音楽レーベル・音楽出版業界の世界市場シェア・売上高ランキング・市場規模・M&A(合併買収)について分析をしています。ユニバーサルミュージック、ソニーミュージック、ワーナーミュージック、エイベックスといった世界の主要なレーベル・レコード会社概要も掲載しています。
【音楽レーベル・音楽出版業界とは】
SpotifyやApple Musicなどを筆頭に定額制オーディオ・ストリーミングの収入は2021年から10.3%増の127億ドルとなり、2022年末時点の有料定額制アカウントのユーザー数は5億8900万人です。 ストリーミングの総売上高(有料のサブスクリプションと広告の両方を含む)は11.5%増の175億ドルに達し、世界のレコード音楽総売上高の67.0%を占めています。その他の分野でも成長が見られ、CDなどの物理媒体での収入は4.0%増と引き続き堅調で、演奏権収入は8.6%増と大流行前の水準に戻り、映画やアニメのタイアップなど映画やテレビ、広告などで楽曲が使用される際の収入は22.3%増となりました。(引用元:IFPI Global Music Report: Global Recorded Music Revenues Grew 9% In 2022 – IFPI)
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音楽配信サービス業界の世界市場シェアの分析
【市場シェア】
音楽会社各社の2022年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、後述する市場規模を分母⇒参照したデータの詳細情報にして計算をすると、音楽レーベル・レコード業界の2022年の市場シェア1位はユニバーサルミュージック、2位はソニーミュージックエンターテイメント、3位はワーナーミュージックとなります。
音楽レーベル会社の世界シェア(2022年)
順位 | Company name(English) | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|---|
1位 | Sony Music Entertainment | ソニーミュージック | 40.28% |
2位 | Universal Music Group | ユニバーサルミュージック | 39.64% |
3位 | Warner Music Group | ワーナーミュージック | 20.08% |
ワーナーミュージックによれば、下記の通り、2019年の音楽レコーディング分野ではユニバーサルミュージックが1位となっています。音楽出版分野ではソニーATVミュージックパブリッシングが1位となっています。両分野ともに音楽業界のビッグ3が5割以上の市場シェアを握る寡占市場であることが特徴です。
なお、2021年も、音楽レコーディングはユニバーサルミュージックが1位、音楽出版はソニーATVミュージックパブリッシングが1位です。
音楽レコーディング分野の市場シェア(2022年)
1位 ユニバーサルミュージック 29%
2位 ソニーミュージックエンターテイメント 22%
3位 ワーナーミュージック 17%
音楽出版会社の市場シェア(2022年)
1位 ソニーATVミュージックパブリッシング 26%
2位 ユニバーサルミュージックパブリッシング 23%
3位 ワーナーミュージック 11%
【市場規模】
当ページでは、262億ドルを2022年の音楽レーベル・レコード業界の市場規模としています。1999年時点では2兆5千億円程度あった音楽の世界市場規模ですが、年々規模が縮小してきましたが、2010年前後を境にさげどまりしています。
IFPIによると、2022年の同業界の市場規模は262億ドルで、2023年の市場規模は286億ドルです。⇒参照したデータの詳細情報
年 | 市場規模(制作と出版) | 成長率 |
---|---|---|
2022年 | 262億ドル | – |
2023年 | 286億ドル | 9.16% |
【M&Aの動向】
かつて、音楽レコード業界には6大メジャー、MCAレコード(現ユニバーサルミュージック)、ソニーミュージック、BMG、ワーナーミュージック、ポリグラム、EMI がありましたが、統合を経て現在は3大メジャー体制となっています。
音楽レコード大手は6社から3社体制へ
- 1995年 シーグラムがMCAレコードをパナソニックより買収
- 1996年 MCAレコードがユニバーサルミュージックへの社名変更
- 1998年 当時の6大メジャーの一角のポリグラムとユニバーサルミュージックが経営統合音楽レーベル5強時代になりました
- 2000年 ユニバーサルミュージックとビベンディが経営統合し、ヴィヴェンディ・ユニバーサルが誕生
- 2003年 ベインキャピタル等のコンソーシアムがタイムワーナよりワーナーミュージックを買収企業価値は26億ドルでEBITDA倍率は5.4倍と計算されます
- 2003年 ソニーミュージックと6大メジャーの一角のBMG(ベルテルスマン・ミュージック・グループ)のレコード事業を買収
- 2006年 ユニバーサルミュージックがBMGの音楽出版部門を買収音楽レーベル5強時代から4強時代へ
- 2007年 投資ファンドのテラファーマがEMIを買収企業価値は54億ドル、EBITDA倍率は9.9倍と計算されます
- 2011年 EMIの音楽出版事業がソニーミュージックエンターテイメント等へ売却
- 2011年 ユニバーサルミュージックとEMIの音楽部門が統合音楽レーベル4強時代が終わりました
- 2011年 ワーナーミュージックをアクセス・インダストリーズ社が買収企業価値は30億ドルでEBITDA倍率は9.6倍と計算されます
- 2019年 ビベンディがユニバーサルミュージックの持ち分の10%を中国のテンセントへ売却
- 2020年 ワーナーミュージックが株式を公開
- 2021年 ユニバーサルミュージックが株式を公開
- 2023年 ユニバーサルミュージックがCHBKグループの Chabakaを買収
【会社の概要】
Universal Music Group(ユニバーサルミュージック)
ユニバーサルミュージックは、米国に本拠を置く世界最大の音楽レコード会社です。日本のパナソニック傘下、シーグラムや仏コングロマリットのVivendi (ビベンディ)傘下を経て、2021年9月に上場をしました。2011年にEMI Groupのレコード事業を買収しました。2019年に中国のテンセント等のコンソーシアムが10%の株式を取得しています。さらに詳しく
ビベンディについて
ビベンディ(Vivendi)は、フランスを代表するメディアグループです。傘下にユニバーサルミュージック、ペイTVのCanal+、広告代理店のHavas、ソーシャルゲームのGameloft、イベント運営のVidendi Village、ビデオ配信プラットホームのDailymotion、出版社のEditisを有しています。投資会社のBollore(ボロレ)が主要株主です。さらに詳しく
テンセントについて
テンセント(腾讯)は、馬化騰(マー・フアテン)氏によって1998年に設立された中国のインスタントメッセンジャー・オンラインSNSアプリ最大手です。ソーシャルゲームでも中国最大です。SNSアプリの総合化を進め、テンセントのアプリはアリババグループのアリペイと並び決済等でも活用されています。の買収や出資も積極的に行っており、2016年にスウェーデンのSupercellを買収、またアクティビジョン・ブリザードやユービーアイソフト、フォートナイトで有名なEpic Games、音楽レーベル大手のユニバーサルミュージック等へも出資を行っています。さらに詳しく
Sony Music Entertainment(ソニー・ミュージック・エンターテインメント)
日本のソニーの音楽子会社です。元々は米CBS(Columbia Broadcasting System) Recordsです。ソニー買収後はCBSソニー、独Bertelsmann(ベルテルスマン)との合弁会社でソニーBMGと社名を変更し、ベルテルスマンより合弁会社の株主を取得し現在の社名となりました。2011年にEMI Groupの音楽出版事業を買収しています。
ソニーについて
ソニーは、日本を代表する総合電機メーカーです。ソフトウェアとハードウェアが融合したエコシステム構築を目指しています。ゲーム機器、音楽、金融、映画、音響やテレビ等のエレクトロニクス、イメージセンサーで事業を展開しています。
イメージセンサー分野では、ルネサンスの山形工場を買収する等圧倒的な強みを持ちます。2015年には東芝の大分工場の一部を買収しました。競合他社を引き離すために、2019年以降3年間で約6000億円の設備投資を実施し、現状強みを発揮するスマホ更なる需要(複眼化)に対応しつつ、今後の主戦場になると考えられる車載や産業機器向けの分野を伸ばす予定です。日米欧の3極での拠点構築に積極的です。
テレビでは、ブラウン管の時代からテレビ事業の競争力を保っております。液晶パネルの製造はしておらず、EMSの台湾ホンハイ(Hon Hai Precision)へのOEM比率を高めています。
ゲーム機では、プレイステーション・シリーズを展開し、ハードと課金の両面で成長しております。
ビデオカメラでは、ハンディカムで一世風靡しました。スマホでのビデオ利用に押され同市場も縮小しているなか、デジタルカメラはミノルタの一眼レフを買収しています。ミラーレスやプロ向けの機種に注力をしています。さらに詳しく
ベルテルスマンについて
Bertelsmann(ベルテルスマン)は、1835年にカール・ベルテルスマン氏によって設立されたドイツに本拠をおくメディアコングロマリットです。ベルテルスマン財団と中興の祖であるヨハネス・モーン氏系のモーン家が支配する未上場です。テレビ事業はRTL Group、出版事業はランダムハウス(Random House)とグルナー・ヤール(Gruner + Jahr)、音楽レーベルのBMG、印刷のBertelsmann Printing、オンライン教育を手掛けています。2020年にグルナー・ヤール傘下のPrisma Media(プリズマ・メディア)をビベンディへ売却しました。さらに詳しく
Warner Music Group(ワーナーミュージック)
1929年に設立された米国に本拠を置く音楽レコード会社です。元々は米メディア大手のTime Warner(タイムワーナー)傘下企業でしたが、ロシア出身のLen Blavatnik(レン・ブラヴァトニック)氏率いるコングロマリット企業のAccess Industries(アクセス・インダストリーズ)に買収をされました。2020年に株式を再公開しました。音楽制作と音楽出版を手掛け、アトランティック、エレクトラなどのレーベルを所有し、マドンナやエド・シーラン、リンキン・パークの楽曲を管理しています。ジャンルもポップスからクラシックまで全範囲で対応しています。テンセントミュージックが大株主となっています。さらに詳しく
日本の主な音楽レーベルの一覧
ポニーキャニオン、キングレコード、エイベックス・グループ 、日本コロムビア、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント等が大手となっています。メーカー系、独立系に分かれています。
参照したデータの詳細情報について
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