2位がコンピューター制御分野に強い日本のファナック、3位が同じく日本の安川電機、4位がドイツのクーカ、現在は中国の美的集団グループ傘下企業となっています。安川電機は、モーションコントロール技術を活かして、ロボットに必要な、サーボモータやインバータを内製しています。

5位は、シリコンウェアの搬送ロボットに強い日本の川崎重工が伸ばしており、6位の繊維機器メーカー発祥であるスイスのストーリブを抜いています。7位には、イタリアのフィアットクライスラー(FCA)傘下のコマウ、日本のエプソン、中国最大手の瀋陽新松(Siasun)となります。

市場規模

調査会社のMarketsandMarketsの予測では、産業用ロボットの世界市場規模は487億ドルです

industrial robotics market size (including the prices of peripherals, software, and system engineering) to grow from USD 48.7 billion in 2019 to USD 75.6 billion by 2024

一方で調査会社のFortune Business Insightsによれ、ば2018年の市場規模は188億ドルです。

当サイトで、両調査会社の中間値である330億ドルを市場規模として採用しております。

なお、台数ベースでは年間生産台数は世界供給台数は約25万台程度、稼働台数ベースでは150万台程度と言われています。

世界市場規模の推移をみると、2008年の約11万台から、2016年には約25万台を超える水準になっています。約4%の平均成長率となっています。今後も、中国の自動車や電機メーカーによる、産業ロボットへの積極的な投資が見込まれ、市場は拡大するものと思われます。

産業用ロボットの種類

産業用ロボットには大きく分けて垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボットの4種類のロボットがあります。それぞれ得意とする領域が異なります。

自動車や電機メーカーの工場で使用される多のは関節産業用ロボットです。産業用ロボットは、工場内で塗装、組立、研磨、切断、搬送、溶接、測定、検査等の作業を担い、生産のサポートを行なっています。

部品の種類

産業用ロボットを製造するにあたり、中核部品は、精密減速機、トルク・速度・位置制御に必要なサーボモーター、コントローラーシステム、機械本体の4つであると言われています。これらの中核部品の組み合わせには長年のノウハウが必要で、また工場の設備であることから、迅速なメンテナンス体制等が求められます。

精密減速機の分野では、日本のナブテスコ(大型の産業用ロボットに使用されるRV減速機に強い)とハーモニック・ドライブ・システムズ(小型の産業用ロボットに使用される波動歯車装置に強い)、住友重機械工業が、世界トップ3です。4位のスロバキアのスピネア(Spinea)を大きく引き離しています。近年、減速機の分野では、RV減速機で中国の南通振康机械有限公司(NANTONG ZHENKANG MACHINERY)、波動歯車装置で蘇州緑的諧波(Leaderdrive、リーダードライブ)が存在感を示しています。

用途ごとに得意とする産業用ロボットメーカーが異なる点には注意が必要でしょう。例えば、溶接系(アーク溶接やスポット溶接)では、産業用ロボット4大メーカーのファナック、安川、ABB、クーカが強いものの、液晶ガラスの搬送ロボットでは、川重、Brooks Automation、日本電産サンキョー、安川の4社がほぼ市場を席巻しています。

また、産業用ロボットの基幹部品(パソコンでいうCPU)で、内製化が難しいと言われている精密減速機については、日本のナブテスコが世界シェア首位です。

業界の再編

現状、産業用ロボットの業界再編はほとんど起きていませんが、今後中国系のメーカーが工場自動化(ファクトリーオートメーション化)をめざし、海外企業の買収を狙う可能性は十分にあります。

2016年 美的集団がドイツの産業用ロボット四天王の一角のクーカを買収

産業用ロボットの主要メーカー動向

FANUC(ファナック)

日本を代表するファクトリーオートメーション大手です。産業用ロボットでも世界最大手の一角を占めています。産業用ロボットの累積販売台数では世界最大です。

Yasukawa (安川電機)

サーボモーターとインバーター大手です。産業用ロボットにも強みを持ちます。溶接から搬送まで幅広い用途に対応する産業用ロボットを展開しています。

ABB(エービービー)

スイスに本拠を置く重電・重工業大手。ABBはAsea Brown Boveri(アセア・ブラウン・ボベリ)の略です。1988年にスウェーデンとアセアとスイスのブラウン・ボベリが経営統合をして誕生しました。アセアとブラウン・ボベリは1890年代に創業された両国を代表する老舗重電メーカーです。発電・送変電機器と自動化機器やソフトウェア事業に強みを持ちます。原子力発電事業と火力発電事業といった発電機器は、それぞれWestinghouse(ウェスティングハウス)とAlstom(アルストム)に売却し撤退しました。2018年にGEよりエレクトリフィケーション事業を行うGEインダストリアルソリューションを買収しました。

事業構成

ABBの事業は大きくエレクトリフィケーション・プロダクト事業本部、ロボティクス&モーション事業本部、インダストリアル・オートメーション事業本部、パワーグリッド事業本部に分かれます。

KUKA(クーカ)

ドイツに本拠を置く産業用ロボットメーカーです。フォルクスワーゲン等のドイツ車向けの取引のボリュームが多いことが特徴です。2016年中国の家電大手の美的集団が買収をしました。溶接、塗装、パレンタイジングに強みを持ちます。

川崎重工業

日本を代表する重電メーカーです。溶接やシリコンウェアの搬送等の産業用ロボットに強みを持ちます。累積販売台数ではドイツのクーカに匹敵します。

不二越

商標は那智(ナチ)。ベアリング、切削工具系の工作機械でも有名です。溶接系や搬送系のロボットに強いです。

そのほかの日本メーカーとしては、自動車向け産業用ロボットに強いデンソー、精密機械向けに強いエプソン、電機向けに強い三菱電機等があげられます。

Staubli(ストーブリ)

スイスに本拠を置く繊維機械用ロボット大手です。水平型多関節ロボット(スカラ)に強みを持ちます。

Comau(コマウ)

イタリアに本拠を置く産業用ロボット大手です。溶接用に強みを持ちます。フィアットクライスラーオートモーティブ(FCA )のグループ会社です。

中国の産業ロボット大手プレイヤー

現在は日本勢や欧州勢の独断場である産業ロボット業界ではあるものの、中国資本(中資)メーカーが育ちつつあります。その中でも、いち早く量産化に成功した、瀋陽新松機器人自動化 (Siasun)、広州数控設備 (GSK CNC EQUIPMENT)、安徽埃夫特智能裝備 (Efort)、南京埃斯頓機器人工程 (Estun)の4社が、現状Big4と言われています。

4社のうち、Siasunは、証券取引所にも上場しており、証券コードは、機器人(ロボット)となっています。Efortは、中国大手自動車メーカーの奇瑞汽車と近く、イタリアのロボットメーカーのSI EVOLUTを2016年に買収しています。美的集団も株主となっています。

主要な業界団体

日本ロボット工業会

International Federation of Robotics

業界の参考書

映像情報インダストリアル2019-1・2「特集1:自動化を実現する産業用ロボット」「特集2:モノづくりの未来を照らす産業用照明」 [雑誌]

産業用ロボットQ&A 100問 [単行本]

これだけ! 溶接 (これだけ!シリーズ) [単行本]

電子部品 営業利益率20%のビジネスモデル [単行本(ソフトカバー)]

図解 産業用ロボット導入実践ガイド [単行本]

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