音楽配信サービス業界の世界市場シェアの分析

音楽配信サービス業界の世界シェアと市場規模について分析を行なっています。スポッティファイ、アップルミュージック、ディーザー、アマゾンミュージック、テンセントミュージック、ユーチューブミュージックといった音楽配信サービス会社の概要や動向も掲載しています。

音楽配信サービス(音楽ストリーミングサービス)とは、音楽ストリーミング会社の音楽配信プラットフォームを通じて、音楽レーベルや音楽出版社が管理する楽曲再生を提供するサービスです。多くの配信サービスで無料プランと有料プランを用意していますが、前者は再生時間や再生方式など機能的には大きく制限されています。有料会員は月額定額サブスクリプションベースで課金します。

図解:音楽ストリーミングサービス

音楽配信サービスは、データの受信・再生を同時に行えるため、PCやスマートフォンの容量を要しないというメリットがあります。また、ダウンロードを待つ時間も必要がなく、すぐに再生できます。一方で、インターネット環境が必須で、データ通信量が無制限でないとすぐに上限に達してしまう可能性もあります。

現在では、音楽市場の売上の83%が配信だというデータもあり、今後も音楽を聴くのには音楽配信サービスが主流であると考えられます。

なお、サブスクリプション課金のうち、音楽ストリーミングサービス会社の取り分は概ね以下の通りとなります。

音楽配信サービス分配イメージ

【音楽配信サービス世界市場シェア】

音楽配信・ストリーミングサービスを提供する会社の2022年または2023年の有料会員数を分子に、後述する市場規模を分母にして、2022年の音楽配信サービス業界の世界市場シェアを簡易に計算すると、1位はスポティファイとなります。

音楽ストリーミング会社の世界市場シェアと業界ランキング(2022年)

順位 会社名 市場シェア
1位 Spotify 33.27%
2位 Tencent* 16.13%
3位 Apple* 14.28%
4位 YouTube(Google)* 12.98%
5位 Amazon* 11.04%
6位 Net Ease* 6.78%
7位 Deaser* 1.53%
8位 Pandra* 1.01%
音楽配信サービス会社の世界シェアと業界ランキング(2022年)

*調査会社のデータ等から会員数を抽出、推計含む

音楽配信サービス業界の世界シェア(2022年)

業界ランキング1位はスウェーデンのスポティファイです。2017年にAmazonがアマゾンミュージックをローンチした時、会員登録数は既に5,000万人を超えていました。さらに多くの音楽配信サービスが出てきた影響で市場シェアはわずかに下がっていますが、未だにランキング首位の座を維持しています。

ネットビジネスをけん引するアップル、グーグル(アルファベット)、アマゾンがランキング上位に入っており、技術力とユーザー数の多さから音楽配信サービスでも会員登録者数を増やしています。

音楽配信サービス業界の主要市場は米国ですが、テンセントやネットイースなどの台頭からわかるように、中国市場での需要が大きく伸びています。

【音楽配信サービス業界の世界市場規模】

当データベースでは、2022年6月末時点での音楽配信サービスの有料会員数を616.2百万人としております。参照した各種統計データは次の通りです。(⇒参照したデータの詳細情報

調査会社のミディアリサーチによると、2022年6月末時点での音楽配信サービスの有料会員数は616.2百万人でした。

B2B向けのアプリ情報プラットフォーム、ビジネスオブアプスによると、2022年の音楽配信サービスの有料会員数は585.7百万人でした。なお、同プラットフォームによると、2020年・2021年・2022年の音楽配信サービスの市場規模はそれぞれ291百万ドル、375百万ドル、433百万ドルとなりました。2021年から2022年には15.47%の年平均成長率となりました。

調査会社のミディアリサーチによると、2021年3月末時点での音楽ストリーミングサービスの有料会員数は487百万人となります。(⇒参照したデータの詳細情報

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【M&Aの動向】

Google(アルファベット)は、Google Play Musicと2006年に買収したYouTubeの音楽配信サービス、YouTube Musicという2つの音楽配信サービスを提供していましたが、2020年にはGoogle Play MusicのユーザーがYouTube Musicに移行するという形で統合しています。

2020年 英スタートアップのMelodyVRがストリーミング大手のNapsterを買収

2020年 Google Play MusicとYouTube Musicが統合

2019年 Sirius XMがパンドラを買収

2006年    Google(現Alphabet)がYouTubeを買収

業界最大手のスポティファイは、ポッドキャスト関連の買収に力を入れており、音楽配信以外にポッドキャストでも頭が抜きんでた存在となってきています。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め書籍

Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生
かんたん、わかりやすい音楽ストリーミング―

【会社の概要】

2006年にダニエル・エク氏が設立したスウェーデンに本拠を置く音楽配信サービス会社です。有料音楽配信に加え、広告付き無料音楽配信サービスやポッドキャスト配信サービスも展開しています。

テンセント(腾讯)は、馬化騰(マー・フアテン)氏によって1998年に設立された中国のインスタントメッセンジャー・オンラインSNSアプリ最大手です。ソーシャルゲームでも中国最大です。SNSアプリの総合化を進め、テンセントのアプリはアリババグループのアリペイと並び決済等でも活用されています。の買収や出資も積極的に行っており、2016年にスウェーデンのSupercellを買収、またアクティビジョン・ブリザードやユービーアイソフト、フォートナイトで有名なEpic Games、音楽レーベル大手のユニバーサルミュージック等へも出資しています。

テンセントが提供する音楽配信サービスは、テンセントミュージックエンターテイメント(騰訊音楽娯楽)です。2016年に中国音楽集団を買収しサービスを開始しました。中国国内では、KuGou、QQ、Kuwoという3つの音楽配信アプリを提供しており、高い市場シェアを保っています。

さらに詳しく

Apple(アップル)は、故スティーブ・ジョブズ氏が設立した米国を代表するメーカーです。Mac、iPhone、iPad、アップルウォッチといった革新的なハードウェア、独自のCPU、iTunesやiOSといった洗練されたソフトウェアを高度に融合させる独創的なビジネスモデルが特徴です。アップルペイで金融決済も手掛けることでアップル経済圏を構築しつつあります。さらに詳しく

アップル社が提供する音楽配信サービスは、アップルミュージックです。2015年にサービスを開始しました。元々アップルの音楽サービスはitunesでのダウンロードが主体でしたが、定額ストリーミングサービスの隆盛もあり、定額音楽サービスも開始しています。

アルファベット(グーグル)は、1998年にラリーペイジ氏とセルゲイブリン氏によって設立された検索・メディア大手です。世界中の情報を検索可能にする壮大なアジェンダを掲げ、良質なコンテンツが上位表示される精度の高い検索サービスで世界を席巻しました。上位表示に広告も織り交ぜる検索連動広告、UIに優れたGmail、動画共有のユーチューブ、スマホの基幹システムAndroidに加え、クラウドコンピューティングのGoogle Cloud Platform、SaaS型のGoogle Workspaceといったクラウドサービスも提供しています。個人情報保護や掲載するデータへの使用料支払いといった観点から逆風も吹いています。社名をグーグルからアルファベットに変更しました。さらに詳しく

アルファベットが提供する音楽配信サービスは、YouTube Musicです。2015年にサービスを開始しました。アルファベット(グーグル)はGoogle Musicでも音楽配信を展開していましたが、YouTubeブランドに統一しました。

アマゾンは1994年に設立されたeコマース運営会社です。書籍のオンライン販売が祖業です。現在では、書籍だけでなく家電や衣類、雑貨など幅広い商品を取り扱っています。eコマース以外にも領域を拡大し、クラウドサービス、電子書籍端末、音楽・メディアの配信サービス等も展開しています。クラウドサービスはAWSで展開しています。低コストのクラウドサービスであることから、AWSとITのアイディアさえあれば、いつでもだれでもどこでもほぼコストゼロでIT起業が可能な環境になったとも言われています。さらに詳しく

アマゾンの音楽配信サービスは、アマゾンミュージックです。2017年にサービスを開始しました。アマゾンの有料会員プログラムであるアマゾンプレミアムでも利用できる手軽さが受け、会員数を増加させました。楽曲数を拡充させたAmazonMusic Unimitedも展開しています。

オンラインゲームを主力事業とする企業で、1997年に設立されました。中国浙江省に本社を置いています。音楽配信サービスは雲音楽(クラウドビレッジ)という名前で展開しています。2021年12月に香港証券取引所に上場しました。

フランスに本拠を置く音楽配信サービスです。2007年にDaniel Marhely氏によって開発されました。欧州と南米を中心に展開をしています。

2000年に広告入りのインターネットラジオ会社として誕生しました。2019年にコンテンツ配信会社であるSirius XMが買収し、音楽配信事業を強化しています。

日本の主要な音楽配信サービス

Line Music、サイバーエージェントとAvexの合弁のAWA、NTTドコモのdヒッツ等が大手のサービスとなっています。

参照したデータの詳細情報について


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