風車や風力発電機(ウィンドタービン、Wind Turbine)の世界市場シェアについて分析をしています。ヴェスタス、金風科技、GEリニューアブルエナジー、シーメンスガメサ等風力タービンの世界大手動向も掲載しています。
市場シェア
調査会社のグローバルウィンドエナジーカウンシルの発表によれば、2019年に、発電容量63ギガワット超の2万2893基の風力発電所が設置され、風力発電のタービンは33社のメーカーが担っています。メーカー別の設置済み発電容量による2019年の市場シェアは1位ヴェスタス、2位シーメンスガメサ、3位金風科技(ゴールドウィンド)となります。
- 1位 ヴェスタス(Vestas) 18.0%
- 2位 シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(Siemens Gamesa Renewable) 15.7%
- 3位 金風科技(ゴールドウィンド) 13.2%
- 4位 GEリニューアブル・エナジー 11.6%
- 5位 遠景能源(ENVISION) 8.6%
- 6位 明陽風電集団(Mingyang) 5.7%
- 7位 ノルデックスアクシオナ(Nordex Acciona) 4.9%
- 8位 エネルコン 3.0%
- 9位 遠達(Widney) 3.5%
- 10位 東方電気(Dongfang) 2.1%
- 11位 エスイーウィンド(Sewind) 2.0%
- 12位 中船重工海装風電(CSIC Haizhuang Wind Power)(中国) 1.8%
- 13位 センビオン(Senvion) 1.7%
- 14位 ユナイテッド・パワー(United Power) 1.7%
- 15位 MHIヴェスタス(MHI Vestas) 1.6%
世界大手風力発電会社の動向
GEリニューアブルエナジー
世界を代表する総合電機メーカーです。風力発電機の分野は2020年にエンロンから同事業を買収して参入しました。フランスのアルストムから送電網と風力発電事業を買収し規模を拡大しております。
GEについて
GE(ジェネラル・エレクトロニック)は、1878年にトーマス・エジソンによって設立されたエジソン電気照明会社を源流に持つ世界を代表する総合電機メーカーの老舗です。世界シェア1位か2位以外の事業からは撤退するというナンバーワン・ナンバーツー戦略を実施し、積極的な事業ポートフォリオの入れ替えを行うことでも有名です。インダストリアル・インターネットを成長戦略にしたジェフ・イメルト氏が退任した後、2017年に生え抜きのジョン・フラナリー氏が社長に就任したものの、2018年には外部のダナハーからラリー・カルプ氏が招聘され、新CEOとなるなど、経営陣の交代が続きます。2021年にGEをヘルスケア部門、電力・エネルギー部門、航空部門の3社へと分社化することを発表しました。さらに詳しく
シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(Siemens Gamesa Renewable)
ドイツを代表する総合電機メーカーであるシーメンスの風力発電機事業とスペインの風力発電メーカーが2016年に経営統合して誕生しました。洋上風力向けの風車に強みを持っています。2019年にセンビオンから陸上風車事業を買収しています。シーメンスエナジーが親会社です。
シーメンスエナジー
シーメンスエナジー(Simens Energy)は、2020年にシーメンスからスピンオフ上場をした、電力機器メーカーです。火力発電等の発電所プラント向けガスタービン、蒸気タービン、Dresser-RandやADGT&Compを含むコンプレッサー、高電圧直流(HVDC)機器等を提供しているパワー&ガス事業と、洋上や陸上の風力発電所に風力タービンを含めた総合的なサービスを提供している風力発電&再生可能エネルギー事業を展開しています。さらに詳しく
ヴェスタス(Vestas)
1945年に創業のデンマークに本拠を置く風力発電機器メーカー大手です。洋上風力の分野では三菱重工業と2016年に提携して、MHIヴェスタスを設立しています。2021年にMHIヴェスタスの株式をヴェスタスが買収し、一方三菱重工はヴェスタスへ出資をしました。
三菱重工について
1884年に創業された日本を代表する重工業グループです。三菱グループの中核企業の1社と言われています。戦前は軍産複合体として成長し、戦時中は戦艦武蔵やゼロ戦を手掛け、当時から技術力では世界最高水準を維持しています。戦後は民間向けの重工分野を強化し、発電所システム、航空機エンジン、航空機、船舶、ターボチャージャ、フォークリフト、機械システム、エンジニアリング、防衛関連機器の製造販売を行っています。さらに詳しく
エネルコン
1984年に設立されたドイツに本拠を置く風力発電機器メーカー大手です。ギアレス型の陸上風力に強みを持ちます。
Nordext Acciona(ノルデックス・アクシオナ)
2016年にドイツの風力発電機メーカーのノルデックスがスペインの風力発電機メーカーのアクシオナを買収して誕生しました。
センビオン(Cenvion)
ドイツの風力発電機器メーカーです。インドのスズロン傘下から2015年に米投資ファンドのCenterbridge Partners傘下となり、2019年に破綻しております。再生プロセスの中でシーメンスガメサに陸上風車事業を売却しました。
スズロングループ
インドの風力発電機器大手のスズロン社です。インド国内では圧倒的なシェアを持ちます。
中国の風力発電機メーカー
中国は陸上風力の市場として大きく、数多くの風車メーカーが誕生しています。その中でも最大手は1985年に設立された中国に本拠を置く風力発電機器メーカーのゴールドウィンドです。陸上と洋上風力の風車のどちらも手掛けています。その他にも大手中国電力傘下の聯合(ユナイテッドパワー)、Mingyang(ミンヤン)やエンビジョン、遠達、東方電気などがあります。
新疆金風科技(ゴールドウインド)
1998年に設立された風力発電機メーカーです。中国国内の需要拡大という追い風を受け、世界トップクラスの納入実績を誇ります。売上の9割は国内需要ということもあり、中国国外への風力発電機の展開に力を入れております。株主は政府系の新疆風能です。