モーター業界の世界市場シェアの分析

モーター業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ABB、シーメンス、ニデックモーター業界の世界市場シェアと市場規模について分析をしています。ニデック(日本電産)、ABB、ジョンソンエレクトリック、ロックウェルオートメーション、WEG、ミネベアミツミ、ウーロンエレクトリックドライブ、東元電機等の大手モーターメーカーの動向も掲載しています。

【モーター業界とは】

モーター業界は、電気で動くモーターの製造・販売を行う産業です。モーターは、家電製品、自動車、産業機械など、様々な機器に搭載されており、現代社会の基盤を支える重要な役割を担っています。
市場を牽引しているのは、ニデック(旧:日本電産)、ABB、WEGなどのグローバル企業ですが、近年は中国や韓国の企業も台頭しています。

モーター事業の多くは、重電や電機メーカー等が内製している場合も多く、売上高などの情報を得にくいのが特徴です。今後自動車のEV化に伴い、モーターの需要は飛躍的に増加し、モーター供給先はより多様化していくと考えられます。
各社は、技術革新、コスト削減、顧客サービスの向上などを通じて、競争力を強化していくことが求められます。また、オープンイノベーションやM&Aなどを活用した事業拡大も重要となります。
2023年のグローバル市場規模は1,300億米ドルに達し、過去10年間で着実に成長してきました。高効率モーターの開発や、スマートモーターの導入など、技術革新が活発に進められており、今後も、電気自動車の普及や産業オートメーションの進展、省エネ意識の高まりに伴い、更なる成長が見込まれています。

モーターの種類と構造

モーターの種類は大きく分けて、以下のように分類できます。
電源の種類
直流モーター(DCモーター):直流電源で駆動されるモーターです。ブラシ付きモーターとブラシレスモーターの2種類があります。

ブラシ付きモーター:構造がシンプルで安価ですが、摩擦や騒音が大きいという欠点があります。
ブラシレスモーター:ブラシ付きモーターと比べて摩擦や騒音が少なく、高効率で長寿命です。

交流モーター(ACモーター):交流電源で駆動されるモーターです。インダクションモーター、同期モーター、汎用モーターなどがあります。
構造
コアレスモーター:鉄心を持たないモーターです。軽量で小型ですが、トルクが小さいという欠点があります。

ステッピングモーター:一定角度ずつ回転するモーターです。精密な制御が必要な工作機械などに使用されます。

主要な部品
電線:電流を流すための導体です。
鉄心:磁力線を集中させるための部品です。
絶縁体:電線同士や電線と鉄心を電気的に絶縁するための部品です。
永久磁石:磁場を発生させるための部品です。
これらの部品が組み合わさることで、電磁気エネルギーが回転運動に変換されます。

モーターの種類
モーターの種類
©2024 Deallab

モーターの用途

モーターは、様々な機械や装置に使用されています。代表的な用途としては、以下のようなものがあります。
・家電製品:洗濯機、冷蔵庫、エアコン、掃除機など
・自動車:エンジン、パワーステアリング、ワイパーなど
・工作機械:フライス盤、マシニングセンター、ロボットなど
・オフィス機器:プリンター、コピー機、ファックスなど

さらに業界に詳しくなるための参考書籍

モータ技術のすべてがわかる本
プロフィット・ピラミッド
ミネベアのグローバル戦略

【モーター業界の世界市場シェア+ランキング】

モーター業界の2023年度の売上高⇒参照したデータの詳細情報を分子に、また後述する業界の市場規模を分母にして、2023年のモーター業界の市場シェアを簡易に試算しますと、1位はニデック(日本電産)、2位はABB、3位はWEGとなります。

モーター業界の世界市場シェアと業界ランキング(2023年)

順位 会社名 会社名 市場シェア
1位 NIDEC CORPORATION ニデック(日本電産) 13.9%
2位 ABB Ltd. ABB 6.1%
3位 WEG S.A. WEG S.A. 4.6%
4位 Rockwell Automation, Inc. ロックウェルオートメーション 3.2%
5位 Johnson Electric S.A. ジョンソンエレクトリック 3.0%
6位 MinebeaMitsumi Inc. ミネベアミツミ 1.7%
7位 WOLONG ELECTRIC DRIVE GROUP  ウーロンエレクトリックドライブ 1.4%
8位 TECO Electric & Machinery Co., Ltd 東元電気 1.4%
モーター業界の世界市場シェアと業界ランキング(2023年)©2024 Deallab

モーター業界の世界市場シェア(2023年)©2024 Deallab

2023年も日本電産が世界1位となりました。モーター事業の多くは、重電や電機メーカー等が内製している場合も多く売上高などの情報が得られないのが特徴です。今後自動車のEV化によって、モーターの供給先の更なる多様化が予想されます。

【モーター業界の世界市場規模】

当サイトでは、モーター業界の2023年の世界市場規模を1283.5億ドルとしております。参照した各種調査データは以下の通りです。

調査会社のフォーチュンビジネスインサイツによると、2023年の同業界の市場規模は1283.5億ドルです。2024年には1371.2億ドルへ拡大し、2024年から2032年にかけて年平均7.61%で成長し、同年には2465.9億ドルに達する見込みです。⇒参照したデータの詳細情報

市場規模 成長率見込み
2023年 1283.5億ドル
2024年 1371.2億ドル 6.83%
2032年 2465.9億ドル 7.61%
モーター業界の世界市場規模の成長率見込み(2023年) ©2024 Deallab

モーター業界の世界市場規模の予想成長推移(2023年) ©2024 Deallab

【M&Aの動向】

2021年 ABBが機械動力伝達部門(ダッジ)をRBCベアリングに売却
2022年 ABBがシーメンスの低圧NEMAモータ事業を買収
2022年 ロックウェル・オートメーションがCUBIC社の買収を完了
2023年 ニデックがTAKISAWAをTOBにて完全子会社化
2023年 ミネベアミツミが日立パワーデバイスの株式取得(子会社化)
2023年 ロックウェル・オートメーション、自律型ロボットのリーダであるClearpath Robotics社の買収に合意

【会社の概要】

ABB Ltd.(エービービー)

ABB(エービービー)は、スイスに本拠を置く重電・重工業大手です。ABBはAsea Brown Boveri(アセア・ブラウン・ボベリ)の略です。1988年にスウェーデンのアセアとスイスのブラウン・ボベリが経営統合して誕生しました。アセアとブラウン・ボベリは1890年代に創業された両国を代表する老舗重電メーカーです。発電・送変電機器と自動化機器やソフトウェア事業に強みを持ちます。原子力発電と火力発電における発電機器事業は、それぞれWestinghouse(ウェスティングハウス)とAlstom(アルストム)に売却し撤退しました。2018年にGEよりエレクトリフィケーション事業を行うGEインダストリアルソリューションを買収しました。2020年には電力システムやパワーグリッド事業を日立に売却し、事業ポートフォリオの入れ替えを行っています。さらに詳しく

Siemens AG(シーメンス)

シーメンス(Siemens AG)は、ドイツのミュンヘンに本拠を置く大手総合電機メーカーです。1847年に、ヴェルナー・フォン・ジーメンス (Werner von Siemens) によって設立されました。世界初の電車を製造したことでも有名です。事業範囲は電力、交通システム、家電、医療等と社会インフラ全般に及びます。事業のポートフォリオを組み替えながら、モノ作りのデジタル化や産業機器のIoT化を含むインダストリー4.0を提唱し、強力に推進しています。米国のライバルであったGEと同じように再編を通じて、その時々の社会ニーズに即した組織体を作り上げる柔軟性のある経営を行っています。鉄道車両はグループ内のモビリティ事業本部が担当しています。ICEで知られるドイツの高速鉄道も手掛けています。2017年には鉄道車両部門でアルストムと経営統合を発表しましたが、2019年に欧州委員会がアルストムとの経営統合を承認せず遂行されませんでした。鉄道信号にも強みを持ち、上位株主には、象徴としてのシーメンス家が引き続き残っています。さらに詳しく

NIDEC CORPORATION(ニデック株式会社、旧日本電産)

ニデック(旧:日本電産)は、1973年に永守重信氏によって設立された、精密小型モーター、車載用モーター、家電・商業・産業用モーターなどを製造販売する日本を代表するモーターメーカーです。2023年4月1日に社名変更しています。

車載用モーターや家電・商業・産業用モーターの売上の増加により好調です。

M&Aを積極的に行っており、工作機械メーカーやモータ・発電機関連のサービス企業などを買収しています。2023年3月期決算短信では、中国市場の成長や車載用モーターの需要増加などを背景に、今後も業績の拡大を目指していくとしています。

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エマソンエレクトリックについて

Emerson Electric(エマソンエレクトリック)は、1890年創業の米国を代表するコングロマリット企業です。交流モーターが祖業ですが、モーター事業は日本電産に売却しております。現在は自動制御装置、計測・分析機器や精密空調、配管工具といった分野で事業を展開しています。プラント向けのプロセスオートメーションにも強みを持ちます。オートメーション分野の更なる強化に向け、選択と集中を図っています。さらに詳しく

WEG S.A.(WEG)

1961年に設立されたブラジルに本拠を置く電動機会社です。モーター、オートメーションプロセス、トランスミッション、発電機、コーティング等の分野を手掛けています。地域では中南米に強みを持ちます。

TECO Electric & Machinery Co., Ltd.(東元電気)

台湾を代表する電機メーカーの一つで、1956年に設立されました。電動モーターの製造販売から始まり、現在は家電や産業用モーターなど幅広い製品を手掛けています。日本では「台湾の東芝」と呼ばれることもあったようで、重電事業が中心だったことが伺えます。本社は台湾にあり、日本法人として三協株式会社 (Sankyo Co., Ltd.) が東京都港区に置かれています 。また、モーターの販売代理店も日本国内にあります。ウェスティンハウスのモーター事業を買収しています。

Rockwell Automation, Inc.(ロックウェルオートメーション)

ロックウェルオートメーションは、1903年に創業された米国のプロセス&ファクトリーオートメーション大手です。本社はオハイオ州クリーブランドにあります。産業用モーター、ドライブ、コントローラ、ソフトウェアなどを製造・販売し、世界中の工場や製造施設で利用されています。事業は、「ドライブ事業」「コントロール事業」「ライフサイクルサービス」の3つのセグメントに分類されます。

積極的にM&Aを行っており、製品ラインアップを拡充し、新たな市場に進出しています。製造業におけるデジタル化や自動化の進展、新興市場の成長などの追い風を受け、今後の成長が見込まれます。

さらに詳しく

Regal Beloit(リーガルベロイト)

米国に本拠を置く産業用モーター会社です。

Johnson Electric S.A.(ジョンソンエレクトリック)

1959年に香港で設立された産業用モーター&アクチュエーター大手です。ジョンソンモーターで展開しています。自動車向けのアクチュエーターも手掛けています。

WOLONG ELECTRIC DRIVE GROUP(ウーロンエレクトリックドライブ)

臥龍電機駆動(Wolong Electric Drive)は、1984年に設立された中国に本社を置く電動モーター、ドライブ、制御システム、電源装置などの製造・販売を行うグローバル企業です。2002年6月に上海証券取引所に上場しています。モーターが主力ですが、送電機器やバッテリー等の製造も行っています。産業用モーターの分野では、オーストリアのATBグループ、イタリアSIRやOLI、GEのモーター事業等を買収しています。

グローバルな生産・販売体制:中国本土に加え、日本、米国、ヨーロッパなどに生産・販売拠点を持ち、世界中の顧客に製品とサービスを提供しています。自動車、家電、食品・飲料、鉄鋼、化学など幅広い産業分野で、豊富な経験と実績を有しています。

近年業績を伸ばしており、成長を牽引したのは、自動車、食品・飲料、半導体などの主要市場における需要拡大です。製造業におけるデジタル化や自動化の進展、新興市場の成長などの追い風を受けて折、今後の成長が見込まれます。

MinebeaMitsumi Inc.(ミネベアミツミ株式会社)

ミネベアミツミは、長野県に本社を置く、ベアリング、モーターを中心とする電気部品メーカーです。1951年に創業し、現在は世界中に事業拠点を展開しています。「精密部品事業」「電子機器事業」「ロジスティクス事業」の3つの事業を展開しています。コーポレートスローガンは「Passion to Create Value through Difference」。

近年業績を伸ばしており、製造業におけるデジタル化や自動化の進展、新興市場の成長などの追い風を受けており、今後の成長が見込まれます。積極的にM&Aを行っており、近年ではエイブリック株式会社やユーシン株式会社などを買収しています。

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