高吸水性樹脂業界の世界市場シェア

高吸水性ポリマー(SAP)業界の市場シェア、市場規模について分析をしています。シンフォミクス、BASF、Evonik、住友精化がビッグ4です。

市場シェア

高吸水性ポリマー(SAP)の生産能力シェア(市場シェア、2019年)は以下の通りとなります。

  • 1位 日本触媒 24%
  • 2位 BASF 20%
  • 3位 Evonik 16%
  • 4位 住友精化 15%
  • 5位 三洋化成 14%

出所:各社アニュアルレポートをもとに計算。市場規模については、下記「市場規模」をご参照ください。

1位 シンフォミクス(日本触媒+三洋化成) 38%
2位 BASF  20%
3位 Evonik  16%
4位 住友精化 15%

2019年に高吸水性樹脂世界最大手である日本触媒と三洋化成が経営統合を発表し、BASFの2倍超の生産能力を持つシンフォミクス(Synfomix)社が誕生する予定でしたが、2020年10月に経営統合が解消されました。
1位は日本触媒となります。同社は独自の触媒技術と高分子技術で差別化を図っています。2位はドイツのBASFとなります。3位もドイツのエボニックです。4位は住友化学の子会社である住友精化です。5社は三洋化成となります。上位5社で約9割のシェアを占める寡占市場です。

高吸水性樹脂とは

高吸水性樹脂は、英語でSAP(Superabsorbent polymerの略)とも言われています。紙おむつの中で、おしっこ等を吸収する素材です。高い水分保持性能(一度すった水分を外にもらさずに保持する)を有しており、紙おむつの吸水性能を左右します。化学的には高分子(分子量が多いポリマー)という特徴を持ちます。

プロピレンやエチレンから汎用モノマー(アクリル酸)を製造し、そこから高吸水性ポリマーといった高分子樹脂を製造する工程となります。

出所:日本触媒資料

市場規模

調査会社のアライドマーケットリサーチ社によれば、2019年の市場規模は76億ドルです。2020年から2027年で年平均6.4%の成長を見込みます。

調査会社のマーケッツアンドマーケッツによれば、2019年の市場規模は90億ドルで2024年に向けて年率平均7.4%での成長を見込みます。

日本触媒によれば、おむつ原料である高吸水性ポリマー(SAP)の世界市場は年300万トンとなっております。

世界大手の高吸水性樹脂メーカーの動向

日本触媒

日本を代表する高吸水性樹脂(SAP)メーカーです。SAPの原料となるアクリル酸でも世界上位クラスで、汎用モノマーからの垂直統合のビジネスモデルに強みがあります。2019年に三洋化成との経営統合(Synfomix(シンフォミクス))
を発表し、高吸収性ポリマー分野での首位固めと、非おむつ事業の強化を目指しましたが、2020年に経営統合を解消しました。

BASF

BASFは、1865年に設立された世界最大級の独化学メーカーです。バイエル、ヘキスト(現サノフィ・アヴェンティス)と並ぶドイツ三大化学メーカーの一角となっています。BASFとはバーデン・アニリン・ウント・ソーダ(Badische Anilin- und Soda-Fabrik)の略です。BASFの読み方はバスフでなく、ビーエーエスエフです。アンモニアの量産を可能にしたハーバー・ボッシュ法を発明したことでも有名です。化学業界の売上高ランキングでは、世界1位の座が定番の総合化学の雄と言えます。現在は、石油化学品、高性能製品、機能性材料、農薬関連、石油・ガスの輸送で事業を展開しています。さらに詳しく

Evonik Industries(エボニック・インダストリーズ)

石炭会社大手であるR.A.G.(Ruhrkohle Aktiengesellschaftの略)、Degussa(デグサ、Deutsche Gold‐ und Silber‐Scheideanstalt)が経営統合して誕生したドイツを代表するスペシャリティケミカルメーカーです。デグサはダウ・ケミカル(現在のダウ・デュポン)に買収されたRoehm &Haas(ローム&ハース)と同根のRoehm(ローム)、戦前ドイツの化学コングロマリットI.G.Farben より分離をしたHuels(ヒュルス)等が経営統合して誕生しています。アニマルニュートリション(動物用栄養品)、ヘルスケア、コスメ用成分、分離膜、コーティング剤、樹脂、機能性化学品等の分野で事業を展開しています。ブンデスリーガのドルトムントのスポンサーであることもで有名です。

メチオニン、高吸水性樹、アクリル樹脂などの分野に強みを持ちます。

住友精化株式会社

住友化学の持分法会社で吸水性樹脂を中心としたファインケミカルの大手メーカーです。

住友化学とは

住友化学は、1913年に別子銅山の煙害解消のために銅鉱石中の硫黄を取り出して肥料を製造する住友肥料製造所として設立されました。石油化学、機能材料、情報電子化学、農薬、医薬品が主軸です。サウジ・アラムコと組んで世界最大級の石油コンビナート(ラービグプロジェクト)を運営しています。機能性化学の分野では、偏光板で日東電工と並び、世界大手の1角となっています。また、メチオニンにも強みがあります。農薬の分野では、バイエル、BASF、コルテバ、シンジェンタのビッグ4に次ぐ準大手のポジションです。アクリル樹脂原料(MMA)は三菱ケミカルと双璧です。持分法子会社の住友精化で高吸水性樹脂事業を行っています。さらに詳しく

三洋化成/SDPグローバル株式会社

SDPグローバル株式会社は、東レ・豊田通商系の界面活性剤・高吸水性樹脂が主力の化学メーカー三洋化成の子会社で高吸水性樹脂を製造販売しています。2019年に三洋化成(東レと豊田通商の関連会社)が完全子会社化しています。
日本触媒の項目に記載している通り、三洋化成は日本触媒と経営統合を発表しましたが、2020年に統合を解消しました。

近年は中国や韓国メーカーも事業を拡大しております。LG化学、Xitao Polymer、Yixing Danson Technology、Zhejiang Satellite Petrochemicalなどが追い上げを図っています。