三菱ケミカルの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析

三菱ケミカルホールディングスは、日本の最大手の化学メーカーです。三菱レイヨンや大陽日酸を買収し、機能性化学分野の強化を図っています。アクリル樹脂の分野では、ダウケミカルやエボニックといった、大手化学メーカーを抑え、世界最大級の規模となっています。また、炭素繊維分野では、傘下の三菱レイヨンがパイロフィルの商標で炭素繊維を世界展開し、自動車会社とも開発を加速させています。電池材料では、正極材からは撤退し、電解液と負極材を強化しています。水処理膜事業では、MBR膜に強く、ステラポアーブランドで展開をしています。

2020年の事業戦略において、今後の戦略領域として、積層セラミックコンデンサ向けの高機能フィルム、生分解性ポリマー、食品包装フィルム(エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂)、養殖向け酸素ガス、食品成分、インプラント材料、エンプラ、炭素繊維複合材料、産業ガス、アクリル樹脂、医療用医薬品、Muse細胞等の再生医療があげられています。

業績推移(年次)

2018年度
売上高は3,923,444百万円で、前年度比5%増となりました。営業利益は297,950百万円になりました。営業利益率は8%になりました。ケミカルズセグメントの一部製品において当連結会計年度下期に軟調になった市況が継続し、また、ヘルスケアセグメントにおいて薬価改定の影響及びロイヤリティ収入の減少等 が見込まれるものの、産業ガスセグメントにおける当連結会計年度下期に取得した欧米事業の通年寄与に加えて、 機能商品セグメントにおける米国のポリエステルフィルムや国内の光学用ポリビニルアルコールフィルム等の新増 設プラントが収益に通年寄与しました。

2019年度
売上高は3,580,510百万円で、前年度比9%減となりました。営業利益は144,285百万円になりました。営業利益率は4%になりました。コア営業利益は、2017年度に3,800億円まで達したものの、2018年度以降は、「ジレニア」のロイヤリティ収入 の一部について2019年2月に仲裁手続に入ったことにより、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行っていないことや、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の影響等により収益が悪化しました。

2020年度
売上高は3,257,535百万円で、前年度比9%減となりました。営業利益は47,518百万円になりました。営業利益率は1%になりました。コア営業利益は、2017年度に3,800億円まで達したものの、2018年度以降は、「ジレニア」のロイヤリティ収入 の一部について2019年2月に仲裁手続に入ったことにより、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行っていないことや、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の影響等により収益が悪化しました。

2021年度
売上高は3,976,948百万円で、前年度比22%増となりました。営業利益は303,194百万円になりました。営業利益率は8%になりました。経営成績は、新型コロナウイルスの営業を受けた前年度から大きく回復しました。

2022年度
売上高は4,634,532百万円で、前年度比17%増となりました。営業利益は182,718百万円になりました。営業利益率は4%になりました。ディスプレイ・半導体市場における各製品の調整局面やMMA・石化・炭素製品の需要減退により、機能商品分野及び素材分野の事業環境が厳しいものとなりましたが、原燃料価格の上昇等の影響に対し価 格転嫁活動を継続しコア営業利益の確保に努めたことに加え、ヘルスケアにおいて多発性硬化症治療剤ジレニアのロイヤリティにかかる仲裁判断の結果を受けて収益を認識したこと等に伴い、コア営業利益は前連結会計年度 比20%の増益となりました。

三菱ケミカルの業績推移

三菱ケミカルの業績推移

業績推移(四半期)


2022年度第2四半期(07ー09月)
売上高は1,163,274百万円になりました。営業利益は50,348百万円、営業利益率は4%になりました。

2022年度第3四半期(10ー12月)
売上高は1,136,357百万円になりました。営業利益は69,730百万円の赤字になりました。

2022年度第4四半期(01ー03月)
売上高は1,228,367百万円になりました。営業利益は134,096百万円、営業利益率は11%になりました。

2023年度第1四半期(04ー06月)
売上高は1,061,242百万円になりました。営業利益は69,744百万円、営業利益率は7%になりました。

2023年度第2四半期(07ー09月)
売上高は1,088,656百万円になりました。営業利益は68,874百万円、営業利益率は6%になりました。

三菱ケミカルの四半期業績推移

三菱ケミカルの四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

希薄化後EPSは前年度比44%減の64.72円になりました。1株当たりの配当は前年度比と同額で30円になりました。配当性向は46%になりました。

三菱ケミカルのEPS・配当額・配当性向の推移

三菱ケミカルのEPS・配当額・配当性向の推移

業績予想

2023年11月
2023年度第二四半期の決算短信において、2023年度通期の売上収益は4,455,000百万円、営業利益は295,000百万円を予定していると掲載されています。

売上構成

セグメントは、機能商品、ケミカルズ、産業ガス、ヘルスケア、その他に分類されます。セグメント別の売り上げ構成は以下の通りです。

セグメント別売上構成(2022年度)

セグメント別売上構成(2022年度)

機能商品
ポリマーズ&コンパウンズ事業(ポリマーズ及びコーティング・アディティブス)、フィルムズ&モールディングマテリアルズ事業(フィルムズ及びモールディングマテリアルズ)及びアドバンストソリューションズ事業(アメニティライフ及びインフォメーション・エレクトロニクス)を行っており、国内外の顧客に販売しております。パフォーマンスポリマーズ、サスティナブルポリマーズ、アセチルポリマーズ、コーティング材、添加剤・ファイン、パッケージング、工業フィルム、ポリエステルフィルム、炭素繊維、アドバンストマテリアルズ、繊維、アクア・インフラ、ライフソリューション、半導体、エレクトロニクス、電池材料などを取り扱っています。三菱ケミカル株式会社がこのセグメントを担っています。

ケミカルズ
ケミカルズセグメントにおいては、MMA事業、石化事業及び炭素事業を行っており、国内外の顧客に販売しております。MMA、石化基盤、ポリオレフィン、基礎化学品、炭素を取り扱っています。三菱ケミカル株式会社がこのセグメントを担っています。

産業ガス
鉄鋼、化学、エレクトロニクス産業向けなどのガス事業及びステンレス魔法瓶など家庭用品の製造等の事業を行っており、国内外の顧客に販売しております。日本酸素ホールディングス株式会社がこのセグメントを担っています。

ヘルスケア
医薬品事業(医療用医薬品の研究開発・製造)及びライフサイエンス事業(医薬原薬・中間体の製造)を行っており、国内外の顧客に販売しております。田辺三菱製薬株式会社がこのセグメントを担っています。

その他
エンジニアリング、運送及び倉庫業の2事業で構成されます。三菱ケミカル株式会社がこのセグメントを担っています。

M&A情報

2014年 大陽日酸(日本酸素ホールディングス)を子会社化
2016年 北米のエンジニアリングプラスチック加工会社であるPiper Plasticsを買収
2017年 イタリアの炭素繊維複合材料メーカーであるCPCを買収
2018年 Praxair社の欧州事業を49億ユーロで買収
2018年 半導体製造装置洗浄会社であるドイツのCleanpart Groupを買収
2019年 独リンデの北米HyCO事業の一部を買収
2020年 Siケミカル・金属化合物メーカーGelestを買収
2020年  ドイツにある炭素繊維リサイクル事業を手掛けるCFK Valley Stade Recycling GmbH & Co. KG及びcarboNXT GmbHを、当社のグループ会社であるMitsubishi Chemical Advanced Materials AG(スイス)を通して買収
2020年  スイスにあるエンジニアリングプラスチックのリサイクル会社であるMinger Kunststofftechnik AG及びMinger Plastic AGを、当社のグループ会社であるMitsubishi Chemical Advanced Materials(スイス)を通して買収
2021年 結晶質アルミナ繊維事業をApollo Global Managementへ売却
2021年  完全子会社である日本ポリケム株式会社(JPC)は、JNC石油化学株式会社との合弁会社である日本ポリプロ株式会社(JPP)が保有し、ポリプロピレンコンパウンド及びガラス長繊維強化熱可塑性樹脂事業を展開する海外グループ会社の株式を取得することにより、同事業を JPP から JPC に移管。
2021年  フィルムコーティングメーカー・中井工業株式会社の全株式を取得し、連結子会社化
2023年  イタリアの炭素繊維複合材料メーカー「C.P.C SRL」社を買収すると発表

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