ウェスタンデジタルは、1970年に設立された米国に本拠を置く世界最大級のハードディスクメーカーです。日立グローバルストレージテクノロジーズを買収し事業を拡大しています。2015年に中国の紫光集団(チンファ・ユニグループ、Tsinghua Unigroup)が同社への15%出資を目指すも断念しました。2015年にコンパクトフラッシュ、SDカード等のフラッシュメモリーを製造するSanDisk(サンディスク)を買収しました。寡占化が進むハードディスク業界大手によるフラッシュメモリー大手の買収です。ウェスタンデジタルはサンディスクのSSD技術を取り込み、減少が予想されるPC向けハードディスクに代わるデータセンター向け記憶媒体事業の強化を目指しています。
業績推移(年次)
2021年度
売上高は前年度比11.06%増の18,793百万ドルになりました。営業利益は前年度比95.98%増の2,391百万ドルになりました。営業利益率は12.7%になりました。
2021年度
売上高は前年度比1.11%増の16,922百万ドルになりました。営業利益は前年度比264.18%増の1,220百万ドルになりました。メモリの販売数量及び単価の上昇が増収増益の主因です。

ウェスタンデジタルの業績推移
業績推移(四半期)
2022年7-9月
売上高は前年同期比-26.03%の3,736百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-79.69%の158百万ドルになりました。営業利益率は4.2%になりました。
2022年4-6月
売上高は前年同期比-7.97%の4,528百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-16.74%の562百万ドルになりました。営業利益率は12.4%になりました。
2022年1-3月
売上高は前年同期比5.90%増の4,381百万ドルになりました。営業利益は前年同期比2.21%増の324百万ドルになりました。営業利益率は7.4%になりました。
2022年10-12月
売上高は前年同期比22.57%増の4,833百万ドルになりました。営業利益は前年同期比360.13%増の727百万ドルになりました。半導体への強い需要が追い風になっています。

ウェスタンデジタルの四半期業績推移
希薄化後EPS・配当・配当性向
2021年度
希薄化後EPSは前年度比118.73%増の5.84ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比0.00%増の2.00ドルになりました。配当性向は34.25%になりました。

ウェスタンデジタルのEPS・1株配当・配当性向の推移
売上構成
ウェスタンデジタルの売上はHDDとフラッシュメモリーから構成されます。
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ウェスタンデジタルの売上構成(2022年度)
HDD
回転するディスクに磁気情報を記録した不揮発性のデータストレージです。ウェスタンデジタルはヘリウム動作のHDDの開発・商品化に成功、業界をリードするHDDの容量と性能を実現しています。
フラッシュメモリ
フラッシュ技術をベースにした不揮発性のデータストレージであるソリッド・ステート・ストレージ製品です。技術基盤はキオクシアとの合弁を通じて開発・製造したキャプティブ・フラッシュ・ベースの技術です。
競合会社
HDD分野ではシーゲイト・テクノロジーと東芝が競合です。
フラッシュメモリ分野では、キオクシア、マイクロンテクノロジー、サムスン電子、SKハイニックス、長江メモリーが競合です。
M&A(合併買収)
- 2011年 日立グローバルストレージテクノロジーズを買収
- 2015年 サンディスクを買収
ウェスタンデジタルによるサンディスク買収のケーススタディ
- 2015年にハードディスクドライブ(HDD)製造の米ウェスタンデジタルが、半導体メモリー大手の米サンディスクの買収を発表しました。
- 買収総額は約190億ドルです。サンディスクの終値に15%のプレミアムを乗せた水準です。
サンディスクはフラッシュメモリー分野に強みを持ちます。東芝との合米工場にてフラッシュメモリーを製造しています。フラッシュメモリーは、スマホ、デジタルカメラ等の記憶装置として、またUSBメモリなどの補助記憶装置としても活用されています。 - ウェスタンデジタルは、パソコン用のHDDの世界的大手であるものの、パソコン自体の需要の大きな伸びが期待できない中で、データセンターのクラウド分野でも使われるソリッド・ステート・ドライブ(SSD)分野の拡大を目指しています。サンディスクのフラッシュメモリー技術を入手することでSSD分野の強化を図ります。
- サンディスクの直近の業績は売上高が約66億ドル、EBITDAが約21億ドル、EBITDAマージンは約32%でした。