FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)設計・エンジニアリング業界の世界市場シェアと市場規模について分析しています。SBM Offshore 、BW Offshore 、三井海洋開発(MODEC) 、Teekay Patrojarl(ティーケイ) 等世界大手FPSO設計会社の一覧も掲載しています。
世界市場シェア
「最新業界別売上高世界ランキング第2巻」に記載のFPSO設計各社の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2019年の市場シェアを簡易に試算しますと、以下の順位となります。
- 1位 三井海洋開発(MODEC) 18%
- 2位 SBMオフショア 12%
- 3位 BWオフショア 5%
- 4位 ティーケイ 1%
FPSOの世界市場シェア・ランキングによれば、FPSO設計・エンジニアリング会社の市場シェアのトップ企業は日本の三井海洋開発となります。2位はオランダに本拠を置くSBMとなっています。
FPSOとは、Floating Production,Storage and Offloading systemの略です。日本語ですと浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備となります。川崎汽船によれば、FPSOとは「洋上で原油・ガスを生産し、生産した原油をタンクに貯蔵し、直接タンカーへの積み出しを行い、生産したガスをFPSO自体のガスタービン発電プラントの燃料として使用または、パイプラインを通して陸上へ輸送する設備です。」FPSO1隻の費用は、概ね機器費用、設計エンジニアリング費用、建造費用、係留設費用があり、大きさにもよりますが、約1000億円程度かかる巨大プロジェクトです。
市場規模
調査会社のモードーインテリジェンスによれば、2018年時点で215隻のFPSOが稼働もしくは建造中です。調査会社のグローバルマーケットインサイツによれば、2018年のFPSO業界の市場規模は250億ドルです。2019年〜2025年にかけて年平均16.3%での成長を見込みます。また、調査会社のマーケッツアンドマーケッツによれば、2019年の規模は195億ドルで、年平均5.9%の成長を見込みます。当サイトでは、FPSOの市場規模を170億ドルとして同業界の市場シェアを計算しております。
世界の主要なFPSOメーカーの一覧
SBM Offshore
オランダに本拠を置く世界最大級のFPSOの設計エンジニアリング会社です。ブラジル、マレーシア、アンゴラなどの案件を手掛けています。ユーロネクスト市場に上場しています。
BW Offshore
1982年にBergensen(ベルゲッセン)社の事業部門として創設されたノルウェーに本拠を置くFPSO設計世界大手です。親会社のBWグループは海運大手ベルゲッセンと包玉剛率いるWorldwide Shipping Companyが合併して誕生しました。
三井海洋開発(MODEC)
日本を代表するFPSO設計会社です。三井E&S(旧三井造船)・三井物産が主要株主です。FPSOのプロジェクトは、ブラジル石油公社であるペトロブラス向けのブラジル深海沖が最も多くなっていますが、メキシコ、オーストラリア、ベトナムなどの案件も受しております。
Teekay Patrojarl(ティーケイ)
1998年にノルウェーのPetroleum Geo-Services(PGS)の事業部門として発祥しました。海運大手のTeekay(ティーケイ)が主要株主です。北海を中心にサービスを提供しています。オスロ証券取引所に上場しています。
Yinson Holdings(インソンホールディングス)
マレーシアに本拠をおくアンカーハンドリング・タグサプライ船(AHTS)やプラットフォーム支給船(PSV)などのオフショア支援船オペレーターです。近年はFPSOの分野にも参入しています。
Blue Water(ブルー・ウォーター)
1978年創業のオランダに本拠を置く独立系FPSO設計会社です。
Rubicon Offshore(ルビコン・オフショア)
2005年に創業のシンガポールに本拠を置く独立系FPSO設計会社です。
Omni Offshore (オムニオフショア)
1990年に設立されたシンガポールに本拠をおくFSO設計会社です。FPSOも手掛けています。
業界関連図書
- Project Management in the Construction of Oil and Gas Facilities: A Case Study of Agbami & Akpo FPSO [ペーパーバック]
- FPSO Market Research Report (English Edition) [Kindle版]