産業用ロボット業界の世界市場シェアの分析

産業用ロボット業界の世界市場シェア、市場規模と再編について分析しています。クーカ、ファナック、ABB、川崎重工業、三菱電機、ストーブリ、コマウといった産業用ロボット大手の動向や概略も掲載しています。

【産業用ロボット業界とは】

産業用ロボットには大きく分けて垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボットの4種類があり、それぞれ得意とする領域が異なります。

自動車や電機メーカーの工場で使用されることが多いのは関節産業用ロボットです。産業用ロボットは、工場内で塗装、組立、研磨、切断、搬送、溶接、測定、検査等の作業を担い、生産のサポートを行っています。

産業用ロボットの種類

産業用ロボットには大きく分けて垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボットの4種類があり、それぞれ得意とする領域が異なります。自動車や電機メーカーの工場で使用されることが多いのは関節産業用ロボットです。

産業用ロボットは、工場内で塗装、組立、研磨、切断、搬送、溶接、測定、検査等の作業を担い、生産のサポートを行っています。

部品の種類とサプライチェーン動向

産業用ロボットを製造するにあたり、中核部品は、精密減速機、トルク・速度・位置制御に必要なサーボモーター、コントローラーシステム、機械本体の4つであると言われています。これらの中核部品の組み合わせには長年のノウハウが必要で、また工場の生産設備であることから、迅速なメンテナンス体制等が求められます。

  • 精密減速機の動向:

    • 大型・高負荷の産業用ロボットに使用されるRV減速機の分野では、日本のナブテスコが世界シェアの約6割を握り、圧倒的な首位を維持しています。
    • 小型ロボット向けを中心とする波動歯車装置の分野では、ハーモニック・ドライブ・システムズが世界的強みを持っています。
    • 従来トップ3を形成していた住友重機械工業に加え、近年では中国の南通振康机械有限公司(NANTONG ZHENKANG MACHINERY)や、波動歯車装置における蘇州緑的諧波(Leaderdrive、リーダードライブ)などの中国勢が急速にプレゼンスを高めており、グローバルでの競争が激化しています。

  • 用途別の強みとメーカーの棲み分け:

    • 用途ごとに得意とする産業用ロボットメーカーが異なる点には注意が必要です。例えば、溶接系(アーク溶接やスポット溶接)では、4大メーカーのファナック、安川電機、ABB、クーカが強力な地歩を築いています。
    • 一方で、液晶ガラスや半導体ウエハなどのクリーン搬送ロボット分野では、川崎重工業をはじめとするプレイヤーが大きな存在感を示しています。
    • パソコンのCPUに例えられる基幹部品「精密減速機」の内製化は依然としてハードルが高く、日本企業が培ってきた高い信頼性と技術力が引き続き世界市場を支える基盤となっています。

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【産業用ロボット業界の世界市場シェア】

産業用ロボット業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の産業用ロボット業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はクーカ、2位はファナック、3位はABBとなります。

産業用ロボット業界の市場シェア(2025年) ©2026 Deallab

順位 Company name(English) 企業名(日本語) 市場シェア
1位 Kuka クーカ(美的集団) 11.14%
2位 Fanuc ファナック 8.81%
3位 ABB ABB 8.52%
4位 Staubli ストーブリ 7.51%
5位 Yaskawa 安川電機 5.75%
6位 Yamaha ヤマハ発動機 2.60%
7位 Siasun Siasun 2.24%
8位 Kawasaki 川崎重工業 2.16%
9位 Mitsubishi Electric 三菱電機 1.86%
10位 DENSO デンソー 1.15%
11位 Daihen ダイヘン 0.77%
12位 Hyundai Robotics 現代ロボティクス 0.66%
13位 Fujikoshi 不二越 0.60%
14位 Seiko Epson Corporation エプソン 0.55%
産業用ロボットの世界市場シェアと業界ランキング(2025年) ©2026 Deallab

5位以下に含まれる日本企業(安川電機、ヤマハ発動機、川崎重工業、三菱電機、デンソー、ダイヘン、不二越、エプソン)を日本勢としてまとめ、それぞれの特徴を交えて再編・編集した構成案です。

産業用ロボット業界の主要企業動向

上位グローバルプレイヤー

  • 1位:クーカ(KUKA / 中国・美的集団傘下)

    • ドイツ発祥の世界的ロボットメーカーであり、現在は中国の家電大手である美的集団(Midea Group)の傘下に入っています。自動車産業向けなどを中心にグローバルで高い実績を誇ります。

  • 2位:ファナック(日本)

    • コンピューター制御(CNC)分野やサーボ技術に圧倒的な強みを持つ日本のロボット最大手です。高い利益率やFA事業とのシナジーを武器に、世界トップクラスの地位を維持しています。

  • 3位:ABB(スイス)

    • スイスに本拠地を置く世界的な重電・ロボットメーカー大手です。強固なグローバル販売網と、総合的なシステムインテグレーション力に定評があります。

  • 4位:ストーブリ(Stäubli / スイス)

    • 繊維機器メーカー発祥であり、現在は高速・高精度な4軸・6軸ロボットや、クリーンルーム・医療などの特殊環境向けロボットで高い実績を持つスイスのメーカーです。

日本勢の動向と各社の特徴

5位以下には多くの日本企業がランクインしており、それぞれが独自の技術や得意分野で世界市場を支えています。

  • 安川電機(5位)

    • モーションコントロール技術を活かして、ロボットに不可欠なサーボモータやインバータなどを自社で内製しているのが大きな強みです。アーク溶接やスポット溶接などの分野で強力な地歩を築いています。

  • ヤマハ発動機(6位)

    • 小型ロボットや表面実装機(SMT)などの分野で高い技術力を持ち、省スペース化や高速化が求められる生産現場で広く採用されています。

  • 川崎重工業(8位)

    • 日本の総合重工大手であり、古くから産業用ロボットを手がけています。特に液晶ガラスや半導体などのクリーンな環境向けの搬送ロボット分野などで強みを発揮しています。

  • 三菱電機(9位)

    • FA(ファクトリーオートメーション)機器全般との高い親和性を持ち、小型・中型の垂直および水平多関節ロボットで一般産業の組み立て分野などに広く展開しています。

  • デンソー(10位)

    • 自動車部品メーカーとしての自社工場の自動化で培った豊富なノウハウを背景に、高速・高精度な小型組み立て用ロボット(スカラロボット等)の開発・活用で高い実績を誇ります。

  • ダイヘン(11位)

    • 溶接用電源やFA機器に強みを持ち、特にアーク溶接ロボットや周辺機器のシステム構築において優れた技術力とシェアを持っています。

  • 不二越(13位)

    • 総合機械メーカーとして、素材から加工・ロボット本体まで一貫して手がけており、自動車のパワートレイン製造やプレス加工の自動化ラインなどで強みを発揮しています。

  • エプソン / セイコーエプソン(14位)

    • 高精度な水晶振動子の製造技術をルーツに持ち、世界トップクラスのシェアを誇るスカラロボット(水平多関節ロボット)など、電子部品の精密組立分野で圧倒的な強みを持っています。

【産業用ロボット業界の世界市場規模】

当データベースでは、2025年の産業用ロボット業界の市場規模を270億ドルとしております。

参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社プレスデンスリサーチによると、2025年の同業界の市場規模は270億ドルです。2026年から2032年にかけて年平均13.21%で成長し、規模は933億ドルへと拡大することを見込んでいます。

市場規模 年平均成長率
2025 270億ドル
2026 307億ドル
2035 933億ドル 13.21 %

産業用ロボット業界の市場規模の成長予想 ©2026Deallab

【M&Aの動向】

2016年 美的集団がドイツの産業用ロボット四天王の一角であるクーカを買収。
2020年 川崎重工業株式会社と100%子会社である株式会社カワサキモータースジャパンならびに三菱重工業株式会社のグループ会社である三菱重工メイキエンジン株式会社は、カワサキモータースジャパンが行う日本国内での小型空冷4サイクルならびに2サイクル汎用エンジン販売事業を三菱重工メイキエンジンに事業譲渡
2021年 KUKA はVisual Componentsを取得し、インテリジェント オートメーションの次のレベルを定義。
2023年 安川電機の子会社であるYaskawa Europe Holding ABは、保有するThe Switch Engineering Oyの株式を全てBEMAC株式会社および三井物産株式会社(以下「三井物産」)に譲渡。
2024年 ヤマハ発動機は、マリン電動推進機メーカー「Torqeedo社」を買収。カーボンニュートラル達成を加速。
2024年 ABB、中国におけるシーメンスの配線アクセサリ事業の買収により電動化ポートフォリオを拡大”
2024年 ストーブリはジャカード分野での地位を強化するため、北アフリカでの買収を完了
2025年 ABB、シーメンスの中国における配線アクセサリー事業の買収を完了
2025年 ヤマハ発動機はドイツの自動車部品メーカーBrose社の自転車用ドライブユニット(e-Kit)事業子会社を買収

【会社の概要】

Kukaクーカ(美的集団)

ドイツに本拠地を置く世界的な産業用ロボットメーカーです。自動車産業向けを中心に高い実績を誇り、2016年に中国の家電大手である美的集団(Midea Group)の傘下に入りました。溶接や塗装、パレタイジングなどの分野に強みを持っています。さらに詳しく

Fanuc(ファナック)

1956年に設立された日本を代表するファクトリーオートメーション(FA)および産業用ロボット大手です。工作機械用NC装置(コンピュータ数値制御装置)やサーボモーターなどの制御技術で圧倒的な世界シェアを誇り、産業用ロボットの分野でもトップクラスの地位を維持しています。さらに詳しく

ABB

スイスに本拠地を置く世界的な重電・テクノロジー企業です。発電・送変電からファクトリーオートメーション、ロボティクス事業まで幅広く展開しており、強力なグローバルネットワークとシステムインテグレーション力に定評があります。さらに詳しく

Stäubli(ストーブリ)

1892年にスイスで設立された歴史あるメーカーです。繊維機械分野を発祥とし、現在では高速・高精度な4軸・6軸ロボットや、クリーンルーム・医療などの特殊環境向けロボット、流体・電気コネクター事業を展開しています。さらに詳しく

Yaskawa(安川電機)

1915年に設立されたモーションコントロールおよび産業用ロボットの有力企業です。独自のメカトロニクス技術を活かして、ロボットに不可欠なサーボモータやコントローラなどを内製しており、アーク溶接やスポット溶接、搬送などの分野で強みを発揮しています。さらに詳しく

Yamahaヤマハ発動機

小型ロボットや表面実装機(SMT)などの分野で高い技術力を持つ日本のメーカーです。省スペース化や高速化が求められる電子部品の組立などの生産現場で広く採用されています。さらに詳しく

Siasun(瀋陽新松機器人自動化)

中国最大手のロボット企業であり、中国科学院を背景に設立された上場企業です。中国国内の旺盛なスマート工場・自動化需要を背景に存在感を高めており、産業用ロボットから協働ロボット、AGV(無人搬送車)まで幅広く展開しています。さらに詳しく

Kawasaki(川崎重工業)

1896年創業の日本の総合重工大手です。古くから産業用ロボットを手がけており、自動車のボディ溶接ラインや、液晶ガラス・半導体分野などのクリーン環境向け搬送ロボットで高い実績を持っています。さらに詳しく

Mitsubishi Electric(三菱電機)

1921年に設立された日本を代表する総合電機メーカーです。FA(ファクトリーオートメーション)機器全般との高い親和性を活かし、小型・中型の垂直および水平多関節ロボットを一般産業の組み立て分野などに広く展開しています。さらに詳しく

DENSO(デンソー)

自動車部品大手の知見を活かし、自社工場の自動化や現場のニーズに根ざした高速・高精度な小型組み立て用ロボット(スカラロボット等)の開発・活用で高い実績を誇ります。さらに詳しく

Daihen(ダイヘン)

溶接用電源やFA機器に強みを持つ日本のメーカーです。特にアーク溶接ロボットや周辺機器のシステム構築において、優れた技術力と高いシェアを持っています。さらに詳しく

Hyundai Robotics(現代ロボティクス)

韓国を代表する重工業グループであるHD現代(旧現代重工業)系のロボットメーカーです。自動車製造をはじめとする各種生産ライン向けに産業用ロボットや自動化ソリューションを提供しています。さらに詳しく

Fujikoshi(不二越)

「ナチ(NACHI)」ブランドで知られる日本の総合機械メーカーです。ベアリングや切削工具からロボット本体まで一貫して手がけており、自動車のパワートレイン製造やプレス加工の自動化などで強みを発揮しています。さらに詳しく

Seiko Epson Corporation(エプソン)

高精度な水晶振動子の製造技術をルーツに持ち、世界トップクラスのシェアを誇るスカラロボット(水平多関節ロボット)をはじめ、電子部品の精密組立分野で圧倒的な強みを持っています。さらに詳しく

中国の産業ロボット大手プレイヤー

かつては日欧勢が市場を独占していましたが、中国政府の国産化・製造業高度化政策(「中国製造2025」など)と巨額の投資を背景に、中資メーカーが急速に台頭しています。

従来は瀋陽新松機器人自動化(Siasun)、広州数控設備(GSK)、安徽埃夫特智能裝備(Efort)、南京埃斯頓機器人工程(Estun)の4社が国内「Big4」と称されてきました。近年ではエストン(Estun)やイノバンス(Inovance)などのローカル企業が積極的な事業展開や海外進出を進め、グローバル市場でも存在感を高めています。

  • 瀋陽新松機器人自動化(Siasun)

    • 中国科学院発祥の最大手企業。深圳証券取引所に上場しており、証券コードに「機器人(ロボット)」が使われていることでも知られます。産業用から協働ロボット、AGV(無人搬送車)まで幅広く手掛けます。

  • 南京埃斯頓機器人工程(Estun)

    • 積極的なM&Aやサーボシステム等の内製化を武器に急成長を遂げた総合ロボットメーカー。中国国内で圧倒的な出荷規模を誇るだけでなく、世界市場でも上位に迫る勢いを見せています。

  • 安徽埃夫特智能裝備(Efort)

    • 自動車大手・奇瑞汽車を背景に持ちます。欧州市場への展開を狙い、イタリアのロボットメーカー(SI EVOLUT等)やインテグレーターを買収するなど国際的な技術獲得を推進してきました。美的集団も主要株主に名を連ねています。

  • 広州数控設備(GSK CNC EQUIPMENT)

    • 工作機械向けのCNC(数値制御)装置や駆動システムで長年培った技術を基盤に、産業用ロボット分野へ参入。優れたコストパフォーマンスを武器に市場シェアを拡大しています。

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