ブレーキ(自動車用)業界の世界市場シェアや市場規模の情報について分析しています。ZF、アドヴィックス、クノールブレムゼといった主要ブレーキ会社の概要も掲載しております。
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【自動車用ブレーキとは】
自動車用ブレーキは、車を安全に停止させたり、速度をコントロールしたりする役割を担います。ブレーキを踏むと制動システムが作動し、運動エネルギーを摩擦に変換して車を減速します。
ブレーキの種類には以下のようなものがあります。
- ディスクブレーキ…車輪に取り付けられたディスクに制動力をかける
- ドラムブレーキ…車輪の内側にあるドラムに制動力をかける
- 電動ブレーキ…EVやHVで使用されており、モーターを利用して制動力をかける
近年のブレーキシステムにはABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やEBD(電子制御制動力配分システム)などの電子制御が組み込まれており、安全性と効率性が向上しています。
【自動車用ブレーキの市場シェア+ランキング】
自動車用ブレーキメーカー各社の2022年度の売上高を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2022年の自動車用ブレーキ業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はZF、2位はアドヴィックス、3位はクノールブレムゼとなります。⇒参照したデータの詳細情報
ブレーキメーカーの世界市場シェアと業界ランキング(2022年)
順位 | 会社名 | 市場シェア |
---|---|---|
1位 | ZF(ZFフリードリヒスハーフェン) | 17.78% |
2位 | Advics(アドヴィックス) | 13.70% |
3位 | Knorr-Bremse(クノールブレムゼ) | 8.87% |
4位 | Akebono Brake Industry(曙ブレーキ) | 2.81% |
5位 | Nisshinbo(日清紡) | 2.45% |
6位 | Haldex(ハルデックス) | 0.72% |
7位 | Brembo(ブレンボ) | 0.53% |
その他の主要企業として自動車部品総合メーカーのBOSCH(ボッシュ)やContinental(コンチネンタル)、Mando(万都)がありますが、ブレーキ単体での売上を公表していないため、ランキングから除外しています。
1位はドイツのZFで、パワートレイン分野の部品にも強みを持っています。2014年にブレーキ製造のTRWを買収し、ブレーキ分野での首位に立っています。
2位は日本のアドヴィックスでトヨタ系企業アイシンの系列会社です。4位・5位に曙ブレーキ・日清紡がランクインしており、日本勢が健闘しています。
3位はドイツのクノールブレムゼで、鉄道向けならびに商用車向けのブレーキを製造しています。
その他6位のハルデックスはスウェーデン、7位のブレンボはイタリアのブレーキメーカーです。
【自動車用ブレーキの世界市場規模】
当データベースでは、自動車用ブレーキメーカー業界の2022年の世界市場規模を477.5億ドルとしております。参照にしたデータは以下の通りです。
調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年の同業界の市場規模は477.5億ドルです。2023年には500.6億ドル、2030年には727億ドルへと成長する見込みです。2023年から2030年にかけての年平均成長率は5.5%となる予測です。
調査会社のモードーインテリジェンスによると、2024年の同市場規模は321.8億ドル、2029年は387.2億ドルになると予測しています。2024年から2029年の年平均成長率は3.78%になる見込みです。
調査会社のプレセデンスリサーチによると、2022年の同業界の市場規模は416.6億ドル、2023年は461.5億ドルです。2023年から2032年にかけての年平均成長率は11.3%で、同年には1209億ドルに達する見込みです。⇒参照したデータの詳細情報
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【M&Aの動向】
M&Aの案件数は多くありませんが、ZFのTRW買収やSAF-Hollandのハルデックス買収など大型案件が見られます。自動車部品メーカーが事業の補完としてブレーキ専業会社を買収するケースが一般的です。
2011年 日清紡が自動車ブレーキ摩擦材大手のTMD Frictionを4.4億ユーロで買収
2015年 ZFがブレーキ製造のTRWを買収
2020年 ZFが衝突安全技術分野に強みを持つWabco Holdingsを70億ドルで買収
2023年 ドイツSAF-Hollandがハルデックスの株を100%保有し、完全子会社化
【会社の概要】
ZF(ZFフリードリヒスハーフェン)
ZF(ZFフリードリヒスハーフェン)は、1915年にフリードリッヒスハーフェン伯爵よって設立された飛行船用のトランスミッションを製造会社(ツァーンラート・ファブリーク、Zahnradfabrik=歯車工場)を起源とするドイツに本拠を置く自動車部品メーカーです。ツァーンラート・ファブリークの頭文字であるZFが現在の社名となっています。フリードリヒスハーフェン市が管理する飛行船で有名なZeppelin財団(ツェッペリン財団)が93.8%、レムフェルデ市のユルゲン&イルムガルト・ウルデルップ博士財団が6.2%の株式を保有する非公開会社でもあります。
トランスミッション、シートベルトといった予防安全技術、サスペンションやシャシー等のパワートレイン関連分野に強みを持ちます。2014年に米国の自動車部品メーカー大手でパワートレインやブレーキに強いTRWを買収しました。TRWの買収により、ZFは北米地域における事業強化と、特にセーフティ分野の補完に成功し、自動車部品業界全体でもトップ3に入る事業規模へと成長しました。2020年に米国のワブコホールディングスを買収し、ブレーキなどの衝突安全技術分野の強化も果たしています。
Advics(アドヴィックス)
アイシン精機およびデンソー、住友電工、トヨタ自動車のブレーキ部門が統合され2001年に誕生した会社です。ABS、ディスクブレーキ、ドラムブレーキといったブレーキ全般を手掛けています。
Knorr-Bremse(クノールブレムゼ)
ドイツに本拠を置くブレーキ大手メーカーです。主に鉄道向けと商用車向けのブレーキを手掛けています。
Nisshinbo(日清紡)
1907年に設立され綿紡績を祖業とする芙蓉グループに所属する繊維・化学大手です。無線通信機器、マイクロデバイス、不動産、化学品、繊維等多角化した経営を行っています。ブレーキ摩擦材事業については、2011年にブレーキ摩擦材メーカー大手のTMD Friction Group を買収し業務を拡大しています。2019年度のブレーキ摩擦材事業の売上高は1313億円です。
Akebono Brake Industry(曙ブレーキ)
1929年創業のブレーキ専業大手です。国内及び北米向けのブレーキ事業に強みがあります。FCA(旧クライスラー)向けの販売が落ち込み、2019年に事業再生ADRを申請しました。また、2021年2月、自動車用ブレーキの顧客向け定期検査において『不正な行為』があったと発表し、不正の経緯や再発防止策をまとめた調査報告書を公表しています。
Haldex(ハルデックス)
スウェーデンの鉄道・自動車向けブレーキ大手です。かつては駆動技術なども手がけていましたが、2011年トラクション部門として米自動車部品メーカーのボルグ・ワーナーに売却されました。2016年時点で主要株主だったクノールブレムゼが買収予定と発表しましたが、スウェーデン当局が買い付け期限の延長を拒否したことで買収は断念されました。もう1つの主要株主だったZFも売却へ積極的姿勢を見せず、最終的に独SAF-Hollandが株を買付し、2023年に完全子会社としました。
Brembo(ブレンボ)
1961年に設立されたイタリアに本拠を置くブレーキメーカーです。高級車やモータースポーツ用の車種向けのディスクブレーキに強みを持ちます。
その他のブレーキの主要企業として、BOSCH(ボッシュ)やContinental(コンチネンタル)が挙げられます。
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参照したデータは以下の通りです。リンク切れなどありましたら、お問い合わせのページからご連絡頂けますと大変有難く存じます。
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