ロールスロイスの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

Rolls-Royce(ロールス・ロイス)は英国に本拠を置く航空機・船舶エンジンメーカーです。自動車のロールス・ロイスとは同根です。一時は英政府により国有化されましたが、ドイツのBMWとの航空機エンジン事業を子会社化するなど積極的な買収により成長しました。民間航空、防衛、パワーシステムが三本柱です。産業用ディーゼルエンジンでは、発電所、建機、鉄道、船舶向けのエンジンを製造・販売し、キャタピラー、カミンズ、GE等と競っています。民間船舶部門が低調であり、2018年以降リストラを加速しています。燃料噴射装置を手掛けるロランジュ(L’Orange)を米航空機部品メーカーのウッドワードへ売却しました。船舶用エンジンではMTUブランドの高速エンジンとBergenブランドの中速エンジンがメインとなっていますが、2021年にBergenをロシアの鉄道車両大手であるJSC Transmashholdingへ売却しました。

業績推移

2018年度
売上高は前年度比6.66%増の15,729百万ポンドになりました。営業利益は417.21%減の-1,161百万ポンドになりました。営業利益率は-7.38%になりました。

2019年度
売上高は前年度比5.45%増の16,587百万ポンドになりました。営業利益は26.61%減の-852百万ポンドになりました。営業利益率は5.45%になりました。

2020年度
売上高は、主にCOVID-19が最終市場の需要に影響を与えたことにより、前年度比28.72%減の11,824百万ポンドになりました。営業利益は-2,081百万ポンドになりました。営業利益率は-17.60%になりました。最も影響を受けたのは民間航空機で、30 億ポンド(37%)の減少となりました。

2021年度
売上高は前年度比-2.38%増の11,218百万ポンドになりました。営業利益は-128.65%の569百万ポンドになりました。営業利益率は5.07%になりました。

2022年度
売上高は前年度比20.52%増の13,520百万ポンドになりました。営業利益は63.16%増の837百万ポンドになりました。営業利益率は6.19%になりました。コロナの規制が明けて、国際線の回復が続いたこと、またパワーシステムズ事業で米軍からの受注増により増収増益となりました。

ロールスロイスの業績推移

ロールスロイスの業績推移

業績推移(半期)

2021年上半期(1ー6月)
売上高は前年同期比9.06%減の5,159百万ポンドになりました。営業利益は38百万ポンド、営業利益率は0.74%になりました。事業拠点の合理化や人員削減などのリストラが成果を上げました。

2021年下半期(7ー12月)
売上高は前年同期比1.5%減の6,059百万ポンドになりました。営業利益は475百万ポンド、営業利益率は7.84%になりました。13億ポンド以上のランレート削減を実現した再構築計画の成功などにより前年度を上回りました。

2022年上半期(1ー6月)
売上高は前年同期比8.55%増の5,600百万ポンドになりました。営業利益は223百万ポンド、営業利益率は3.98%になりました。インフレとサプライチェーンの課題はあるものの、価格設定、生産性、コストに注力したことで増益増収となりました。

2022年下半期(7ー12月)
売上高は前年同期比30.71%増の7,920百万ポンドになりました。営業利益は614百万ポンド、営業利益率は7.75%になりました。民間航空事業の来店客数と予備エンジン台数の増加などにより増収増益となりました。

2023年上半期(1ー6月)
売上高は前年同期比34.34%増の7,523百万ポンドになりました。営業利益は797百万ポンド、営業利益率は10.59%になりました。早い段階での最適な戦略へのシフトチェンジやコストマネジメントを中心とした対応が営業利益率を前年より上回る結果に繋がりました。

ロールスロイスの業績推移

ロールスロイスの業績推移(半期)

EPS推移

希薄化後EPSは前年度比1,162.94%減の-15.20ポンドになりました。

ロールスロイスの業績推移

ロールスロイスのEPS推移

売上構成

ロールスロイスの売上構成(2021年度)

ロールスロイスの売上構成(2022年度)

民間航空機向けエンジン
大型民間航空機向けエンジン製造・サービスの市場リーダーとして、 ロールス・ロイスのエンジンは30機種を超える大型民間機、ビジネスジェットなどに採用されています。航空会社、貨物オペレーター、リース会社、企業を含め、民間航空の世界において13,000基を超えるエンジンが運行され、ワイドボディ旅客機向けエンジンでは受注残の50%超を占めています。

防衛向けエンジン
ロールス・ロイスは自衛隊および海上保安庁の主要な動力プロバイダーとして、YS-11、US-2飛行艇、T-2高等練習機、T-5初等練習機、T-7初級練習機などの国産機を含め、多くの航空機にエンジンを提供しています。

エンジン部品及びMRO
エンジン部品の開発、製造、組立、試験に加えて、リージョナルエアライン、ビジネス航空、産業用および防衛用のMROサービスを提供しています。

エレクトリカル
ロールス・ロイスは、全電動及びハイブリッドの動力・推進システムを構築するための技術の研究、開発、試験を行っています。次世代エアモビリティ(Advanced Air Mobility: AAM)市場向けの電気動力や推進システムの開発を通じて、社会の低炭素経済への移行を支援します。

Small Modular Reactors (SMR)
ロールス・ロイスSMRは、これまでとは異なるアプローチを採用しています。建設作業量を大幅に削減し、大規模で複雑なインフラ事業から工場で効率的に製造される規格品へと、原子力発電所の設置環境を変革しています。

市場のニーズに応え、すべての人にクリーンで安価なエネルギーを提供するための、最適なクリーンエネルギー・ソリューションです。

M&A情報

タービンエンジン事業への選択と集中が行われています。

2014年 シーメンスがロールス・ロイスのエネルギー用ガスタービン・コンプレッサー事業を買収
2016年 ロールス・ロイスがインダストリア・デ・ターボ・プロパルソアーを買収
2018年 米国のウッドワードがドイツの燃料噴射装置メーカーであるランジェを買収
2018年 ノルウェーのKongsberg(コングスベルグ)がロールスロイスの商船事業の一部を買収
2021年 ロシアのTransmashholdingが船舶用エンジン事業であるBergenを買収
2021年 ITP Aeroをベインキャピタルへ売却
2023年 ヨットブリッジとオートメーションのスペシャリストであるチーム・イタリアを買収

ロールス・ロイスの買収マルチプル分析

ロールス・ロイスの買収マルチプル分析

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