バイエルは1863年にフリードリッヒ・バイエルとヨハン・フリードリッヒ・ウェスコットによってドイツのバルムで設立されました。1897年にアスピリン(アセチルサリチル酸)を開発し、登録商標として販売を開始したことで特に有名です。これは世界で最も広く使用される医薬品の一つとなりました。バイエルの主な事業分野は、健康科学(医薬品)と農業科学(農薬や種子)です。
バイエルは、100以上の国で事業を展開している多国籍企業です。研究開発、製造、販売に至るまで、多岐にわたる事業活動を行っています。また、企業の社会的責任(CSR)を重視しており、持続可能な農業の推進、健康の向上、環境保護に関するプロジェクトに積極的に取り組んでいます。
2018年度
売上高は前年度比13.05%増の39,586百万ユーロになりました。営業利益は69.08%減の1,851百万ユーロになりました。営業利益率は4.68%になりました。負の通貨効果や世界的な貿易紛争による不確実性が増加する厳しい市場環境の中、バイエルはグループの売上を4.5%増加させ、Monsantoの買収を成功裏に完了しました。
2019年度
売上高は前年度比10.00%増の43,545百万ユーロになりました。営業利益は147.00%増の4,572百万ユーロになりました。営業利益率は10.50%になりました。2019年に営業目標を達成し、新しい持続可能性の目標を設定する一方で、戦略的な進展も達成。
2020年度
売上高は前年度比-4.93%減の41,400百万ユーロになりました。営業利益は117.41%減の-796百万ユーロになりました。営業利益率は-1.92%になりました。2019年と比較して堅調な業績を維持しています。
2021年度
売上高は前年度比6.48%増の44,081百万ユーロになりました。営業利益は920.10%減の6,528百万ユーロになりました。営業利益率は14.81%になりました。特別項目前のEBITDAは110億ユーロ以上で、これはコストのインフレーション上昇、通貨の影響、および企業の将来への大規模な投資が影響した結果です。
2022年度
売上高は前年度比15.10%増の50,739百万ユーロになりました。営業利益は12.96%増の7,374百万ユーロになりました。営業利益率は14.53%になりました。研究開発に6,600百万ユーロ(前年比20%以上の増加)を投資し、製薬、農業科学、消費者健康の3つの部門で革新的な進展を遂げました。これに加え、同社は持続可能な開発目標に貢献するソリューションの提供、自社の炭素中立目標の達成に向けた取り組み、および小規模農家を支援する社会的目標の実施を強化しています。
2022年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比18.10%増の12,819百万ユーロになりました。営業利益は739百万ユーロ、営業利益率は5.76%になりました。
2022年第3四半期(7-9月)
売上高は前年同期比15.34%増の11,281百万ユーロになりました。営業利益は1,379百万ユーロ、営業利益率は12.22%になりました。
2022年第4四半期(10-12月)
売上高は前年同期比7.93%増の12,000百万ユーロになりました。営業利益は1,192百万ユーロ、営業利益率は9.93%になりました。
2023年第1四半期(1-3月)
売上高は前年同期比1.71%減の14,389百万ユーロになりました。営業利益は3,033百万ユーロ、営業利益率は21.08%になりました。
2023年第2四半期(4-6月)
売上高は前年同期比13.85%減の11,044百万ユーロになりました。営業利益は1,413百万ユーロ、営業利益率は12.79%になりました。農業科学(Crop Science)部門の売上は、グリフォセート系製品の出荷量と価格の減少が主な原因で大幅に減少しました。
希薄化後EPSは前年度比294.12%増の4.02ユーロになりました。1株当たりの配当は前年度比20%増 の2.4ユーロになりました。配当性向は59.70%になりました。
2023年6月
通期の業績を下方修正しました。今期のEBITDAは468~478億ユーロを見込みます。
バイエルは、医薬品、農業科学、消費者向けヘルスケアの3つの主要な事業セグメントで構成されています。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
農業科学(Crop Science)事業
農業科学事業は、種子(種)、作物保護製品、デジタル農業ソリューションを農家に提供しています。このセグメントは、持続可能な農業の推進を目指し、農産物の生産性を高め、農業の持続可能性を向上させる技術と製品を開発しています。
医薬品事業
医薬品事業は、主に処方薬に重点を置いており、特に循環器系、腫瘍学、婦人科学、血液学、眼科学などの分野で幅広い製品を提供しています。このセグメントは、新薬の研究開発に力を入れ、患者の未満足な医療ニーズを満たすことを目指しています。
消費者向けヘルスケア(Consumer Health)事業
消費者向けヘルスケア事業は、一般消費者が購入できる、非処方薬(OTC薬)、健康補助食品、皮膚科製品などの広範な製品を提供しています。このセグメントは、人々の健康と幸福を向上させるための自己管理ソリューションを提供することを目指しています。
1925年 IGファルベン社が設立
1951年 IGファルベン社が解散し、バイエルとして再スタート
2000年 米ライオンデル・ケミカル社のポリオール事業を買収
2001年 クロップサイエンスのアベンティスからの買収
2002年 香料子会社のHaamann & Reimer社とDragocoが経営統合をしてシムライズが誕生
2005年 高分子事業を手掛けるランクセスの分社化
2005年 ロシュ社の一般用医薬品事業の買収
2006年 シエーリング社買収
2007年 診断事業をシーメンスに売却
2013年 テバより動物薬事業を買収
2014年 アルジェタ社の買収
2014年 メルクより一般医薬品事業を買収
2015年 プラスチック事業を手掛けるCovestro(コベストロ)の分社化上場
2016年 モンサントの買収
2018年 グルホシネートアンモニウム事業および除草剤耐性に関連するLibertyLinkをBASFに売却
2018年 Nunhemsブランドの野菜種子をBASFに売却
2019年 動物薬などのアニマルヘルス事業を、同業の米エランコ・アニマルヘルスに76億ドル(約8千億円)で売却
2020年 米国の製薬会社Asklepios BioPharmaceuticalを買収
2020年 英国のバイオテックKaNDy Therapeuticsを買収
2021年 バイオ製薬会社のVividion Therapeuticsを買収
2021年 米国のバイオテックNoria Therapeutics IncとPSMA Therapeuticsを買収
バイエルによるモンサント買収ハイライト
バイエルによるモンサントの買収は、農業ビジネスの歴史の中でも最大規模の取引の一つであり、多くの議論を呼び起こしました。
バイエルは、アメリカの農薬・種子大手企業であるモンサントを約660億ドルで買収しました。
買収により、バイエルは種子、農薬、デジタル農業技術の統合されたポートフォリオを提供できるようになり、農業の効率と持続可能性を高めるとされました。
バイエルによるモンサントの買収への批判や論争の争点は、遺伝子組み換え作物(GMO)と農薬の使用に関する懸念、市場の独占に対する懸念、そして小規模農家への影響などが含まれました。
モンサントの買収後、バイエルはモンサントが製造していた除草剤グリホサート(Roundup)に関する数千の訴訟に直面しました。これらの訴訟は、製品が癌の原因となるとの主張に基づいていました。バイエルは数十億ドルを超える和解を行い、この問題の解決に取り組んでいます。