家電・電機業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析。日立、サムスン電子、パナソニック 、ワールプール 、シャープ、ハイアール 、エレクトロラックス 、BSH、フィリップス、美的集団 といった家電メーカーの概要も掲載。
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【家電業界とは】
家電業界とは、冷蔵庫や洗濯機、掃除機、オーディオ機器のような生活家電を製造している業界のことです。
【家電業界の世界市場シェア】
家電メーカー各社の2022年度の売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、また、後述する市場規模を分母にして、2022年の家電業界の世界シェアを簡易に算出すると、1位はサムスン電子、2位はハイアール、3位はパナソニックとなります。
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | Samsung Electronics Co., Ltd.(サムスン電子株式会社) | 10.11% |
2位 | Haier Smart Home (ハイアールスマートホーム) | 4.60% |
3位 | Panasonic Corporation (パナソニック株式会社) | 3.74% |
4位 | LG Electronics Inc.(LGエレクトロニクス株式会社) | 3.17% |
5位 | BSH Hausgeräte GmbH (B/S/H、ボッシュ) | 3.08% |
6位 | Whirlpool Corporation(ワールプール・コーポレーション) | 2.66% |
7位 | Midea Group Co.,Ltd.(美的集团) | 2.49% |
8位 | Electrolux(エレクトロラックス) | 1.64% |
9位 | Group SEB(グループセブ、セブグループ) | 1.14% |
10位 | Dyson Limited (ダイソン) | 1.05% |
11位 | SHARP CORPORATION (シャープ株式会社) | 1.04% |
12位 | Arcelik(アルチェリク) | 0.92% |
13位 | Miele & Cie(ミーレ・アンド・シー) | 0.78% |
14位 | Philips(フィリップス) | 0.52% |
15位 | Hitachi, Ltd. (株式会社日立製作所) | 0.40% |
16位 | Breville (ブレビル) | 0.19% |
17位 | Hamilton Beach(ハミルトンビーチ) | 0.09% |
1位はサムスン電子です。韓国のテクノロジー企業で、世界最大の総合家電・電子部品・電子製品メーカーで2019年における売上高や時価総額は単独民間企業としてアジア最大です。
2位は中国のハイアールです。ハイアールは日本の三洋電機や米国GEの家電事業を買収してプレミアム領域も積極的に展開しています。
3位は日本のパナソニックです。エアコンや洗濯機などといった白物家電分野をはじめ、照明器具・配線器具などの住宅設備分野や、リチウムイオン二次電池などの車載分野などに重点を置く企業です。
4位は韓国のLGエレクトロニクスです。韓国勢が圧巻の1位と4位に入っております。
5位は欧州勢のB/S/Hです。B/S/Hは、ボッシュとシーメンスの家電合弁会社として設立され、現在は独ボッシュ傘下のBSHです。デザイン力に優れた、大型家電やキッチン家電に強みを持ちます。
6位には米国のワールプールが入っています。メイタグやキッチンエイドなどのブランドで主に白物家電で強みを発揮しています。
7位は中国の美的集団とアジア勢が並びます。
8位にスウェーデンのエレクトロラックス、9位にフランスのSEBグループ、14位にオランダのフィリップスと続きます。フィリップスは、現在小型家電やキッチン向け家電に注力しており、照明事業とは分社されました。
10位のダイソンは、吸引力に訴求した掃除機や、斬新なアイディアの製品を売り出しており、トップ10入りを果たしました
【家電業界の世界市場規模】
当サイトでは家電業界の2022年の世界市場規模を7366億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のベリファイドマーケットリサーチによると、2021年の家電業界の市場規模は7366.5億ドルです。2023年~2030年にかけての年平均成長率は4.54%で、2029年には1兆ドルを超える規模に拡大するこをと見込みます。⇒参照したデータの詳細情報
【M&Aの動向】
欧米日から新興国へとパワーバランスがシフトしています
- 2006年 WhirlpoolによるMay Tag(メイタグ)の買収。
- 2006年 フィリップスによるNXPセミコンダクターのKKR等投資ファンドへの売却
- 2007年 フィリップスによる米国のアウトドア照明大手であるGenlyte Groupの買収。
- 2009年 フィリップスによるオランダのコーヒーマシンメーカーであるSaeco Internationalの買収
- 2010年 Spectrum Brandsによる米Russel Hobbsの買収
- 2010年 ElectroluxによるエジプトのOlympic Groupの買収
- 2011年 フランスのSEBによる中国キッチン・小型家電Suporの買収
- 2011年 トルコのArcelikによる南アフリカのDefy Appliancesの買収
- 2011年 ElectroluxによるチリのCIT買収
- 2012年 KKRによるコーヒーマシーンメーカーの独WMF買収
- 2012年 Middlebyによる米Viking Rangeの買収
- 2013年 Whirlpoolによる合肥三洋の買収
- 2014年 WhirlpoolがイタリアのIndesitを約22億ドルで買収。EBITDAマルチプルは9.8倍
- 2015年 Middlebyによる英国のAGA Rangemasterの買収
- 2016年 HaierによるGE Applianceの買収
- 2016年 Midea(美的集団)による東芝ライフスタイルの買収
- 2016年 ホンハイによるシャープの買収
- 2016年 フィリップスによるオランダのコーヒーマシンメーカーであるSaeco InternationalのN&W Global Vendingへの売却
- 2016年 サムスン電子による音響大手であるHarman Internationalの買収。
- 2017年 Midea(美的集団)による中国のWuxi Little Swanの買収
- 2020年 日立の海外事業の持分の過半をトルコのアルチェリクへ売却
- 2021年 フィリップスがドメスティックアプライアンス事業を高瓴資本(ヒルハウス・キャピタル)に売却
- 2021年 パナソニックが米ソフトウエア会社のブルーヨンダーを71億ドル(約7700億円)で買収
- 2021年 日立が約1兆円を投じて米IT企業のGlobalLogic(グローバルロジック)を買収
さらに業界に詳しくなるための書籍と関連サイト
家電・デジタル機器業界大研究
逆風野郎 ダイソン成功物語
パナソニックは終わるのか
ハイアールはなぜ白物家電の王者になれたのか
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冷暖房空調機とエアコン業界の世界市場シェアの分析
M&Aや再編対象となる家電メーカーの分析
【外部リンク】より詳細な業界分析レポートをご希望の方は下記リンクもご参照ください。
市場調査レポート: 世界の家電市場:考察と予測 (2028年まで) (gii.co.jp)
【会社の概要】
Whirlpool Corporation(ワールプール・コーポレーション)
Whirlpool(ワールプール)は、1911年に設立された米国に本拠を置く世界最大級の家電メーカーです。家庭向けの調理家電やコインランドリー向けの大型洗濯機に強みを有します。1911年には初の電気式洗濯機、1919年には初の家庭用スタンドミキサー、1967年には初のカウンタートップ型電子レンジ、1998年には初の省エネ・節水型トップロード洗濯機を開発したことでも有名です。2014年にイタリアの家電機器メーカーであるインデシット社を買収するなど、積極的な買収によって事業を展開しています。特に白物家電業界や食洗機の分野で強みを発揮しています。
ワールプール、キッチンエイド、メイタグ、アマナ、ジェン・エアー、イングリス、ブラステンプなど、数多くのブランドを保有しています。2014年にイタリアの家電機器メーカーであるインデシット社を買収、2018年にはブラジルの冷蔵庫用コンプレッサセクター事業であるEmbraco(エンブラコ)を日本電産に売却し、選択と集中を図りながら、積極的な事業展開を行っています。さらに詳しく
Haier Smart Home (ハイアールスマートホーム)
Haier Smart Home (ハイアールスマートホーム)は、1984年に張瑞敏(チャン・ルエミン)氏によって設立された、中国の青島に本拠を置く白物家電世界大手会社です。 グループ傘下で上場会社のHaier Smart Homeが冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン、パソコン等を世界的に展開しています。2011年に日本のメーカーである三洋電機の白物家電事業を買収し、アクア株式会社を傘下としました。また、2016年には米国のメーカーGEの家電部門を買収し、事業拡大を図っています。ハイアール、カサルテ、リーダー、GEアプライアンス、フィッシャー&ペイケル、AQUA、キャンディといったブランドで展開しています。さらに詳しく
Electrolux(エレクトロラックス)
Electrolux(エレクトロラックス)は、1919年に設立されたスウェーデンを代表する家電メーカーです。祖業の掃除機に加え、調理家電、食洗機、洗濯機や冷蔵庫の分野で強みを持ちます。エレクトロラックスブランドに加えAEG、Zanussi(ザヌシー)、Frigidaire(フリジデア)といったブランドでも展開をしています。さらに詳しく
BSH Hausgeräte GmbH (B/S/H、ボッシュ)
ドイツに本拠を置くボッシュの家電子会社です。キッチン回りの家電等に強みを持ちます。ボッシュとシーメンスが双方の家電事業を統合して誕生しましたが、現在はボッシュの100%子会社となっています。デザイン力に優れ、キッチン向け家電に強みを持ちます。
ボッシュについて
1886年にロバート・ボッシュ氏によってシュトゥットガルトに設立された精密機械と電気技術作業場を起源とするドイツを代表する総合電機メーカーです。産業用機器や車載用機器が主力事業ですが、電動工具事業も伝統的に強みを持ちます。他に住宅向けの家電やエネルギー関連機器等を手掛けています。ボッシュ一族が支配する非上場会社です。独VW社と関係が深いとされます。さらに詳しく
Philips(フィリップス)
Philips(フィリップス)は、オランダに本拠を置く、家電・ヘルスケアメーカーであり、1891年にヘラルド・フィリップスによって設立されました。照明事業が祖業で、かつては半導体事業等も手掛けていましたが、近年、事業の再構築を行い、現在では医療機器、パーソナルヘルスケアの分野に注力しています。祖業でもある照明・ランプ事業は、フィリップスライティング(現シグニファイ)として分社化をしました。医療機器の分野では画像診断領域に強みを持ちます。家電分野では、電子歯ブラシやシェーバー等のパーソナルケア向けの商品ラインアップを強化しています。電子歯ブラシはソニッケア(Sonicare)ブランドで高機能帯をブラウンのオーラルBと二分しています。2021年に家電事業の一部(掃除機、コーヒーメーカー、アイロン等の家電)を売却しました。さらに詳しく
Samsung Electronics Co., Ltd.(サムスン電子株式会社)
Samsung(サムスン電子)は、韓国を代表する総合電機メーカーです。スマホ、半導体、テレビ、白物家電など、最終商品まで手掛けていることが強みです。垂直統合型の半導体チップメーカーとして、DRAM、NAND型フラッシュメモリ、SSDの自社製造を手掛けています。また半導体受託生産も行っております。最終製品のスマホやテレビにも強みを持ちます。OLEDや液晶パネルの製造はサムスンディスプレイ、リチウムイオン電池はサムスンSDI、電子部品はサムスン電気、造船はサムスン重工、バイオ製薬の製造はサムスンバイオロジックスで手掛けています。2016年には車載音響機器大手のハーマンを買収しました。さらに詳しく
LG Electronics Inc.(LGエレクトロニクス株式会社)
LGグループは1952年にク・インフェ氏によって設立された韓国を代表する財閥グループです。1958年にLuckyとGoldStarが経営統合をして設立されました。電機事業、化学事業、通信事業が3本柱です。子会社は、家電メーカーのLGエレクトロニクス、電子部品の製造を手掛けるLGイノテック、液晶ディスプレイを手掛けるLGディスプレイ、総合化学メーカーのLG化学など多岐にわたります。さらに詳しく
Midea Group Co.,Ltd.(美的集团)
1968年に何亮健(He Xiangjian)氏によって設立された中国に本拠を置く家電メーカーです。1993年に深セン証券取引所に上場しています。家庭用エアコンや洗濯機等に強みを持ち、2016年には東芝の家電部門とドイツの産業ロボット大手のKUKAを買収して事業規模を拡大しています。創業者の何享健が持ち株会社を通じて大株主となっています。さらに詳しく
Panasonic Corporation (パナソニック株式会社)
パナソニックは、1917年に松下幸之助氏によって設立された日本を代表する電機メーカーです。松下電工や三洋電機と統合し、総合電機メーカーとして世界的なプレゼンスを有します。アプライアンス(家電、空調、AV機器、累計2000億個を売り上げた約90年の歴史を持つ電池等)、オートモーティブ(蓄電池、音響機器等)、インダストリアル(電池やモーター等)、ライフソリューション(照明や水まわり等)、コネクティッドソリューションズ(フライトエンターテイメント、航空機向け電子機器、監視カメラ等)といった事業部制に特徴がありましたが、2022年にパナソニックホールディングスを設立し、事業部はホールディング傘下の独立した子会社となりました。さらに詳しく
Group SEB(グループセブ、セブグループ)
Group SEB(グループセブ)は、1857年に設立されたフランスを本拠とする世界的な小型家電・調理器具メーカーです。電気ケトル、ミキサー、コーヒーメーカー、トースター、フードプロセッサーなどを展開しています。テフロン加工のフライパンで有名な「ティファール」、イタリア出自の「ラゴスティーナ」、ハンドミキサー有名なMoulinex(ムリネックス)、ヘアドライヤーのRowenta(ロベンタ)、All-Clad(オールクラッド)など有力なブランドを擁しています。
コーヒーの分野では、個人向けのKrups(クラプス)に加え、2017年にドイツの業務用コーヒーメーカーのWMF(ヴェーエムエフ)、2019年に北米のWilbur Curtisを買収しております。創業ファミリーであるレスキュール家が大株主です。さらに詳しく
SHARP CORPORATION (シャープ株式会社)
日本を代表する家電メーカーです。液晶事業への大型設備投資が負担となり、2016年からは、台湾の大手受託会社であるホンハイの傘下に入りました。2017年に再上場を果たしています。
Hitachi, Ltd. (株式会社日立製作所)
日本を代表する総合重電メーカーです。冷蔵庫や洗濯機などの白物家電も手掛けています。東芝の家電部門が中国の美的集団に買収されるなかで、規模では既に日立の家電事業の数倍となったアジア勢と今後どのように競っていき、利益率を向上させるかに注目が集まっています。2020年12月に、海外事業の過半の持ち分をトルコのアルチェリクへ売却しました。国内の家電事業は日立単独で、海外はトルクのアルチェリクと組んで利益率の改善を図りつつ事業展開していくことになります。
日立製作所は、久原鉱業所日立鉱山付属の修理工場として、1910年に創業された日本を代表する重電メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフを主要領域とします。配電事業、自動車部品、エレベーター事業や鉄道事業は強化する一方で、日立化成、日立金属、日立キャピタル、日立建機等は外部へ売却をし、選択と集中を進めています。さらに詳しく
Arcelik(アルチェリク)
1955年にVehbi Koc(ヴェフビ・コチ)氏によって創業されたトルコ大手財閥であるコチグループ傘下の家電メーカーです。白物家電等に強く、トルコ国内では最大手です。海外展開にも積極的で、海外ではベコブランドで展開しています。EBITDAマージンが10%前後あり、収益性の高さが強みです。
Dyson Limited (ダイソン)
英国から彗星の如く出現したプレミアム家電メーカーです。吸引力で差別化を図る掃除機や、羽根のない扇風機等、斬新なアイディアと技術力でブランドを確立しています。
De’Longhi (デロンギ)
デロンギ社はイタリアに本拠を置く小型家電メーカーです。1902年に創業。オイルヒーター等の暖房機器、エスプレッソ・コーヒーメーカー、ハンドブレンダーやオーブン等の調理器具を設計・製造・販売しています。コーヒーメーカーのDe’Longhi、調理用のKenwood、ハンドブレンダーやフードプロセッサーのBraun(P&G社のブラウンよりライセンス供与を受けている)等のブランド名で事業を展開しています。さらに詳しく
Miele & Cie(ミーレ・アンド・シー)
1899年に設立されたドイツに本拠を置く家電メーカーです。創業家であるミーレ家とツィンカン家が株式を保有している非公開会社です。洗濯機、冷蔵庫や調理家電に強みを持ちます。
Hisense Home Aplliances Group Co.,Ltd.(ハイセンスホームアプライアンス、海信家電)
ハイセンスホームアプライアンス(海信家電)は、1969年創業の中国山東省青島に本拠を置く家電メーカーです。広東科龍電器を買収し、冷蔵庫、食洗器、空調機器などの家電を海信、科龍、要声の3ブランドで展開しています。日立との空調合弁会社も運営しています。
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