BYDの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

BYD(比亜迪)は、王伝福(Wang Chuanfu)氏によって1995年に設立された中国の電気自動車・車載電池メーカーです。スマホや産業機器向けのリチウムイオン電池の製造に加え、車載向けの電池と電気自動車製造の一貫生産体制が強みです。電気自動車は、SUVのTang、PHVのQin、セダン型のEVであるe6、e5等のブランドを展開しています。王氏は電池王とも称されています。電気自動車を含む新エネ車(EV自動車)でも世界最大規模を誇ります。ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイ傘下のMidAmerican Energyが大株主となっています。2020年には刀片電池と言われる長距離走行が可能な車載電池を開発しました。

業績推移

2018年度
売上高は121,791百万元で、前年度比19%増となりました。営業利益は4,522百万元になりました。営業利益率は4%になりました。自動車関連事業の売上は32%増、モバイル機器関連事業の売上は4%増、充電池及び太陽光発電事業の売上は3%増でした。補助金の削減にも関わらず、当グループの新エネルギー車事業は当年度も急速な成長を続け、新エネルギー車の販売台数は倍増し、市場シェアが急上昇しました。

2019年度
売上高は121,778百万元で、前年度とほぼ同額となりました。営業利益は3,868百万元になりました。営業利益率は3%になりました。自動車関連事業の売上は17%減、モバイル機器関連事業の売上は27%増、充電池及び太陽光発電事業の売上は12%増でした。中国において新エネルギー自動車の補助金が最も大きく減少した年となりました。 このような補助金の減少や一部地域での中国Ⅵ自動車排出ガス基準への早期切り替えが業界の重しとなり、初めて生産・売上ともに前年比で減少しました。 また、新エネルギー自動車の販売台数も前年同期比で減少しました。

2020年度
売上高は153,469百万元で、前年度比26%増となりました。営業利益は10,327百万元になりました。営業利益率は7%になりました。自動車関連事業の売上は38%増、モバイル機器関連事業の売上は13%増、充電池及び太陽光発電事業の売上は20%増でした。

2021年度
売上高は216,142百万元で、前年度比41%増となりました。営業利益は4,632百万元になりました。営業利益率は2%になりました。自動車関連事業の売上は34%増、モバイル機器関連事業の売上は44%増、充電池及び太陽光発電事業の売上は32%増でした。中国自動車工業協会の統計によると、BYDの新エネルギー車市場シェアは17.1%となり、年間で8%近く増加したことになります。 BYDの販売台数は国内新エネルギー車市場でトップの地位にあり、世界ランキングでもトップとなっています。

2022年度
売上高は424,061百万元で、前年度比96%増となりました。営業利益は21,542百万元になりました。営業利益率は5%になりました。自動車関連事業の売上は152%増、モバイル機器関連事業の売上は14%増でした。新エネルギー車世界販売台数No.1の地位を取り戻し、中国の新エネルギー車販売台数で10年連続首位を独占。 中国自動車協会のデータによると、新エネルギー車市場シェアは27%に達し、2021年と比較して10パーセント近く増加。業界でのリーダー的地位を示していると言えます。 年間100万台の新エネルギー車を販売した初の中国ブランドと、年間300万台目の新エネルギー車を初めて発売したという2つのマイルストーンを同時に達成しました

BYDの業績推移

BYDの業績推移

業績推移(四半期)

2022年第3四半期(07ー09月)
売上高は117,081百万元になりました。営業利益は11,283百万元、営業利益率は10%になりました。

2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は156,373百万元になりました。営業利益は5,637百万元、営業利益率は4%になりました。

2023年第1四半期(01ー03月)
売上高は120,174百万元になりました。営業利益は7,215百万元、営業利益率は6%になりました。

2023年第2四半期(04ー06月)
売上高は139,951百万元になりました。営業利益は6,516百万元、営業利益率は5%になりました。

2023年第3四半期(07ー09月)
売上高は162,151百万元になりました。営業利益は17,371百万元、営業利益率は11%になりました。

BYDの四半期業績推移

BYDの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比439%増の5.71元になりました。1株当たりの配当は前年度比988%増の1.142元になりました。配当性向は20%になりました。

BYDのEPS・配当額・配当性向の推移

BYDのEPS・配当額・配当性向の推移

商品別売上構成

電子機器向けのリチウム電池、EV自動車、携帯用部品が3本柱です。車載バッテリーも内製化している点がBYDの強みと言えます。

BYDの売上構成(2022年度)

BYDの売上構成(2022年度)

モバイル機器関連事業
主にスマートフォンおよび関連電子機器の製造に重点を置いています。ノートパソコンやその他の新しいスマート製品の生産にも携わっており、電子製品の多様化をさらに進めています。

自動車関連事業
自動車の設計、開発、製造、販売を行っています。電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の生産に戦略的に転換し、内燃機関(ICE)専用車の生産を中止して新エネルギー車に注力しています。

M&A情報

2003年 1987年に設立された中国の自動車メーカー Qinchuan Auto を買収
2010年 オギハラの館林工場を買収
2023年 エレクトロニクス製造サービスおよびソリューションプロバイダーの世界的大手企業である Jabil Inc の買収計画を合意し契約を締結

株主構成

ウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイが筆頭株主となっています。

BYDの株主構成

BYDの株主構成 出所:マーケットスクリーナー

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