電力業界

電力業界の世界シェア、市場規模と再編について分析をしています。エーオン、EDF、エネル、エンジー、東京電力、中国華能等世界の主要電力会社概要も掲載しています。

市場シェア

「世界の主要電力・ガス会社の売上高ランキングの分析(2020年版)」に記載されている世界の電力・ガス会社の2019年の売上高を分子に、電力業界の市場規模を分母に、電力会社の世界市場シェアを算出すると以下の通りとなります。

2019年電力業界シェアランキング
  • 1位 エネル 2.5%
  • 2位 EDF 2.2%
  • 3位 ユニパー 2.1%
  • 4位 エンジー 1.9%
  • 5位 東京電力 1.7%
  • 6位 イーオン 1.3%
  • 7位 華能集団 1.2%
  • 8位 イノジー 1.2%
  • 9位 イベルドローラ 1.1%
  • 10位 エクセロン 1.0%
  • 11位  国家電力投資 1.0%
  • 12位 能源投資集団 1.0%
  • 13位 セントリカ 1.0%
  • 14位 関西電力 0.9%
  • 15位 中部電力 0.8%
  • 16位 デュークエナジー 0.7%
  • 17位 ネクステラエナジー 0.6%
  • 18位 ナショナルグリッド 0.5%
  • 19位 東京ガス 0.5%
  • 20位 ドミニオンリソーシーズ 0.5%

1位はイタリアのエネル、2位は近年原子力事業を手掛けるアレバの買収して発電以外の分野へも事業を拡大するEDF、3位はユニパ―です。1位、2位からは、イタリアとフランスを代表する電力ユーティリティ会社がより規模を拡大させていることがわかります。3位のユニパ―はイーオンから分社化された経緯もあります。引き続き世界最大級の電力会社です。4位は旧フランスガス公社(GDFスエズ)のエンジ―(フランス語的にはアンジー)です。上流権益や石炭火力からは撤退しつつ、引続き積極的な海外展開を行っています。5位には日本の東京電力となっています。ガス分野も手掛けられるようになった一方で、福島原発への賠償問題から政府関与も大きく、かつてのガリバーが再び輝きを取り戻せるか、注目されています。6位にはユニパ―を手放し、配送電及び電力小売事業となったイーオン、7位には中国の国有5大電力会社の一角である華能集団(フアネンパワー)が入っています。8位はドイツの電力再編によって誕生したイノジーが、9位にはスペインの電力・ガスの巨人であるイベルドローラが入っています。10位には米国のエクセロンが入っています。

(参照)最近の電力業界の事業再編
  • 2015年 東京電力と中部電力の火力発電事業が統合しJERA誕生
  • 2015年 China Power Investment(中国電力投資集団)とState Nuclear Power Technology Corporation(国家核電技術有限公司)が合併してSPIC(国家電力投資集団)が誕生
  • 2016年 RWEによるinnogyの分社化
  • 2017年 神華集団と中国国電集団が経営統合して国家能源投資集団(CHN Energy)が誕生
  • 2018年 E.ONによるRWEからのinnogy買収
  • 2018年 RWEによるE.ONへの出資
  • 2018年 E.ONによるUniperのフォータム(Fortum)への売却

発電所の種類

発電所には、大きく分けて火力発電、水力発電、原子力発電、再生エネルギー(風力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電)となります。火力発電は、燃料や発電方法により石炭火力等の内燃力発電、ガスタービン発電、コンバインドサイクル発電に分かれます。水力発電も揚水式、貯水池式等に分かれます。

市場規模

調査会社のBusiness Research Companyによれば、世界の電力市場(発電・送電・配電)の2019年の規模は3兆4565億ドルです。当サイトでは市場シェアの算出にあたり、この数値を電力業界の市場規模として採用しております。

世界の主要な電力会社の一覧

E.On(エーオン)

2000年にプロイセン電力とバイエルン電力が合併して誕生したドイツに本拠を置く世界最大級の電力会社です。大陸欧州のみならず、英国・北米も含め電力事業を展開しています。火力・原子力部門をUniper(ユニパー)として分社化し、ドイツの電力大手RWEに再生エネルギー分野を売却する一方で、RWEから送電・配電事業を買収し、送配電大手として事業再編を果たしています。

EDF(イーディーエフ、フランス電力会社)

フランスに本拠を置くフランス政府系の電力会社です。国策として原子力発電所推進や海外展開も積極的です。2016年にフランスの原子力大手アレバを買収しました。

ENEL(エネル)

イタリアを代表する大手電力会社です。イタリア政府が大株主です。海外展開も積極的です。

エンジー(Engie)

2008年にフランスガス公社のGDFとスエズが合併して誕生した大手電力・ガス会社です。フランス政府が大株主です。GDF Suez(GDFスエズ)からエンジーへと社名変更しています。発電以外にも石油やガス権益も保有しているが、売却を行いました。

2020年7月31日にエンジーがストラテジックレビューを発表しました。

  • リニューアブル発電所と電力・ガスのインフラストラクチャーへの投資を実行
  • クライアントソリューション事業のストラテジックレビューの実施
  • ノンコア事業と少数持分株式を含めたダイベストメントを推進
  • 中長期的にリニューアブルの発電容量を3GWから4GWへと増加
  • 分散化発電である地域冷暖房事業やオンサイト発電所を強化するものの、それ以外のクライアントソリューション事業はレビューの対象とする
  • ノンコア事業と少数持分株式を含め総額80億ユーロ程度の資産売却を行う
  • 少数持分株式には、スエズ持分(約30億ユーロ)、GTTの持分等を含みます。
  • ノンコア事業には、発電所などへのエンジニアリング(EPC)サービスを提供するEndelも含んでいます。

エンジーの注力する事業は以下の通りとなります。

発電事業

  • IPP事業としては世界最大手一角
  • 103GWの発電容量
  • 23.7GWのリニューアブル発電

ガス事業

  • ガス供給業者としては欧州最大手の一角
  • 120億立方米のガス保管容量
  • LNGの再ガス化で欧州大手
  • 3万3千キロのガスパイプライン(導管)を運用
  • 26万キロのガス供給導管を保有

エナジーサービス

  • 20か国、350の地域で地域冷熱を供給
  • 24百万人の顧客

2020年にエンジーの取締役会はスエズ持分(29.9%)へのベオリアからの買収提案を承認しました。業界大手同士の資本提携ということもあり、独占禁止法の観点からの審査プロセスで承認が得られるか、予断を許さない状況は続きます。

RWE

ドイツ西部を地盤とする大手電力会社です。電力以外にもガス・水道分野に積極的に展開しています。2016年に再生エネルギーや電力小売り事業をイノジーとして分社化上場し、イーオンへ売却しました。イーオンの再生エネルギー発電事業を買収し、リニューアブル特化の電力会社としての生き残りを図っています。

Iberdrola(イベルドローラ)

スペインの最大手の電力会社です。英国や北米にも進出しています。

Duke Energy(デューク・エネジー)

米国を代表する電力会社です。

AES

米国の大手電力会社です。世界的に電力事業を展開しています。

National Grid(ナショナル・グリッド)

1990年に民営化された英国の送電会社です。英国は元国営ガス会社のブリティッシュガスが電力小売りへ参入し大手となっています。

中国の五大電力会社

中国政府は、国家電力公司を2002年に発電部門と送配電部門を分離しました。発電事業は以下の5大発電会社に分かれました。送配電事業は国家電網公司と南方電網公司へ分かれました。

Huaneng Power(中国華能集団、フアネン・パワー)

中国の五大電力会社。発電容量で1.6億キロワット超となり、中国及び世界最大級の発電会社となっています。

CHN Energy(国家能源投資集団)

2017年に石炭開発大手の神華集団と中国五大電力会社の一角であったChina Guodian(中国国电集团公司、中国国電集団、チャイナ・グオディアン)が経営統合して誕生しました。石炭開発から電力までの垂直統合した、資源ユーティリティ会社です。傘下に上場電力会社で風力発電大手の龍源電力(チャイナ・ロンユアン・パワー・グループ、China Longyuan Power Group)等を保有しています。2018年の発電能力は226ギガワットです。

Datang International Power (大唐電力集団)

中国五大電力会社の一社です。政府100%保有しています。北部地域での発電です。発電能力は1.3億キロワット程度です。

Huadian Power International(华电国际电力控股有限公司、中国華電集団)

中国五大電力会社です。中国の山東省を本拠に東部地域での発電しています。発電能力は1.5億キロワット程度です。

State Power Investment Corporation Limited(SPIC、国家電力投資集団) 

同社は2015年5月にChina Power Investment(中国电力投资集团公司、中国電力投資集団)とState Nuclear Power Technology Corporation(国家核電技術有限公司)が合併して誕生しました。発電能力は1.26億キロワット程度です。

日本の大手電力会社

東京電力ホールディングス(発電容量は概ね6600万キロワット程度)や関西電力が日本の大手電力会社となります。日本の電力10社の合計の発電容量で約2億1千万キロワットであり、中国の5大電力会社の大きさが際立ちます。

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