半導体業界

半導体業界とパワー半導体業界の世界シェア、市場規模、業界再編について分析をしています。インテル、クアルコム、マイクロン、サムスン、インフィニオン 、ブロードコム、NXP 、STマイクロエレクトロニクス等世界の大手半導体メーカーの動向も掲載しています。

市場シェア

「半導体会社の世界売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている各社の売上高を分子に、市場規模を分母にして、2019年の半導体業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はIntel(インテル)の16.8%、2位はSamsung Electronics(サムスン電子) の12.6%、3位はQualcomm(クアルコム)の5.7%となります。

1位 Intel(インテル) 16.8%

2位 Samsung Electronics(サムスン電子) 12.6%

3位 Qualcomm(クアルコム) 5.7%

4位 Micron Technology(マイクロン・テクノロジー) 5.5%

5位 Broadcom(ブロードコム) 5.3%

6位 SK Hynix(SKハイニックス) 5.2%

7位 Texas Instruments(テキサス・インスツルメント) 3.3%

8位 Sony 2.3%

9位 STMicroelectronics(STマイクロニクス) 2.2%

10位 キオクシア 2.1%

11位 NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ) 2.1%

12位 Infineon Technologies(インフィニオン・テクノロジーズ) 2.0%

13位 ON Semiconductor(オン・セミコンダクター) 1.3%

1位はインテルが堅持します。10年以上1位を維持し、絶対王者の風格です。インテルは、パソコンやデータセンター向けのプロセッサにおいては、圧倒的な競争力を保ちます。一方で、モバイル分野では、世界3位に位置するクアルコムの後塵を拝しています。また、自動運転の分野では、画像認識処理に優れるグラフィックス・プロセッシング・ユニット大手のエヌビディアに先行を許しています。またPC向けのプロセッサでも、競合のAMDがライゼンで攻勢をかけています。

サムスンの半導体は、メモリー分野に強みを有します。かつては、日本企業が席捲したDRAMメモリーでは、世界1位です。NANDフラッシュメモリーも、キオクシア(旧東芝メモリ)を抜き、世界1位となっています。

世界3位は、クアルコムです。通信・モバイル用のプロセッサーに強みを持ちます。自動運転向けの半導体強化のために、フィリップス半導体が母体のNXPセミコンダクターズの買収をしました。

世界4位はDRAM大手のマイクロンテクノロジー、世界5位はブロードコムです。ヒューレッド・パッカードの半導体部門を源流をもつ、アバゴ・テクノロジーズが、ブロードコムを買収して、誕生した会社です。携帯端末を無線通信網と結ぶ半導体に強みを持ちます。2017年にクアルコムへの買収提案をしましたが、承認が得られませんでした。

世界6位は、韓国のSKハイニックスです。通信会社の傘下に入り、ミニ・サムソン戦略でさらなる上位を狙います。世界7位は半導体の名門のテキサス・インスツルメンツとなっています。

なお、2000年の半導体メーカーの世界ランキングは、1位インテル、2位東芝、3位NEC、4位サムスン電子、5位テキサス・インスツルメンツ、6位モトローラ、7位STマイクロエレクトロニクス、8位日立製作所、9位インフォニオン・テクノロジーズ、10位フィリップスとなっています。日本勢の凋落が顕著です。

市場規模

調査会社のインダストリーエーアールシーによれば、2018年の半導体業界の市場規模は4200~4300億ドルです。2025年まで年平均10~12%で成長すると見込んでいます。

インフィニオンの資料よれば、2018年の半導体市場の規模は、4690億ドルです。

同じくインフィニオンによれば、2019年の市場規模は4280億ドルです。

当サイトでは、市場シェアの計算に用いる市場規模として4280億ドルを採用しています。

1999年には15兆程度、2010年には約33兆円程度の規模であったので、シリコンサイクルを乗り越え、半導体の市場は成長していると言えます。特に今後、ビッグデータの処理において、半導体のニーズは一層高まると予想され、シリコンサイクルを超えたスーパーサイクルという考え方も出てきています。

再編

半導体はシリコンサイクルの中で如何に設備と技術への投資を行っていくか、という視点が重要です。その結果、規模拡大・技術補完を目指すM&Aが相次いでいます。

2011年 TI(テキサス・インスツルメント)によるナショナルセミコンダクターの買収

2011年 インテルによるマカフィーの買収

2012年 インテルによるASMLへの出資

2014年 CypressセミコンダクターとSpansionaの合併

2014年 インフィニオンによるInternational Rectifier(IR)の買収

2015年 インテルによるLantiqの買収

2015年 NXPによるフリースケールの買収 

2015年 中国のUphill InvestmentによるDRAM中堅ISSI (Integatea Silicon Solution)の買収

2015年 アバゴテクノロジーによるブロードコムの買収。買収総額は約370億ドル

2015年 インテルによるアルテラ買収。買収総額は約170億ドル

2015年 クアルコムによる英国のチップメーカーのCSRの買収

2015年 ウェスタンデジタルによるサンディスクの買収→ウェスタンデジタルによるサンディスク買収のケーススタディ

2015年 オンセミコンダクターによるフェアチャイルドの買収

2016年 Analog DevicesによるLinear Technologyの買収

2016年 ルネサスエレクトロニクスによるインターシル買収

2016年 ソフトバンクによる英国アームの買収

2016年 インテルによるインテルセキュリティ(旧マカフィー)のTPGキャピタルへの売却

2016年 クアルコムによるNXPへの買収提案→クアルコムによるNXP買収のケーススタディ。買収総額は約470億ドル

2017年 インテルによるモービルアイ買収。買収総額は約150億ドル

2018年 ルネサスエレクトロニクスによる米国のインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収

2018年 ブロードコムによるクアルコム買収提案

半導体とは

半導体とは、電気を良く通す材料(例えば金属)と電気をほとんど通さない材料(絶縁体、例えばゴム)の中間の性質を持つ物質のことです。半導体の代表的な物質としてはシリコンがあげられます。半導体を材料にした集積回路は、機器の頭脳として計算、演算、情報保存等を行います。

パワー半導体とは、半導体に電気エネルギーの変換や制御に応用するパワーエレクトロニクスの性質を備えた半導体の総称です。エアコン、冷蔵庫、洗濯機もパワーエレクトロニクス(インバーター化)が進んだことで省エネが実現しています。パワー半導体デバイスには、パワーダイオード、MOSFET(電界効果トランジスタ)やIGBT等のパワートランジスタ、パワーモジュール、電源用IC等のディスクリート半導体やモジュール半導体があります。パワー半導体デバイスの基板にはSi(シリコン)、SiC(炭化シリコン)、GaN(炭化ガリウム)、Ga2O3(酸化ガリウム)、ダイヤモンド等が用いられ、車両の駆動制御、無停電電源、発電・変電機器、小型情報情報通信機器等に利用されます。

半導体の製造工程

半導体の製造工程は、ウェハ製造→フォトマスク→成膜→フォトレジスト→露光→エッチング→洗浄→平坦化→ダイシング→テスト→パッケージングという工程をたどります。各工程に強みのある部材メーカーや装置メーカーが存在します。

ウェハ製造

薄く円盤状にした半導体の薄い板です。半導体の主要構成部材です。主要企業は信越化学とSUMCOです。

フォトマスク製造

フォトマスクとは、パターニングの原版となる部材です。フォトリソグラフィで使用されます。凸版印刷や大日本印刷が強いとされます。

成膜

回路のベースとなる薄膜を形成する工程です。

フォトレジスト塗布

フォトレジストとよばれる感光剤を塗布する工程です。JSR、東京応化、住友化学、信越化学、富士フィルムが強いとされます。

露光

シリコンウエハー上に回路を焼き付ける工程です。露光装置はニコンが強いです。

エッチング

エッチングでは、薄膜の形状を化学反応を使って加工します。エッチング装置は日立ハイテクノロジーズ、東京エレクトロンが強く、エッチングに使われる薬液や反応ガスでは、大陽日酸、昭和電工、関東電化工業が強いです。

ダイシング

半導体を切削してチップ化する工程です。ダイシングテープでは、リンテックや日東電工が強く、ダイシング装置では、ディスコや東京精密が強いです。

世界の主要半導体メーカーの動向

半導体大手も得意分野で棲み分けがあり、記憶に強いサムスン、マイクロン、SKハイニックス、設計開発に強いクアルコム、ブロードコム、製造受託に強いTSMC等の台湾系受託企業、車載向けに強いNXP、インフィニオン、演算処理に強いインテル、エヌビディアに大きく分かれる。

Intel(インテル)

米国に本拠を置く半導体業界の巨人です。CPUの分野で圧倒的な競争力を有します。2015年にアルテラを買収しました。2017年にはイスラエルのモービルアイを買収し、車載半導体分野も強化しています。

モービルアイ買収の狙い
  • インテルはパソコン向けCPU事業の次の柱として車載半導体を強化
  • 市場が拡大するスマホ向け半導体に強いクアルコムも、車載向け大手であるNXPを買収し同分野強化を図っている
  • モービルアイは自動運転に必要不可欠な外部情報の認識・処理のシステム大手
  • インテルは得意とする大量のデータを処理するための半導体の設計・製造にモービルアイのシステムを組み合わせ、自動運転の分野で主導的な立場を目指す

Samsung Electronics(サムスン電子)

韓国を代表する半導体メーカーです。記憶系半導体であるNAND、DRAMの分野に強いです。

Qualcomm(クアルコム)

米国に本拠を置く半導体メーカーです。携帯電話やスマホ向けの半導体で成長しました。工場を持たないファブレス・メーカーです。2016年にNXPセミコンダクターズ(NXP Semiconductors)の買収を提案しましたが、その後断念しています。

NXP買収提案の骨子
  • 通信向け半導体に強いクアルコムと車載向け半導体に強いNXPセミコンダクターズによる製品補完性
  • 今後半導体需要が伸びると予想されるIoTや自動運転等の分野でのリーディングポジションの確保

SK Hynix(SKハイニックス)

韓国の大手半導体メーカーです。2001年に韓国政府による公的管理を経て現在は通信大手のSKテレコム傘下となっています。NAND、DRAMでサムスンと競合しています。

Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)

米国に本拠を置くDRAMメーカーです。破綻したエルピーダメモリを買収しています。

キオクシア

東芝が経営危機に陥った際に東芝メモリとして分社化独立しました。その後キオクシアへと社名を変更しています。NAND型のフラッシュメモリに強みを持ちます。

Texas Instruments(テキサス・インスツルメント)

米国に本拠を置く半導体メーカーです。アナログICに強みを持ちます。

Broadcom(ブロードコム)

米国に本拠を置く無線や通信向けの半導体大手です。2015年にアバゴ・テクノロジーズ(Avago Technologies)が買収しました。2017年にクアルコム買収を提案しましたが、その後断念しています。

STMicroelectronics(STマイクロニクス)

スイスに本拠を置く半導体メーカーです。スイスに本拠をおく自動車用半導体大手です。フランスのトムソンの半導体部門Thomson SemiconducteursとイタリアのSocietà Generale Semiconduttori Microelettronicaが経営統合して誕生しました。パワー半導体や自動車や通信向けを含め幅広い分野に展開しています。

NXPセミコンダクターズ(NXP Semiconductors)

オランダに本拠を置く半導体大手です。元々はフィリップスの半導体部門です。産業用・自動車向けの半導体事業に強みを持ちます。モトローラの半導体部門発祥のフリースケール・セミコンダクタ(Freescale Semiconductor)を買収しました。

フリースケール買収の狙い

フィリップとモトローラの半導体事業が発祥であるNXPセミコンダクターとフリースケール・セミコンダクターが2015年に経営統合を発表しました。狙いとしては以下が挙げられます。

  • 車載半導体の分野で世界1位
  • 重複分野の少ない補完性のある経営統合
  • 両社ともに名門会社の出自

Altera(アルテラ)

フィールド・プログラマブル・デバイセズ(PLD)の世界最大手級のメーカーです。同業にはザイリンクスがあります。2015年にインテルが買収しました。

オン・セミコンダクター(ON Semiconductor)

米国に本拠を置く半導体大手です。モトローラの半導体部門が発祥です。旧三洋電機の半導体部門を買収しました。2015年には汎用チップに強いフェアチャイルド・セミコンダクターを買収しています。

Infineon Technologies(インフィニオン・テクノロジーズ)

シーメンスの半導体部門が独立して誕生したドイツに本拠を置く自動車用半導体大手です。2014年に業界大手のInternational Rectifier(IR:インターナショナル・レクティファイアー)社を買収し、パワー半導体分野において低~高電圧の商品を拡充しています。

Fairchild Semiconductor(フェアチャイルド・セミコンダクター)

米国を代表する半導体メーカーです。インテルやAMD等の創業者を排出した名門企業です。世界最大手の石油検層会社のシュルンベルジェ(Schlumberger)やナショナルセミコンダクター傘下を経て、現在はNYSE証券取引所に上場しています。2015年モトローラ発祥のオン・セミコンダクターが買収しました。

半導体の主要業界団体

WSTS (World Semiconductor Trade Statistics)

世界の半導体販売額等の統計データ

JEITA半導体部会

業界関連書籍

週刊エコノミスト 2016年10月25日号 [雑誌] [Kindle版]

日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ (文春新書 942) [新書]

半導体工場のすべて [単行本(ソフトカバー)]

図解入門よくわかる最新半導体プロセスの基本と仕組み[第2版] (How‐nual Visual Guide Book) [単行本]

1秒でわかる!半導体業界ハンドブック [Kindle版]

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