不織布の世界市場シェアの分析

不織布メーカーの世界市場シェア、業界ランキングや市場規模について分析をしています。ベリーグローバル、キンバリークラーク、フロイデンベル、アールストローム、などの不織布メーカー世界大手の概要や動向も掲載しています。

【市場シェア】

調査会社Nonwovens Industryの2020年不織布メーカーの売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の不織布業界の市場シェアを簡易に計算しますと、1位はベリーグローバル、2位はフロイデンベルグ、3位はAhlstrom(アールストローム)となります。⇒参照したデータの詳細情報

不織布メーカーの世界シェア(2020年)

順位会社名市場シェア
1位ベリーグローバル5.48%
2位フロイデンベルグ5.25%
3位オールストローム3.42%
4位キンバリークラーク2.97%
5位フィテサ2.58%
6位デュポン2.28%
7位グラットフェルター2.09%
8位東レ2.05%
9位ライダル1.74%
10位ジョンズ・マンビル1.64%
11位Suominen1.28%
12位PFノンウーベン1.14%
13位TWEグループ1.08%
不織布メーカーの世界シェアと業界ランキング(2020年) ©ディールラボ
不織布の世界シェア(2020年)
不織布の世界シェア(2020年)

1位が、米国の特殊プラスチックメーカーのベリー・プラスチック(Berry)です。同社は、1967年に、インペリアル・プラスチックとして創業された老舗プラスチックメーカーです。2015年に、アヴィンティブ(Avintiv)を買収し、不織布分野を強化しています。

ドイツのフロイデンベルグ社が2位となっています。同社は2015年に不織布大手の日本バイリーンを東レとともに共同買収しております。

3位はフィンランドの特殊紙大手アールストローム・ムンクショーです。2017年にアールストロームとムンクシューが経営統合をして誕生しました。

4位は米国の衛生用品大手のキンバリークラークです。他のおむつメーカーと異なり、不織布の生産も行う垂直統合的な事業展開を行っています。

5位はブラジルのコングロマリットエボラ(Evora)傘下のフィテサ(fitesa)です。

6位は米国化学大手のデュポンです。

7位は米国のグラットフェルター、8位は日本の東レが入っています。

10位は米国のジョンズ・マンビルです。

12位のPFノンウーベンはチェコに本拠を置く不織布会社です。

今回はランク外になりましたが。デンマークの大手コングロマリットであるソイウ(Schouw & Co.)グループ傘下のファイバーテックスも大手です。ソイウは、1878年設立の水産用飼料メーカーですが、パーソナルケア、工業用油圧、不織布の分野でも事業展開を行っています。

【市場規模】

当サイトでは2020年の不織布の世界市場規模を438億ドルとしております。参照にした統計データは以下の通りとなります。

調査会社のレポートアンドデータによると、2020年の同業界の市場規模は400億ドルとなります。2028年にかけて年平均5.5%での成長を見込みます。

調査会社のモードーインテリジェンスによると、2020年の同市場規模は438億ドルです。

調査会社スミザーズによると、2019年の同市場規模は468億ドル、数量ベースでは11.2百万トンです。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模成長率見込み
2020年400-438億ドル5.5%
2019年468億ドルn/a
不織布の推計市場規模の推移  ©ディールラボ

【M&Aの動向】

不織布は自動車のシートやおむつやマスクなどの衛生用品として引き合いが強く、市場の成長が期待できます。大手不織布メーカーによる買収などが盛んに行われている業界です。

2018年 タイのIndorama VenturesがイスラエルのAvrolを買収
2017年 R2G Rohan CzechがPFノンウーベンを買収
2017年 アールストロームとムンクシューが経営統合
2015年 ベリーがアヴィンティブを買収
2015年 フロイデンベルグと東レが日本バイリーンを買収
2014年 アヴィンティブがProvidenciaを買収
2013年 アヴィンティブがFiberwebを買収

【不織布の作り方】

不織布は、原料等によって種類が分かれます。用途としては、紙おむつなどの衛生用品から、タイルカーペット、建築向けの防水基布、車の素材、農業用のシートなど幅広く使用されています。特に、ポリプロピレンを原料とする不織布は、高吸水性樹脂とならび、おむつの必要不可欠な原料となっています。紙おむつは、不織布おむつと換言しても過言ではないでしょう。

不織布は、布状の織らない繊維の総称です。作り方は、わたの集合を作るウェブ工程と、結合するバインディング工程に分かれます。ウェブ工程には、乾式、湿式、エアレイド式等の方式が、またバインディング工程にはケミカルボンド式、サーマルボンド式、ニードルパンチ式等の方式があります。ウェブ工程とバインディング工程を合わせたスパンレイド(スパンメルト)方式も最近よく使われています。

工程の違いによって、ケミカルボンド不織布(CB)、サーマルボンド不織布(TB)、ニードルパンチ不織布(NP)、スパンレース不織布(SL)、スパンボンド不織布(SB)やメルトブロー不織布(MB)が生まれます。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

不織布活用のための基礎知識
不織布のおはなし―織らない布って何だろう?
化学業界の市場シェア・売上高ランキング・市場規模・再編の分析

【会社の概要】

Berry

1967年に設立された米国に本拠を置くプラスチック包装大手メーカーです。エアゾールキャップ製造では世界大手の一角です。ヘルスケア、パーソナルケア、食品・飲料向けに、不織布や各種プラスチック容器を販売しています。競合会社にはAmcor、Silgan、Aptar、Reynolds、Intertape、3M、Tredegar、Avgol、Fitesaなどが含まれます。

Freudenberg(フロイデンベルグ)

ドイツに本拠を置く不織布メーカー世界大手です。非公開会社です。2015年に日本バイリーンに対して東レとともに子会社化しました。ポリエステルスパンボンド不織布とフィルター事業が二本柱です。

DuPont(デュポン)

米国に本拠を置く世界最大級の化学メーカーです。日本では旭化成との合弁会社の旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツにて不織布(タイベック)を展開しています。

Kimberly-Clark (キンバリー・クラーク)

Kimberly Clark(キンバリー・クラーク)は、1872年に設立された米国のテキサス州に本拠を置くおむつ等の衛生用品及びティッシュメーカーです。おむつは、Huggies(ハギーズ)、Pull-Ups、Little Swimmers、GoodNites、DryNites、Kotexなどのブランドで展開し、不織布も内製しています。Kleenex(クリネックス)やScottブランド等のブランドでティッシュにも強みを持ちます。消費者向けだけでなく業務用でも展開しています。2014年にヘルスケア部門をスピンオフ(現Avanos Medical、アバノスメディカル)しました。さらに詳しく

Ahlstrom-Munksjö(アールストローム・ムンクショー)

フィンランドに本拠を置く特殊紙・繊維大手です。ヘルシンキ証券取引所に上場しています。2017年にアールストロームとムンクシューが経営統合をして誕生しました。不織布以外にも、フィルター、グラスファイバー布、化粧紙等の分野で世界的な強みを持ちます。

出所:同社アニュアルレポート

化粧紙の分野では、Technocell, Malta Decor, Koehler, Kingdecor, Shandong Qifengが競合会社として挙げられます。

グラスファイバー布では、Saertex, Owens Corning, Johns Manville, Saint Gobainが競合会社となっています。

Avintivについて

旧PGIです。2013年に不織布大手の英Fiberweb社、2014年にブラジルの不織布大手のProvidencia社を買収し規模を拡大しました。ブラックストーン傘下にありましたが、2015年に米特殊プラスチックメーカーのベリー・プラスチックが買収しました。

PFNonwovens(PFノンウーベン)

チェコ共和国に本拠を置く不織布大手メーカーです。2017年に投資会社のR2G Rohan Czechが買収をし、PEGAS NONWOVENSより社名変更しました。

出所:同社ホームページ

Johns Manville(ジョンズ・マンビル)

米国に本拠を置く建材大手です。かつてはアスベストの生産で世界最大のメーカーでした。現在はBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)傘下です。

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は、オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏率いるコングロマリットです。元々は1888年に設立された綿紡績業の会社でした。1960年代にウォーレン・バフェット氏が支配権を獲得、現在は保険(GEICO)・再保険事業(ジェネラル・リー )、鉄道、ガス電力、各種製造業等を幅広く展開しています。同社の株式は、ウォーレン・バフェット氏が議決権の30%程度を保有しています。さらに詳しく

Fibertex Personal Care(ファイバーテックス・パーソナル・ケア)/Fibertex Nonwovens(ファイバーテックス・ノンウーヴン)

デンマークの大手コングロマリットであるソイウ(Schouw & Co.)グループ傘下です。

ソイウ社について

ソイウ(Aktieselskabet Schouw & Co.)は、デンマークに本拠を置くポートフォリオマネジメント会社です。主にデンマークの製造会社等に投資を行い、長期的な視点で企業価値向上策を講じることを得意とします。大きく6つの事業で構成され、傘下のBioMar社が水産養殖用飼料、Fibertex Personal Careが衛生用品向け不織布事業、Fibertex Nonwovensが工業製品用不織布の製造、HydraSpecmaが油圧部品の製造、Borg Automotiveが自動車部品の再生製造、GPVが電子機器の受託製造(EMS)を手掛けています。さらに詳しく

Glatfelter(グラットフェルター)

米国に本拠を置く不織布メーカーです。コーヒーフィルターや衛生用不織布等に強みを持ちます。ニューヨーク証券取引所に上場をしています。

Lydall(ライダル)

米国に本拠を置く断熱材、ろ過用不織布、防音材メーカーです。

東レ

1926年に三井物産が設立した東洋レーヨンを祖とする総合化学メーカーです。祖業は繊維で、東レは東洋レーヨンの略です。現在は日本を代表する素材系メーカーとなっています。
水処理分野ではRO膜の分野に強みを持ちます。ダウ、キャボットと並び大手です。炭素繊維では航空機向けに強みを持ちます。
熱硬化性炭素繊維、CFRPにも強く1971年に発売を開始した「トレカ」の商標で販売をしています。航空機分野ではボーイングへの納入実績では他社を圧倒しています。熱可塑性の炭素繊維複合材に強みを持つオランダのテンカーテ・アドバンスト・コンポジット社を2018年に買収し、熱硬化性と熱可塑性の素材に対応できる技術力を高めています。
セパレータはセティーラブランドで展開しています。車載電池向けでは、ボリューム拡大よりも、利幅が大きいとされるハイエンド向けに特化する方針です。ドイツのダイムラーと提携しています。
エアバッグの生地やおむつ等に使用する不織布でも大手です。さらに詳しく

日本だと、東レ以外には旭化成、三井化学、東洋紡、ユニチカなどが不織布を手掛けています。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した売上高の情報

参照した市場規模の情報

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