ハードディスクドライブ(HDD)業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析。ウェスタンデジタル、シーゲート、東芝といった世界大手ハードディスクドライブメーカーの概要や動向も掲載。1990年代には50社以上あったと言われるハードディスクドライブメーカーも大手3社へと集約。
市場シェア
ハードディスクドライブメーカー各社の2020年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2020年のハードディスクドライブ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、世界1位はシーゲートテクノロジー、2位はウェスタンデジタル、3位は東芝となります。
HDDメーカーの世界シェアと業界ランキング(2020年)
- 1位 シーゲートテクノロジー 46.4%
- 2位 ウェスタンデジタル 39.8%
- 3位 東芝 16.5%
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市場規模
調査会社のスタティスタによると、2019年と2020年のハードディスクドライブ(HDD)の出荷台数は3億1千6百万台と2億6千万台です。2019年から17.7%減少しています。⇒参照したデータの詳細情報
金額ベースの市場規模の公表データがないことから、業界がHDDメーカー3社の寡占市場であることを前提とし、上位3社の売上高の合計である226億ドルを市場規模として用いています。
年 | 市場規模(数量ベース) | 上位3社合計売上高 | HDD単価 |
---|---|---|---|
2020年 | 2.6億台 | 226億ドル | 87ドル |
2019年 | 3.16億台 | 232億ドル | 73ドル |
©ディールラボ
なお業界は、ソリッドステートドライブ(SSD)との競合はあるものの、引き続きストレージに必要とされる容量は増大しており、外付けHDDやサーバー等の分野で更なる成長が見込める業界です。
売上高ランキング
2021年10-12月四半期売上高をベースとしたHDDメーカーのランキングでは、1位シーゲートテクノロジー、2位ウェスタンデジタル、3位東芝となっています。
寡占市場で業界ランキングは安定していますが、東芝の再編によって今後業界再編が起こる可能性があります。⇒参照したデータの詳細情報
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主なM&A
発表年 | 買い手 | 売り手 | 対象会社 | 買収価格 | 売上高倍率 |
---|---|---|---|---|---|
2009年 | 東芝 | 富士通 | HDD事業 | 300億円 | 未公表 |
2011年 | ウェスタンデジタル | 日立 | 日立GST | 49億ドル | 0.8倍 |
2011年 | シーゲート | サムスン電子 | HDD事業 | 14億ドル | 未公表 |
2015年 | ウェスタンデジタル | サンディスク | 190億ドル | 2.87倍 |
ハードディスクドライブの構造
下図の通りハードディスクドライブは4つの部材から構成されています。プラッタは磁気ドライブもしくはハードディスクともいわれ情報を記録する場所です。スピンドルは、軸付きモーターでプラッタを高速で回転させ、アームは情報の読み書きを行い、アクチュエーターはモーターの回転速度を調整します。ハードディスクドライブメーカーが、これらの部材を製造しているわけでなく、例えばプラッタは、昭和電工等が大手です。

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改訂 ハード・ディスク装置の構造と応用
NAND型フラッシュメモリー業界の世界市場シェアの分析
ソリッドステートドライブ(SSD)業界の世界市場シェアの分析
世界の主要なハードディスクドライブメーカーの一覧
Western Digital(ウェスタン・デジタル)
ウェスタンデジタルは、1970年に設立された米国に本拠を置く世界最大級のハードディスクメーカーです。日立グローバルストレージテクノロジーズを買収し事業を拡大しています。2015年に中国の紫光集団(チンファ・ユニグループ、Tsinghua Unigroup)が同社への15%出資を目指すも断念しました。2015年にコンパクトフラッシュ、SDカード等のフラッシュメモリーを製造するSanDisk(サンディスク)を買収しました。寡占化が進むハードディスク業界大手によるフラッシュメモリー大手の買収です。ウェスタンデジタルはサンディスクのSSD技術を取り込み、減少が予想されるPC向けハードディスクに代わるデータセンター向け記憶媒体事業の強化を目指しています。さらに詳しく
Seagate Technology(シーゲート)
米国に本拠を置く独立系のHDDメーカーです。サムスンのHDD部門を買収しました。
東芝デバイス&ストレージ
東芝傘下のハードディスクドライブメーカーです。富士通のHDD事業を買収しています。
東芝について
東芝は、日本を代表する重電メーカーです。重電5社(日立、三菱電機、富士電機、明電舎)の一角です。芝浦製作所と東京電気が経営統合して、東京芝浦電気(現東芝)が1939年に誕生しました。経団連会長を輩出する等日本を代表するメーカーの1社でもあります。2016年のウェスティンハウスの減損問題発覚以降は、事業の再編を行い、ビジネスモデルを大きく転換しています。インフラサービス、インフラシステム、デバイスプロダクトが事業の柱となっています。さらに詳しく
富士通について
富士通は、古河電気工業とシーメンスの合弁会社として設立された現富士電機の電話部門が1935年に分社化されて設立されました。ICT関連のハードウェアからソフトウェアを手掛けていますが、近年はITソリューションサービスへ事業ポートフォリオをシフトしています。ハードウェアではPC&サーバ、メインフレーム・スーパーコンピューター「富岳」(2012年に稼働した「京」の後継機)、ATM、通信ネットワーク機器などを開発製造しています。グループ関連会社には、富士通フロンテック、新光電気工業、FDK、富士通ゼネラルなどが含まれます。さらに詳しく
参照したデータの詳細情報について