三菱重工の市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

三菱重工業は、1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は前年度比8%増の41,686億円になりました。営業利益は114.71%減の-295億円になりました。営業利益率は-1%になりました。
売上高は、中量産品事業の減速により微減となり、さらにSpaceJet事業の損失(過年度計上資産の減損含む)等により事業利益は大幅に減少しました。

2020年度
売上高は前年度比20%減の33,363億円になりました。営業利益は283.05%減の540億円になりました。営業利益率は2%になりました。
スチームパワー、GTCC、商船、エンジニアリング、製鉄機械といった分野で売上高が減少しましたが、営業利益は、航空・防衛・宇宙セグメントが増加しました。

2021年度
売上高は前年度比22%増の40,677億円になりました。営業利益は196.67%増の1,602億円になりました。営業利益率は4%になりました。
需要の回復が追い風となりエナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙の全セグメントで増収となり、物流費や原材料の高騰を上回る増益となりました。

2022年度
売上高は前年度比3%増の42,027億円になりました。営業利益は20.66%増の1,933億円になりました。営業利益率は5%になりました。
GTCC事業による新設とサービスのほか、航空エンジン事業による事業規模の拡⼤により売上高は前年度実績を上回り、過去最⾼を記録しました。

2023年度
売上高は前年度比11%増の46,571億円になりました。営業利益は46.15%増の2,825億円になりました。営業利益率は6%になりました。
製鉄機械、物流機器、防衛・宇宙が売上収益を⼤きく伸ばしました。また、海外の⼀部⼯事で⽣じた損失が減益要因となったが、売上増、⼯事採算の改善、サービス事業の拡⼤、価格適正化、為替影響等が寄与し、事業利益は増加しました。

三菱重工業の業績推移

三菱重工業の業績推移

業績推移(四半期)

2023年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比8.11%増の10,853億円になりました。営業利益は490億円、営業利益率は5%になりました。
GTCC、航空エンジン、製鉄機械、物流機器、防衛・宇宙が売上収益を⼤きく伸ばしました。売上増、⼯事採算の改善、サービス事業の拡⼤、価格適正化、為替影響等が寄与し、事業利益は増加しました。

2023年第3四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比12.10%増の11,914億円になりました。営業利益は907億円、営業利益率は8%になりました。
製鉄機械、物流機器、防衛・宇宙が売上収益を⼤きく伸ばしました。売上増、⼯事採算の改善、サービス事業の拡⼤、価格適正化、為替影響等が寄与し、事業利益は前年同期を大幅に上回りました。

2023年第4四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比10.42%増の13,965億円になりました。営業利益は909億円、営業利益率は7%になりました。
製鉄機械、物流機器、防衛・宇宙が売上収益を⼤きく伸ばしました。また、海外の⼀部⼯事で⽣じた損失が減益要因となったが、売上増、⼯事採算の改善、サービス事業の拡⼤、価格適正化、為替影響等が寄与し、事業利益は増加しました。

2024年第1四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比12.97%増の11,115億円になりました。営業利益は835億円、営業利益率は8%になりました。
GTCC、航空エンジン、防衛・宇宙が売上収益を⼤きく伸ばしました。エナジー、プラント・インフラ、航空・防衛・宇宙の3セグメントが増益となりました。

2024年第2四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比9.33%増の11,866億円になりました。営業利益は1,049億円、営業利益率は9%になりました。
エナジー、プラント・インフラ、航空・防衛・宇宙の3セグメントが増収となり、特に防衛・宇宙が、航空機・⾶昇体を中⼼に売上収益を⼤きく伸ばしました。エナジー、プラント・インフラ、航空・防衛・宇宙の3セグメントが増益となりました。

三菱重工業の四半期業績推移

三菱重工業の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比70%増の66.04円になりました。1株当たりの配当は前年度比54%増の200円になりました。配当性向は303%になりました。

三菱重工業のEPS・1株配当・配当性向の推移

三菱重工業のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2025年3月
今期の売上高は49,000億円、営業利益は3,500億円、営業利益率は7%、1株配当は22円を見込みます。

売上構成

セグメントは、エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

三菱重工の売上構成(2022)

三菱重工の売上構成(2022年度)

セグメントを製品別に細分化すると、次のような売上構成になります。ガスタービン(GTCC)や防衛宇宙、スチームタービン事業の売上構成が大きくなっています。

三菱重工業の製品別売上構成(2023年度)

三菱重工業の製品別売上構成(2023年度)

エナジー
火力発電システム、原子力発電システム(軽水炉、原子燃料サイクル・新分野)、風力発電システム、航空機用エンジン、コンプレッサ、排煙処理システム、舶用機械等の設計、製造、販売、サービス及び据付等を行っています。主な関連会社は以下です。Mitsubishi Power Aero LLC、Mitsubishi Power Americas, Inc.、三菱重工航空エンジン㈱、三菱重工コンプレッサ㈱

プラント・インフラ
製鉄機械、商船、エンジニアリング、環境設備、機械システム等の設計、製造、販売、サービス及び据付等を行っています。主な関連会社は以下です。三菱重工環境・化学エンジニアリング㈱、三菱造船㈱、三菱重工機械システム㈱、三菱重工エンジニアリング㈱、Primetals Technologies, Limited

物流・冷熱・ドライブシステム
物流機器、ターボチャージャ、エンジン、冷熱製品、カーエアコン等の設計、製造、販売、サービス及び据付等を行っています。主な関連会社は以下です。三菱重工サーマルシステムズ㈱、三菱重工エンジン&ターボチャージャ㈱、三菱ロジスネクスト㈱

航空・防衛・宇宙
民間航空機、防衛航空機、飛しょう体、艦艇、特殊車両、特殊機械(魚雷)、宇宙機器等の設計、製造、販売、サービス及び据付等を行っています。主な関連会社は以下です。MHI RJ Aviation Inc.

M&A情報

2008年 フィンランド・ロックラー社の買収
2010年 英国のベンチャー企業アルテミス社を買収
2012年 界的なブローチ工具およびブローチ盤の製造会社である米国フェデラル・ブローチ社(Federal Broach Holdings, LLC)の全持分を取得することを決め、同社及び持分保有者と持分売買契約を締結
2012年 国のフォークリフト販売サービス会社デイリー・エクイップメント(Daily Equipment Company:DE社)を買収
2013年 国の航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney:P&W)の中小型ガスタービン事業ユニットであるプラット・アンド・ホイットニー・パワーシステムズ(Pratt & Whitney Power Systems:PWPS)の買収手続きをすべて完了
2015年 チユ三菱フォークリフトがユニキャリアを買収
2017年 アレバの燃料サイクル事業への出資
2020年 井E&Sホールディングスから艦艇事業の譲渡受け
2021年 上風力発電設備専業の合弁会社の株式全てをVestas 社へ譲渡
2021年 本電産へ工作機械事業の事業譲渡
2023年 米における産業用電源システムソリューションのトップサービスプロバイダーであるコンセントリック社(Concentric, LLC)の持分100%について、オンポイントグループ(OnPoint Group)からの取得を完了

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