GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2021年にGEをヘルスケア部門、電力・エネルギー部門、航空部門の3社へと分社化することを発表しました。
2018年度
売上高は前年度比2.28%減の97,012百万ドルになりました。営業利益は84.99%増の-20,987百万ドルになりました。営業利益率は-21.63%になりました。
2019年度
売上高は前年度比21.71%減の95,214百万ドルになりました。営業利益は-105.71%減の1,149百万ドルになりました。営業利益率は1.21%になりました。
2020年度
売上高は前年度比20.36%減の75,833百万ドルになりました。営業利益は419.58%増の5,970百万ドルになりました。営業利益率は7.87%になりました。
2021年度
売上高は前年度比2.16%減の74,196百万ドルになりました。営業利益は161.69%減の-3,683百万ドルになりました。営業利益率は-4.96%になりました。ラリー・カルプ氏就任以降、事業の再編が進み、売上高は減少しています。2021年度は再編に係るDebt extinguishment costsが発生し営業損失を計上しました。
2022年度
売上高は前年度比3.18%増の76,555百万ドルになりました。営業利益は138.34%減の1,412百万ドルになりました。営業利益率は1.84%になりました。パンデミック規制緩和の影響から飛行機を使用した海外旅行などの回復が続いていることが大きな要因となり増益増収となりました。
2022年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比0.18%減の17,040百万ドルになりました。営業利益は-525百万ドル、営業利益率は-3.08%になりました。航空業界では世界的な材料不足、人手不足の影響、パワー事業ではウクライナ紛争の影響を受けましたが、増収となりました。
2022年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比2.15%増の18,646百万ドルになりました。営業利益は-244百万ドル、営業利益率は-1.31%になりました。中国のコロナ規制によりヘルスケア事業では影響がみられ、またインフレの影響もあり営業利益はマイナスの結果となりました。
2022年第3四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比2.77%増の19,084百万ドルになりました。営業利益は-55百万ドル、営業利益率は-0.29%になりました。インフレと供給の課題が業界に影響はありますが、パンデミックの規制緩和により航空業の回復によるエンジンの受注増加、ヘルスケア事業ではコロナ後の運営コストを削減する製品やサービスへの投資の動きが要因となり増収となりました。
2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比7.3%増の21,786百万ドルになりました。営業利益は2,237百万ドル、営業利益率は10.27%になりました。航空宇宙とヘルスケアでの増収となりましたがリニューアブルエナジーとパワー事業では減収により一部相殺となりました。
2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比14.29%増の14,486百万ドルになりました。営業利益は6,492百ドル、営業利益率は44.82%になりました。ロシア・ウクライナの影響もありましたが、航空宇宙とリニューアブルエナジー、パワーの受注増加などにより増益増収となりました。
希薄化後EPSは前年度比116.31%減の0.53ドルになりました。1株当たりの配当は前年と変わらずの0.32ドルになりました。配当性向は60.38%になりました。
セグメントは、4つに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
航空宇宙
航空機エンジン:商業用の航空機エンジン
防 衛 機 器:軍用機向けのエンジン
航空機システム:アビオニクスシステム、ギア、トランスミッションなどの航空機部品
リニューアブルエナジー
陸 上 風 力:風車やタービン
グリッドソリューション:送電配電機器やシステム
水力と洋上風力:水力発電所向けのタービンやその他機器
(設置容量ベースで世界の25%)
パワー
ガ ス パ ワー:ガス火力発電所向けのタービン
スチームパワー :原子力発電所と化石燃料発電所向けの技術とサービスのポートフォリオを提供
石炭火力・原子力:石炭、原子力発電所向けのタービン、ボイラー、発電機
ヘルスケア
ヘルスケア機器:画像診断、X線撮影、各種医療用検査機器
ファーマシューティカル・ダイアグノスティックス:医療用画像検査で使用される造影剤や分子イメージング剤を提供、開発
2006年 保険事業をスイス再保険へ売却
2007年 プラスチック部門をサウジアラビアのSABICに売却
2007年 GEセキュリティを米国のUTC(ユナイテッド・テクノロジーズ)に売却
2009年 メディア事業のNBCユニバーサルをコムキャストへ売却
2015年 仏重電大手のアルストムと発電事業及び鉄道車両事業における経営統合
2016年 家電事業を中国のハイアールへ売却
2016年 GEキャピタル傘下の消費者金融部門をシンクロニー・フィナンシャルとして分社化IPO
2017年 GE Waterをスエズエンバイロメントに売却
2017年 フランスで展開する消費者金融のGE Moneyを投資ファンドのサーベラスへ売却
2017年 デンマークのブレードと呼ばれる羽根の部分を製造する風力発電機器メーカー、LMウインド・パワーを買収
2018年 業務用照明部門(カレント)をアメリカン・インダストリアル・パートナーズに売却
2018年 分散型電源対応用のガスエンジンを生産するブランド「イエンバッハ」と「ワーキシャー」をアベンティスに売却
2018年 機関車事業を米鉄道機器メーカーのワブテックと経営統合
2018年 フィールドサービス管理ソフトウェアを提供するServiceMax(サービスマックス)をSilver Lakeに売却
2018年 ヘルスケア部門の分社化を発表
2019年 ベーカー・ヒューズの持分の売却
2019年 GEトランスポーテーションをワブテックへ売却
2020年 照明事業をサバント・システムズへ売却
2020年 GECASとエアキャップが経営統合
2021年 アビエーション事業、ヘルスケア事業、パワー&リニューアブル事業へ分社化
(ご参照)GEのかつての事業部門
オイル・ガス事業では、ガス・蒸気タービン、圧縮機、ポンプ、エキスパンダー等の回転機器、大型回転機械の振動計測サービス、発電所の制御装置、工業用計測機器、放射線モニタリング機器、非破壊検査機器、流体制御のバルブ製品等を製造していました。石油やガス関連向けに採掘・生産・パイプライン輸送、化学プラント向けの機器を提供するオイル&ガス事業は、2017年に、イメルト氏の「水より石油」というリーダーシップの下、水処理膜事業や水処理向けのプラントを含む工業用水処理事業のGE Waterをスエズエンバイロメントに売却し、石油サービス大手であるベーカー・ヒューズを買収しています。GEオイルガス事業をベーカー・ヒューズと事業統合し、2019年には保有しているベーカー・ヒューズ株式を市場で売却しました。
GEトランスポーテーションでは、ディーゼル機関車等鉄道用車両や船舶用エンジンなどを製造・販売していました。2017年の売上高は約39億ドル。従業員数は約9000人。2018年に米機関車・貨客車製造大手ワブテックに株式の49.9%を29億ドルで売却されました。
照明事業はGEの祖業です。2018年に業務用照明部門を投資ファンドに売却をしました。消費者向けの照明は2020年にサバント・システムズに売却しました。
航空機リースの分野は、GECAS(ジーキャス)を保有していました。2020年にエアキャップと経営統合をしました。