クラウドサービス業界の世界市場シェアの分析
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クラウドサービス業界の世界市場シェアの分析

クラウド経由で仮想サーバーなどを提供するクラウドサービス業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模について分析をしています。マイクロソフト、アマゾン、グーグル、IBM、アリババといったの世界大手クラウドサービスのインフラを提供する会社の動向も掲載しております。

【クラウド業界とは】

クラウドサービスとは、データやソフトウェアをネットワーク上で処理・保存・管理するサービスのことです。従来、データはコンピュータ上に保存・利用されていましたが、クラウドサービスの利用によって、異なるデバイス・インターネット接続環境でも同じデータを処理することが可能となりました。また、複数のネットワークデバイスから同時にデータにアクセスできる「共有ストレージ領域」のことをクラウドサービスと指すこともあります。

クラウドサービスには、データ管理にかかる手間や時間、コストを削減できるメリットがあります。そのため、企業が情報を管理する手段として広まっています。

クラウドサービスは一般的に次の3つに分類されます。

  • SaaS(Software as a Service)…電子メールや書類作成などのソフトウェア機能の提供を行うサービス(例:Hotmail、Slack、Googleドキュメント)
  • PaaS(Platform as a Service)…アプリやソフトウェアを稼働させるプラットフォーム機能の提供を行うサービス(例:Google Cloud Platform、Microsoft Azure)
  • IaaS(Infrastructure as a Service)…アプリやソフトウェアを構築するハードウェア・インフラ機能の提供を行うサービス(例:Google Compute Engine、Amazon Web Services)

当データベースでは、PaaSとIaasの主要企業を抽出し、市場シェアを分析しています。

【クラウドサービス業界の世界市場シェア+ランキング】

クラウドサクラウドサービス会社のうち、PaaSとIaaSの主要各社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして2022年のクラウドサービス業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はマイクロソフト、2位はアマゾン、3位はグーグルとなります。

2022年クラウドサービスの市場シェア

順位 社名 市場シェア
1位 Microsoft Corporation(マイクロソフト) 16.11%
2位 AMAZON.COM, INC.(アマゾン) 14.67%
3位 Alphabet Inc.(アルファベット) 4.81%
4位 International Business Machines Corporation(アイ・ビー・エム、IBM) 3.27%
5位 Alibaba Group Holding Limited(アリババ、阿里巴巴) 1.91%
6位 Baidu, Inc.(百度、バイドゥ) 0.47%
クラウドサービス関連会社の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)©2024 Deallab
*マイクロソフトの売上高は2023年会計年度(2022年7月~2023年6月)のものを使用

クラウドサービス業界の世界シェア(2022年) ©2024 Deallab

アマゾンはクラウドサービスをAWSで展開しています。最も古くからサービスを提供しており、価格面で競争力があります。マイクロソフトはAzureでクラウドサービスを展開しており、法人向けに強みを持っています。グーグル(アルファベット)はグーグルクラウドプラットフォーム、IBMはIBMクラウドで展開しております。

地域別にみると北米がシェアの首位に立っており、クラウドサービスの需要が高いことが分かります。実際、市場シェアランキングの上位6社のうち4社が米国の企業で、クラウドサービス業界の発展と革新の要となるエリアだと言えます。

【クラウドサービス業界大手3社の指標比較】

シェア上位3社の売上成長率(過去5年)とROE(自己資本利益率)を比較すると、下記のグラフの通りとなります。売上高成長率はアマゾンが最も高く、AWS以外にECやサブスクリプション部門の成長が売上高の増加を支えています。

一方で、自己資本利益率が高いのはマイクロソフトで、収益性の高さが評価できます。マイクロソフトは3社の中で唯一配当を出しており、投資対象としても魅力的な企業だということが分かります。

クラウドサービス業界大手3社の指標比較(2022年)©2024 Deallab

*売上高成長率は過去5年分

**自己資本利益率は直前期の当期利益と期初と期末の自己資本額の平均値から計算

【クラウドサービス業界の世界市場規模】

当サイトでは、クラウドサービス業界の2022年の世界市場規模を5,458億ドルとして市場シェアを計算しております。参考にしたデータは以下の通りです。

調査会社のマーケッツアンドマーケッツによると、2022年の同業界の市場規模は5,458億ドルです。2022年から2027年にかけて年平均17.85%で成長し、同年には12,409億ドルへと拡大することが見込まれます。⇒参照したデータの詳細情報

推定市場規模 成長率見込み
2022年 5,458億ドル
2027年 12,409億ドル 17.85%
クラウドサービス業界の推定市場規模 ©2024 Deallab

クラウドサービス業界の市場規模の予想成長推移 ©2024 Deallab

【四半期ベースの売上高ランキング】

2023年度4-6月四半期売上高をベースとしたクラウドサービス関連会社のランキングでは、1位マイクロソフト、2位アマゾン、3位グーグルとなっています。Azureの収益増加に伴い、マイクロソフトが四半期ベースでも年次ベースでもアマゾンから首位を奪いました。⇒参照したデータの詳細情報

クラウドサービス関連会社の四半期ベースの売上高ランキング(2023年) ©2024 Deallab
*2021年10-12月の売上高


さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍と関連サイト

クラウドエンジニア養成読本
エンタープライズシステム クラウド活用の教科書
サーバー業界の市場シェア
SaaS業界の市場シェア・売上高ランキング・市場規模の分析

【M&Aの動向】

クラウドサービス業界は成長市場であり、新規事業への参入や関連事業の強化などを目的に活発にM&Aが行われています。

2020年に入ってからの大型買収としては、2022年にグーグルによるマンディアントの買収が挙げられ、セキュリティ強化に力を入れ始めたことが話題となりました。

2018年 Microsoftがソフトウェア開発プラットフォーム大手のGitHunを75億ドルで買収

2022年 Google(現Alphabet)がセキュリティー大手のSiemplifyを買収

2022年 Google(現Alphabet)がセキュリティー大手のMandiantを54億ドルで買収

【会社の概要】

Microsoft Corporation(マイクロソフト)

1975年にビル・ゲイツとポール・アレン氏によって設立されたソフトウェア会社です。オペレーションシステムのウィンドウズやドキュメントソフトのワード、計算ソフトをエクセルなどパソコンなどで必須のソフトを開発販売しています。ゲームの分野ではハードのゲーム機Xboxとネットワーク課金によって事業を成長させています。クラウドサーバーはAzureで展開しています。ソフトの販売から、クラウド型のサブスクリプションサービスへの移行も順調です。モバイル分野ではオペレーションシステムではグーグルのアンドロイドとアップルのiOSに差をつけられています。さらに詳しく

AMAZON.COM, INC.(アマゾン)

アマゾンは1994年に設立されたeコマース運営会社です。書籍のオンライン販売が祖業ですが、現在では書籍から家電まで幅広い商品を取り扱っています。eコマース以外にも領域を拡大し、クラウドサービス、電子書籍端末、音楽・メディアの配信サービス等も展開しています。

クラウドサービスはAWSで展開しています。低コストのクラウドサービスであることから、AWSによって、時間・場所問わずほぼコストゼロでIT起業が可能な環境になったとも言われています。音楽配信は2007年にサービスを開始しました。アマゾンの有料会員プログラムであるアマゾンプレミアムでも利用できる手軽さが受け、会員数を増加させました。楽曲数を拡充させてAmazonMusic Unimitedも展開しています。さらに詳しく

Alphabet Inc.(アルファベット)

アルファベット(グーグル)は、1998年にラリーペイジ氏とセルゲイブリン氏によって設立された検アルファベット(グーグル)は、1998年にラリーペイジ氏とセルゲイブリン氏によって設立された検索・メディア大手です。世界中の情報を検索可能にする壮大なアジェンダを掲げ、良質なコンテンツが上位表示される精度の高い検索サービスで世界を席巻しました。上位表示に広告も織り交ぜる検索連動広告、UIに優れたGmail、動画共有のユーチューブ、スマホの基幹システムAndroidに加え、クラウドコンピューティングのGoogle Cloud Platform、SaaS型のGoogle Workspaceといったクラウドサービスも提供しています。個人情報保護や掲載するデータへの使用料支払いといった観点から逆風も吹いています。社名をグーグルからアルファベットに変更しました。さらに詳しく

International Business Machines Corporation(アイ・ビー・エム、IBM)

IBMは、1911年に設立された世界を代表する米国に本拠を置くIT会社です。ハードウェア主流のメインフレーム事業からソフトウェア・ITソリューション会社へと変貌を遂げています。シンクパット(ThinkPad)ブランドのパソコン、ハードディスク、プリンター事業等は売却しました。現在は、クラウドサービス、ITサービス、コンサルティング、ソフトウェア、ハードウェア、コグニティブ・コンピューティング(AI事業)に注力をしています。さらに詳しく

Alibaba Group Holding Limited(アリババ、阿里巴巴)

アリババ(阿里巴巴、Alibaba)は、馬雲(ジャックマー)氏によって設立された中国のeコマース最大手です。C2Cのタオバオ(淘宝網)はB2CのTモール(天猫)などを展開しています。クラウド分野ではアリクラウドを展開しています。アリババピクチャーズやアリヘルスなどの子会社上場にも積極的です。アリペイ等の決済分野は別法人で展開しています。さらに詳しく

Baidu, Inc.(百度、バイドゥ)

Baidu(百度、バイドゥ)は、2000年に李彦宏(Yanhong Li)氏によって中国で設立された検索サービスです。中国政府のグーグルへのメディア規制もあり、中国の検索の最大手となりました。クラウド分野では百度智能云(バイドゥクラウド)を展開しています。動画サイト(iQ1Y1、愛奇芸)、モバイル検索、音声アシスタント、ネット旅行代理店、自動運転技術(アポロ計画)など、数億人規模の利用者を基盤として独自のエコシステムを構築しています。さらに詳しく

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