レイセオンテクノロジーズ(Raytheon Technologies)は、2019年に防衛大手のレイセオンとユナイテッド・テクノロジーズグループが経営統合して誕生しました。旧ユナイテッド・テクノロジーズグループは、2020年にエレベーター事業のオーチス(Otis)及び空調事業のキャリア(Carrier)の分社化を実施し、現在は、航空機エンジンのプラット・アンド・ホイットニー、民間工機向けシステムを提供するコリンズエアロスペース、宇宙防衛機器製造を行うレイセオンが主力事業となっています。
ユナイテッド・テクノロジーズグループ(UTC)とは
現在のボーイングやユナイテッド航空の源流となったユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートが、1975年にユナイテッド・テクノロジーへと社名変更して誕生しました。航空機エンジン、エレベーター、空調機の分野でそれぞれ強力な製品群を揃えています。2018年に、ユナイテッド・テクノロジーズ社は、航空機部品事業、エレベーター事業、空調事業の分社化を発表、2019年に防衛大手のレイセオンと経営統合し、レイセオンテクノロジーズとなりました。2020年にエレベーター事業のオーチス(Otis)及び空調事業のキャリア(Carrier)の分社化を実施しました。
2019年度
売上高は45,349百万ドルで、前年度比31%増となりました。営業利益は4,914百万ドルになりました。営業利益率は11%になりました。
2020年度
売上高は56,587百万ドルで、前年度比25%増となりました。営業利益は1,889百万ドルの赤字となりました。
2021年度
売上高は64,388百万ドルで、前年度比14%増となりました。営業利益は5,136百万ドルになりました。営業利益率は8%になりました。Pratt & Whitneyセグメントの売上高が1,300百万ドル増加し、Collins Aerospaceセグメントの売上高の600百万ドル減少しました。
2022年度
売上高は67,074百万ドルで、前年度比4%増となりました。営業利益は5,504百万ドルになりました。営業利益率は8%になりました。売上の増加は、Pratt & Whitneyセグメントで売上高が2,500百万ドル、Collins Aerospaceセグメントで売上高が2,400百万ドルの増加したためで、RMDでの売上高が600百万ドル減少した分を相殺しました。
2023年度
売上高は68,920百万ドルで、前年度比3%増となりました。営業利益は3,561百万ドルになりました。営業利益率は5%になりました。売上の増加は、Collins Aerospaceセグメントでの本業売上高が3,200百万ドル、Pratt & Whitneyセグメントで3,100百万ドル、Raytheonセグメントでの1,300百万ドルの本業売上高の増加によるものです。
2022年第4四半期(10ー12月)
売上高は18,093百万ドルになりました。営業利益は1,591百万ドル、営業利益率は9%になりました。
2023年第1四半期(1ー3月)
売上高は17,214百万ドルになりました。営業利益は1,652百万ドル、営業利益率は10%になりました。
2023年第2四半期(4ー6月)
売上高は18,315百万ドルになりました。営業利益は1,458百万ドル、営業利益率は8%になりました。
2023年第3四半期(7ー9月)
売上高は13,464百万ドルになりました。営業利益は1,396百万ドルの赤字となりました。
2023年第4四半期(10ー12月)
売上高は19,927百万ドルになりました。営業利益は1,777百万ドル、営業利益率は9%になりました。
希薄化後EPSは前年度比36%減の2.23ドルになりました。1株当たりの配当は前年度比7%増の2.32ドルになりました。配当性向は104%になりました。
セグメントは、Collins Aerospace、Pratt & Whitney、Raytheonに分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。
Collins Aerospace
航空機メーカー、航空会社、地域航空、ビジネス航空、一般航空、防衛および商業宇宙事業向けに、先進的な航空宇宙製品と防衛製品、およびアフターマーケットサービスを提供しています。製品ラインには、統合アビオニクスシステム、航空システム、通信システム、ナビゲーション システム、発電、管理および配電システム、環境制御システム、飛行制御システム、航空データおよび航空機センシングシステム、エンジン制御システム、エンジンコンポーネント、エンジン、逆推力装置や取り付けパイロンを含むナセルシステム、航空機の内部および外部照明、航空機座席および貨物システム、避難システム、着陸システム (着陸装置、車輪、ブレーキ システムを含む)、ホイストおよびウインチ、火災および氷の探知および保護システム 、作動システム、およびプロペラシステムが含まれます。客室の内装、酸素システム、飲食の準備、保管システムと調理室システム、トイレ、廃水管理システムの設計、製造、サポートも行っています。
Pratt & Whitney
民間、軍用、ビジネスジェット、および一般航空の顧客向けに航空機エンジンを供給します。商用エンジンおよび軍用エンジン事業は、商用顧客向けのワイドボディおよびナローボディ機および大型地域航空機用、および軍需品向けの戦闘機、爆撃機、空中給油機、輸送機用の大型エンジンを設計、開発、製造、保守しています。小型エンジン事業であるプラット・アンド・ホイットニー・カナダは、地域航空会社、一般航空、ビジネス航空、ヘリコプターに動力を供給しています。
Raytheon
国および外国の政府および民間顧客向けに、防御的および攻撃的な脅威の検出、追跡、軽減機能を提供します。具体的には、統合防空およびミサイル防衛、スマート兵器、ミサイル、高度なセンサーとレーダー、攻撃的および防御的なサイバーセキュリティツール、迎撃装置、宇宙ベースのシステム、極超音速、陸、空、海にわたるミサイル防衛における高度な機能を設計、開発、提供しています。
1979年 空調機大手のキャリアの買収
1975年 エレベーター大手オーチスの買収
2003年 セキュリティ大手の英国Chubbの買収
2004年 セキュリティ大手の英国Kiddeの買収
2005年 セキュリティ大手の米国Lenel Systems Internationalの買収
2007年 セキュリティ大手の英国Initial Electric Security Groupを大手害虫駆除会社の英Rentokilからの買収
2007年 消防設備大手のフィンランドMarioff Corporation
2009年 セキュリティ大手の香港GST Holdings
2009年 防災大手のGE Securityの買収
2011年 航空機部品大手の米Goodrich Corporationの買収
2012年 ハミルトン・サンドストランドの産業材事業を投資ファンドへ売却
2013年 Goodrich Pump(グッドリッチポンプ)の売却
2015年 仏セキュリティ大手のCIATの買収
2015年 Sikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト)のロッキード・マーティンへの売却
2017年 米航空システム・機器大手ロックウェル・コリンズを買収
2018年 エレベーター事業と空調事業の分社化を発表
2019年 レイセオンとの経営統合
2020年 オーティスとキャリアの分社化
2020年 航空宇宙システムおよび航空機エンジンなどを開発するUnited Technologies Corporationと合併しRaytheon Technologiesと社名を変更
2020年 世界中の何千もの顧客の重要なデータとネットワークを保護するサイバーセキュリティソリューションのプロバイダーであるForcepointをFrancisco Partnersに売却する契約に署名
2020年 小型衛星および宇宙船システムコンポーネントを手掛けるBlue Canyon Technologiesを買収する最終契約に署名
2021年 飛行追跡ソリューションを提供するFlightAwareを買収する最終契約に署名
2021年 先進宇宙エレクトロニクスの大手サプライヤーであるSEAKR Engineeringを買収する最終契約に署名