IBMは、1911年に設立された世界を代表する米国に本拠を置くIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウドサービス、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。2021年にマネージドインフラサービス事業をKyndrylとして分社化し上場しました。
2019年度
売上高は77,147百万ドルで、前年度比3%減となりました。営業利益は9,435百万ドルになりました。営業利益率は12%になりました。
2020年度
売上高は73,620百万ドルで、前年度比5%減となりました。営業利益は5,501百万ドルになりました。営業利益率は7%になりました。粗利率は1.3ポイント増加しました。これは、ソフトウェアセグメントの貢献と、生産性への注力を伴うポートフォリオの再構築を実施した為です。
2021年度
売上高は57,350百万ドルで、前年度比22%減となりました。営業利益は4,712百万ドルになりました。営業利益率は8%になりました。粗利率は1.0ポイント減少しました。これはハイブリッドクラウド戦略および AI 戦略を推進するための多額の投資と、製品サイクルのダイナミクスの影響を受けたためです。
2022年度
売上高は60,530百万ドルで、前年度比6%増となりました。営業利益は1,783百万ドルになりました。営業利益率は3%になりました。売上成長の7割は、SoftwareセグメントとConsultingセグメントの成長によるものでした。粗利率は0.9ポイント減少しました。これはハイブリッドクラウド戦略と人工知能戦略を推進するための投資、人件費の上昇が影響した為です。
2023年度
売上高は61,860百万ドルで、前年度比2%増となりました。営業利益は7,514百万ドルになりました。営業利益率は12%になりました。売上の増加はHybrid Platform & Solutionsセグメント、Transaction Processingセグメント、Consultingセグメントが牽引しました。Transaction ProcessingセグメントはzSystemsプラットフォームが顧客の需要を促進しました。粗利率は1.4ポイント増加しました。これは、売上の増加、ポートフォリオの改善、生産性の向上により、全てのセグメントで利益率が増加した為です。
2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は14,197百万ドルになりました。営業利益は662百万ドル、営業利益率は5%になりました。
2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は14,252百万ドルになりました。営業利益は934百万ドル、営業利益率は7%になりました。
2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は15,475百万ドルになりました。営業利益は1,581百万ドル、営業利益率は10%になりました。
2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は14,752百万ドルになりました。営業利益は1,714百万ドル、営業利益率は12%になりました。
2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は17,381百万ドルになりました。営業利益は3,285百万ドル、営業利益率は19%になりました。
希薄化後EPSは前年度比318%増の8.15ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比1%増の6.63ドルになりました。配当性向は81%になりました。
2024年1月
2023年度第四四半期のレポートにて、2024年度通期の売上は1.5%程度の増加を予定しています。
セグメントは、Hybrid Platform & Solutions、Transaction Processing、Consulting、Infrastructure、Financingに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
Hybrid Platform & Solutions
マルチクラウド構築のRed Hat、ビジネスワークフローからIT運用の自動化、データ&AI機能の実装、リアルタイムのセキュリティ管理などのサービスを提供しています。オンプレミス、パブリック・クラウド、プライベート・クラウドを問わず、顧客のハイブリッド・クラウド環境の運用を可能にするサービスやRed Hatをはじめとする分散型ミドルウェア、データプラットフォームソフトウェアやIBMのWatsonのAIテクノロジーを利用したサービスを含みます。
Transaction Processing
銀行、航空会社、小売業などの業界で、顧客のミッションクリティカルなオンプレミスのワークロードをサポートするDB2やWebSphereといったソフトウェアを提供しています。
Consulting
オープンなハイブリッド・クラウド・アーキテクチャを設計・構築し、IBMとエコシステム・パートナーのテクノロジーを使用して主要なワークフローとビジネス・プロセスを最適化します。意思決定の改善、戦略の策定、新しいテクノロジー・アーキテクチャの構築といったビジネスコンサルティングサービス、財務や人事面でビジネス・プロセス・アウトソーシング・サービス、パッケージ・ソフトウェアに加え、カスタム・アプリケーションや従来型アプリケーションのシステム・インテグレーションといったサービスを提供しています。
Infrastructure
ハイブリッドクラウドのための信頼性、俊敏性、安全性の高いソリューションを提供しています。IBMのサーバーやストレージ機器を販売しています。IBM製品やその他のテクノロジー・プラットフォームの保守を行います。IBM Zオペレーティングシステムやマネージドサービスやクラウドサービスを提供しています。
Financing
顧客へのファイナンスサービスを提供しています。クラウドコンピューティングの分野では、アマゾンの展開するAWSやマイクロソフトと世界上位の座を競っています。顧客管理業務、財務・会計、人事、仕入れ調達、サプライチェーンマネジメントの分野のアウトソーシング・BPOでは、世界ランキングの上位に位置づけています。ビジネスインテリジェンスや統計解析の分野でもSASやSAPと世界上位を競います。コンサルティングの分野では、PwCコンサルティングを買収しました。戦略及びITコンサルティングを総合的に展開し、コンサルティング業界の世界シェアではアクセンチュアと並び上位に位置します。デジタル広告分野はIBM iXという機能を持ち強化しています。デジタルマーケティングの技術を提供することで、WPP、オムニコム、インターパブリックに次ぐ規模となっています。コグニティブ・コンピューティングでは、ワトソンを活用したAI事業を展開しています。
クラウドやセキュリティ分野を強化するためのM&Aを積極的に行っています。
1995年 ロータスを買収
2001年 Informixを買収
2002年 PwC社のコンサルティング事業部門PwC Consulting(PwCC)の買収が完了
2003年 Rational Softwareを買収
2003年 ハードディスクドライブ (HDD) 事業を日立製作所に売却
2005年 パーソナルコンピュータ (PC) 事業を联想集团(レノボ)に売却
2005年 Ascential Softwareを買収
2006年 FileNet、Internet Security Systemを買収
2007年 DataMirrorを買収
2008年 Cognosを買収
2009年 統計ソフトのSPSSを買収
2010年 PwCコンサルティング、Sterling Commerce、Netezzaを買収
2011年 DemandTecを買収
2012年 Worklight、Kenexaを買収
2013年 ソフトレイヤー、Trusteerを買収
2014年 パソコン事業を联想集团(レノボ)に売却
2014年 グローバルファウンドリーズ(GF)に半導体製造事業 を売却
2016年 動画配信サービスのUstreamを買収
2019年 レッドハットを買収
2020年 フィンランドのマネージドサービスプロバイダーNordcloudの買収
2021年 マネージドサービスプロバイダーのTaos買収
2021年 マネージドインフラサービス事業をKyndrylとして分社化上場
2022年 メタデータ解析企業のDatabandを買収
2022年 疑似攻撃によるサイバーセキュリティー提供会社であるRandoriを買収
2022年 Azureに特化したコンサルティングを行うNeudesic(ニューデシック)を買収
2023年 開発者がより少ないコードで GraphQL API を迅速に構築するサーバーを開発した StepZen Inc の買収を発表
2023年 データ環境を自動的にスキャンしてデータフロー、ソース、変換、依存関係の包括的なマップを作成するデータリネージプラットフォームを提供するManta Softwareを買収