電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)メーカーの世界市場シェアと市場規模の情報について分析をしています。BYD、テスラ、上海汽車といった電気自動車の大手プレイヤーの動向も掲載しています。
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【電気自動車業界とは】
ガソリンではなく電気を使って走る車を電気自動車と呼びます。市場に広く普及している電気自動車は次の2種類に分けられます。
- EV(Electric Vehicle)またはBEV(Battery Electric Vehicle)…電気が駆動力になって走行する車(日産サクラ、日産リーフなど)
- PHVまたはPHEV(Plugin Hybrid Vehicle/Plugin Hybrid Electric Vehicle)…バッテリーを充電できるハイブリッド車(トヨタPHEVなど)
当データベースでは、EVとPHVを含む電気自動車の市場規模を採用し、シェア・ランキングを選出しています。
自動車業界のトレンドと言える電気自動車は、CO2(二酸化炭素)の排出がない・少ないため、環境にやさしく、世界のエネルギー問題にインパクトを与えると言われています。そのため、各国・各自動車メーカーは電気自動車の販売台数を増やし普及を進める方針です。
環境に優しいというメリット以外にも、騒音が少ない・ランニングコストが少ないなど利用者にとって嬉しいメリットが多くあります。
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【電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)業界の世界市場シェア+ランキング】
電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)業界の2024年度の販売台数⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2024年の電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はBYD、2位はテスラ、3位は上海汽車となります。
・(PHV)業界の市場シェア(2024年)-1.png)
※当ランキングでは販売台数を使用。*生産台数
| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
|---|---|---|---|
| 1位 | BYD | BYD* | 24.46% |
| 2位 | Tesla, Inc. | テスラ | 10.22% |
| 3位 | SAIC Motor | 上海汽車 | 7.82% |
| 4位 | Volkswagen Group | フォルクスワーゲン | 4.26% |
| 5位 | BMW Group | BMW | 2.44% |
| 6位 | Mercedes-Benz | メルセデスベンツ | 1.06% |
※当ランキングでは販売台数を使用。*生産台数
EV・PHVの世界市場シェアは、自動車メーカーの市場シェアとは大きく異なります(【参照】自動車業界の世界市場シェアと販売台数ランキングの分析)。ガソリン車が主体の自動車業界全体の市場シェアにはトヨタやホンダなど日本企業も多くランクインしていますが、EV・PHVでは日本企業は上位にランクインしていません。
一方、電気自動車市場のシェアを着実に伸ばしているのが中国です。世界シェアトップのBYDの他、上海汽車、吉利汽車、衆泰汽車などが売上を伸ばしています。
世界1位は、中国のBYDです。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが投資したことでも有名です。中国国内市場の展開に強みがあります。
世界2位は米国のイーロン・マスク氏率いるテスラです。テスラは、高級セダンのモデルS、SUVのモデルX、ミッドサイズSUVのモデルY、そして大衆車向けのモデル3のラインナップを揃え、本格的な世界展開に着手しています。
世界3位は、中国の上海汽車(SGMW)で、Wuling、Baojun、Roewe等のブランドで展開しています。
【自動車業界の時価総額比較】
上位自動車メーカー並びに電気自動車メーカーの時価総額を表にまとめると次のようになります。

時価総額の大きい企業の多くが、電気自動車にも積極的に参入しています。電気自動車の販売台数が多いメーカーの企業価値が上がっていくことが予測できます。
【電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)業界の世界市場規模】
当データベースでは、2024年の電気自動車の市場規模(販売数量ベース)を17.5百万台としております。参照した統計データは次の通りです。国際エネルギー機関(IEA)によると2024年の電気自動車の販売台数は17.5百万台です。
乗用車の生産台数と電気自動車の販売台数の推移をグラフ化すると以下の通りとなります。

自動車メーカーは従来のガソリン車からEV社の開発・製造にシフトしています。また、電気自動車は主要部品が少ないため、製造にかかるコストが抑えられることから、スタートアップ企業も多額の資金調達を行って市場に参入し、既存の自動車OEMに真っ向から挑戦しています。今後もこの傾向は続いていくと見られ、電気自動車を取り巻く市場競争はますます激化していくと予測できます。
日本では自動車分野のカーボンニュートラル実現に向けて、特定の技術に限定することなく、電動車等のパワートレイン、水素や合成燃料等のエネルギーを最適に組み合わせ、多様な選択肢を追求していくとしています。
| 年 | 脱ガソリン車の未来年表 |
| 2025 | ・ジャガーが全販売自動車をEVへ ・ノルウェーは全社ZEV(ゼロエミッションビークル)を義務付け ・メルセデスが新車販売の半分をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)へ |
| 2030 | ・ボルボとダイムラーが全販売自動車をEVへ ・フォードも欧州向け車種はEVへ ・オランダ、イスラエル、英国、スウェーデン、東京都等でガソリン車禁止、EV義務化 ・ダイムラーが2030年までに400億ユーロをEVに投資すると発表 ・VWは欧州の新車販売の7割をEVへ ・トヨタは電動車(EV、HV、PHV、FCV)販売を800万台へ |
| 2035 | ・GMがガソリン車全廃 ・カリフォルニア州(2026年までに35%、2030年までに68%、2035年までに100%の新車販売をゼロエミッション車へ)、英国、日本でガソリン車の新車販売禁止 ・欧州委員会が、2035年にエンジン搭載車の販売を事実上禁止する規制案を発表 |
| 2040 | ・ホンダが全販売自動車をFCVかEVへ カナダ、スペイン、フランスでガソリン車禁止、もしくはZEVへ |
| 2050 | ・VWがカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ)達成 ・EU、日本、韓国でカーボンニュートラル達成 |
このように新車EVの販売は急速に拡大しており、自動車メーカーは従来のガソリン車からEV社の開発・製造にシフトしています。また、電気自動車は主要部品が少ないため、製造にかかるコストが抑えられることから、スタートアップ企業も多額の資金調達を行って市場に参入し、既存の自動車OEMに真っ向から挑戦しています。今後もこの傾向は続いていくと見られ、電気自動車を取り巻く市場競争はますます激化していくと予測できます。
【参照】水素燃料自動車と電気自動車スタートアップの業界マップと資金調達額ランキング
【M&Aの動向】
自動車大手が自社の電気自動車部門を強化するために買収するケースだけでなく、電気自動車のスタートアップが他のスタートアップ企業を買収して事業を拡大するケースもあります。例えば、米スタートアップのMullen Automotiveは2014年創業の若い会社ですが、同じく2014年創業のBollinger Motorsを買収しています。1億4820万ドルはEV業界の中でも大きい規模の案件となります。
2022年 BYDがブラジルの旧フォード工場を買収予定
2022年 米スタートアップのMullen AutomotiveがEVスタートアップのBollinger Motorsを1億4820万ドルで買収
2021年 メルセデスベンツが電気モーターのスタートアップ企業YASAを買収
【会社の概要】
BYD Company Limited(BYD、比亜迪、比亜迪股份有限公司、ビーヤーディ)
BYD(比亜迪)は、王伝福(Wang Chuanfu)氏によって1995年に設立された中国の電気自動車・車載電池メーカーです。スマホや産業機器向けのリチウムイオン電池の製造に加え、車載向けの電池と電気自動車製造の一貫生産体制が強みです。電気自動車は、SUVのTang、PHVのQin、セダン型のEVであるe6、e5等のブランドを展開しています。王氏は電池王とも称されています。電気自動車を含む新エネ車(EV自動車)でも世界最大規模を誇ります。ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイ傘下のMidAmerican Energyが大株主となっています。2020年には刀片電池と言われる長距離走行が可能な車載電池を開発しました。さらに詳しく
Tesla, Inc.(テスラ)
Tesla(テスラ)は、イーロン・マスク氏が率いる電気自動車大手メーカーです。リチウムイオンバッテリーは日本のパナソニックと合弁工場を運営しています。工場は、かつてのトヨタとGMの合弁工場であったNUMMIなどで行っています。時価総額でトヨタを抜くなど、電気自動車の市場拡大に伴い、今後の成長が期待されています。さらに詳しく

Shanghai Automotive Industry Corporation(上海汽車、シャンハイ・オート、SAIC)
中国の国有自動車メーカーです。名前の通り上海に本拠を置きます。1958年セダン「鳳凰」を販売しました。主にVWとGMとのジョイントベンチャーを通じて技術を蓄積しています。JVを通じての売上を除いても、国内最大の販売台数を誇ります。Wuling、Baojun、Roewe等のブランドで展開しています。
General Motors Company(GM、ゼネラルモーターズ)
ゼネラルモーターズは、1908年にウィリアム・C・デュラント氏によって設立された米国を代表する自動車メーカーです。2008年にトヨタに抜かれるまで、77年間自動車販売台数で世界1位を維持していました。2009年に経営破たん(チャプター11)後は、国有化の上、2010年に再上場を果たしました。2017年にドイツのオペルをプジョーシトロエンに売却しました。主要ブランドは、キャデラック、シボレー、ビュイック、GMCです。カーギャルことメアリー・バーラ氏が率い、2035年までに新車を電気自動車等のゼロ・エミッション車へ切り替える予定です。さらに詳しく
Volkswagen Group(VW、フォルクスワーゲン)
1937年に設立されたドイツを代表する自動車メーカーです。第二次世界大戦後にビートルで成長を遂げ、ゴルフシリーズの成功で世界大手となりました。高級自動車である、Bentley、ランボルギーニ、ポルシェ、ブガッティやAudi(アウディ)を傘下に擁しています。2015年の排ガス不正ソフトウェア問題が課題となりましたが、現在ではEV化へ舵を切っています。トラック・バス事業は2018年にTraton(トレイトン)として分社化しました。フォルクスワーゲングループブランドの新車・中古車を調達できることが強みを活かした自動車リース事業も展開しています。さらに詳しく
BMW Group(BMW)
1916年に航空機エンジンメーカーとして設立されたBMWは、現在はドイツの高級自動車メーカーです。BMW、MINI、ロールスロイス、オートバイのBMWのモトラッドブランドで世界展開しています。ロールスロイスは1998年、MINIは1994年にBMWの傘下に入りました。モトラッドは1923年から展開している大型バイクメーカーです。自動車リースも手掛け、Alphabet(アルファベット)で展開しています。電気自動車(EV)でも上位に位置します。さらに詳しく
Mercedes-Benz Group AG(メルセデスベンツ)
ドイツに本拠を置く大手自動車メーカーです。乗用車と自動車リースが事業の柱となっています。乗用車ではメルセデスベンツで高級車セグメントにフォーカスした世界展開をしています。1998年にクライスラーと合併しましたが、2007年にクライスラーを売却しました。インドではバーラト・ベンツ (BharatBenz) ブランドを展開しています。2021年にメルセデスベンツとダイムラートラックが分社化され、社名をメルセデスベンツグループへと変更しました。自動車リースはAthlonで展開しています。さらに詳しく
分社化されたダイムラートラックは、三菱ふそうトラック・バスを傘下に保有しています。バス分野はメルセデスベンツとゼトラ(Setra )ブランドで展開しています。売上の約66%が欧州となっています。
SAIC-GM-Wuling (SGMW、上汽通用五菱汽車、ウーリン)
ゼネラルモーターズ (GM) 、上海汽車 (SAIC) 、広西汽車集団の合弁会社です。低価格の電気自動車である宏光ミニ EV(Wuling Hongguang Mini EV)がヒットしています。
その他の中国の電気自動車メーカー
電気自動車のトップ20位には、この他に、奇瑞汽車(チェリー、Chery)、知豆(Zhidou)、江淮汽車(JAC)、江鈴汽車(JMC)がランクインしています。
BAIC(北京汽車)
中国国営の自動車メーカーです。E-Series、EU260等のブランドで電気自動車を展開しています。ガソリンエンジン車の分野ではGMと合弁工場を運営し、中国ビッグ5に次ぐ準大手クラスです。
Zotye(衆泰汽車、ゾタイ)
2005年に設立された中国の中堅自動車メーカーです。Cloud EVやE200等の電気自動車を展開しています。大手自動車メーカーのデザインに酷似する車を販売することでも有名です。
Geely(ジーリー、吉利汽車)
李書福(リー・スーフー)氏率いる中国の民間自動車メーカー大手です。元々は冷蔵庫メーカーとして創業し、2010年にスウェーデンの商用車メーカーのボルボを買収しました。2017年には、マレーシアの国有メーカーであるプロトンの株式49%を取得しています。2018年にはダイムラーの筆頭株主となりました。
