宇宙防衛業界の市場シェアの分析

航空機やミサイルといった兵器・武器を製造している軍事・宇宙防衛企業の世界シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析。 中国兵器工業集団、ロッキード・マーティン、BEA、ゼネラルダイナミクス、レイセオンといった防衛大手の概要も掲載。

【市場シェア】

宇宙防衛各社の2021年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2021年の宇宙防衛業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位は中国兵器工業集団、2位はロッキードマーチン、3位はノースロップ・グラマンとなります。

宇宙防衛メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)

順位会社名市場シェア
1位中国兵器工業集団9.64%
2位ロッキードマーチン9.10%
3位ノースロップ・グラマン4.83%
4位レイセオンテクノロジーズ4.17%
5位ゼネラルダイナミックス4.12%
6位BAEシステムズ3.91%
7位ボーイング3.60%
8位L3ハリス2.42%
9位タレス2.00%
10位エアバス1.57%
11位サフラン0.97%
12位三菱重工0.79%
13位ハネウェル0.70%
14位ロールスロイス0.62%
15位GE0.56%
16位UAC(スホーイ)0.51%
17位川崎重工0.27%
宇宙防衛メーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2021年)
宇宙防衛業界の世界シェア(2021年)
宇宙防衛業界の世界シェア(2021年)

【市場規模】

当サイトでは、調査会社等の公表データを参考にし、宇宙防衛業界の2021年の世界市場規模を7003億ドルとして市場シェアを計算しております。参照にしたデータは以下の通りです。

調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、2021年の同市場規模は7003億ドルです。2022年にかけて7.8%成長し、同年には7552億ドルへと拡大することが見込まれます。
調査会社のビジネスリサーチカンパニーによると、2020年の同市場規模は7363億ドルです。2021年にかけて5.2%で成長し、同年には7745億ドルへと拡大することを見込みます。
会計事務所のPWCによると、2019年の同業界の規模は6970億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報

宇宙防衛業界の市場規模成長率
2021年7003億ドル7.8%
2020年7363億ドル5.2%
2019年6970億ドル
宇宙防衛業界の推定市場規模の推移
©ディールラボ

【売上高ランキング】

2021年度10-12月四半期売上高をベースとした宇宙防衛企業のランキングでは、1位中国兵器工業集団、2位ノースロップ・グラマン、3位レイセオンテクノロジーズとなっています。1位の中国兵器は、国営企業で非上場企業なので、上場企業との比較が難しいですが、ノースロップ・グラマンに大差をつけています。ロッキードが2位から6位へ順位を落としています。⇒参照したデータの詳細情報

宇宙防衛企業の売上高ランキング(四半期ベース)
宇宙防衛企業の売上高ランキング(四半期ベース)
*推計を含む。その他は2021年10-12月売上高

【M&Aの動向】

  • 1995年 ロッキードとマーティン・マリエッタが合併
  • 1996年 ロッキード・マーティンによるロラール社の衛星事業買収
  • 1997年 ボーイングによるマクドネルダグラス買収
  • 1997年 レイセオンによるヒューズ・エレクトロニクスの買収
  • 1997年 レイセオンによるテキサス・インスツルメンツの防衛事業の買収
  • 1999年 ハネウェルによるアライドシグナル買収
  • 1999年 ゼネラルダイナミクスによるガルフストリーム・エアロスペースの買収
  • 1999年 BAE SystemsによるMarconiElectric SystemのGEからの買収
  • 2000年 仏(アエロスパシアル・マトラ)、独(ダイムラー・クライスラー・アエロスペース)、スペイン(コンストルクシオネス・アエロナウティカス)の3社が合併し、エアバスグループの前身となるEADSが誕生
  • 2002年 ノースロップ・グラマンによるTRWの防衛事業の買収
  • 2005年 サフランによる軍用機エンジンおよび民間航空機エンジン大手のスネクマ買収
  • 2006年 レイセオンによる Beechcraft Corporationの投資ファンドへの売却
  • 2007年  BAE SystemsによるArmor Holdingsの買収
  • 2008年 フィンメカニカによる米DRSテクノロジーズの買収
  • 2010年 ユナイテッド・テクノロジーズによる航空機部品メーカーのグッドリッチの買収
  • 2011年  ゼネラルダイナミクスによるVangentの買収
  • 2012年 投資ファンドが衛星事業を手掛けるHamilton Sundstrandをユナイテッド・テクノロジーズから買収
  • 2015年 ロッキード・マーティンによる Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト)のユナイテッド・テクノロジーズからの買収
  • 2015年 レイセオンによるインタネットセキュリティ会社のWebsenseの買収
  • 2016年 ハネウェルによる豪報知器メーカーのXtralis買収
  • 2018年 サフランによるZodiacの買収
  • 2018年 ゼネラルダイナミクスによるCSRAの買収
  • 2018年 ノースロップ・グラマンによるOrbital ATKの買収
  • 2018年 投資ファンドMelroseによるGKNの買収
  • 2018年 SAICによるEngilityの買収
  • 2019年 L3テクノロジーズとハリスコーポレーションが経営統合しL3テクノロジーズが誕生
  • 2020年 ユナイテッドテクノロジーズの宇宙防衛事業とレイセオンが経営統合し、レイセオンテクノロジーズが誕生


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【会社の概要】

Lockheed Martin(ロッキードマーティン)

ロッキードマーチンは、1995年にロッキードとマーティン・マリエッタが合併し誕生した米国の宇宙防衛会社です。F35やF22といった戦闘機、ヘリコプター、ミサイルといった軍用装備品や宇宙衛星・ロケットも手掛けています。米国政府が最大の顧客となります。さらに詳しく

Boeing(ボーイング)

ボーイングは米国を代表する防衛関連企業です。民間旅客機でも有名ですが、軍用戦闘機、ミサイル、宇宙船等の製造も手掛けています。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機、軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」などがあります。ボーイングの事業は大きく防衛・宇宙業界向けの機器販売、民間向けの航空機販売、リース・金融事業、航空機に関連するサービス事業の4つに分類されます。さらに詳しく

BAE Systems(ビーエーイー・システムズ)

英国に本拠を置く欧州最大級の防衛関連企業です。旧ブリティッシュ・エアロスペース (BAe)です。戦闘機、ロケット、戦車、潜水艦等の開発・製造を行っています。

General Dynamics(ゼネラルダイナミクス)

General Dynamics(ゼネラルダイナミクス)は、1901年に設立された米国の防衛関連企業です。潜水艦の製造が祖業です。潜水艦やMIエイブラムスで有名な戦車に加え、商用ビジネスジェット機のガルフストリームの開発・製造を行っています。さらに詳しく

Raytheon(レセイオンテクノロジーズ)

レイセオンテクノロジーズ(Raytheon Technologies)は、2019年に防衛大手のレイセオンとユナイテッド・テクノロジーズグループが経営統合して誕生しました。旧ユナイテッド・テクノロジーズグループは、2020年にエレベーター事業のオーチス(Otis)及び空調事業のキャリア(Carrier)の分社化を実施し、現在は、航空機エンジンのプラット・アンド・ホイットニー、民間工機向けシステムを提供するコリンズエアロスペース、宇宙防衛機器製造を行うレイセオンが主力事業となっています。さらに詳しく

Airbus Group(エアバス・グループ)

Airbus(エアバス)は、仏アエロスパシアル(Aérospatiale)、独ダイムラー・クライスラー・アエロスペース(DCAS)、西コンストルクシオネス・アエロナウティカス(Construcciones Aeronáuticas SA)が母体となって設立された旧EADS (European Aeronautic Defence and Space)を源流とします。旧EADSが2013年にエアバス・グループへと社名変更して誕生しました。欧州最大級の防衛企業です。
航空機部門では、大型民間旅客機ではボーイングとほぼ市場を二分する大手です。小型航空機機ではボンバルディアと提携し、100~150人乗りのCシリーズを展開しています。リージョナルジェットの分野でもA320で737のボーイングとのし烈な覇権争いをしています。
ヘリコプター事業はAirbus Helicopters(エアバス・ヘリコプターズ)で展開しています。仏アエロスパシアルと独メッサーシュミット(ダイムラークライスラー・エアロスペース)のヘリコプター部門が統合しユーロコプター・グループ(Eurocopter Group)が誕生しました。その後現社名へと名称を変更しております。さらに詳しく

Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)

米国の防衛関連企業です。軍艦に強みを持ちます。戦闘機・ミサイル等の開発・製造も行っています。

Thales(タレス)

タレス(Thales )は、フランスに本拠を置く防衛・重電メーカーです。前身はThomson-CSF社で、現在は航空関連の電子サービス(Flight avionics)、衛星、鉄道信号、マイクロ波、防衛セキュリティ、本人認証サービス等の分野を手掛けています。航空機部品は、ハネウェルやコリンズエアロスペースが競合会社です。エアバス、ATR、ベル、ボーイング、ボンバルディア、ダッソーアビエーション、エンブラエル、ガルフストリーム、レオナルド等へ販売をしています。機内エンターテイメント事業にも強く、グローバルイーグルエンターテイメント、ゴーゴー、パナソニック アビオニクスやゾディアック インフライト イノベーションズ(サフラングループ)と競合しています。マイクロ波およびイメージングサブシステムでは、Varian Medical Systems、CPIやL3Harrisと競合しています。2021年に日立に鉄道信号事業を売却しました。さらに詳しく

Finmeccanica(フィンメカニカ)

イタリアの本拠を置く防衛関連大手です。イタリア政府が筆頭株主となっています。ミサイルや航空機を手掛けています。傘下の車両製造や車両信号を手掛ける会社(アンサルド、Ansaldo)は日立へ売却しました。

Safran(サフラン)

Safran S.A (サフラン)はフランスに本拠を置く防衛・通信大手企業です。傘下のSnecma(スネクマ)にて民間及び軍用の航空機エンジンの製造を行っています。ナローボディー機ではGEと手を組んでいます。2018年に機内エンターテイメント、シート、機内食機器に強いゾディアックを買収しました。

中国兵器工業集団(China North Industries Group Corporation)

中国の中央政府傘下にある防衛企業です。装甲車からミサイル、爆弾などの軍事製品を手掛けています。子会社に兵器輸出を手掛ける中国北方工業(ノリンコ)があります。

L3Harris Technologies(L3ハリステクノロジーズ)

米国に本拠を置く防衛大手企業です。防衛に関する情報技術に強みを持ち、軍事システム、無線機器、マイクロ波兵器、電子戦などを手掛けます。

参照したデータの詳細情報について


参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。

参照した売上高ランキング

参照した市場規模

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