デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I du Pont de Nemours)は、1802年にフランス人のエルテール・イレネー・デュポンによって設立された世界最大級の化学メーカーです。2015年米同業のダウケミカルと経営統合しましたが、特殊産業材事業が分社化され新生デュポンとなりました。2011年にデンマークに本拠を置く食品成分大手であるDanisco(ダニスコ)を買収し、ニュートリション&バイオサイエンス事業で食品成分事業を強化していましたが、同事業は2019年に香料大手のIFFとの経営統合し、香料と食品成分を手掛ける総合食品成分会社となりました。水処理膜事業についてはDuPont Water Technology(デュポンウォーターテクノロジー)で展開しています。RO膜に強みがあります。
2021年度
売上高は前年度比16.15%増の16,653百万ドルになりました。営業利益は前年度比-247.17%増の2,596百万ドルになりました。エレクトロニクスや水などの成長分野に加え、自動車、建設、産業など前年同期にCOVID-19の大流行による 影響を受けた最終市場も回復しています。
2022年7-9月
売上高は前年同期比3.69%増の3,317百万ドルになりました。営業利益は前年同期比34.47%増の593百万ドルになりました。営業利益率は17.9%になりました。
2022年4-6月
売上高は前年同期比-19.66%の3,322百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-23.65%の620百万ドルになりました。営業利益率は18.7%になりました。バイオマテリアル部門の売却で減収となり、原材料費の高騰を価格転嫁しきれずに減益となりました。
2022年1-3月
売上高は前年同期比8.52%増の3,274百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-26.59%の370百万ドルになりました。営業利益率は11.3%になりました。
2021年10-12月
売上高は前年同期比13.89%増の4,271百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-9.77%の471百万ドルになりました。需要は回復していますが、原油価格上昇に伴う原材料費の増加が減益の主因です。
好調な業績を反映して、2021年度の希薄化後EPSは黒字化しました。
Electronics & Imaging、Water & Protection、Mobility & Materialsが主力セグメントですが、サブセグメントの売上構成は以下の通りです。
インダストリアルソリューションズ事業:
フレキソ印刷版・材料、デジタルインク、有機ELなどのディスプレイプロセス材料の製造販売
インターコネクトソリューション事業:
回路実装用フィルム・積層材、配線のメタライズおよびイメージングプロセス用化学品、ドライフィルム積層材、ポリイミドフィルム、フレキシブル回路材料の製造販売
半導体テクノロジーズ事業:
CMP用消耗品、フォトリソグラフィー用材料、半導体製造用材料、製造用洗浄剤・除去剤、先端チップパッケージング用材料、熱管理用材料、LED用封止材の製造販売
主な競合会社
3M、アトテック、CMCマテリアル、エレメントソリューションズ、エンテグリス、ヘンケル、メルクKGaA、および パーカー・ハネフィン
アドバンスドソリューション事業:
シリコーンカプセル化剤、接着剤、ポリエステルフィルムなどの製造販売
パフォーマンス樹脂事業:
ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂、熱可塑性樹脂添加剤などの製造販売
モビリティソリューション事業:
ナイロン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂などを製造販売
主な競合会社:
BASF、Celanese、EMS Chemie、Henkel、Lanxess、三菱ケミカル、Royal DSM、Sika
セイフティソリューション事業:
タイケム 防護服、繊維の製造販売
シェルターソリューションズ事業:
外装断熱材、耐候性、防水および気密性、コーキングおよびシーラント、屋根塗装、表面化粧材の製造販売
ウォーターソリューション事業:
イオン交換樹脂、逆浸透膜・ナノろ過エレメント、限外ろ過モジュール、難水用逆浸透膜、家庭・商業ビルの飲料水ろ過・浄水器の製造販売
主な競合会社:
3M、Honeywell、Hydranautics、Kingspan、Lanxess、LG Corp、Owens-Corning、Purolite、Royal DSM、東レ、帝人
2021年 アドベントからLaird Performance Materialsを買収
2020年 IFFとニュートリション&バイオサイエンス事業を統合
2020年 DDP Specialty Electronic Materialsなどの化合物半導体ソリューション事業部門をSKシルトロンへ売却
2019年 農薬事業をCortevaとして分社化
2019年 ダウとデュポンが分離
2017年 ダウとデュポンが経営統合
ダウとデュポンの経営統合・分社化の流れ