電力とガス業界の世界市場シェアの分析

電力業界とガス業界の世界シェア、市場規模と再編について分析をしています。エーオン、EDF、エネル、エンジー、フォータム、イベルドローラ、東京電力、中国華能、韓国電力、東京ガスといった世界の主要な電力とガス会社の概要や動向も掲載しています。

電力会社とガス会社の市場シェアと業界ランキング

世界の電力及びガス会社の2020年度の売上高を分子に、後述する市場規模を分母にして、2020年の電力及びガス会社の世界市場シェアを算出すると、1位はフランスのEDFの2.24%、2位はイタリアのエネルの2.11%、3位はドイツのイーオンの1.98%となります。

2020年の電力会社とガス会社の市場シェアと業界ランキング

  • No1 EDF 2.24%
  • No2 エネル 2.11%
  • No3 イーオン 1.98%
  • No4 エンジー 1.81%
  • No5 フォータム 1.59%
  • No6 東京電力 1.49%
  • No7 韓国電力 1.36%
  • No8 華能集団 1.20%
  • No9 イベルドローラ 1.07%
  • No10 国家電力投資 0.92%
  • No11 能源投資集団 0.92%
  • No12 国家電力投資集団 0.92%
  • No13 エクセロン 0.89%
  • No14 メキシコ国営電力会社(CFE) 0.82%
  • No15 関西電力 0.81%
  • No16 中国華電集団 0.80%
  • No17 セントリカ 0.79%
  • No18 中部電力 0.75%
  • No19 JERA 0.69%
  • No20 デュークエナジー 0.59%
  • No21 東北電力 0.58%
  • No22 台湾電力 0.57%
  • No23 ナショナルグリッド 0.56%
  • No24 九州電力 0.54%
  • No25 インドネシア国有電力会社 0.54%
  • No26 ナタージュ 0.50%
  • No27 ネクステラエナジー 0.49%
  • No28 東京ガス 0.45%
  • No29 AEP 0.39%
  • No30 ドミニオンリソーシーズ 0.38%
  • No31 中国長江三峡集団 0.38%
  • No32 ナショナル・サーマル・パワー 0.38%
  • No33 EDP 0.37%
  • No34 大唐電力集団 0.36%
  • No35 大阪ガス 0.35%
  • No36 中国電力 0.33%

電力・ガス会社のマーケットシェア(2020年)
電力・ガス会社のマーケットシェア(2020年)

1位は近年原子力事業を手掛けるアレバの買収し、発電以外の分野へも事業を拡大するフランスのEDF、2位はイタリアのエネル、3位はユニパ―を手放し、イノジーを買収し配送電及び電力小売事業への道を進むドイツのイーオンとなりました。1位、2位、3位はいずれも欧州勢であり、フランス、イタリア、ドイツを代表する電力ガス会社が、自由化による規制緩和を追い風にして、規模を拡大させていることがわかります。4位は旧フランスガス公社(GDFスエズ)のエンジ―(フランス語的にはアンジー)です。上流権益や石炭火力からは撤退しつつ、引続き積極的な海外展開を行っています。5位のイーオンから分社化されたユニパ―を買収したフィンランドのフォータムです。小が大を飲み込む買収で一気に上位になりました。6位には日本の東京電力となっています。ガス分野も手掛けられるようになった一方で、福島原発への賠償問題から政府関与も大きく、かつてのガリバーが再び輝きを取り戻せるか、注目されています。7位には韓国の国営電力会社である韓国電力です。8位には中国の国有5大電力会社の一角である華能集団(フアネンパワー)が入っています。9位にはスペインの電力・ガスの巨人であるイベルドローラが入っています。

(参照)最近の電力とガス業界の事業再編

  • 2015年 東京電力と中部電力の火力発電事業が統合しJERA誕生
  • 2015年 China Power Investment(中国電力投資集団)とState Nuclear Power Technology Corporation(国家核電技術有限公司)が合併してSPIC(国家電力投資集団)が誕生
  • 2016年 RWEによるinnogyの分社化
  • 2017年 神華集団と中国国電集団が経営統合して国家能源投資集団(CHN Energy)が誕生
  • 2018年 Gas NaturalがNaturgyへと社名変更
  • 2018年 E.ONによるRWEからのinnogy買収
  • 2018年 RWEによるE.ONへの出資
  • 2018年 E.ONによるUniperのフォータム(Fortum)への売却

発電所の種類と最近の傾向

発電所には、大きく分けて火力発電、水力発電、原子力発電、再生エネルギー(風力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電)となります。火力発電は、燃料や発電方法により石炭火力等の内燃力発電、ガスタービン発電、コンバインドサイクル発電に分かれます。水力発電も揚水式、貯水池式等に分かれます。

パリ協定以降、CO2(二酸化炭素)の削減目標が各国に定められ、石炭火力発電所への風当たりが強くなっています。多くの金融機関が石炭火力発電所への新規融資に慎重な姿勢を示し、ESGを重視する機関投資家が、石炭火力発電所を運営する会社に対して、CO2排出量や排出量の抑制方法についてより踏み込んだ開示をするよう要請をする傾向が続いています。一方で、新しい電源として太陽光発電や洋上風力発電に注目が集まっています。

市場規模

当サイトでは、2020年の電力及びガス業界の市場規模を3兆7千億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。調査会社のザビジネスリサーチカンパニーによると、2019年の発電市場の規模は1兆1669億ドルです。調査会社のリサーチアンドマーケッツによると、2020年に電力業界(発電、送電、配電)の市場規模は3兆2623億ドルです。2021年にかけて5.8%の成長を見込みます。また2020年のガス配給業界の規模は4661億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報

世界の主要な電力会社の一覧

E.On(エーオン)

2000年にプロイセン電力とバイエルン電力が合併して誕生したドイツに本拠を置く世界最大級の電力会社です。大陸欧州のみならず、英国・北米も含め電力事業を展開しています。火力・原子力部門をUniper(ユニパー)として分社化し、ドイツの電力大手RWEに再生エネルギー分野を売却する一方で、RWEから送電・配電事業であるイノジー(innogy)を買収し、送配電大手として事業再編を果たしています。2019年にフィンランドの水力・原子力発電を手がける電力会社であるFortum(フォータム)がユニパーを買収しました。

Fortum(フォータム)

フィンランドを代表する電力会社です。同国の豊富な水資源を活かした水力発電所での発電に強みをもっています。また原子力発電所も展開しています。地域熱供給事業も強化しています。ドイツの火力・原子力発電所大手であるUniper(ユニパー)を買収しました。

Uniper(ユニパー)
E.On(エーオン)から分社化した火力と原子力発電を行うドイツの大手電力会社です。2019年にフォータムが買収しました。

EDF(イーディーエフ、フランス電力会社)

フランスに本拠を置くフランス政府系の電力会社です。国策として原子力発電所推進や海外展開も積極的です。2016年にフランスの原子力大手アレバを買収しました。

ENEL(エネル)

イタリアを代表する大手電力会社です。イタリア政府が大株主です。海外展開も積極的です。

エンジー(Engie)

2008年にフランスガス公社のGDFとスエズが合併して誕生した大手電力・ガス会社です。フランス政府が大株主です。GDF Suez(GDFスエズ)からエンジーへと社名変更しています。発電以外にも石油やガス権益も保有していましたが売却を行いました。現在はガス供給とリニューアブル発電での事業強化を目指しています。水素発電所の展開も狙いグリーン水素へも積極投資を行っています。さらに詳しく

RWE

RWEは、ドイツ西部を地盤とする大手電力会社です。ルール地方の石炭を活用した石炭火力発電所が源流です。2016年に再生エネルギーや電力小売り事業をイノジー(innogy)として分社化上場し、イーオン(E.ON)へ売却しました。一方でイーオンと売却したイノジーの再生エネルギー発電事業を買収し、リニューアブル特化の電力会社としての生き残りを図っています。

Iberdrola(イベルドローラ)

Iberdrola(イベルドローラ)は、スペインに本拠を置く電力会社です。1992年のイドローラ社とイベルドゥエーロ社の合併によって誕生しました。スペイン以外にも英国でスコティッシュパワー、北米ではAvangrid(アバングリッド)、ブラジルやメキシコでも事業を展開しています。

EDP(ポルトガル電力公社)

1976年に設立されたポルトガルの電力会社です。ポルトガル、スペインとブラジルで電力の発電・配電・供給事業を行っています。中国政府系の電力会社が筆頭株主です。

Duke Energy(デューク・エネジー)

2005年に設立された米国を代表する電力・ガス会社です。源流は1905年に設立されたSouthern Power Companyに遡ることができます。電気、ガス、商業用再生可能エネルギーが事業の柱となっています。2021年に物言う株主であるエリオットマネジメントが事業分割の公開提案によるキャンペーンを実施しています。

Nextera Energy

1925年に源流をさかのぼることができる米国に本社を置く電力会社です。フロリダ州最大の電力会社であるFPL(Florida Power & Light)や2019年に買収したガルフパワーを傘下に有しています。北米やカナダで風力や太陽などの再生可能エネルギー事業も展開をしています。

National Grid(ナショナルグリッド)

1990年に国営電力会社であるCEGBが民営化された際に分社化された英国の送電会社です。英国だけでなく米国の送電事業を手掛けています。旧国営ガス会社の一角であるTranscoを買収し、ガス事業の拡大を図っていましたが、2020年にウェスタン・パワー・ディストリビューション(WPD)を米国電力会社のPPLから買収する一方で、2021年中にガス事業の売却を検討し、資産の入れ替えを加速しています。

Exelon(エクセロン)

2000年にコモンウェルス・エジソン(Commonwealth Edison)の親会社であるユニコム社(Unicom)と、フィラデルフィア電力(PECO Energy)が経営統合をして誕生しました。発電事業と小売事業を米国で展開しています。2012年にコンセレーション・エナジー(Constellation Energy Group)を、2016年にペプコ・ホールディングス(Pepco Holdings)を買収して電力とガスの両面で事業の拡大を図っています。スリーマイル島原子力発電所を運営していることでも有名です。

Centrica(セントリカ)

1812年に設立されたイギリスに本拠を置くガス会社です。ブリティッシュガスが、1997年にセントリカ、BGガス、Transcoに分社化され誕生しました。ブリティッシュガスで展開する英国に加え、Bord Gáisでポルトガル、アイルランドで展開しています。北米のガス供給事業であったDirect Energyは2021年にNRG Energyへ売却しました。

Naturgy(ナタージュ)

1843年に設立されたスペインに本拠を置くガス配給会社です。2018年にGas Naturalから現社名へ変更しました。スペイン国内でのガス・電力事業を行う他、チリ、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、メキシコといった中南米及びマグレブでもガス・電力事業を展開しています。

Dominion Energy(ドミニオンエナジー)

1983年に米国で設立されたガス・電力会社です。約30.2GWの発電事業に加え、送電配電事業、ガス配送事業を行っています。

AEP (American Electric Power、アメリカ電力)

1906年に設立された米国の大手電力会社です。世界的に電力事業を展開しています。アーカンソー州、インディアナ州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシガン州、オハイオ州、オクラホマ州、テネシー州、テキサス州、バージニア州、ウェストバージニア州などで電力の発電、送電、配電事業を行っています。

CFE(メキシコ国営電力会社、Comisión Federal de Electricidad)

1937年に設立されたメキシコに本拠を置く電力会社です。メキシコ政府が100%保有している国営企業です。

中国の五大電力会社

中国政府は、国家電力公司を2002年に発電部門と送配電部門を分離しました。発電事業は以下の5大発電会社に分かれました。送配電事業は国家電網公司と南方電網公司へ分かれました。

Huaneng Power(中国華能集団、フアネン・パワー)

中国の五大電力会社。2019年の発電容量で197GWとなり、中国及び世界最大級の発電会社となっています。石炭火力発電の割合が大きいです。

CHN Energy(国家能源投資集団)

2017年に石炭開発大手の神華集団と中国五大電力会社の一角であったChina Guodian(中国国电集团公司、中国国電集団、チャイナ・グオディアン)が経営統合して誕生しました。石炭開発から電力までの垂直統合した、資源ユーティリティ会社です。傘下に上場電力会社で風力発電大手の龍源電力(チャイナ・ロンユアン・パワー・グループ、China Longyuan Power Group)等を保有しています。2018年の発電能力は238ギガワットです。石炭火力発電の割合が大きくなっています。

中国国電集団(チャイナ・グオディアン)は、中国政府系の5大電力会社の1社です。傘下には、火力発電所を手掛ける国電電力(グオディアン・パワー)と風力発電を手掛けるロンユアン・パワーの上場会社を保有しています。神華集団(チャイナ・シェンファ・エナジー)は、中国政府系の石炭開発の最大手です。2017年にチャイナ・グオディアンとチャイナ・シェンファ・エナジーが経営統合は発表しました。
中国の電力は石炭火力発電の比率が依然高く、経営統合によって、チャイナ・グオディアンにとっては、発電燃料である石炭の長期安定調達が可能となります。また、チャイナ・シェンファ・エナジーは、事業の規模が拡大することで、より大型の石炭開発を行うことができます。統合会社の資産規模は30兆円、新会社名は国家能源投資になる予定です。
中国政府は、国営電力会社の数を3社に絞る計画をたてており、この経営統合もその流れを受けています。他の電力会社4社の今後の戦略に注目が集まります。

Datang Power (大唐電力集団)

中国五大電力会社の一社です。政府100%保有しています。北部地域での発電です。2018年の発電能力は144GWです。

Huadian Power (华电国际电力控股有限公司、中国華電集団)

中国五大電力会社です。中国の山東省を本拠に東部地域で発電事業を展開しています。2018年の発電能力は147GWです。

State Power Investment Corporation Limited(SPIC、国家電力投資集団) 

同社は2015年5月にChina Power Investment(中国电力投资集团公司、中国電力投資集団)とState Nuclear Power Technology Corporation(国家核電技術有限公司)が合併して誕生しました。2019年の発電能力は151GW程度です。

China Three Gorges(中国長江三峡集団)

中国五大電力に次ぐ規模の電力会社です。揚子江流域での水力発電が主力となります。2019年の発電能力は70GWです。2013年にポルトガルの大手電力会社EDPの株式を取得し筆頭株主となりました。

韓国電力公社

1898年の李氏朝鮮時代まで起源をさかのぼることができる韓国の国営電力会社です。韓国の電力供給を一手に担います。英語名の略称がKEPCOであるため、関西電力の略称と同じです。

ナショナル・サーマル・パワー(NTPC)

1975年に設立されたインドの国営電力会社です。名前の通り火力発電所の割合が高く、近年は再生エネルギー分野の強化を図っています。

PLN(Perusahaan Listrik Negara、インドネシア国営電力会社)

1945年にスカルノ大統領(当時)が設立した電力・ガス局に源流を持つインドネシアの国営電力会社です。1994年にPLNとして改組されました。

Taipower(台湾電力)

清朝統治時代の1888年に設立された興石公司に発祥とする台湾の政府系電力会社です。日本統治時代の1919年に台湾電力へと改組されました。洋上風力の開発に力を入れています。

日本の大手電力とガス会社

電力分野では、東京電力ホールディングス(発電容量は概ね6600万キロワット程度)、関西電力、東京電力と中部電力の火力発電設備が統合したJERAなどが日本の大手電力会社となります。JERAを合わせた電力10社の合計の発電容量で約2億1千万キロワットであり、中国の5大電力会社の大きさが際立ちます。ガス分野では東京ガスと大阪ガスが大手となります。

参照したデータの詳細情報について


このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。
会員の方はログイン下さい。
会員登録はこちらです。