ガラス業界の世界市場シェアの分析 2020

ガラス業界の世界市場シェアと市場規模の情報を分析しています。AGC(旭硝子)、サンゴバン、コーニング、日本板硝子、ガーディアンインダストリーズ、日本電気硝子、福耀集団等の世界大手のガラスメーカーの動向も掲載しています。

【市場シェア】

ガラス会社の2020年度売上高(⇒参照したデータの詳細情報)を分子に、後述する業界の市場規模を分母にして、2020年のガラス業界の世界市場シェアを簡易に計算すると、1位は日本のAGC(旭硝子)の2.9%、2位はフランスのサンゴバンの2.2%、3位はコーニングの1.9%となります。

  • 1位 AGC 2.9%
  • 2位 サンゴバン 2.2%
  • 3位 コーニング 1.9%
  • 4位 日本板硝子 1.7%
  • 5位 ガーディアンインダストリーズ 1.2%
  • 6位 福耀集団 1.1%
  • 7位 日本電気硝子 0.85%
  • 8位 ヴィトロ 0.81%
  • 9位 シセジャム 0.7%
  • 10位 台玻集団 0.6%
  • 11位 セントラル硝子 0.4%

ガラス業界の世界シェア(2020年)
ガラス業界の世界シェア(2020年)

2020年の市場シェアトップ2は、2019年に続きAGCとフランスのサンゴバンです。前者は自動車用ガラスに強く、後者は建材用ガラスに強みを持ちます。3位は液晶ガラスやディスプレイガラス大手のコーニングとなります。液晶ガラスでは世界最大手です。4位にはAGCのライバルである日本板硝子となっています。英ピルキントンとともに板ガラス分野の更なる成長を模索しています。5位のガーディアングラスは、米国の非公開コングロマリット大手であるコークインダストリーズに買収され、今後一層の規模拡大を模索する可能性があります。6位は中国の福耀です。中国国内の旺盛な自動車向けガラスの需要を追い風に売上を伸ばしています。
7位は液晶ガラス大手の日本電気硝子です。8位はメキシコのヴィトロで、近年積極的な買収で成長しています。9位はトルコのガラス総合メーカーのシセジャムです。10位は台湾のガラスメーカーである台玻集団、11位は日本のセントラル硝子となっています。

【市場規模】

当サイトではガラス業界の2020年の世界市場規模を2700億ドルとしております。参考した公表データは以下の通りです。
調査会社グランドビューリサーチによれば2020年の板ガラス業界の市場規模は約2658億ドルと推計されています。2028年に向けて年平均3.6%での成長を見込みます。特に自動車や太陽光パネル向けのガラス材での成長が期待できます。また360マーケットリサーチによると液晶ガラスの2020年の市場規模は61億ドルです。2026年に向けて年平均1.4%での成長を見込みます。⇒参照したデータの詳細情報

板ガラスと液晶ガラスの特徴

板ガラスは主として建築用や自動車用の窓などに広く利用されています。ガラス材料→溶解窯→板ガラス→建築や自動車用ガラスに加工という製品化までの流れがあります。液晶ガラスは、液晶ディスプレイの基板として利用されています。薄さや精度面で高い技術が要求されます。

ガラスの作り方

ケイシャ(珪砂、シリカ)、ソーダ灰、石灰石を1500〜1600℃で溶かしたうえで、錫入り槽で浮かし、コンベアーに流し込みながら冷やしていくと板ガラスになります。ケイシャは融点が1713℃と高いため、ソーダ灰を混ぜることで、融点を1500~1600℃まで下げることができます。石灰石を入れるのは耐水性を増すためです。ガラスの原料は溶かす際に二酸化炭素を排出するため、排出した二酸化炭素の回収や再利用が今後の課題ともいえます。

【参考】ソーダ灰(炭酸ナトリウム)業界の世界市場シェアの分析

ガラス製造に必要な原料の割合

原料 割合
ケイシャ 約72%
ソーダ灰 約16%
石灰石 約12%
ガラス製造に必要な原料の割合
©ディールラボ

図解 板ガラスの製造工程

ガラスの作り方
ガラスの作り方
出所:なんでも図解シリーズ

電気炉や電子レンジ用キルンといった個人でもガラスの加工が可能となる溶解炉も販売されています。

さらに業界に詳しくなるためのお薦め関連サイト

ガラス容器やガラス瓶業界の世界市場シェアの分析
ソーダ灰(炭酸ナトリウム)業界の世界市場シェアの分析

【会社の概要】

AGC(旭硝子)

1907年に創業をした日本を代表するガラス・素材メーカーです。ガラス以外にも電子・化学品・セラミックスの分野で事業を展開しています。ガラス分野では仏サンゴバンと首位を競っています。液晶用ガラスにも強みを持ちます。ディスプレイ用特殊ガラス(Dragontrail®)が有名です。近年ライフサイエンス分野(バイオ医薬品原薬の製造開発受託等)への多角化を推進しています。さらに詳しく

Saint Gobain(サンゴバン)

1665年に設立された鏡面ガラス製作所を起源とするフランスに本拠を置く建材・ガラスメーカーです。近年、ガラスに加え、断熱材、石膏ボード、モルタル等の建材事業や自動車向け部材分野への多角化を行っています。2021年にフランスのセメントなどの建材を取り扱うChrysoをシンベンから買収しました。

日本板硝子

旭硝子と双璧をなす板ガラス大手企業です。同業大手の英ピルキントン(Pilkington)を買収し更なる事業拡大を目指しています。

Guardian Glass(ガーディアングラス)

1932年創業の米板ガラス大手です。2016年にKoch Industries(コークインダストリーズ)が買収しました。

Farun Group(江苏华尔润)

中国に本拠を置く板ガラスメーカー大手です。近年シェアを拡大しています。

Fuyao Glass(福耀集团)

中国に本拠を置くガラス大手です。自動車用ガラスで近年存在感を示しています。2014 年にPPGインダストリーズの板ガラス事業の一部を買収しました。

Sisecam Group (シセジャムグループ)

Sisecam Group (シセジャムグループ、Şişecam)は、トルコに本拠を置くガラス製造会社です。板ガラス、ガラス食器、ガラス容器等を製造しています。同社は1934年の創業。従業員数は約 2 万 1000 人以上。150カ国でガラス製品の販売を行っています。同社ホームページによれば板ガラス生産は世界 5 位です。グループ会社のSoda Sanayiiがソーダ灰の生産を手掛けています。

Vitro(ヴィトロ)

1909年に設立されたメキシコに本拠を置くガラスメーカーです。2016年に塗料大手PPGインダストリーズから板ガラス及びガラスコーティング事業を約7億5,500万ドルで買収しました。2017年にはPittsburgh Glass Works (PGW)の自動車ガラス事業をLKQ Corporationから3億1,000万ドルで買収しています。

セントラル硝子

1936年に宇部興産グループによって設立された板ガラス大手です。

Corning(コーニング)

Corning(コーニング)は米国に本拠を置く液晶用ガラス、光ファイバー大手です。1851年にエイモリー・ホートン氏によってユニオングラスカンパニーとして創業されました。液晶用ガラス分野ではサムスンとの合弁会社(サムスン・コーニング・プレシジョン・マテリアルズ)を展開しています。
ガラス事業(パソコンや液晶テレビ向けに液晶用ガラス基板)、光ファイバーや光ケーブル等の通信事業、自動車や半導体向けの光学製品、ダウケミカルとの接着剤分野での合弁事業、創薬向けのマイクロプレートや細胞培養基質等のライフサイエンス分野で事業を展開しています。さらに詳しく

日本電気硝子

液晶用ガラスで世界3強の一角です。NECより分離独立して誕生しました。

AvanStrate(アヴァンストレート)

日本板硝子とHOYAの合弁会社として誕生した液晶ディスプレイ用ガラス基板メーカーです。米国を代表する投資ファンドのカーライル傘下に入った後、2017年にアニル・アガルワル氏率いるインドの複合企業とHOYAが買収し、現在経営再建中です。

HOYAについて

HOYAは、1941年に山中氏によって設立された東洋光学硝子製造所を源流とする日本を代表する光学メーカーです。江戸切子職人の技術を承継したクリスタルガラス製造技術から展開していった非球面光学ガラスレンズ、眼鏡レンズ、HDD用ガラスディスクやLCDフォトマスクといった分野に強みを持ちます。さらに詳しく

伯恩光学(Biel Crystal)

中国に本拠を置くスマホ向けのカバーガラスメーカーです。アップルへの納入実績があり品質面には定評があります。

参照したデータの詳細情報について


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