クアルコム(Qualcomm)は、1985年にIrwin M. Jacobs氏等によって設立された米国に本拠を置く半導体メーカーです。4Gや5Gといった携帯電話やスマホのCDMA(符号分割多元接続)向け半導体で成長しました。直交周波数多元接続や画像処理チップにも強みを持ちます。工場を持たないファブレス・メーカーです。2016年にNXPセミコンダクターズ(NXP Semiconductors)の買収を提案しましたが、その後断念しています。2021年に自動運転システムを手掛けるオートリブから分社化したVeoneer(ヴィオニア)を買収しました。
2022年度
売上高は前年度比31.68%増の44,200百万ドルになりました。営業利益は前年度比62.08%増の15,813百万ドルになりました。営業利益率は35.78%になりました。前年度比増収増益になりましたが、下期以降、スマートフォンの需要減となっています。
2021年度
前年度比増収増益となりました。売上高は336億ドルで、2020年度の売上高235億ドルと比較して43%増加しました。これは主に、スマホ及び無線周波数フロントエンド(RFFE)全体で5G製品の需要が増加したこと、並びに自動車及びIoTの収益が増加したことによるものです。
クアルコムの業績推移
2022年7-9月
売上高は前年同期比22.05%増の11,395百万ドルになりました。営業利益は前年同期比26.51%増の3,660百万ドルになりました。営業利益率は32.1%になりました。
2022年4-6月
売上高は前年同期比35.68%増の10,936百万ドルになりました。営業利益は前年同期比103.47%増の4,452百万ドルになりました。営業利益率は40.7%になりました。スマートフォン向けの需要が堅調であり、増収増益になりました。一方で、7-10月に関しては、スマートフォンの需要が減少する見通しも示しています。
2022年1-3月
売上高は前年同期比40.69%増の11,164百万ドルになりました。営業利益は前年同期比78.43%増の3,838百万ドルになりました。営業利益率は34.4%になりました。
5G製品の需要が増加したことが追い風となっています。
クアルコムの四半期業績推移
クアルコムのEPS・1株配当・配当性向の推移
CDMA向けのチップ事業が主力です。
クアルコムの売上構成(2022年度)
CDMA事業
無線音声およびデータ通信、ネットワーキング、コンピューティング、マルチメディア、GPS製品に使用される3G/4G/5Gなどの技術に基づく集積回路とシステムソフトウェアの開発および供給をしています。
ライセンス事業
知的財産ポートフォリオの一部について、ライセンス供与や使用権の提供をしています。
ベンチャー投資事業
Qualcomm Venturesを通じてCVC投資を行っています。
半導体業界では上位企業同士のM&Aが盛んに行われており、クアルコムもその当事者として積極的にM&Aを行っています。
2015年 オーディオ半導体に強いCSRを買収
2016年 半導体大手NXPの買収を発表
2017年 NXPの買収を断念
2018年 ブロードコムが買収を提案(その後取り下げ)
2021年 CPUを手掛けるNUVIAを買収
2021年 自動運転のVeoneerの買収
【ご参考】NXP買収提案の骨子