オートリース・自動車リース業界の世界シェア、市場規模や再編の情報を分析しています。エイバン（旧：ALD＋ Lease Plan）、アーバル、エレメントフリート、オリックス等の世界大手自動車リース会社の動向も掲載しています。
本ランキングにおける各社の台数は、公式資料に基づく総管理車両台数を代表指標として採用しています。なお、純リース台数とフリート管理台数の内訳は各社で必ずしも開示されていないため、純リースのみ公表している企業については「総管理車両台数＝純リース台数」として扱っています。

【オートリース・自動車リースとは】

自動車リースは、リース会社が自動車メーカーから自動車を購入して、自動車の利用者にリース会社が自動車を貸し出す（リースする）仕組みです。自動車の利用者は、自動車購入代金を負担せずに、リース会社への月々の支払のみで自動車を利用できます。自動車の利用者はリース期間終了後にリース会社へ車両を返却します。

オートリースと類似したシステムにレンタカーがあり、どちらも利用者へ自動車を貸し出すという点では同じです。しかし、カーリースは基本的に数年以上の長期的な賃貸ですが、レンタカーは数日〜数週間程度の短期的な賃貸となります。また、リースは希望車種を借りられるのに対して、レンタカーはレンタカー会社が所有している車種に限定されます。

【オートリース・自動車リースの世界市場シェア＋ランキング】

オートリース・自動車リース業界の2024年度の車両管理台数⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また業界の市場合計台数を分母にして、2024年のオートリース・自動車リース業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はエイバン（旧：ALD Automotive）、2位はVWリーシング、3位はアーバルとなります。

1位はエイバン。ALD AutomotiveがLeasePlanを買収し、エイバンに社名変更しました。2位ドイツを代表する自動車メーカーであるVWリーシングです。3位のアーバルは2023年より5位の米エレメントフリートと6位の三井住友オートリースと業務提携関係にあります。欧州と米州、アジアという地理的補完関係にもあります。

4位は日本のオリックスです。この他にも日系企業は、住友三井オートサービスが6位、日本カーソリューションズが8位にランクインしています。

VW傘下のVWリーシング、BMW傘下のアルファベット、メルセデス・ベンツ（旧ダイムラー）傘下のアスロン・カーリースなど、大手自動車メーカーのオートリース事業もランクインしています。

【M&Aの動向】

自動車リース業界では規模の拡大を追求する再編が起こっています。

2011年　アルファベットがオランダ総合金融のINGからオートリース事業を6.37億ユーロで買収

2011年　アーバルが独コメルツ（Commez）銀行のオートリース事業を買収

2013年　リースプランがスペインの銀行グループBBVAのオートリース事業を1480万ユーロで買収

2023年　ALDオートモーティブがリースプランを41億ポンドで買収

2014年　エレメントがPHHを14億ドルで買収

2015年　エレメントがGEの米国・メキシコ・豪州・ニュージーランドのオートリース事業

を約86億ドルで買収

2015年　アーバルがGEの欧州オートリース事業を約24億ユーロで買収

2016年　ダイムラーがオートリース大手のAthlonを約11億ユーロで買収

2016年　ALDオートモーティブがParcoursグループを買収

2017年　ALDオートモーティブの株式公開

2021年　Hertzが車両管理Donlenを保険持株会社Atheneに売却

2023年　ALDオートモーティブがリースプランを41億ポンドで買収

2023年　ALD AutomotiveがLeasePlanの買収を完了

2024年　オートフリート、エレメント・フリート・マネジメントによる買収の正式契約を発表

【会社の概要】

LeasePlan（リースプラン）

1963年に創業されたオランダに本拠を置く自動車リース世界大手です。オランダの銀行大手のABNアムロやVW傘下を経て、現在は複数の年金・投資ファンドによるコンソーシアムが保有しています。世界30か国超で事業を展開しています。2023年、ALDオートモーティブがリースプランを41億ポンドで買収しました。

Ayvens(エイバン)

Ayvens（旧ALD Automotive）は、フランスの自動車リース会社です。ソシエテ・ジェネラルの過半数所有子会社です。2023年、ALDオートモーティブがリースプランを41億ポンドで買収しました。その後、エイバンに社名変更しました。

Arval(アーバル)

1989年に設立されたフランスの大手金融機関BNPパリバ傘下の自動車リース会社です。大企業、中小企業等への法人総合的な自動車リースサービスを提供しています。フランス、イタリア、イギリス、スペイン等の地域に強みを持ちます。

Element Fleet（エレメント・フリート）

2016年にエレメント・フィナンシャルより分社化して誕生した米国に本拠を置く自動車リース会社です。2015年にGEキャピタル・フリートサービスを買収しています。北米・カナダを中心に全世界に展開しています。

Orix(オリックス)

日本を代表する自動車リース大手です。保険、銀行、電力、不動産等の分野を拡大しています。

ALD Automotive(ALDオートモーティブ)

フランスの大手金融機関ソシエテジェネラル傘下の自動車リース大手です。2022年1月に同業のリースプランの買収を発表しました。

Sumitomo Mitsui Autoservice(住友三井オートサービス)

自動車や部品などの賃貸・リースをおこなっている会社です。2007年、住商オートリースと三井住友銀オートリースが合併して誕生しました。

VW Leasing(VWリーシング)

1937年に設立されたドイツを代表する自動車メーカーです。第二次世界大戦後にビートルで成長を遂げ、ゴルフシリーズの成功で世界大手となりました。高級自動車である、Bentley、ランボルギーニ、ポルシェ、ブガッティやAudi（アウディ）を傘下に擁しています。2015年の排ガス不正ソフトウェア問題が課題となりましたが、現在ではEV化へ舵を切っています。トラック・バス事業は2018年にTraton（トレイトン）として分社化しました。フォルクスワーゲングループブランドの新車・中古車を調達できることが強みを活かした自動車リース事業も展開しています。さらに詳しく

Alphabet(アルファベット)

BMW傘下の自動車リース大手です。BMWグループのブランドの車をリースできる点が強みです。1916年に航空機エンジンメーカーとして設立されたBMWは、現在はドイツの高級自動車メーカーです。BMW、MINI、ロールスロイス、オートバイのBMWのモトラッドブランドで世界展開しています。ロールスロイスは1998年、MINIは1994年にBMWの傘下に入りました。モトラッドは1923年から展開している大型バイクメーカーです。自動車リースも手掛け、Alphabet（アルファベット）で展開しています。電気自動車（EV）でも上位に位置します。さらに詳しく

Nippon Car Solutions(日本カーソリューションズ)

大手リース会社である東京センチュリーの子会社です。2005年、NTTオートリースとセンチュリーオートリースの合併により誕生しました。

Athlon Car Lease(アスロン・カーリース)

ダイムラーの子会社で、自動車リース事業を手がけています。元々はオランダの企業向け自動車リース大手でしたが、2016年ドイツ自動車大手ダイムラーに買収されました。

ダイムラーについて

ドイツに本拠を置く大手自動車メーカーです。乗用車と自動車リースが事業の柱となっています。乗用車ではメルセデスベンツで高級車セグメントにフォーカスした世界展開をしています。1998年にクライスラーと合併しましたが、2007年にクライスラーを売却しました。インドではバーラト・ベンツ (BharatBenz) ブランドを展開しています。2021年にメルセデスベンツとダイムラートラックが分社化され、社名をメルセデスベンツグループへと変更しました。自動車リースはAthlonで展開しています。

分社化されたダイムラートラックは、三菱ふそうトラック・バスを傘下に保有しています。バス分野はメルセデスベンツとゼトラ（Setra ）ブランドで展開しています。売上の約66％が欧州となっています。さらに詳しく

Holman(ホールマン)

1948年にHolman Automotive Groupによって設立された米国に本拠を置く自動車リース大手です。現在もファミリーが所有している非公開会社です。Holmanグループは、トラックへの附属品の製造と設置を行うAuto Truck Group、自動車ディーラーのHolman Automotive等を展開しています。

その他の大手オートリース企業として、レンタカー大手Hertzの子会社だったDonlen、ALDオートモーティブと提携しているWheelsなどがあります。

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