建設機械(建機)メーカーの市場シェア(世界シェア)・市場規模・四半期ごとの売上高ランキングについて分析しています。コマツ、キャタピラー、XCMG(徐工集団)、三一重工、ディア・アンド・カンパニーなど世界大手建機・重機メーカーの概要や動向も掲載しています。
各社のIR資料等から「建設機械関連セグメント」の売上高に基づき作成していますが、企業の開示区分により集計範囲(鉱山機械等を含む・含まない)に一部差異があります。
【建設機械業界とは】
建設機械(建機)とは、建設・土木工事の現場で土砂の掘削・運搬、整地、吊り上げなどを行う機械のことで、油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダー、クレーン、ダンプトラックなどがあります。建機は住宅・商業施設の建設から道路、ダムなどのインフラ整備まで幅広く使用されています。
建機の需要は、建設投資やインフラ整備、住宅市場などの動向に左右されやすく、景気変動の影響を受けやすいのが特徴です。景気拡大局面では建設工事の増加に伴い需要が拡大する一方、景気後退時には需要が縮小するため、建機業界は景気の先行指標とされることもあります。
なお、農機は農業、鉱山機械は鉱物資源の採掘を主な用途とし、建機とは区別されます。ただし、油圧ショベルや大型ダンプトラックなど製品が共通する場合もあり、キャタピラーやコマツ、リープヘルなど、建機と鉱山機械の双方を手掛ける企業もあります。近年は、人手不足や環境規制を背景に、自動化・遠隔操作や電動化、省燃費化が進んでいます。
【建設機械・建機業界の世界市場シェア】
建機業界の2025年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2025年の建機業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はコマツ、2位はキャタピラー、3位はXCMG(徐行集団)となります。
※建機業界の市場シェア(2025年)
業界の市場シェア(2025年).png)
| 順位 | Company name (English) |
企業名(日本語) | 市場シェア |
| 1位 | Komatsu | コマツ | 11.94% |
| 2位 | Caterpillar | キャタピラー | 10.35% |
| 3位 | XCMG | XCMG(徐工集団) | 5.83% |
| 4位 | Sany | 三一重工 | 5.16% |
| 5位 | Deere & Company | ディア・アンド・カンパニー | 4.70% |
| 6位 | Hitachi Construction Machinery | 日立建機 | 4.41% |
| 7位 | Volvo | ボルボ | 3.44% |
| 8位 | Liebherr | リープヘル | 3.42% |
| 9位 | Zoomlion | ズームライオン | 2.78% |
| 10位 | HD Construction Equipment | HD コンストラクションエクイップメント* | 2.70% |
| 11位 | Terex | テレックス | 2.24% |
| 12位 | Kubota | クボタ | 1.96% |
| 13位 | CNH Industrial | CNHインダストリアル | 1.22% |
* 2025年実績は、2026年1月に統合したHD Hyundai Construction EquipmentとHD Hyundai Infracoreの合算値
世界の建機メーカーでは、日本・米国・中国の企業が上位を占めており、特に日本企業の存在感が際立ちます。上位13社のうち、日本企業はコマツ、日立建機、クボタの3社、米国企業はキャタピラー、ディア・アンド・カンパニー、テレックスの3社、中国企業はXCMG、三一重工、ズームライオンの3社となっています。また、ドイツのリープヘル、韓国のHDコンストラクションエクイップメント、スウェーデンのボルボ、英国系のCNH インダストリアルなど、欧州・アジア企業も上位に位置しています。
特に2025年は中国勢の台頭が目立ちました。XCMGと三一重工のシェアは前年まで上位に位置していたディア・アンド・カンパニーを上回っており、中国メーカーの国際競争力の高まりがうかがえます。一方、1位のコマツ(11.94%)と2位のキャタピラー(10.35%)は、3位以下を大きく引き離しており、日米大手2社による上位の寡占構造は依然として強いと言えます。
また、リープヘルが8位に入るほか、HDコンストラクションエクイップメントも10位に位置しており、中国勢だけでなく欧州・韓国勢も一定の競争力を維持しています。全体としては、従来の日米欧メーカー中心の市場から、中国メーカーが着実にシェアを拡大する構図へと変化している様子が見られます。
【建設機械・建機業界の世界市場規模】
当データベースでは、2025年の建機業界の市場規模を2422億ドルとしております。参照した各種調査データは次の通りとなります。
調査会社グランドビューリサーチによると、2025年の同業界の市場規模は2422億ドルです。2026年から2033年にかけて年平均8.7%で成長し、規模は4713億ドルへと拡大することを見込んでいます。
| 年 | 市場規模 | 年平均成長率 |
| 2025 | 2422億ドル | – |
| 2026 | 2623億ドル | 8.3% |
| 2033 | 4713億ドル | 8.7% |
業界の市場規模の成長予想.png)
【M&Aの動向】
建機業界では、海外メーカーの買収を通じた事業領域・地域の拡大が長期的な傾向としてみられます。特に2000年代後半~2010年代には、中国メーカーによる欧州企業の買収や、日米大手による鉱山・道路建機分野への大型買収が活発化しました。
近年は、従来型の建機に加え、スマート農業、エネルギー貯蔵、環境ソリューション、部品リマニュファクチャリングなど、デジタル・周辺領域への投資が目立ちます。また、事業の選択と集中を目的とした売却や、HDコンストラクションエクイップメントのような業界再編・統合も進んでいる。
2006年 ボルボが中国の建機メーカーSDLGの株式70%を取得
2008年 ズームライオンが伊コンクリート機械メーカーCIFAを買収
2011年 キャタピラーが鉱山機械のBucyrusを88億ドルで買収
2012年 三一重工がドイツの建機メーカーPutzmeisterを3.6億ユーロで買収
2012年 XCMGが独コンクリート機械メーカーSchwingの過半数株式を取得
2013年 CNHグローバルがファイアットと経営統合し、CNHインダストリアルが誕生
2017年 コマツが米鉱山機械メーカーJoy Globalを28.2億ドルで買収
2017年 日立建機が豪鉱業用品大手ブラッドケンを6.89億豪ドルで買収
2017年 ディア・アンド・カンパニーが独道路建機大手のWirtgenを46億ユーロで買収
2017年 テレックスがマテリアルハンドリング事業ならびにポートソリューション事業を5.95億ドルでKonecranesに売却
2019年 テレックスが独クレーン事業「デマーグ」を日系企業タダノに2.15億ドルで売却
2021年 現代重機工業が斗山インフラコアを買収(2023年にHD現代インフラコアに改名)
2022年 キャタピラーが米エネルギー貯蔵システム企業のTangent Energy Solutionsを買収
2022年 日立が日立建機の株26.1%を伊藤忠らに売却
2023年 ディア・アンド・カンパニーが米スマート農業技術企業のSmart Applyを買収
2023年 クボタが子会社のKverneland ASを通じて、仏農作業機器メーカーのB.C. TECHNIQUE AGRO-ORGANIQUE SASを買収し、完全子会社化
2023年 CNHインダストリアルがカナダのマシンビジョン技術企業Augmentaを買収
2024年 テレックスが米ドーバー・コーポレーションから環境ソリューション事業のEnvironmental Solutions Groupを買収
2025年 ボルボが2006年に取得したSDLG株式を売却
2026年 コマツがSRC of Lexington社の建設・鉱山機械用コンポーネント・部品のリマニュファクチャリング事業を買収
2026年 コマツが林業機械メーカーMalwa Forestを買収
2026年 HD Hyundai XiteSolutionの一事業であるHD InfracoreとHD Construction Equipmentが統合し、新会社HD Construction Equipmentが誕生
【会社の概要】
Komatsu(コマツ)
1921年に銅山経営の竹内鉱業の機械製造部門から独立して誕生した日本を代表する建機メーカーです。「ダントツ」経営で、Caterpillar(キャタピラー)とグローバルで真向勝負しています。建機の稼働時間等を遠隔モニターできるシステム(KOMTRAX)等で世界市場を開拓しました。2016年鉱山機器大手の米国ジョイグローバルを買収しました。コマツの強い鉱山の露天掘りとジョイの強い坑内掘りの相乗効果を狙っています。さらに詳しく
Caterpillar(キャタピラー)
Caterpillar(キャタピラー)は1925年に設立された米国に本社を置く世界最大の建機・重機メーカーです。CATの愛称と建機における黄色の配色が特徴です。資源開発や建設工事向けの建機、鉱山機械、船舶エンジンなどを手掛けます。部品交換などのサポート体制が充実している点に強みがあります。リアルタイムのデータ収集はProduct Linkで展開しています。さらに詳しく
XCMG(徐工集団)
XCMGは1989年に設立された中国政府系の大手建機メーカーです。巻上機、掘削機、コンクリート機械、鉱山機械、ソイルショベルおよび輸送機械、道路機械、特殊車両、航空作業機械、杭打ち機、トレンチレス機械、トンネル機械、環境保護機械、消防機械、エネルギー掘削および鉱山機械などの製造販売を行っています。さらに詳しく
Sany(三一重工)
中国長沙に本拠を置く大手の建機会社です。中国国内ではコマツやキャタピラーと競っています。特にコンクリートポンプに強く、同社のコンクリートポンプ車が福島の原子炉建屋内の使用済み燃料貯蔵プールや原子炉に放水する際に使用されました。起重機、切削機、路面舗装設備、油圧プレス機なども手掛けています。ドイツのコンクリートポンプ大手のプツマイスター(Putzmeister Holding GmbH)を買収しました。さらに詳しく
Deere & Company(ディア・アンド・カンパニー)
Deere & Company(ディア・アンド・カンパニー)は、1837年に創業された米国を代表する世界最大級の農機具メーカーです。グリーンのボディにイエローのホイールのトラクターとジョンディア (John Deere) の愛称で親しまれている老舗です。
トラクターの他に、コンバイン、プランター、ベーダ―、フォークリフト、スキッダー、バックホーローダー、ブルドーザー、トランスミッション等も手掛けています。1000ヘクタール以上の農場向けの500馬力トラクターでは他社の追随を許しません。さらに詳しく
Hitachi Construction Machinery(日立建機)
1970年に設立された日本を代表する大手建機メーカーです。日立製作所の上場関連会社でもあります。油圧やミニショベル、ホイールローダー、破砕機、建機向けのアタッチメント、道路機械、マイニング機械やダンプの製造・販売を手掛けています。2016年に豪州の鉱山機器向け消耗品に強みを持つブラッドケンや米国の鉱山機械部品を手掛けるH-Eパーツを買収しました。2022年に伊藤忠と日本産業パートナーズが日立製作所より日立建機持分の26%を買収しました。さらに詳しく
Volvo Group(ボルボ・グループ)
Volvo(ボルボ)グループは、スウェーデンに本拠を置くトラック・建機メーカーです。1928年にトラックメーカーとして設立されて以降、現在もトラックの売上がグループ全体の約60%超を占めるなど、最大の事業部門となっています。さらに詳しく
Liebherr(リープヘル)
1949年に設立されたドイツ発祥のファミリー企業で、現在はスイスに本社を置く総合機械メーカーです。建設機械・鉱山機械を中心に、油圧ショベル、ホイールローダー、クレーン、基礎工事機械、鉱山機械など幅広い製品を展開しています。建設機械・鉱山分野に加え、マリタイムクレーン、航空・輸送システム、冷凍・冷蔵機器、部品などにも事業を多角化しています。さらに詳しく
Zoomlion(中連重科、ズームリオン)
Zoomllionは、1992年に設立された湖南省系の建機大手です。コンクリートポンプ、ミキサー車といったコンクリート用機械とクレーンに強みを持ちます。2008年にイタリアのコンクリート機器メーカーであるCIFA(シーバ)を買収し、世界展開を加速しています。さらに詳しく
HD Construction Equipment(HDコンストラクションエクイップメント)
韓国のHD Hyundaiグループに属する建設機械メーカーです。2026年1月、HD Hyundai Construction EquipmentとHD Hyundai Infracoreの建設機械事業が統合して発足しました。油圧ショベル、ホイールローダーなどの建設機械を中心に、エンジン、アタッチメント、アフターマーケットサービスなどを展開しています。HYUNDAIとDEVELONの2ブランドを擁し、統合による規模の拡大と製品・販売網の効率化を進めています。さらに詳しく
Terex Corporation(テレックス)
Terex Corporation(テレックス)は、旧GM(ジェネラル・モーターズ)の建機・特殊車両部門です。高所作業車、建設用クレーン、バルク材運搬機、道路舗装機の製造販売に強みがあります。2016年にフィンランドのKonecranes(コネクレーンズ)にマテリアルハンドリング事業を売却しました。2019年にドイツのデマーグをタダノに売却しました。さらに詳しく
Kubota(クボタ)
クボタは、日本の最大手農機メーカーです。源流は、1890年に久保田権四郎氏によって設立された鋳物メーカーである大出鋳造所まで辿れます。コレラ対策のために、水道管の国産化を実現し飛躍しました。ノルウェーの農機メーカーのKverneland(クバンランド)、北米の種まき・草刈り機大手のグレートプレーンズマニュファクチュアリング社、インドのエスコーツ社を買収し、世界展開を強化しています。日本出自の農機メーカーということで、稲作用の農機に強みを持っています。農機以外にも、エンジン、建設機械、祖業の各種パイプ(ダクタイル鉄管、合成管、ポンプ、バルブ等)、スパイラル鋼管などを製造販売しています。さらに詳しく
CNH Industrial(CNHインダストリアル)
CNHインダストリアルは、2013年のCNHグローバルとフィアット・インダストリアルとの経営統合で誕生しました。フィアット創業家であるアニェッリ家が大株主となっています。
建機、農機、商用車(トラック)事業を全世界180ヶ国で展開しています。現在はニューヨーク証券取引所とミラノ証券取引所に株式を上場しています。2022年1月に商用車・トラック事業を担うIveco(イベコ)が分社化し上場しました。さらに詳しく
