酵素業界の世界市場シェアの分析

酵素業界の世界シェアと市場規模について分析をしています。ノボザイムズ、ABエンザイム、BASF、インターナショナル・フレーバー&フレグランス、クリスチャン・ハンセン、DSMといった酵素大手メーカーの概要や動向も掲載しています。

酵素とは

酵素の主要な役割は化学物質の分解反応を触媒することです。例えば、アミラーゼはデンプン(デンプン→ブドウ糖)を、プロテアーゼはタンパク質(タンパク質→アミノ酸)を、リパーゼは脂質(脂質→脂肪酸)を分解する酵素として有名です。

発酵食品を作る時には、酵素の役割は非常に重要になります。例えば、納豆だったらナットウキナーゼ、チーズだったらレンネットという酵素なくして製造することができません。洋服についた食べ物の汚れを落とすために洗剤に酵素が配合されています。また、酵素を生み出すには、微生物が重要です。麹菌、乳酸菌、酵母菌等が酵素を生み出す微生物として有名です。

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【酵素業界の世界市場シェア】

酵素メーカーの2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年の酵素業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はノボザイムとなります。

酵素業界の世界市場シェア(2022年)

酵素業界の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)
酵素業界の世界シェア(2022年)

【酵素業界の市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、酵素業界の2022年の世界市場規模を121億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のマーケッツアンドマーケッツによると、2022年の同市場の規模は121億ドルとなります。2027年にかけて169億ドルに達し、年平均6.8%での成長を見込んでいます。

調査会社のグランビューリサーチによると、2022年の同市場の規模は122.7億ドルとなりました。2023年〜2030年にかけて年平均6.5%の成長と予想しています。
参照したデータの詳細情報

酵素業界の推定市場規模の推移

M&Aの動向

  • 2013年  天野エンザイムは大和化成と合併し、それを滋賀工場とした
  • 2013年  BASFはVereniumの公開買付けを完了
  • 2018年  クリスチャン・ハンセンが乳製品原料メーカーのフントスビヒラー社を買収
  • 2021年  デュポンはヘルス&バイオサイエンス事業をインターナショナル・フレーバー&フレグランスへ売却
  • 2022年  BASFはニュートリライフ®製パン用酵素事業をラレマンドに売却
  • 2023年  クリスチャン・ハンセンはノボザイムズとの合併契約を締結したと発表

【会社の概要】

ノボザイムズ(Novozymes)は、2000年に製薬会社ノボノルディスクから分社化されて誕生したデンマークに本拠を置く食品成分メーカーです。脂肪分解酵素であるリポラーゼを発見したことでも有名です。酵素と微生物に特化した戦略を打ち出しています。洗剤、食品、飲料、バイオ燃料、肥料向けの酵素を提供しています。同社は上場会社ですが、生物医学およびバイオテクノロジー研究に特化したノボノルディスク財団傘下にあるノボホールディングスが議決権の70%を所有しております。

アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズは、1935年にガーフィールド・ウェストン氏によって設立されたベーキング会社を源流とするアソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズは、英国に本拠を置く食品成分・食品メーカーです。ベーキングパウダー、イースト菌やラクトース等の食品添加物に強みを持ちます。紅茶は英国王室御用達のトワイニングス(Twinings)ブランドを世界展開。トワイニングといえば、アール グレイ(EARL GREY、ベルガモットの香りが吹き付けられたさわやかな紅茶)が有名です。ファストファッションはPrimarkブランドで展開しています。砂糖はAB SugarにてBritish Sugarブランドで展開しています。酵素は、AB Enzymes(ABエンザイムズ)で展開しています。ベーキング、非デンプン多糖、洗剤、プロテアーゼ、フィードといった酵素を製造・販売しています。さらに詳しく

ドイツに本拠を置く世界トップクラスの総合化学メーカーです。 自動車・医薬品・医療機器・電子・包装材・農業・食品など幅広い産業に製品とソリューションを提供しています。

フランクフルト証券取引所、ロンドン証券取引所上場企業です。

1889年にポーラック・シュワルツ社としてオランダで創業されました。

世界の食品飲料・パーソナルケア等の市場向けに、栄養・香料・健康およびバイオサイエンス・医薬品の素材やソリューションを提供している会社です。酵素・大豆タンパク・医薬品添加物・殺生物剤等の製品を扱い、フレーバー化合物は調味食品(スープ・ソース等)・飲料(ジュース等)・スイーツ(ガム等)・乳製品に使用されています。
2021年2月、当時 DuPont社の傘下にあったNutritoin&Bioscience事業部と事業統合しました。

Chr. Hansen(クリスチャン・ハンセン)は、デンマークに本拠を置く食品成分大手です。自然由来の原料をもとに細菌培養物(Culture)、酵素(enzyme)、添加剤(excipients)及び甘味料(sweeteners)等の食品成分を製造・販売しています。Nasdaq OMXコペンハーゲン証券取引所に上場しています。2020年に天然色素(natural colors)事業を投資ファンドのEQTへ売却しました。

1902年に設立されたオランダに本拠を置くライフサイエンス企業です。オランダ政府が設立したリンブルフ州の石炭採掘会社(Dutch State Mines、DSM)が同社の源流となります。ラクトース菌の酵素、ビタミン、栄養脂質、カロテノイドといった食品成分や機能性素材などの開発・製造に強みを持ちます。さらに詳しく

1899年に設立された酵素メーカーです。アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素を製造しております。

コデクシスは、アメリカの酵素工学会社です。酵素やその他のタンパク質の発見、開発及び販売を行う。パフォーマンス酵素と新規生物療法の2つの事業セグメントを通じて事業を展開しています。

アドバンスド・エンザイム・テクノロジーズは、酵素とプロバイオティクスの製造において世界的なリーダーシップを持ち、医薬品、栄養補助食品、農業、繊維、皮革、蒸留、穀物加工、醸造、ジュース加工など、さまざまな産業に環境に安全なソリューションを販売することに専念している研究主導型の企業です。

デュポンについて

デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I du Pont de Nemours)は、1802年にフランス人のエルテール・イレネー・デュポンによって設立された世界最大級の化学メーカーです。2015年米同業のダウケミカルと経営統合しましたが、特殊産業材事業が分社化され新生デュポンとなりました。2011年にデンマークに本拠を置く食品成分大手であるDanisco(ダニスコ)を買収し、ニュートリション&バイオサイエンス事業で食品成分事業を強化していましたが、同事業は2019年に香料大手のIFFとの経営統合し、香料と食品成分を手掛ける総合食品成分会社となりました。水処理膜事業についてはDuPont Water Technology(デュポンウォーターテクノロジー)で展開しています。RO膜に強みがあります。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した市場規模
Fortune Business Insights
Allied Market Research
Grand View Research

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