ワッカーケミーの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

1914年にアレキサンダーワッカー博士によって設立されたドイツに本拠を置く化学メーカーです。アセトアルデヒドの合成においてワッカー法を生み出しました。多結晶シリコン以外にもシリコーンの分野に強みを持っています。日本では旭化成と旭化成ワッカ-シリコーンで事業を展開しています。シリコンウエハを手掛けていたシルトロニックは2021年にグローバルウェーハズに売却しました。

業績推移

2019年度
売上高は4,928百万ユーロで、前年度比1%減となりました。営業利益は591百万ユーロの赤字になりました。売上高の減少は、シリコン価格低下によるものです。

2020年度
売上高は4,692百万ユーロで、前年度比5%減となりました。営業利益は226百万ユーロになりました。営業利益率は5%になりました。パンデミックの影響を受け、特に4月から6月は売上が大きく落ち込みました。EBITDAは15%減少しました。

2021年度
売上高は6,208百万ユーロで、前年度比32%増となりました。営業利益は1,072百万ユーロになりました。営業利益率は17%になりました。全ての事業セグメントにわたる販売価格の上昇と販売量の増加により売上高は大幅に増加しました。人件費以外の費用を削減し、EBITDAは131%増加しました。

2022年度
売上高は8,209百万ユーロで、前年度比32%増となりました。営業利益は1,477百万ユーロになりました。営業利益率は18%になりました。全ての事業セグメントにおける販売価格の上昇が主な成長原動力となり、売上高は大幅に増加しました。EBITDAは35%増加しました。これは、人件費以外の費用を削減できたためです。

2023年度
売上高は6,402百万ユーロで、前年度比22%減となりました。営業利益は354百万ユーロになりました。営業利益率は6%になりました。販売価格の定価が売上減少の主な要因です。

ワッカーケミーの業績推移

ワッカーケミーの業績推移

業績推移(四半期)

2021年下半期(7ー12月)
売上高は3,347百万ユーロになりました。営業利益は758百万ユーロ、営業利益率は23%になりました。

2022年上半期(1ー6月)
売上高は4,250百万ユーロになりました。営業利益は1,018百万ユーロ、営業利益率は24%になりました。

2022年下半期(7ー12月)
売上高は3,959百万ユーロになりました。営業利益は460百万ユーロ、営業利益率は12%になりました。

2023年上半期(1ー6月)
売上高は3,497百万ユーロになりました。営業利益は297百万ユーロ、営業利益率は8%になりました。

2023年下期(7ー12月)
売上高は2,905百万ユーロになりました。営業利益は57百万ユーロ、営業利益率は2%になりました。

ワッカーケミーの四半期業績推移

ワッカーケミーの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比75%減の6.31ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比75%減の3ユーロになりました。配当性向は48%になりました。

ワッカーケミーのEPS・配当額・配当性向の推移

ワッカーケミーのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2024年3月に発表されたレポートにて、2024年度通期の売上は6,000から6,500百万ユーロ、EBITDAは600から800百万ユーロを予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、シリコーン、ポリマー、バイオソリューション、ポリシリコンに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

ワッカーケミーの売上構成(2023年度)

ワッカーケミーの売上構成(2023年度)

シリコーン
最も幅広い製品を扱う事業部門です。 金属シリコンとメタノールの 2 つの原材料は、シラン、シロキサン、シリコーンオイル、シリコーンエマルション、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、熱分解法シリカの 7 つの製品グループの 2,800 を超えるシリコーン製品を製造する基礎となっています。

ポリマー
インダーとポリマー添加剤 (分散性ポリマー粉末や分散液など) を製造しています。 これらは、さまざまな産業用途や基礎化学品として使用されています。 ポリマーバインダーの主な顧客は建設業界です。 その他の顧客には、塗料、コーティング、紙、接着剤業界などがあります。

バイオソリューション
ファインケミカル向けにカスタマイズされたバイオテクノロジー製品とカタログ製品を提供します。 製品には、医薬タンパク質、ワクチン、シクロデキストリン、システイン、ポリ酢酸ビニル固体樹脂 (ガムベース用) およびアセチルアセトンが含まれます。 この部門は、医薬品原薬、食品添加物、農薬などの成長分野に対する顧客固有のソリューションに重点を置いています。

ポリシリコン
半導体部門に供給するポリシリコンと高効率太陽電池に使用されるn型単結晶シリコンの両方で世界シェア第1位です。 世界の太陽光発電産業の市場環境の発展により、このビジネスにおける競争は依然として非常に激しいです。

M&A情報

2016年 アンピシリンやアモキシシリンなどのペニシリンベースの原薬の製造に携わるAntibióticos de Leónのスペイン工場を買収
2018年 薬剤用のたんぱく質を製造するSynCo Bio Partnersを買収
2021年 バイオ医薬品業界のさまざまなアプリケーション向けのプラスミド DNA (pDNA) の製造を専門とするGenopisを買収
2021年 接着剤、シーラント、コーティング、複合材料の重要な成分である有機官能性シランの製造を専門とするSICO Performance Materialを買収
2023年 さまざまな発酵プロセスを通じて生成される機能性分子の開発、スケールアップ、製造のためのソリューションを提供するADL BioPharmaのバイオテクノロジービジネスを買収

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