インテルの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Intel(インテル)は、1968年に設立された米国に本拠を置く半導体メーカーです。開発設計から製造までを手掛ける垂直統合モデルが特徴です。CPU(中央演算装置)の分野で圧倒的な競争力を有していましたが、回路線幅のナノ競争では半導体受託大手に後れを取っているとの指摘もあります。
2012年にASLMへ出資、2015年に167億ドルでアルテラを買収、2017年にはイスラエルのモービルアイを買収し、半導体製造から車載半導体分野における競争力強化を目指しています。PC向けのCPUであるCoreプロセッサー、データセンター向けのXeonプロセッサー、無線基地局向けのAtomプロセッサー、メモリのOptaneといった製品群で事業を展開しています。

業績推移(年次)

2021年度
売上高は前年度比1.49%増の79,024百万ドルになりました。営業利益は前年度比-17.83%増の19,460百万ドルになりました。Pat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)CEOのリーダシップの下で、半導体内製の強化、他社ファウンドリー活用の拡大といった新たな戦略を打ち出しましたが、増収減益になりました。

2020年度
前年度比増収増益となりました。リモートワーク向けの需要増が半導体業界への追い風となっています。

インテルの業績推移

インテルの業績推移

業績推移(四半期)

2022年7-9月
売上高は前年同期比-20.08%の15,338百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-103.35%の-175百万ドルになりました。営業利益率は-1.1%になりました。PCとノートPCの需要は、インフレ、金利上昇、在宅勤務の廃止などの影響を受け、低下した結果、前年同期比減収減益になりました。

2022年4-6月
売上高は前年同期比-21.96%の15,321百万ドルになりました。営業利益は前年同期比13.36%増の5,441百万ドルになりました。営業利益率は41.0%になりました。需要の減少に伴い、販売が減少したことが減収増益の主因です。

2022年1-3月
PC販売の減速に加え、中国のシャットダウンやロシアのウクライナ侵攻による影響もあり減収となりました。

2022年10-12月
売上高は前年同期比2.75%増の20,528百万ドルになりました。営業利益は前年同期比-15.21%の4,989百万ドルになりました。データセンター向けは好調でしたが、クライアントコンピューティングはPCの在宅需要の剥落で減収減益になりました。

2021年7-9月
前年同期比増収増益となりました。データセンター事業が好調ですが、アップルが自社開発のMPUを掲載するなどノートPC向けは減収となっています。

インテルの希薄化後EPS(四半期)の推移

インテルの希薄化後EPS(四半期)の推移

EPS成長率(年次)

2019年度以降、希薄化後EPSは横ばいが続いています。

インテルの希薄化後EPSの推移

インテルの希薄化後EPSの推移

EPS成長率(四半期)

2022年度第3四半期(4-6月)
希薄化後EPSは前年同期比-108.87%の-0.11ドルになりました。

インテルの希薄化後EPS(四半期)の推移

インテルの希薄化後EPS(四半期)の推移

売上構成

データセンター向けとPC向けの半導体製品が主力となります。

インテルの売上構成(2021年度)

インテルの売上構成(2021年度)

データセンターグループ
コンピュート、ストレージ、ネットワーク機能のためのワークロードに最適化されたプラットフォームを開発しています。

IoT
小売業者、製造業者、健康・生命科学、政府、教育機関向けに、エッジでデータを作成、保存、処理できるサービスを提供しています。

モービルアイ
コンピュータビジョンと機械学習をベースとしたセンシング、データ解析、ローカライゼーション、マッピング、ADASとAVのための運転ポリシー技術に基づいた運転支援および自動運転ソリューションを提供しています。

メモリ
Optaneテクノロジーとインテル3D NANDテクノロジーをベースにした次世代メモリとストレージ製品を提供しています。

プログラマブル・ソリューションズ
FPGAやストラクチャードASICなどのプログラマブル半導体を幅広いアプリケーション向けに提供しています。

クライアントコンピューティング
11 世代インテル® Core プロセッサー搭載システムなどのCPUシステムを提供しています。

直近のM&A(合併買収)や設備投資

クラウド、5G、AIや自動運転といった分野の強化を目指したM&Aを積極的に行っています。

2015年 書き換え可能な集積回路に強みを持つアルテラを買収
2017年 自動運転向けシステム開発のモービルアイを買収
2020年 NANDフラッシュメモリー事業をSKハイニックスへ売却
2021年 RISC-V採用プロセッサを開発する半導体メーカーのSiFiveを買収
2022年 オハイオ州での半導体工場新設に200億ドルを投資すると発表
2022年 欧州での半導体工場新設に880億ドルを投資すると発表

ASLMへの出資の狙い

  • 2012年にオランダの半導体製造装置大手であるASLMへ15%出資。投資総額は25億ユーロ。
  • インテルは半導体性能の向上に向けた微細加工技術競争に打ち勝つため、レーザー光照射といった高温プラズマから生じる波長が短い極紫外線(EUV)の露光分野を強化。
  • 半導体製造装置との共同開発路線を選択し、単位当たりの半導体コストを引き下げるための大口径化の実現も目指す。

モービルアイ買収の狙い

  • インテルはパソコン向けCPU事業の次の柱として車載半導体を強化
  • 市場が拡大するスマホ向け半導体に強いクアルコムも、車載向け大手であるNXPを買収し同分野強化を図っている
  • モービルアイは自動運転に必要不可欠な外部情報の認識・処理のシステム大手
  • インテルは得意とする大量のデータを処理するための半導体の設計・製造にモービルアイのシステムを組み合わせ、自動運転の分野で主導的な立場を目指す

市場シェア

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