インテルの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Intel(インテル)は、1968年に設立された米国に本拠を置く半導体メーカーです。開発設計から製造までを手掛ける垂直統合モデルが特徴です。CPU(中央演算装置)の分野で圧倒的な競争力を有していましたが、回路線幅のナノ競争では半導体受託大手に後れを取っているとの指摘もあります。
2012年にASLMへ出資、2015年に167億ドルでアルテラを買収、2017年にはイスラエルのモービルアイを買収し、半導体製造から車載半導体分野における競争力強化を目指しています。PC向けのCPUであるCoreプロセッサー、データセンター向けのXeonプロセッサー、無線基地局向けのAtomプロセッサー、メモリのOptaneといった製品群で事業を展開しています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は71,965百万ドルで、前年度比2%増となりました。営業利益は22,035百万ドルになりました。営業利益率は31%になりました。データ関連ビジネスは3%成長し、売上のほぼ半分を占めました。

2020年度
売上高は77,867百万ドルで、前年度比8%増となりました。営業利益は23,678百万ドルになりました。営業利益率は30%になりました。売上の増加は、クラウドサービスプロバイダーが顧客の需要に応えるための容量を増やし、プラットフォームのボリュームが増加したためです。

2021年度
売上高は79,024百万ドルで、前年度比1%増となりました。営業利益は19,456百万ドルになりました。営業利益率は25%になりました。ノートブックPCの継続した需要とデスクトップパソコン需要の回復により、売上が増加しました。

2022年度
売上高は63,054百万ドルで、前年度比20%減となりました。営業利益は2,334百万ドルになりました。営業利益率は4%になりました。売上の減少は、ノートパソコンおよびデスクトップパソコンの販売台数の減少、5Gスマートフォンモデム事業からの撤退と、ワイヤレスおよび接続製品に対する需要の減少などが要因です。ノートブックPCの販売台数は、消費者市場および教育市場セグメントの需要減少により減少しました。

2023年度
売上高は54,228百万ドルで、前年度比14%減となりました。営業利益は93百万ドルになりました。営業利益率は、ほぼ0%です。売上の減少は、市場全体の需要減少によるノートパソコンおよびデスクトップパソコンの販売台数の減少によるものですが、下半期の販売台数の増加により部分的に相殺されました。

インテルの業績推移

インテルの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は14,042百万ドルになりました。営業利益は1,132百万ドルの赤字になりました。

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は11,715百万ドルになりました。営業利益は1,468百万ドルの赤字になりました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は12,949百万ドルになりました。営業利益は1,016百万ドルの赤字になりました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は14,158百万ドルになりました。営業利益は8百万ドルの赤字になりました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は15,406百万ドルになりました。営業利益は2,585百万ドル、営業利益率は17%になりました。

インテルの希薄化後EPS(四半期)の推移

インテルの希薄化後EPS(四半期)の推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比79%減の0.4ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比49%減の0.74ドルになりました。配当性向は185%になりました。

インテルのEPS・配当額・配当性向の推移

インテルのEPS・配当額・配当性向の推移

売上構成

セグメントは、データセンター&AI、ネットワーク、モービルアイ、集積回路製造に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

インテルの売上構成(2023年度)

インテルの売上構成(2023年度)

データセンター&AI
通信サービスプロバイダーおよび HPC 顧客向けのシリコンデバイスとともに、クラウドサービスプロバイダーやその他企業に、タスクや作業負荷に最適化された最先端のソリューションを提供します。

ネットワーク
ネットワークと最先端のコンピューティングシステムを、固定された機能のハードウェアから最適なシステムに変更するサービスを提供します。

モービルアイ
コンピュータビジョンと機械学習をベースとしたセンシング、データ解析、ローカライゼーション、マッピング、ADASとAVのための運転ポリシー技術に基づいた運転支援および自動運転ソリューションを提供しています。

集積回路製造
初のオープンシステムファウンドリとして、汎用モノリシックチップからAIを含む高成長アプリケーションに合わせたチップシステムへの移行を可能にし、インテルとエコシステムの最高のテクノロジーを組み合わせてソリューションを最適化します。

M&A情報

クラウド、5G、AIや自動運転といった分野の強化を目指したM&Aを積極的に行っています。

2015年 書き換え可能な集積回路に強みを持つアルテラを買収
2017年 自動運転向けシステム開発のモービルアイを買収
2020年 NANDフラッシュメモリー事業をSKハイニックスへ売却
2021年 RISC-V採用プロセッサを開発する半導体メーカーのSiFiveを買収
2022年 オハイオ州での半導体工場新設に200億ドルを投資すると発表
2022年 欧州での半導体工場新設に880億ドルを投資すると発表
2022年 イスラエルを拠点とするリアルタイム継続的最適化ソフトウェアの開発会社である Granulate Cloud Solutions Ltd を買収することに合意したと発表

ASLMへの出資の狙い

  • 2012年にオランダの半導体製造装置大手であるASLMへ15%出資。投資総額は25億ユーロ。
  • インテルは半導体性能の向上に向けた微細加工技術競争に打ち勝つため、レーザー光照射といった高温プラズマから生じる波長が短い極紫外線(EUV)の露光分野を強化。
  • 半導体製造装置との共同開発路線を選択し、単位当たりの半導体コストを引き下げるための大口径化の実現も目指す。

モービルアイ買収の狙い

  • インテルはパソコン向けCPU事業の次の柱として車載半導体を強化
  • 市場が拡大するスマホ向け半導体に強いクアルコムも、車載向け大手であるNXPを買収し同分野強化を図っている
  • モービルアイは自動運転に必要不可欠な外部情報の認識・処理のシステム大手
  • インテルは得意とする大量のデータを処理するための半導体の設計・製造にモービルアイのシステムを組み合わせ、自動運転の分野で主導的な立場を目指す

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