ビール業界の世界市場シェアの分析

ビール業界の世界ランキング、世界市場シェア、市場規模、再編について分析をしています。アンハイザー・ブッシュ・インベブ、ハイネケン、カールスバーグ、モルソン・クアーズ、華潤、青島、キリン、アサヒ、サッポロ等世界大手ビール会社概要も掲載しています。

ビール業界の世界市場シェア(2020年)

ビール各社の2020年度の売上高を分子(⇒参照したデータの詳細情報)に、また後述する業界の市場規模を分母にして2020年のビール業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はアンハイザー・ブッシュ・インベブの7.82%、2位はハイネケンの4.76%、3位はアサヒの2.12%となります。

  • 1位 アンハイザー・ブッシュ・インベブ 7.82%
  • 2位 ハイネケン 4.76%
  • 3位 アサヒ 2.12%
  • 4位 モルソン・クアーズ 1.61%
  • 5位 カールスバーグ 1.56%
  • 6位 キリン 1.32%
  • 7位 サッポロホールディングス 0.96%
  • 8位 コンステレーション・ブランズ 0.93%
  • 9位 華潤ビール 0.83%
  • 10位 青島ビール 0.69%
  • 11位 ディアジオ 0.41%
  • 12位 燕京グループ 0.26%
  • 13位 ロイヤル・ユニブリュー 0.07%

ビール会社の世界シェア(2020年)
ビール会社の世界シェア(2020年)

当時業界2位であったSABミラーを買収したアンハイザー・ブッシュ・インベブの1位は2020年も不動です。2位のオランダのビール大手であるハイネケンの約1.5倍です。ビール業界全体で見れば市場シェアは約8%と、まだ成長の余地は十分あると考えられます。アンハイザー・ブッシュ・インベブは、歴史的にM&Aを通じて成長を遂げており、今後もビール同業や蒸留酒もしくはノンアルコール分野の有力企業の更なる買収もあり得るでしょう。3位には、日本のアサヒグループホールディングス(アサヒビール)がつけています。アンハイザー・ブッシュ・インベブが、SABミラーの買収を行う際に規制当局から売却の要請を受けた、西欧、東欧および豪州のビール事業を買収しており、3位へと躍進しております。4位には、北米に強い地盤を持つモルソン・クアーズとなっています。SABミラーとの合弁会社であったミラー・クアーズの持分を買収し、北米を中心に強固な事業基盤を有しております。5位はデンマークのカールスバーグとなっており、かつてのビール御三家の一角ではありますが、アンハイザー・ブッシュ・インベブによる業界再編の余波を受け、規模ではアサヒとモルソン・クアーズの後塵を拝しております。6位と7位には日本を代表するビール会社であるキリンとサッポロ、9位には中国でSNOWブランドなどを展開する華潤創業、10位には日本でも馴染の深い青島ビールとなっています。

1位    アンハイザー・ブッシュ・インベブ    8.3%
2位    ハイネケン    4.2%
3位    アサヒ     2.3%
4位    モルソン・クアーズ    1.7%
5位    カールスバーグ    1.5%
6位    キリン    1.2%
7位    華潤創業    0.7%
8位    青島ビール    0.6%
9位    サッポロホールディングス    0.4%
10位    ディアジオ    0.4%
11位    燕京グループ    0.3%
12位    ロイヤル・ユニブリュー    0.2%

市場規模

当サイトでは、下記調査会社の情報を参考にし、2020年のビール業界の世界市場規模を6000億ドルとしています。調査会社のエクスパートマーケットリサーチによると2020年の同業界の市場規模は5945億ドルです。2026年にかけて年平均3%での成長を見込みます。調査会社のアイマークグループによれば2019年の同業界の市場規模は6060億ドルです。2026年まで年平均2.6%での成長を見込みます。調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによれば2019年の同市場規模は6934億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模
(億ドル)
予想成長率
202060003%
201963002.6%
ビール業界の市場規模の推移©ディールラボ

中国のビール業界
中国のビール業界は、中国国家統計局によれば、2013年をピークに、近年は4000万キロリットルから5000万キロリットルで横ばいもしくは若干減少しています。中国市場における市場シェア1位は、snowブランドで有名な華潤ビールで約2~3割のシェア、2位は青島ビールで約2割弱、3位は世界最大のビール会社であるアンハイザー・ブッシュ・インベブの約2割、4位は北京に本拠を置く燕京ビールの1割弱、5位はカールスバーグとなっています。

ビール業界の主要なM&A

鮮度の重要性や地域毎に異なる味わいといったビール事業の特質上、従来はM&Aを通じた規模拡大を追求するには向かない業界と言われていました。そうした通説に反する形で、アンハイザー・ブッシュ・インベブがM&Aを通じて成長戦略を描き、触発されたビール大手もM&Aを繰り返しております。近年はクラフトビールやノンアルコール飲料の台頭が見られ、ビール大手が消費者の嗜好の変化への対応を求められています。

発表年買手対象会社売手買収価格通貨単位売上高倍率(倍)
2002SABミラーフィリップモリス56億ドル1.2
2008インベブアンハイザー・ブッシュ585億ドル3.1
2008ハイネケン&
カールスバーグ
スコティッシュ&
ニューキャッスル
96億ポンド3.2
2009CVCStarBevABインベブ22億ドル
2011SABミラーフォスターズ123億豪ドル5.1
2011キリンスキンカリオール86億レアル3.0
2012モルソン・クアーズStarBevCVC26.5億ユーロ3.8
2013ABインベブグルポ・モデロ322億ドル5.0
2015ABインベブSABミラー813億ポンド5.6
2015モルソン・クアーズミラー・クアーズSABミラー207億ドル14.7
2017ハイネケンキリンブラジル10億ユーロ0.9
売上高倍率は企業価値/直近対象会社売上高で計算(⇒参照したデータの詳細情報)©ディールラボ

ビールの種類

ビールの種類には所謂ラガー(下面発酵ビール)に加え、上面発酵ビール、自然発酵ビールがあります。日本で一般的なビールはピルスナーというチェコ生まれのラガー・ビールです。ビールは日持ちしないため、消費地に近い場所で生産する方が鮮度を保てます。
自然発酵ビール:ランビック(ベルギー)
上面発酵ビール:エール(英)、アルト(独)、トラピスト(ベルギー)、ビエール・ド・ガルド(仏)、スタウト(英)、ポーター(英)
上面発酵小麦ビール:バイツェン(独)、ホワイト・ビール(ベルギー)
下面発酵ビール:ピルスナー(チェコ)、メルツェン(独)、ウィーン(オーストリア)、ドルトムンダー(独)、ボック(独)、アメリカ・ビール(米)、ライト・ビール(米)

更にビール業界に詳しくなるための関連書籍と業界団体

米国ビール業界の覇者
15分でビール・蒸留酒・清涼飲料業界の全体像を理解しよう!
日本のビール産業―発展と産業組織論

主要な業界団体
Brewers Association
公益財団法人 日本醸造協会
日本地ビール協会 クラフトビア アソシエーション

世界の主要ビール会社の一覧

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch InBev)

2008年ベルギーのインベブ(インターブリューとアンベブの合併会社)とアンハイザー・ブッシュが合併して誕生した世界最大のビール会社です。ちなみにインターブリューはベルギーのアルトワ(Artois)とPiedboeufとの合併会社、アンベブ (AmBev)はブラジルのラーマ (Brahma) とアンタルチカ (Antarctica) の合併会社でした。主要ビールブランドはバドワイザー、レーベンブロイ(Löwenbräu)、ステラ・アルトワ(Stella Artois)、ベックス(Becks)、コロナ(Corona)等があります。中国ではハルビンビールを、メキシコではコロナで有名なグルポ・モデロ(但し、米国でのコロナの販売権はワイン大手の米コンステレーション・ブランズ が保有)を買収しています。日本ではアサヒと提携しています。2015年には英SABミラーを買収しました。その後ミラークアーズをモルソンクアーズへ、欧州・東欧・豪州のビール事業をアサヒへ、華潤の持分をハイネケンに売却しました。常に次の一手が注目されています。

ABインベブはどうやって業界1位になったか?

ビール業界の再編

出所:業界再編の動向

英SABミラー(SABMiller)とは
旧南アフリカ醸造社 (South African Breweries、SAB)が前身です。2002年に米ミラー社を買収しSABミラーとなりました。2011年には豪フォスターズ(Foster’s)を買収しました。主要ブランドにはチェコのピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)、伊ペローニ(Birra Peroni )、米ミラー(Miller)、蘭グロールシュ(Grolsch)等があります。2015年にABインベブがSABミラーの買収を発表しました。SABミラーの大株主はアルトリア(フィリップ・モリスを有する米たばこメーカー)です。ABインベブとの経営統合にあたり、伊ペローニ、蘭グロールシュを日本のアサヒビールへ売却、米合弁会社のミラークアーズの持ち分を合弁相手のモルソンクアーズへ売却、中国のSNOWビールの持ち分を合弁会社の華潤雪花へ売却しました。

2002年SAB(サウス・アフリカン・ブリュワリー ズ)が米国の大手ビール会社のミラーを買収
ミラーは米たばこ大手のフィリップ・モリス(アルトリアグループ)傘下のビール会社であったが、たばこ事業へのフォーカスのためにミラー売却に踏み切った。
一方新興国に強いSABは、安定的な成長を見込める北米事業をミラー買収によって強化できる。また、ミラーの保有するブランドや販売網にも補完性があった。
売却総額は56億ドル
フィリップ・モリスは、買収後のSABミラーの24.99%の議決権を保有

ハイネケンホールディングス(Heineken Holdings)

ハイネケンは1860年代創業のオランダに本拠を置く大手ビール会社です。主要ブランドはハイネケン(Heineken)、Desperados、strongbow等があります。日本ではキリンと提携しています。2008年には、カールスバーグと共同で英国に本拠を置くビール大手のスコティッシュ・アンド・ニューキャッスルを買収しました。2018年には華潤ビールの持分を買収しています。

2008年にオランドのハイネケンとデンマークのカールスバーグが英国大手ビールであるスコティッシュ・アンド・ニューキャッスル(対象会社)を買収しました。
買収金額は約76億ポンド、買収マルチプル(企業価値EBITDA倍率)は約23倍、対象会社の直近株価終値に対して約4.4%のプレミアムを乗じた水準でした。
カールスバーグは主に対象会社のロシア、バルト三国、フランス、ギリシャ、中国及びベトナムの事業を分割買収しました。

ハイネケンは英国、アイルランド、ポルトガル、フィンランド、ベルギー、北米及びインドの事業を分割買収しました。
対象会社は英国の伝統的なエールビールメーカーです。エールビールの分野では、1980年代はビッグ6と呼ばれる6大メーカー(バス、アライド、ウィットブレッド、ギネス、スコティッシュ・アンド・ニューキャッスル)が市場を独占していました。
©ディールラボ

カールスバーグ(Carlsberg Group)

1840年代創業のデンマークに本拠を置く大手ビールメーカーです。Carlsbergはカールの山(創業者J.C.ヤコブセンの息子がカール)という意味を持ちます。主要ブランドはCarlsbergとロシアで圧倒的に強いBaltika(バルティカ、英スコティッシュ・アンド・ニューキャッスルから買収)などがあります。日本ではサントリーと提携、中国では烏蘇(ウス)ビールを買収しました。

華潤ビール(China Resource Brewery)

主要ブランドは雪花啤酒(シュエホァビール、Snow beer)です。SABミラーが華潤雪花に49%出資している出資持分はChina Resourceが買戻し、その後40%をハイネケンへ売却した経緯があります。

華潤(チャイナリソーシーズ)グループ一覧

華潤(チャイナリソーシーズ)グループ一覧

青島ビール・グループ(Tsingtao Beer)

主力ブランドは青島ビール(Tsingtao Beer)です。2017年にアサヒビールの持分を、中国の複合企業である復星(フォースングループ)が買収しました。

燕京ビール(Yanjing Beer)

北京市に拠点を置く中国ビール大手です。親会社はガス事業等を手掛けるBeijing Enterprises(ベイジンエンタープライズ)です。主力ブランドは燕京啤酒(Yanjing Beer)です。

親会社持分グループ会社
Beijing Enterprises
100%Beijing Gas(北京ガス)
45%Yanjing Brewery(燕京ビール)
41%BE Water
ベイジンエンタープライズのグループ会社©ディールラボ

モルソン・クアーズ(Molson Coors Brewing)

Molson Coors(モルソンクアーズ)は米国デンバーに本社を置くビールの製造・販売を行う企業で、米国・カナダ・欧州のほか、グローバルで営業を展開しています。加モルソンと米クアーズが2005年に合併して誕生しました。主要ブランドはクアーズ(Coors)、モルソン・カナディアン(Molson Canadian)、SINGHA、Louis Raison等があります。ビール以外ではジーマ(ZIMA)やシードルや様々なフレーバーを有しているリキュールも展開しています。2012年に東欧ビール会社のStarBevを、2015年にSABミラーとの合弁であったミラー・クアーズの持分を買収しています。
株主構成は、Blackrock、State street Global advisors、The Vanguard Groupなど機関投資家が多いのが特徴ですが、キリンにも投資をおこなっているIndependent Franchise Partners(インディペンデントフランチャイズパートナーズ)も投資を行っていました。
さらに詳しく

キリン

キリンホールディングスは、1907年に設立された総合飲料メーカーです。三菱グループに属します。ビール事業では、ラガー、一番搾り、のどごし生等のブランドを擁し、国内最大手の一角です。協和発酵キリンを通じて、医薬と食品の連携を目指しています。ブラジルのビール大手であるスキンカリオールを売却する一方で、化粧品や健康食品大手のファンケルの出資を行い、更なる成長を狙っています。

サッポロビール

日本のビール大手の一角です。恵比寿の不動産事業の両輪で事業を展開しています。

アサヒビール

日本の大手ビール会社です。SABミラーから、伊ペローニ(Birra Peroni )、蘭グロールシュ(Grolsch)、東欧5カ国のビール会社、豪州のCUBをたて続けに買収しました。

2009年 中国の青島ビールへの出資
2009年 豪州のシュエップス・オーストラリアの買収
2011年 ニュージーランドの酒類大手インディペンデントリカーの買収
2011年 マレーシアの飲料大手ペルマニスの買収
2014年 マレーシアの乳業大手エチカデイリーズの買収
2016年 グロルシュやペローニ等のオランダ、イタリア、英国のビール事業をSABミラーより買収
2016年 東欧5カ国(チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア)のビール会社をSABミラーより買収
2017年 青島ビールの持分を売却
2019年 豪州のCUBを買収

Diageo(ディアジオ)

Diageo(ディアジオ)は、1997年にギネスビールで有名なギネス社と食品・飲料大手のグランドメトロポリタン社が経営統合をして誕生した会社です。
ギネス (Guinness & Co.) は、1756年に創業されたビール会社で、グランドメトロポリタン(Grand Metropolitan)は、1934年に設立されたグランドメトロポリタンホテルを出自とする会社でした。ケータリング大手のコンパスはグランドメトロポリタンのケータリング事業が分社化して誕生した経緯もあります。両社の経営統合後にカナダのシーグラム社をペルノ・リカール社と共同買収して業容を拡大しました。
主なブランドは、ウォッカのスミノフ(Smirnoff)、スコッチのジョニー・ウォーカー(Johnnie Walker)、カナディアンウィスキーのクラウンロイヤル(Crown Royal)、ウォッカのケテルワン(Ketel One)、ラムのキャプテンモーガン(Captain Morgan)、ジンのゴードン、ビールのギネスです。さらに詳しく

ドイツの主要ビール会社

ビール発祥かつビール大国ながら、グローバル規模で展開するビール会社がなく、製法にこだわったビール会社が根強い人気を誇っています。ABインベブといえども、なかなか踏み込めない地域です。

ラーデベルガー(Radeberger)

1800年後半に創業されたドイツビールの名門です。旧ザクセン王室御用達のビール。現在は食品や海運業等を複合展開するOetker Group(エトカーグループ)が所有しています。

ビットブルガー(Bitburger)

ドイツを代表するビール会社です。同族経営を維持しています。ピルスナービールの発祥とも言われています。

クロンバッハ(Krombacher)

ドイツを代表するビール会社です。ヴァイツエン(白ビール)、デュンケル(ダーク)等のビールも展開しています。

ヴァルシュタイナー(Warsteiner)

1753年に創業されたピルスナービールの老舗です。

エッティンガー(Oettinger)

ドイツの老舗ビールメーカーです。

参照したデータの詳細情報について


このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。
会員の方はログイン下さい。
会員登録はこちらです。