アンハイザー・ブッシュ・インベブは、2008年にベルギーのインベブ(インターブリューとアンベブの合併会社)と米国のアンハイザー・ブッシュが合併して誕生した世界最大のビール会社です。なお、インターブリューはベルギーのアルトワ(Artois)とピードブフ(Piedboeuf)の合併会社、アンベブ(AmBev)はブラジルのブラマ(Brahma)とアンタルチカ(Antarctica)の合併会社でした。
主要なグローバルブランドおよびメガブランドには、バドワイザー、ステラ・アルトワ、コロナ、ミケロブ・ウルトラ、ベックス等があります。
中国ではハルビンビールを、メキシコではコロナで有名なグルポ・モデロ(但し、米国でのコロナ等の販売権はワイン大手の米コンステレーション・ブランズが保有)を買収しています。日本ではアサヒと提携しています。
2016年には英SABミラーを買収しました。その後ミラークアーズの持分をモルソンクアーズへ、欧州・東欧・豪州等のビール事業をアサヒへ、華潤の持分をハイネケン等に売却しました。現在もグローバルな展開やノンアルコール製品の拡充など、常に次の一手が注目されています。
業績推移(年次)
2021年度
売上高は543.0億ドル(543億4,000万ドル)で、前年度比15.83%増となりました。コロナ禍からの力強い需要回復や販売量の増加が主な売上増の要因です。
営業利益は138.2億ドル(138億2,400万ドル)になりました。営業利益率は25.46%でした。
コロナ禍からの力強い需要回復に加え、販売量の増加と適切な価格改定が寄与し、売上高が大幅な二桁増を達成。堅実なコスト管理により高い収益性を維持しました。
2022年度
売上高は577.9億ドル(577億8,600万ドル)で、前年度比6.41%増となりました。インフレ圧力に対応した積極的な価格改定やグローバル市場でのプレミアムブランドの好調が売上増の主な要因です。
営業利益は145.2億ドル(145億1,700万ドル)になりました。営業利益率は25.12%で、前年度とほぼ同じ高い水準を維持しました。
インフレ圧力に対応した積極的な価格戦略(1L当たり価格の上昇)が実を結び、増収を確保。グローバルでのプレミアムブランドの好調が全体の業績を下支えしました。
2023年度
売上高は593.8億ドル(593億8,000万ドル)で、前年度比2.76%増となりました。インフレに伴う販売単価の上昇が寄与したものの、北米市場での苦戦等により小幅な増収にとどまったことが主な要因です。
営業利益は139.7億ドル(139億6,600万ドル)になりました。営業利益率は23.52%で、前年度の25.46%からやや低下しました。
北米市場での販売低迷が響いたものの、価格改定効果により小幅な増収を維持。コストインフレやマーケティング投資の増加により、利益率はやや低下しました。
2024年度
売上高は597.7億ドル(597億6,800万ドル)で、前年度比0.65%増となりました。一部市場での販売量は軟調であったものの、厳格な収益管理やプレミアム化の推進が売上を小幅に押し上げた主な要因です。
営業利益は154.9億ドル(154億8,700万ドル)になりました。営業利益率は25.91%で、前年度から大きく改善しました。
中国やアルゼンチンの軟調な市場環境により総販売量は微減となったものの、厳格な収益管理とプレミアム化の推進により営業利益は大きく改善しました。
2025年度
売上高は593.2億ドル(593億2,000万ドル)で、前年度比0.75%減となりました。為替の逆風や一部市場での需要調整により売上高がわずかに押し下げられたことが主な要因です。
営業利益は154.1億ドル(154億5,000万ドル)になりました。営業利益率は25.97%で、前年度とほぼ同等の高い水準を維持しました。
為替の逆風等により売上高は微減となったものの、1L当たり価格の上昇やデジタルプラットフォームの拡大により効率的な経営が進み、営業利益率は過去最高水準を維持しました。

アンハイザー・ブッシュ・インベブの業績推移
業績推移(半期)
2025年第1四半期(1ー3月)
売上高は136.3億ドル(136億2,800万ドル)になりました。営業利益は35.9億ドル(35億8,700万ドル)、営業利益率は26.32%になりました。
一部市場での需要調整や前年同期の反動により、売上高は前年同期比で減収となりましたが、適切な価格戦略とコスト管理により、営業利益率は前年同期を上回る堅実な水準を維持しました。
2025年第2四半期(4ー6月)
売上高は150.0億ドル(150億4,000万ドル)になりました。営業利益は40.1億ドル(40億1,300万ドル)、営業利益率は26.75%になりました。
グローバルでのプレミアムブランドの販売伸長や価格改定効果が寄与し、四半期として高い売上高を記録。効率的な費用対効果の追求により、営業利益・利益率ともに順調な拡大を実現しました。
2025年第3四半期(7ー9月)
売上高は151.3億ドル(151億3,300万ドル)になりました。営業利益は42.1億ドル(42億5,000万ドル)、営業利益率は27.79%になりました。
主要市場における堅調な需要と継続的なプレミアム化の推進により、増収を達成しました。また、厳格なコスト規律が功を奏し、四半期を通じて非常に高い営業利益率を記録しました。
2025年第4四半期(10ー12月)
売上高は155.6億ドル(155億5,500万ドル)になりました。営業利益は36.0億ドル(36億0,000万ドル)、営業利益率は23.14%になりました。
年末商戦に向けたマーケティング投資や販売促進費用の増加があったものの、堅調なトップラインの伸びにより売上高は通期で最大規模を記録し、安定した着地となりました。
2026年第1四半期(1ー3月)
売上高は152.7億ドル(152億6,700万ドル)になりました。営業利益は40.7億ドル(40億7,300万ドル)、営業利益率は26.68%になりました。
前年同期比で大幅な増収増益を達成しました。デジタルプラットフォームの浸透による販売効率の向上と、各地域での価格改定効果が利益成長を力強く牽引しています。

アンハイザー・ブッシュ・インベブの半期業績推移
EPS・配当額・配当性向の推移
2025年度の希釈化後EPSは前年比18.53%増の3.39ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比23.11%%増の1.34ドルになりました。配当性向は39.65%になりました。

アンハイザー・ブッシュ・インベブのEPS・1株配当の推移
業績予想
2026年度通期の業績は、メガブランドの復調を伴う堅調な上半期業績とプレミアム化戦略の進捗 に支えられ、増益・収益性改善の見通しです。
オーガニックEBITDA成長率:前年比 +4.0%〜+8.0%の成長(同社の中期成長ターゲットに一致)
設備投資計画(Net Capex):通期で 35億米ドル〜40億米ドル(醸造所の近代化や独自B2Bデジタル基盤「BEES」へ継続投資)
実効税率(Normalized ETR):通期で 26.0% 〜 28.0%の範囲を予想
純負債/調整後EBITDA比率:2025年末時点の2.87倍からさらなる財務健全化を推進
売上構成
セグメントは、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ、EMEA、APACに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

アンハイザー・ブッシュ・インベブのセグメント別売上構成
北アメリカ
販売量は同社の15%を占め、同社の利益の24%を生み出しています。
中央アメリカ
販売量は同社の27%を占め、同社の利益の30%を生み出しています。
南アメリカ
販売量は同社の28%を占め、同社の利益の20%を生み出しています。
EMEA
販売量は同社の17%を占め、同社の利益の16%を生み出しています。
APAC
販売量は同社の14%を占め、同社の利益の10%を生み出しています。
2004年 InterbrewとAmbevが経営統合してInBev(インベブ)が誕生
2008年 インベブとアンハイザー・ブッシュが経営統合しアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)が誕生
2009年 ABインベブがStarBevを売却
2013年 ABインベブがグルポ・モデロを買収
2015年 ABインベブがSABミラーを買収
2016年 SABミラーの中国ビール事業売却
2016年 欧州のビール事業をアサヒグループホールディングスに売却
2017年 旧SABミラーの東欧事業をアサヒグループホールディングスに売却
2020年 ABインベブ傘下の豪ビール大手CUBをアサヒグループホールディングスに売却
2020年 Craft Brew Alliance(クラフト・ブリュー・アライアンス)を買収
2023年 Blue Point、Breckenridge Brewery、10 Barrel Brewingなどの著名クラフトビールブランドや、エナジードリンクブランド(HiBall Energy)を含む計8ブランドを大手のTilray Brands社へ一斉売却
2025年 RTD飲料大手「BeatBox Beverages(ビートボックス)」の過半数株式取得
株主構成
【ABI財団(Stichting AK)】
Ambev創業家とInterbrew創業家が50%ずつの統制権を持ち、共同運営する組織です。2026年に株主間契約が更新され、2034年までの強固な共同支配体制が継続されています。
【EPS】
Interbrew創業者のVan Damme家、de Mévius家、de Spoelberch家の持ち分を保有・管理する投資ビークルです。直接株を3.42%保有するほか、上記財団の50%を支配しています。

アンハイザー・ブッシュ・インベブ公式サイトよりアンハイザー・ブッシュ・インベブの株主構成