キヤノンは、1937年に創業された日本を代表する光学・OA機器メーカーです。カメラ、複写機、プリンター等の分野で業界首位級です。近年はM&Aを駆使して新規領域への展開を図っています。OA機器、イメージング、産業機器等の分野で業界首位級の競争力のある商品群を展開しています。
OA機器のコピー機及び複写機では、ゼロックスやHPと並ぶ業界大手となっています。イメージングであるデジタルカメラ分野では、一眼レフとミラーレスカメラを強化しています。一眼レフやビデオカメラ等の分野にも強みを発揮しています。インクジェットプリンターでは、HPやエプソンと業界首位の座を競います。監視カメラではスウェーデンのアクシスコミュニケーションを買収し、業界トップクラスとなりました。半導体露光装置では、オランダのASML社に差をつけられつつあるものの、ニコンと並び露光装置大手のメーカーです。医療機器業界では、東芝メディカルを買収し、CTやMRIの分野で上位に入ります。
2019年度
売上高は前年度比9.07%減の35,933億円になりました。営業利益は49.07%減の1,744億円になりました。営業利益率は4.85%になりました。2019年度は米中貿易摩擦や世界経済の減速などの影響を受け、売上高と営業利益ともに前年度を下回る結果となりました。
2020年度
売上高は前年度比12.05%減の31,602億円になりました。営業利益は36.62%減の1,105億円になりました。営業利益率は3.50%になりました。2020年度はCOVID-19の世界的な感染拡大による経済活動の停滞や需要の減退などの影響を大きく受け、売上高と営業利益ともに前年度を大きく下回る結果となりました。
2021年度
売上高は前年度比11.17%増の35,134億円になりました。営業利益は155.02%増の2,819億円になりました。営業利益率は8.02%になりました。2021年度は経済活動の再開に伴う需要の回復やコスト削減効果などにより、売上高と営業利益ともに前年度を大きく上回る結果となりました。
2022年度
売上高は前年度比14.75%増の40,314億円になりました。営業利益は25.36%増の3,534億円になりました。営業利益率は8.77%になりました。2022年度は需要の回復傾向が継続したことに加え、為替の円安効果もあり、売上高と営業利益ともに前年度を上回る結果となりました。
2023年度
売上高は前年度比3.71%増の41,810億円になりました。営業利益は6.22%増の3,754億円になりました。営業利益率は8.98%になりました。2023年度は需要の回復ペースが鈍化する中、売上高と営業利益ともに前年度を上回る結果となりましたが、その伸び率は前年度と比べて低下しました。今後は新たな成長領域の開拓や事業構造改革などに取り組み、持続的な成長を目指していく必要があります。
2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比21.11%増の11571億7500万円になりました。営業利益は973億4400万円、営業利益率は8.41%になりました。この四半期は、売上高と営業利益ともに顕著な増加を見せ、特に営業利益の成長率が目立ちます。
2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は前年同期比10.44%増の9711億2500万円になりました。営業利益は844億7500万円、営業利益率は8.70%になりました。成長は続いていますが、四半期ごとの変動に注目が集まります。営業利益率のわずかな増加も見られます。
2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は前年同期比2.21%増の10208億8200万円になりました。営業利益は922億7400万円、営業利益率は9.04%になりました。売上高の成長は緩やかですが、営業利益率は前四半期と比較して改善しています。
2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は前年同期比2.93%増の10252億4700万円になりました。営業利益は826億2400万円、営業利益率は8.06%になりました。売上高と営業利益はわずかに増加しましたが、営業利益率は前四半期に比べて低下しています。
2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は前年同期比0.57%増の11637億1800万円になりました。営業利益は1159億9300万円、営業利益率は9.97%になりました。この四半期は売上高の増加が鈍化しましたが、営業利益と営業利益率は大幅に改善しました。
希薄化後EPSは前年度比11.60%増の264.08円になりました。1株当たりの配当は前年度比16.67%増の140円になりました。配当性向は53.01%になりました。
2024年度の業績見通しは、売上高43500億円、営業利益率は10.0%、当期純利益率は7.0%
ROEは8.9%です。
セグメントは、オフィス機器、医療装置、カメラ、露光装置に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
オフィス機器
プリンティングビジネスユニットでは、デジタル連帳プリンター、デジタルカットシートプリンター、大判プリンター、オフィス向け複合機、ドキュメントソリューション、レーザー複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、イメージスキャナー、電卓を主に製造・販売しています。その他の商品としては、ハンディターミナル、ドキュメントスキャナーがあります。
医療機器
メディカルビジネスユニットでは、CT装置、超音波診断装置、X線診断装置、MRI装置、検体検査装置、デジタルラジオグラフィ、眼科機器を主に製造・販売しています。
カメラ
イメージングビジネスユニットでは、レンズ交換式デジタルカメラ、交換レンズ、コンパクトデジタルカメラ、コンパクトフォトプリンター、ネットワークカメラ、ビデオ管理ソフトウェア、映像解析ソフトウェア、デジタルビデオカメラ、デジタルシネマカメラ、放送機器、プロジェクターを主に製造・販売しています。
露光装置
インダストリアルビジネスユニットでは、半導体露光装置、FPD露光装置、有機ELディスプレイ製造装置、真空薄膜形成装置、ダイボンダーを主に製造・販売しています。
CANONは、技術革新と市場の拡大を図るため、積極的なM&A戦略を展開しています。これにより、多様なビジネスフィールドへの進出と既存ビジネスの強化が図られています。
2004年: プラスチック射出成形機の製造を行うイガリモールドの子会社化
2005年: 精密機械部品の製造を行う新潟キヤノテックの完全子会社化
2007年:有機ELディスプレイ製造装置の開発・設計・製造・販売を行うトッキ(現キヤノントッキ)を連結子会社化
2010年: 印刷・通信ソリューションを提供するオセ社の子会社化
2014年: ビデオ管理ソフトウェアを提供するマイルストーンシステムズ社の子会社化
2014年:半導体製造装置を扱うモレキュラーインプリント社の完全子会社化
2014年:次世代半導体露光装置の開発に向けて米国・モレキュラーインプリント(現キヤノンナノテクノロジーズ)を完全子会社化
2015年:アクシス(スウェーデン)を連結子会社化
2016年: 医療機器を扱う東芝メディカルシステムズ株式会社の子会社化
2018年: 映像解析ソフトウェアを開発するブリーフカム社の買収
2021年: X線CT検出器を開発するレドレン・テクノロジーズ社の買収
2022年: ラベル・パッケージ印刷機メーカーであるイーデール社(英国)を完全子会社化