ソルベイの市場シェア・業績推移・売上構成・株価の分析


Solvay(ソルベイ)は、1863年にエルネスト・ソルベイ氏によって設立されたベルギーに本拠を置く化学メーカーです。ソルベイ法を用いた炭酸ナトリウムやソーダ灰の製造で有名です。
2011年にフランスの特殊化学メーカーであるローディアを買収し事業領域を拡大しました。
2023年12月には高機能・特殊化学品事業をSyensqo(シャンスコ)としてスピンオフし、現在はソーダ灰、過酸化物、重炭酸塩、シリカ、溶剤、レアアース、フッ素といった基礎化学品・パフォーマンス化学品分野に特化した事業を展開しています。

業績推移(年次)

【データの比較に関する注意点】
2022年の売上高(5,539百万ユーロ)や営業利益(1,038百万ユーロ)は、2023年12月に実施された特殊事業(Syensqo)の分社化に伴い、同年以降のレポートで再定義された「継続事業ベース(分社後のソルベイ単体)」の数値です。
そのため、分社化前の全体ベースである2021年(売上高10,105百万ユーロ)とは事業範囲が異なる点に注意が必要ですが、新体制下における継続的な業績トレンドや収益性の推移を正確に比較するために、この継続事業ベースでの数値を用いて推移を追っています。

2021年度
2021年度の売上高は10,105百万ユーロ(101.05億ユーロ)で、前年度比12.7%増となりました。これは販売価格の上昇と販売量の増加によるものです。営業利益は1,600百万ユーロ(16.00億ユーロ)になり、営業利益率は15.8%でした。
インフレやサプライチェーンの制約といった困難な環境下にもかかわらず、成長プラットフォーム(バッテリー素材、熱可塑性複合材料、グリーン水素など)への投資やポートフォリオの最適化を推進し、価格決定力や収益性、キャッシュ創出、財務健全性のあらゆる面でより強固な体制を築いた年となりました。

2022年度
2022年度の売上高は5,539百万ユーロ(55.39億ユーロ)で、前年度比45.2%減(※分離前ベースからの継続事業比較)となりました。営業利益は1,038百万ユーロ(10.38億ユーロ)になり、営業利益率は18.7%で、前年度の15.8%を上回りました。
この年の強固な需要は、コロナ禍からの経済活動の再開に伴う自動車や航空宇宙などの主要市場での回復に加え、EVなどのクリーンモビリティ分野におけるサステナブルな素材へのニーズ急増が背景にあります。
強固な需要と価格引き上げに牽引され、売上高、EBITDA、キャッシュ、ROCEのすべてにおいて過去最高を記録しました。

2023年度
売上高は4,880百万ユーロ(48.80億ユーロ)となりました。営業利益は926百万ユーロ(9.26億ユーロ)になり、営業利益率は19.0%でした。(※同年12月のシエンスコ(Syensqo)分社化に伴う継続事業ベースの数値)
2023年は特殊事業のシエンスコ(Syensqo)への分社化を成功裏に完了させた極めて重要な年であり、挑戦的なマクロ経済環境下でも記録的なEBITDAマージンを達成しました。

2024年度
売上高は4,686百万ユーロ(46.86億ユーロ)で、前年度比3.9%減となりました。営業利益は732百万ユーロ(7.32億ユーロ)になり、営業利益率は15.6%でした。
販売価格の下落が影響したものの、コスト削減の加速が利益を下支えしました。
厳しい市場環境にもかかわらず、事業の強靭性と強力な執行力を証明し、コスト削減の加速により堅実なEBITDAとフリーキャッシュフローを確保しました。

2025年度
売上高は4,262百万ユーロ(42.62億ユーロ)で、前年度比9.1%減となりました。営業利益は561百万ユーロ(5.61億ユーロ)になり、営業利益率は13.2%でした。
ソーダ灰市場などの軟調さが響き減収減益となりましたが、厳格なコスト管理と構造改革が進められました。
持続的な市場の低迷や地政学的不確実性がある中、フリーキャッシュフローで強力な業績を上げるとともに魅力的なEBITDAマージンを維持し、長期的な変革と持続可能性のコミットメントを前進させました。

Solvay(ソルベイ)の業績推移

ソルベイの年次業績推移
*2022年および2023年以降の数値は、2023年末のSyensqo分社化を反映した「継続事業ベース」の数値です。
そのため、分社化前の2021年の数値(全体ベース:売上高10,105百万ユーロ等)とは前提(事業範囲)が異なります。

業績推移(四半期)

2024年第4四半期(10〜12月)
売上高は1,134百万ユーロ(11.34億ユーロ)になりました。営業利益は172百万ユーロ(1.72億ユーロ)、営業利益率は15.17%になりました。

2025年第1四半期(01〜03月)
売上高は1,122百万ユーロ(11.22億ユーロ)になりました。営業利益は172百万ユーロ(1.72億ユーロ)、営業利益率は15.33%になりました。

2025年第2四半期(04〜06月)
売上高は1,102百万ユーロ(11.02億ユーロ)になりました。営業利益は150百万ユーロ(1.50億ユーロ)、営業利益率は13.61%になりました。

2025年第3四半期(07〜09月)
売上高は1,044百万ユーロ(10.44億ユーロ)になりました。営業利益は155百万ユーロ(1.55億ユーロ)、営業利益率は14.85%になりました。

2025年第4四半期(10〜12月)
売上高は995百万ユーロ(9.95億ユーロ)になりました。営業利益は84百万ユーロ(0.84億ユーロ)、営業利益率は8.44%になりました。

Solvay(ソルベイ)の四半期業績推移

Solvay(ソルベイ)の四半期業績推移

EPS・配当額・配当性向の推移

2025年度において、基本的1株当たり当期利益は前年度比30.73%減の2.8ユーロ(前年度の4.1ユーロから減少)になりました。1株当たりの配当は前年同額の2.43ユーロとなり、配当性向は85.56%になりました。

Solvay(ソルベイ)のEPS・1株配当・配当性向の推移

Solvay(ソルベイ)のEPS・1株配当・配当性向の推移

業績予想

2026年07月
サウジアラビアの過酸化物工場が2026年第3四半期中に再稼働する見込みであることを踏まえ、2026年通期の業績見通しを発表しました。

2026年通期の基礎的EBITDAは7億7,000万ユーロから8億5,000万ユーロの間となる見込みです。この数値には、2026年の為替変動による前年比マイナス影響額2,000万ユーロ(1ユーロ=1.20米ドルの為替レートを想定)と、事業変革費用4,000万ユーロが含まれています。

また、継続事業からのソルベイ株主へのフリーキャッシュフローは、約9,000万ユーロの事業変革費用を差し引いた純額で少なくとも2億ユーロとなり、設備投資は約3億ユーロを見込んでいます。さらに、構造的なコスト削減効果については、2026年末までに累計で約3億ユーロに達する見込みです。

売上構成

ソルベイのセグメント別事業紹介
ソルベイは、「ベーシック(Basic)」および「パフォーマンス(Performance)」の2つの領域に分かれ、産業を支える多様な化学製品を展開しています。

Solvay(ソルベイ)のセグメント別売上構成(2025年度)

Solvay(ソルベイ)のセグメント別売上構成(2025年度)


■ Basic(ベーシック)
Soda Ash(ソーダ灰) ガラス製造や化学品などに広く使用されるソーダ灰を取り扱っており、創業からの主力事業となっています。
Peroxides(過酸化物) 漂白剤や半導体、環境浄化、化学合成など多様な用途向けに過酸化物製品を供給しています。
Bicarbonate(重炭酸塩) 排ガス浄化や食品、医療、飼料など幅広い分野で利用される重炭酸塩を手掛けています。

■ Performance(パフォーマンス)
Silica(シリカ) 低燃費タイヤ向けのゴム用補強材や、歯みがき粉の研磨剤・増粘剤などに使用されるシリカを製造しています。
Solvents(溶剤) 環境配慮型の特殊溶剤などを中心に展開し、各種工業用途やコーティング、洗浄分野を支えています。
Rare earths(レアアース) 自動車の排ガス浄化触媒やエレクトロニクス分野などに不可欠なレアアース関連製品を手掛けています。
Fluorine(フッ素) 優れた耐熱性や耐薬品性を持つフッ素関連の特殊化学品を提供し、産業機械や半導体などの先端分野を支えています。

株主構成

■ソルバックSA(Solvac SA)
保有割合: 株式資本および議決権の 30.81% を保有し、筆頭株主となっています。
背景: 2023年12月11日に30%以上の閾値を超え、Solvay SAの部分分割時に同社が保持していた株式資本および議決権の割合に起因しています。
概要: 1983年にベルギー法に基づいて設立された公開有限責任会社であり、その資産はシエンスコ社とソルベイSA社の株式のみで構成されています。株式はユーロネクスト・ブリュッセル証券取引所に上場しており、株主数は約14,000人です。ソルバックはソルベイの創業者一族が保有する資産管理会社です。

■キャピタル・グループ・カンパニーズ(Capital Group Companies Inc.)
保有割合: 議決権総数の 3.04% を保有し、3%の閾値を超えています。

■ブラックロック(BlackRock, Inc.)
保有割合: 議決権総数の 3.07% を保有し、3%の閾値を超えています。

M&A情報


2009年 ソルベイ製薬をAbbottラボラトリーズへ売却
2011年 Rhodiaを買収
2013年 Chemlogics Groupを買収
2015年 Cytec Industriesを買収
2016年 タバコフィルター用の酢酸セルローストウを製造するAcetowをブラックストーンへ売却
2017年 ソーダ灰事業であるビニタイを合弁先であるAGCへ売却
2020年 ポリアミド事業をBASFなどへ売却
2023年 高機能・特殊化学品事業(Syensqo)をスピンオフ(新会社「シャンスコ」として独立)

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