酵素業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。ノボザイムズ、デュポン、アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ、クリスチャン・ハンセン、DSMといった酵素大手メーカーの概要や動向も掲載しています。
市場シェア
酵素メーカーの2020年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年の酵素業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はデュポンとなります。
酵素業界の世界市場シェアと業界ランキング(2020年)
順位 | 酵素メーカー | 市場シェア(2020年) |
---|---|---|
1位 | デュポン | 25.8% |
2位 | ノボザイムズ | 25.2% |
3位 | アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ | 23.6% |
4位 | クリスチャン・ハンセン | 9.4% |
5位 | DSM | 8.6% |
6位 | 天野エンザイム | 1.9% |
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市場規模
当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、酵素業界の2020年の世界市場規模を89億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2020年の同業界の市場規模は89億ドルです。2027年にかけて6.4%で成長し、同年には138億ドルへと拡大することが見込まれます。
調査会社のアライドマーケットリサーチによると、2019年の同業界の市場規模は86億ドルです。2027年にかけて年平均6.5%での成長を見込みます。グランドビューリサーチによると、2019年の同市場の規模は99億ドルです。2027年にかけて年平均7.1%の成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 酵素業界の市場規模 | 成長率見込み |
---|---|---|
2020年 | 89億ドル | 6.4% |
2019年 | 86~99億ドル | 6.5~7.1% |
酵素とは
酵素の主要な役割は化学物質の分解反応を触媒することです。例えば、アミラーゼはデンプン(デンプン→ブドウ糖)を、プロテアーゼはタンパク質(タンパク質→アミノ酸)を、リパーゼは脂質(脂質→脂肪酸)を分解する酵素として有名です。
発酵食品を作る時には、酵素の役割は非常に重要になります。例えば、納豆だったらナットウキナーゼ、チーズだったらレンネットという酵素なくして製造することができません。洋服についた食べ物の汚れを落とすために洗剤に酵素が配合されています。また、酵素を生み出すには、微生物が重要です。麹菌、乳酸菌、酵母菌等が酵素を生み出す微生物として有名です。
酵素反応のしくみ
初めての酵素化学
食品添加物・食品成分業界の世界市場シェアの分析
食品業界で投資ファンドがエグジットをする可能性がある会社の分析
主要な酵素メーカーの動向
アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ
アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズは、1935年にガーフィールド・ウェストン氏によって設立されたベーキング会社を源流とするアソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズは、英国に本拠を置く食品成分・食品メーカーです。ベーキングパウダー、イースト菌やラクトース等の食品添加物に強みを持ちます。紅茶は英国王室御用達のトワイニングス(Twinings)ブランドを世界展開。トワイニングといえば、アール グレイ(EARL GREY、ベルガモットの香りが吹き付けられたさわやかな紅茶)が有名です。ファストファッションはPrimarkブランドで展開しています。砂糖はAB SugarにてBritish Sugarブランドで展開しています。酵素は、AB Enzymes(ABエンザイムズ)で展開しています。ベーキング、非デンプン多糖、洗剤、プロテアーゼ、フィードといった酵素を製造・販売しています。さらに詳しく
ノボザイムズ(Novozymes)
ノボザイムズ(Novozymes)は、2000年に製薬会社ノボノルディスクから分社化されて誕生したデンマークに本拠を置く食品成分メーカーです。脂肪分解酵素であるリポラーゼを発見したことでも有名です。酵素と微生物に特化した戦略を打ち出しています。洗剤、食品、飲料、バイオ燃料、肥料向けの酵素を提供しています。同社は上場会社ですが、生物医学およびバイオテクノロジー研究に特化したノボノルディスク財団傘下にあるノボホールディングスが議決権の70%を所有しております。
Royal DSM(ロイヤルDSM)
1902年に設立されたオランダに本拠を置くライフサイエンス企業です。オランダ政府が設立したリンブルフ州の石炭採掘会社(Dutch State Mines、DSM)が同社の源流となります。ラクトース菌の酵素、ビタミン、栄養脂質、カロテノイドといった食品成分や機能性素材などの開発・製造に強みを持ちます。さらに詳しく
デュポン
デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I du Pont de Nemours)は、1802年にフランス人のエルテール・イレネー・デュポンによって設立された世界最大級の化学メーカーです。2015年米同業のダウケミカルと経営統合しましたが、特殊産業材事業が分社化され新生デュポンとなりました。2011年にデンマークに本拠を置く食品成分大手であるDanisco(ダニスコ)を買収し、ニュートリション&バイオサイエンス事業で食品成分事業を強化していましたが、同事業は2019年に香料大手のIFFとの経営統合し、香料と食品成分を手掛ける総合食品成分会社となりました。水処理膜事業についてはDuPont Water Technology(デュポンウォーターテクノロジー)で展開しています。RO膜に強みがあります。さらに詳しく
クリスチャンハンセン
Chr. Hansen(クリスチャン・ハンセン)は、デンマークに本拠を置く食品成分大手です。自然由来の原料をもとに細菌培養物(Culture)、酵素(enzyme)、添加剤(excipients)及び甘味料(sweeteners)等の食品成分を製造・販売しています。Nasdaq OMXコペンハーゲン証券取引所に上場しています。2020年に天然色素(natural colors)事業を投資ファンドのEQTへ売却しました。
天野エンザイム
1899年に設立された酵素メーカーです。アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素を製造しております。
参照したデータの詳細情報について