クラフトハインツの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Kraft Heinz(クラフトハインツ)は、1869年に設立された旧クラフトフーズの北米事業を引き継いだ会社です。北米に特化しています。クラフトチーズ、冷凍食品や飲料等を展開しています。2015年にバフェット氏率いるパークシャー・ハサウェイや投資ファンド傘下のトマトケチャップ等で有名な食品メーカーHeinz(ハインツ)と経営統合しクラフトハインツが誕生しました。パスタソースはClassicoを軸に展開しています。事業構成としては、調味料・ソース事業、チーズ・乳製品事業、常温保存食事業、肉・魚食品、冷蔵・冷凍食品に分かれます。2021年にナッツ事業をHormel Foodsへ売却しました。

業績推移(年次)

2019年度
売上高は24,977百万ドルで、前年度比5%減となりました。営業利益は3,070百万ドルになりました。営業利益率は12%になりました。為替変動などを取り除いた本業での売上高は2%減少しました。これは販売量が減少したことと、製品構成が売上に悪影響を与えたためです。

2020年度
売上高は26,185百万ドルで、前年度比5%増となりました。営業利益は2,128百万ドルになりました。営業利益率は8%になりました。為替変動などを取り除いた本業での売上高は7%増加しました。これは主に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響もあって在宅消費の継続的な成長が寄与したためです。営業利益の減少は主に、減損費用の増加によるものです。

2021年度
売上高は26,042百万ドルで、前年度比1%減となりました。営業利益は3,460百万ドルになりました。営業利益率は13%になりました。為替変動などを取り除いた本業での売上高は2%増加しました。これは価格設定の上昇によるもので、販売量の減少による売上の減少分(1ポイント)を補うことができました。営業利益の増加は主に、減損費用の減少によるものです。

2022年度
売上高は26,485百万ドルで、前年度比2%増となりました。営業利益は3,634百万ドルになりました。営業利益率は14%になりました。為替変動などを取り除いた本業での売上高は10%増加しました。これは価格設定の上昇によるもので、販売量の減少による売上の減少分(3ポイント)を補うことができました。

2023年度
売上高は26,640百万ドルで、前年度比1%増となりました。営業利益は4,572百万ドルになりました。営業利益率は17%になりました。為替変動などを取り除いた本業での売上高は3%増加しました。これは主に価格設定を上昇させたことによるものです。営業利益の増加は主に、価格設定の上昇、効率の向上、減損費用の減少によるものです。

クラフトハインツの業績推移

クラフトハインツの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は7,381百万ドルになりました。営業利益は1,226百万ドル、営業利益率は17%になりました。

2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は6,489百万ドルになりました。営業利益は1,243百万ドル、営業利益率は19%になりました。

2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は6,721百万ドルになりました。営業利益は1,376百万ドル、営業利益率は20%になりました。

2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は6,570百万ドルになりました。営業利益は653百万ドル、営業利益率は10%になりました。

2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は6,860百万ドルになりました。営業利益は1,300百万ドル、営業利益率は19%になりました。

クラフトハインツの四半期業績推移

クラフトハインツの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比21%増の2.31ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比0%増の1.6ドルになりました。配当性向は69%になりました。

クラフトハインツのEPS・配当額・配当性向の推移

クラフトハインツのEPS・配当額・配当性向の推移

売上構成

セグメントは、北アメリカ事業と国際事業に分類されます。北アメリカ事業の売上は、クラフトハインツ全体の売上の76%を占めます。製品別の売上構成は以下の円グラフ通りです。クラフトハインツの主なブランドにはクラフト(バーベキューソース、サラダドレッシング各種)、オスカーメイヤー、ハインツ(ケチャップソースで有名)、フィラデルフィア、ベルビータ、ランチャブルズ、プランター、マックスウェルハウス、カプリサン、オレアイダ、ゼリー、クールエイド、Jack Daniel's(ソース)などがあります。

クラフトハインツの売上構成(2023年度)

クラフトハインツの売上構成(2023年度)

M&A情報

1988年 フィリップモリスがクラフトフーズを買収
1989年 クラフトフーズとゼネラルフーズが経営統合
2000年 クラフトフーズとナビスコが経営統合
2005年 クラフトフーズがお菓子事業をWim Wrigley Jr社に売却
2006年 英United Biscuits社の南欧ビスケット事業を買収
2007年 クラフトフーズがダノンのビスケットとシリアル事業を買収
2008年 Post Cereals事業をRalcorp Holdings社へ売却
2009年 クラフトフーズが英食品大手のキャドバリー社を買収
2010年 クラフトフーズがネスレに米冷凍食品事業を売却
2012年 米食品事をクラフトフーズとして分社化
2015年 クラフトフーズとハインツが経営統合
2018年 カナダのナチュラルチーズ事業をParmalatへ売却
2018年 インド事業をZydus WellnessとCadila Healthcareへ売却
2019年 ソースやドレッシング会社のPrimal Nutritionを買収
2021年 ラクタリスにチーズ事業に一部を売却
2021年 ナッツ事業をHormel Foodsへ売却
2021年 トルコの調味料会社Assan Foodsを買収
2022年 スパイスなどを製造するJust Spicesを買収
2022年 ブラジルの食品飲料会社であるHemmerを買収
2022年 ブラジルの調味料会社であるBR Spices Indústriaを買収

クラフトとハインツの経営統合のケーススタディ
2015年に米食品大手のクラフト・フーズと米HJハインツが経営統合。
統合後の新会社の規模は食品業界でも大手となる。
統合後の新会社(クラフトハインツ)の株主は旧クラフトの株主が49%、ハインツ株主が51%。パークシャーハザウェイと3Gキャピタルは合計で100億ドルの現金出資も同時に行う。プレミアムはクラフトの前日終値株価に26%を乗せた水準。
1869年創業のハインツはトマトケチャップに強み。グローバル展開にも成功している。
クラフトフーズは、旧クラフトフーズがモンデリーズとクラフトフーズに分社化されて誕生。北米を中心にチーズや冷凍食品に注力している。
本件統合の理由の一つには、北米中心のクラフトとグローバル展開するハインツの地域補完性があげられる。また製品に重複が少なく補完性もあり、コスト削減メリットもある。

株主構成

バークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルがあわせて約4割の株式を保有しています。

クラフトハインツの株主構成

クラフトハインツの株主構成 出所:マーケットスクリーナー

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