アクリル樹脂原料メチルメタクリレート業界の世界市場シェアの分析
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アクリル樹脂原料メチルメタクリレート業界の世界市場シェアの分析

アクリル樹脂原料(メチルメタクリレート(MMA))業界の世界市場シェアと市場規模の分析をしています。三菱ケミカル、ローム、ダウ、住友化学、CNPC系の吉林石化といったアクリル樹脂原料大手メーカーの概要や動向も掲載しています。またMMAを原料とするポリメチルメタクリレート(PMMA、MMAポリマー)についても、大手メーカーの概要を掲載しています。

【アクリル樹脂原料とは】

アクリル樹脂原料はMMA(メチルメタクリレート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート、Polymethylmethacrylate、MMAポリマー)といわれ、透明度及び耐熱性を備えて、プラスチックの女王と言われているアクリルの原料となります。また塗料やコーティング剤の原料にもなります。アクリルは大型水槽等で使われています。

アクリルとガラスの比較

製品 特性 比重
アクリル 成型加工や研磨が容易 1.2
ガラス 裁断加工が容易 2.5

PPMAとガラスの比較 出所:住友化学の資料をもとに作成

さらに詳しく業界を理解するためのお薦め書籍と関連サイト

化学品ハンドブック (2020)
化学業界の市場シェア・売上高ランキング・市場規模・再編の分析

【市場シェア】

住友化学のデータをもとに、アクリル樹脂原料(MMA)メーカーの生産能力⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また世界全体の生産能力を分母にして2023年のアクリル樹脂原料の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は三菱ケミカル、2位はローム、3位はダウとなります。

アクリル樹脂原料(MMA)の生産能力ベースの市場シェアと業界ランキング(2023年)

順位 Company name
(English)
会社名 市場シェア
1位 Mitsubishi Chemical Holdings Corporation 三菱ケミカルホールディングス 26.00%
2位 Röhm ローム 10.66%
3位 Dow Inc. ダウ 8.81%
4位 Sumitomo Chemical Co., Ltd. 住友化学 7.47%
5位 Jilin Petrochemical 吉林石化 5.56%
アクリル樹脂原料メチルメタクリレートの世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2024 Deallab

アクリル樹脂原料メチルメタクリレートの世界市場シェアと業界ランキング(2023年) ©2024 Deallab

アクリル樹脂原料メチルメタクリレート(MMA)業界の上位4社の顔ぶれおよび順位は昨年から変化していません。5位には韓国のLG科学系のLXに代わり中国の吉林石化がランクインしました。

MMAは自動車、エレクトロニクス、建設業界で使用される塗料とコーティングなどに使用されています。新型コロナウイルスの拡大時は自動車業界の不振の影響を受け、生産量が伸び悩びました。しかし、人口増加による世界的な建設需要の増加から、建設業界におけるMMA使用量が増加しており、今後のさらなるMMA市場の拡大が見込まれています。

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、アクリル樹脂原料業界の2023年の世界市場規模を5392千トンとして市場シェアを計算しております。参照したデータは以下の通りです。

住友化学によると、MMAモノマーの世界の生産能力は、2023年が5,392千トン、2021年が4,792千トン、2020年が5,105千トンです。

調査会社のポラリスマーケットリサーチによると、2024年の同業界の規模は186.2億ドルです。2034年にかけて年平均7.9%で成長し、2034年には398.1億ドルへの市場規模の拡大が見込まれています。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 年平均成長率
2024 186.2億ドル
2034 398.1億ドル 7.9%

アクリル樹脂原料メチルメタクリレート業界の市場規模の成長予想 ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

2017年 ダウが米国同業のDuPontと経営統合
2019年 Evonikが子会社のRohmを投資会社のAdvent Internationalに売却
2019年 ダウがDowDuPontから分社化

【会社の概要】

三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルホールディングスは、日本の最大手の化学メーカーです。三菱レイヨンや大陽日酸を買収し、機能性化学分野の強化を図っています。アクリル樹脂の分野では、ダウケミカルやエボニックといった、大手化学メーカーを抑え、世界最大級の規模となっています。また、炭素繊維分野では、傘下の三菱レイヨンがパイロフィルの商標で炭素繊維を世界展開し、自動車会社とも開発を加速させています。電池材料では、正極材からは撤退し、電解液と負極材を強化しています。水処理膜事業では、MBR膜に強く、ステラポアーブランドで展開をしています。さらに詳しく

Dow(ダウ)

ダウは、1897年にHerbert Henry Dow氏によって設立された米国に本拠を置く世界最大級の総合化学メーカーです。祖業は漂白剤と臭化カリウムです。その後、ユニオンカーバイド(Union Carbide)やローム・アンド・ハースの買収を通じて成長しました。2015年に米同業のデュポンと経営統合しましたが、2019年に素材事業を担う新生ダウ、特殊産業材のデュポン、農薬のコルテバアグリサイエンスへと分社化されました。シリコーンはダウシリコーンが展開しています。コーティング剤、プラスチック、アクリル樹脂原料・メチルメタクリレートにも強みを持ちます。さらに詳しく

Röhm(ローム)

ドイツを代表する機能性化学メーカーであるEvonik(エボニク)からアクリル樹脂原料事業を投資ファンドであるアドベントインターナショナルが買収をし、2019年にロームが誕生しました。なお、エボニクの源流はローム・アンド・ハースにあります。さらに詳しく

住友化学

住友化学は、1913年に別子銅山の煙害解消のために銅鉱石中の硫黄を取り出して肥料を製造する住友肥料製造所として設立されました。石油化学、機能材料、情報電子化学、農薬、医薬品が主軸です。サウジ・アラムコと組んで世界最大級の石油コンビナート(ラービグプロジェクト)を運営しています。機能性化学の分野では、偏光板で日東電工と並び、世界大手の1角となっています。また、メチオニンにも強みがあります。農薬の分野では、バイエル、BASF、コルテバ、シンジェンタのビッグ4に次ぐ準大手のポジションです。アクリル樹脂原料(MMA)は三菱ケミカルと双璧です。持分法子会社の住友精化で高吸水性樹脂事業を行っています。さらに詳しく

CNPC(中国石油天然気集団公司)

中国を代表する石油・ガス会社です。石油化学分野も展開しています。アクリル樹脂原料は子会社の吉中国を代表する石油・ガス会社であるCNPC(中国石油天然気集団公司)の子会社です。CNPCは石油化学分野も展開しています。さらに詳しく

参照したデータの詳細情報について


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