シリコンウエハ業界の世界市場シェアの分析

シリコンウエハ業界の世界市場シェアや業界ランキングや市場規模の情報について分析をしています。信越化学、SUMCO、Siltronic(シルトロニック) 、グローバルウエハーズ 、SKシルトロン といった世界大手シリコンウエハ会社の概要や動向も掲載しています。

市場シェア

シリコンウエハ各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する市場規模を分母にして2021年のシリコンウエハ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は信越化学、2位はSUMCO、3位はグローバルウエハーズとなります。⇒参照したデータの詳細情報

2021年シリコンウエハ業界の世界シェア

順位会社名市場シェア
1位信越化学30.1%
2位SUMCO23.2%
3位グローバルウエハーズ17.0%
4位シルトロニック12.6%
5位SKシルトロン12.3%
2021年シリコンウエハ業界の世界シェア ©ディールラボ

シリコンウエハ業界のグローバルマーケットシェア(2021年)
シリコンウエハ業界のグローバルマーケットシェア(2021年)

1位は、日本の信越化学となります。

世界2位はこちらも日本のSUMCO(サムコ)です。3位には、サンエディソンを買収して、急速に規模を拡大する、台湾のグローバルウエハーズが入っています。

4位は、ドイツに本拠をおくシルトロニックです。シルトロニックは、ドイツの化学メーカーのワッカー・ケミーの子会社です。

5位は、韓国のSKシルトロンです。韓国のLGからSKグループが2017年に買収しました。SKグループは、グループ内にメモリー大手のSKハイニックスがあり、半導体分野を強化しています。

上位5社が、市場全体の約90%超を占有する寡占的な市場であることが特徴です。

市場規模

当サイトでは、シリコンウエハ業界の2021年の世界市場規模を126億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

国際半導体製造装置材料協会によると、2021年と2020年の同業界の市場規模は126億ドルと112億ドルです。2021年は前年比13%増加しました。

調査会社のモードーインテリジェンスによれば、2020年の同業界の市場規模は108億ドルです。2026年にかけて年平均6.1%の成長を見込みます。

また調整会社のマーケットリサーチフューチャーによれば、2019年の同業界の市場規模は96億ドルです。2025年に119億ドルに成長すると見込まれます。

シルトロニックによれば、2019年の市場規模は112億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模成長率
2021年126億ドル13%*
2020年108~112億ドル6.1%**
2019年96~112億ドルn/a
シリコンウエハの推定市場規模 ©ディールラボ
*前年比成長率
**成長率見込み

シリコンウエハは半導体製品を製造する上で必要不可欠な素材です。「半導体の土台」とも言われています。半導体の微細化技術の最先端を競う台湾のTSMC、米国のインテル、韓国のサムスンも最終製品の性能を左右する最先端の5ナノ向けのウエハの調達を日系2社に頼っているのが現状です。半導体の回路は微細化・集積化に対して、土台は大口径化が技術的な差別化の源泉です。ウエハは微細なゴミやゆがみがあると不良品となり、量産向けの技術力を有している日系に強みがあるとされます。次世代の450ミリに向けた開発が続きます。

ウエハのサイズ用途
300ミリロジック向け(メモリ、CPUなど)
200ミリ自動車向け(電装化で需要増)
各種資料を基に作成
©ディールラボ

なお、次世代のシリコンウエハでは、代替する半導体素材として、窒化ガリウム(GaN)とシリコンカーバイド(SiC)があり、こちらも開発競争が進んでいます。

シリコンウエハの作り方

1)珪石(シリカ、SiO2)から不純物を取り除きシリコン(多結晶珪素)を作ります。
2)シリコン(多結晶珪素)を砕きます
3)るつぼ(石英等でできたもの)でシリコンが溶けるまで加熱します。
4)溶けたシリコンに種結晶の棒を入れます。
5)種結晶にシリコンがつき、シリコンインゴッドができます
6)シリコンインゴッドを薄く円形状に切るとシリコンウエハの出来上がりです。

シリコンウエハ製造工程
シリコンウエハ製造工程 (by Anyoji, 2021)
©ディールラボ

シリコーンとシリコンの違い

シリコン( silicon)とは、ケイ素(Si)の事を指します。半導体の主原料です。酸化シリコン(シリカ)は、土中に大量(砂の主成分)にあります。石英(水晶)の主成分もシリカです。シリコーン(silicone)は、天然には存在しない合成された有機化合物(ケイ素樹脂)です。接着剤やコーティングの主原料です。料理をする際に便利なルクエ スチームケースもシリコーン製です。

過去のM&A

台湾や韓国のメーカーが積極的にシリコンウエハメーカーを買収しています。寡占化が進むにつれて、M&Aマルチプル(売上高倍率)も大きくなっています。

最近のM&A

2020年11月にグローバルウェーハズ(環球晶円)が同業のシルトロニックを約45億ドルで買収するとCEOの徐秀蘭氏が発表しました。仮に買収が成功すれば、SUMCOを上回る規模のウエハ会社が誕生します。半導体業界において、素材と製造装置の日本、製造の台湾、設計の中国と棲み分けがされてきましたが、素材分野でも台湾企業の躍進が始まりつつあります。
2022年1月にドイツ政府の承認が得られず買収は成立しませんでした。

2022年 グローバルウエハーズがシルトロニックの買収を断念
2020年 グローバルウエハーズがシルトロニックの買収を発表
2017年 SKグループがLGからシリコンウエハ事業(現SKシルトロン)を買収
2016年 グローバルウエハーズがサンエディソン・セミコンダクターズを買収
2011年 シノアメリカンシリコンプロダクツがコバレントよりシリコンウエハ事業を買収

シリコンウエハ業界のM&Aマルチプル
シリコンウエハ業界のM&Aマルチプル

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

世界の主要なシリコンウエハメーカーの一覧

信越化学工業

信越化学は1926年に創業された日本を代表する化学メーカーです。旭化成、積水化学、積水ハウスと同じ源流である日本窒素肥料(現チッソ)の関連会社として誕生しました。同社のアニュアルレポートによれば、塩化ビニル樹脂、シリコンウエハ、先端品フォトマスクブランクス、フェロモン製剤では世界1位です。セルロース、シリコーンでも世界大手となっています。半導体ウエハはSUMCOと二強体制となっています。さらに詳しく

SUMCO

SUMCOは、新日鐵住金(現日本製鉄)と三菱マテリアルによる合弁会社として1999年に発足しました。半導体用シリコシリコンウェハーを開発・製造・販売しています。信越化学工業と半導体ウエハの分野では双璧をなしています。さらに詳しく

三菱マテリアルについて

三菱マテリアルは、1871年の九十九商会の炭鉱事業を源流とする三菱グループの中核を担う非鉄金属メーカーです。1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが経営統合し誕生しました。銅開発、セメント、超硬工具、伸銅事業が現在の主力となっております。業歴が長く多くの事業に関わってきており、事業の分社化によって誕生した会社には、シリコンウエハ大手のSUMCO、製缶大手のユニバーサル製缶等があります。超硬分野では、2014年に日立工具を買収し、事業の拡大を図っております。さらに詳しく...

Global Wafers(グローバルウエハーズ、環球晶円)

ウエハーの女王こと徐秀蘭氏が率いる台湾に本拠を置く大手シリコンウエハメーカーのSino-American Silicon Products(SAS、シノアメリカンシリコンプロダクツ)傘下のシリコンウェハ会社です。2012年に旧東芝半導体を源流とするコバレントマテリアル(クアーズテック)からシリコンウエハ事業を買収しています。2016年にデンマークのトプシルとサンエディソン・セミコンダクターズの買収し、規模を拡大しております。2021年にシルトロニックの買収を発表しましたが、その後断念しました。

SunEdison Semiconductors(サンエディソン・セミコンダクターズ)
米国に本拠を置くシリコンウエハメーカーです。太陽光発電所の建設・運営を行うサンエディソンから分社化して誕生しました。2016年にシノ・アメリカン・シリコンが買収をしました。

Siltronic(シルトロニック)

ドイツに本拠を置く半導体ウエハ大手です。ドイツのシリコン関連の製品を手掛けるWacker Chemie(ワッカーケミー)傘下でしたが、2021年にグローバルウエハーズの買収を発表しましたが、その後断念しました。

ワッカーケミーについて

1914年に創業したドイツに本拠を置く化学メーカーです。アセトアルデヒドの合成においてワッカー法を生み出しました。多結晶シリコン以外にもシリコーンの分野に強みを持ちます。日本では旭化成と旭化成ワッカ-シリコーンで事業を展開しています。シリコンウエハを手掛けていたシルトロニックは2021年にグローバルウェーハズに売却しました。さらに詳しく

SK Siltron(エスケー・シルトロン)

旧LG Siltron(エルジー・シルトロン)です。韓国のSKグループがLGより買収しました。韓国に本拠を置く太陽光発電パネル用の半導体ウエハメーカーです。

SKグループについて

SKグループは、1953年に設立された韓国第3位の財閥グループです。崔泰源会長の強いリーダーシップの下でM&Aを通じて事業を拡大しています。半導体(SKハイニックス)、石油・電池(SKイノベーション)、通信(SKテレコム)、医薬品(SKバイオファーム)、医薬品受託(SKバイオサイエンス)、半導体素材(SKシルトロン)等の分野に強みがあります。2021年には、米国の燃料電池メーカーのプラグパワーに出資をし、水素プラントへの進出をしています。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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